「あなたが欲しいの、私だけのものに
 したいの、だから…ね?あなたを食べさせて頂戴」
 
金髪の綺麗な髪をかき上げて、僕の目をじっと見ながら彼女はそう言った
ごく自然に、まるでそれが普通のことのように彼女は言った
吸血鬼としてそれは正しいことなのかもしれないが
それは人間である僕にとっては聞き捨てならないことで
でも彼女はまるで「今晩のご飯はハンバーグがいいな」というくらいに
気軽にそれを口にした

「あなたが欲しいの、他の女には触れてほしくないし
 触れられたくないの、さらにいうなら私から離れてほしくないの
 だったらもうあなたを食べちゃってその血を全部私の中にいれて
 しまうしかないわよね?
 あっ勿論残った体も残したりなんかしないからそこは安心して頂戴」
 
僕は彼女の言っていることの少しも理解できなかった
でも…それでも…理解できてはいなくても…彼女のことが僕は好きだった
普段と変わらない様子でこんなことを言う彼女のことが好きで
そんな彼女の言うことならできる限り叶えてあげたかったんだ

「そっか…それじゃ食べていいよ」
「うん、ありがとう」

僕がそういうと、彼女はニッコリと笑った
いつもの笑顔だった、可愛い可愛いいつもの笑顔だった
そうして彼女はすぐにでも血を吸うのかと思ったら
僕の唇を奪い、息が続かなくなってきた頃に口を離し
またニッコリ笑って、今度こそ僕の首にかぶりつき血を吸い始め
そこで僕の意識は途絶えた

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最終更新:2013年07月04日 10:31