注意:このssには原作との違い、色んな自己解釈などが多々出てきます。
それでも大丈夫な方のみ読んでいって下さいませ。ちなみに、かなりセリフが多めに含まれる時があります。

「はぁ、ここらでいいか」

ヨイショっと腰を下ろす。
ここは人里を一望できるくらいのちっちゃな丘だ・・・ようするに障害物が無いだけなんだけど。
俺はここが気に入っていてよくここに一人で来る。ぼっちじゃない、単に一人が好きなだけだ。

「あぁ、今日も平和だなぁ・・・」

ここは幻想郷・・・人と妖が入り混じる世界だが、統率者?が存在するためよっぽどの危険区域に行かなければ平和である。

「さてと、じゃあ食うか」

十串ほどの団子を包んだ風呂敷を開く。なにも景色を見るためだけにここに来たわけではない、景色のいい場所で食べると美味しく感じるので、働いている団子屋で売れ残りが出来ると少しばかりいただいて毎度ここに食べに来ている。
もちろん許可を得てだ。俺は泥棒じゃない。

「んむんむ、オヤッさんいい仕事してるなぁ」

ぐうぅぅぅぅぅぅぅ。

「いやぁ、つい手がのびちゃうよね」

ぐうぅぅぅぅぅ。

「あぁ、もうこんなに少なくなっちゃったか。仕方ないか、美味しいんだし」

ぐうぅぅぅ・・・。

「あああぁぁああああぁあああ!あんたいい加減気付きなさいよ!さっきから私のお腹が鳴ってるでしょうが!」

食べる手を止めてなんか叫んでる奴の方を見やり・・・食事を再開する。

「ちょっと!なんで無視すんのよ!」
「知らん。それに無視はしてないぞ。そっち見たんだからな」
「漢字のことで言ったんじゃないわよ!そ・れ・と!これを聞いて何も思わないの!?」

ぐうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ。
そういうと、タイミングを見計らったかのように今まで一番大きい腹の音が鳴った。

「うん、思わないけど?」
「えええええ!?こんな可愛い女の子が!目の前で!こんなにおっきくお腹の音を鳴らしてるのに!?」
「あぁ、ごめん訂正。人前で堂々とお腹の音を鳴らすのはやめた方がいいと思うよ?」
「なんでそっちなの!?そろそろわかりなさいよ!」

ぶっちゃけわかってる。ようするに、こいつは食い物を恵んでほしいわけだ。一応言っておくが俺は行き倒れ?を放っておくほど悪人じゃない。だが、単にこいつの頼み方が気に食わないからこうやってわからないフリをしてる。

「いやぁ、全然わからないなぁ」

と言いながら、ヒョイッパク、ヒョイッパク。と団子を食す。

「あああああ!私のお団子!」
「勝手に決めるな。これは俺の団子だぞ」
「分けてくれてもいいじゃない!お腹減ってるんだから!」
「最初からそう言えばいいものを・・・だが、人に頼む態度というものがわかってないんじゃないか?」
「うぐぐぐぐ・・・こんな屈辱初めてだわ・・・」
「そうかい、そりゃ今後の教訓にするんだな。それとも・・・いらないのか?」

最後の一本をつまんで軽く脅してみる。

「ま、待って!わかったわよ!今やるから!」
「なら早くやってみな」
「・・・こほん。あ、あなたのその大きなお団
「あ、やっぱいいや。ほい」
「ちょ、ちょっと!あっぶなぁぁぁぁぁぁ!」

ズサァァァ!と目の前に落ちそうになったお団子をダイビングキャッチしてる。おぉ、痛そう。

「っ痛たた、ちょっと!私がまだおねだりしてる途中だったでしょ!」
「誰も猫撫で声なんて求めてないから」
「な、なんて横暴な!?まったく・・・よいしょっと」

俺の隣に腰を下ろしてきた。

「いや・・・なんで隣に?」
「え?・・・開いてたから」

さも当然そうに言い放つ。・・・なんだこいつ・・・まぁ、だいたい予想はついてるんだけど。

「でさ、結局あんた誰?」
「こ、こんな仕打ちをしといて今更!?」
「仕打ち?はは、俺は哀れな乞食に食べ物を恵んだだけさ」
「・・・うぅ、言い返せない。まぁいいわ!聞いて驚きなさい!私は天子!天人の比那名居天子様よ!」
「あぁ~、やっぱり」
「ふふ、そうでしょう!もっと驚いて・・・え?やっぱり?」
「うん、だいたい見当ついてたし」

途端に顔が真っ赤に変化した。

「わ、わた、私がだ、誰かわかっ、わかっててこんなことを!?」
「もちろん。逆に誰かわからない人にこんなことしてたら最低だろ?」
「な!?わ、私は天人なのよ!」
「過度なドMのね。今回の趣向はいかがでしたか?お嬢様」
「・・・そうね。だいぶ心にきた気がするわ・・・」
「・・・あれ?思ったより喜ばないんだね?加虐行為全般を好み更なるプレイを望んでくる。ってみんな言ってたのに」
「えええ!?私そんな扱いなの!?・・・まぁ、一応間違ってはないけど(ボソボソ」
「え?ち、違うのか?・・・そいつは悪いことしたな。すまん」
「い、いきなり態度を改めたって許さないわよ!」
「いや、謝っただけだ。そこは勘違いするな」
「うぐっ・・・」
「まぁ、悪かったとは思ってるよ。だから、詫びと言ってはなんだが俺が働いてる団子屋に食べに来るか?多分、団子まだ余ってるぞ」
「ふ、ふん!またそんなのに釣られるほど私は

ぐうぅぅぅぅぅぅ。

「・・・・・・」
「・・・やっぱり一本じゃ足りないよな」
「あ、あんたがどうしてもって言うなら!」
「あ~、はいはい、決まりだな。にしても、まったく馴れ馴れしい」
「あんたが言うな!あんたが・・・そういえば、名前はなんていうの?」
「ん?俺は○○。結構前に幻想入りした外来人だ。今じゃだいぶこっちに馴れたがな」
「ふ~ん・・・それじゃ○○!早く私を団子屋に連れて行きなさい!」
「・・・やっぱりやめるか」
「えええ!ごめんなさいぃ!謝るからぁ!」
「わかればよろしい。じゃあ行こうか」
「なーんか立場が逆な気が・・・(ブツブツ」
「なんだって?」
「なんでもない!行くわよ!」



続く。
最終更新:2013年07月02日 09:10