幻想郷にはあらゆる女性を虜にする才能を持つ1人の青年が居る。
彼の名は○○、何の能力も持たない外来人である。
里や知り合いの若き女性達(例外も居るが)の多くは彼に好意を抱いていた。
だが、彼には他と違う点が一つだけ存在した。

慧音「○○、いいかげんに嫁を貰ったらどうなんだ?・・・そ、その、私で良ければいつでも・・・。」

○○「うるせぇ、誰がテメェなんか嫁にするかよ。」

その言葉を聞いた慧音は「また失敗・・・」と落ち込みながら帰って行った。
それを見ながら○○はフン、と鼻を鳴らす。
一言で説明するなら、彼はグレていた。
誰一人として信用せず、他人を受け入れようともしない。
良く居るチンピラやヤクザとも違い、仲間を持つ事も秩序を守る事もしない一匹狼な存在だ。
彼は過去に起きたとある人間がらみの事件で心を完全に閉ざしてしまった。
だから、誰にも心を開かずに仲間も友人も持たない。
たった一人、『彼女』を除いては。
○○の耳にパタパタと聞きなれた足音が入る。
そして、傍の扉が開かれた。

こいし「○○!久しぶり!」

○○「おう、来たかこいし。」

飛びついて来たこいしを抱き留め、普段は決して見せない笑みを浮かべる○○。
彼は決してこいし以外に心を開かない。
恐らく、自分と同じく心を閉ざしたこいしに何か仲間意識の様な物を感じていたのだろう。
そして、他人を受け入れない分、彼はこいしに異常なまでの愛情を注いだ。

○○「そういえば今日はやけに遅かったな。どうしたんだ?」

こいし「うん、お姉ちゃんが○○に贈り物なんてしようとしてたからちょっと『お話』してきたの!」

そう言うこいしの口元には歪んだ笑みが浮かんでいたが、○○は嬉しそうに「そうか」と返すとより強くこいしを抱きしめた。
彼にもこいしが歪んでいると理解できていたが、それ以上にそこまで自分を想ってくれているという事実に喜んだ。

○○「とりあえず、今日も泊まって行くのか?」

こいし「当たり前だよ。私は○○だけの物だし、○○は私だけの物なんだからそれ以外の選択肢なんて無いでしょ?」

頬を染めて○○を見上げながらまるで決まっていたセリフを言う様に猫撫で声で言うこいしを見て満足気に笑う○○。
そして、こいしと共に出しっぱなしだった布団に入っていった。

・・・その数日後、地霊殿の主人であるさとりが地底の一角で死体となって発見された。
彼女の魂は行方不明で、今も捜索は続いているという。
また、彼女のペットである二人は唐突に姿を消し、今の地霊殿にはこいしとその恋人と噂される男だけが住んでいるという。

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最終更新:2013年06月21日 13:25