注意書き
  • これは付喪神(多々良小傘を除く)+豊聡耳神子のヤンデレssです。
  • 自己設定、自己解釈された部分が少しあります。ご注意ください。

○○の日記
○月○日
今日、家の前でお面をつけた少女が倒れていた。
ひどい熱だったので人里の医者に見せてみたが、医者が言うには今までこんな病気は見たことが無く、処置のしようが無いとの事だ。
永遠亭に行く事も考えたが、妹紅さんはどこかに出かけていたらしく、家にはいなかった。
病人を連れて迷いの竹林に入るのは自殺行為に他ならない。
仕方なく家で一晩中介抱したが、熱がいっこうに下がらない。どうすればいいんだろうか?
彼女がこんなに苦しんでいるのに私は何もしてあげられない。


○○の日記
○月×日
朝、いつのまにか彼女の熱が下がっていた。
少し元気がないが、熱が下がってよかった。
あまり無理をさせてはいけないが、本人が話したいといって来たので彼女と少し話をした。
彼女の名前は「秦こころ」というらしい。
彼女は自分の事をお面の付喪神と言っている、おそらく本当だろう。
本当だと断言したのは、一度別の付喪神に会った事があるからだ。
付喪神は元となった物をいつも身につけているので、見分けようと思えば見分けることできる。
そういえば、姉さんは今頃どうしているだろうか?
私の先生が作った太鼓から生まれた付喪神で、あの呪法が成功した後、「ちょっと他の奴らを助けてくるわ!」と言って出て行ったきり、姿を見ていない。
元気にしていれば何よりなのだが。
おっと、話がそれてしまった。
彼女が熱を出して倒れていた事については、
彼女の母親、つまり作者が作ってくれた「希望のお面」があまりにも完璧すぎたため、長時間使うと付喪神からただのお面に戻ってしまうらしい。
今はもう落ち着いているから大丈夫らしいが、もしもの場合も考えて、今はまだ安静にしてもらわないと困る。
明日、彼女の母親が見つかるまでここに滞在してみたらどうかと、勧めてみよう。
本人が嫌がるなら仕方ないが。

こころの日記
○月×日
あの人にノートをもらった。
日記というものをつけてほしいと言われた。
日記って何を書けばいいだろう?
あと、今日はこの家で休みなさいとも言われた。
「今日は」という事は、明日はこの家に居てはいけないのかな?
それとも今日は外に出てはいけないという事なのかな?
……なんでだろう。分からないのが怖い。
明日聞けばいい事なのに、分からない事が怖い。
でも、聞くのも怖い。
もしも明日は出て行ってもらうって言われた、そう考えるととても怖い。
……私は、ここにいたい。あの人から離れたくない。
なんでこんな事を思うんだろう?
初めて会った人なのに、こんな感情を抱くなんて少しおかしい。
でもやっぱり私はあの人から離れたくない。


○○の日記
○月△日
彼女にしばらくここに滞在したらどうか、と言ってみたら思いのほか喜んでくれた。
いや、実際には表情がまったく変わっていなかったので、私の主観的な判断であって、本当に喜んでくれているのか、私には分からない。
彼女の母親を探すために、母親について色々尋ねてみた。
母親の名前が「聖徳太子」という事と、かつて為政者をやっていた事、マントを羽織っている事ぐらいしか分からなかった。
あとこれは私の憶測なのだが、彼女の母親は天人か仙人なのかも知れない。
物が付喪神にはなるには少なくとも百年以上はかかる。
だが彼女の母親はまだ生きているらしい。
人間はいくら頑張っても百年と十数年が限界だ。
つまり、今もまだ生きているという事は普通の人間でない可能性の方が高い。
明日、足の運べる範囲で会った人たちに質問してみよう。
彼女も早く自分の家に帰りたいだろうし。

こころの日記
○月△日
あの人がこの家にいたらどうか、と提案してくれた。 
嬉しい。こんなに嬉しいのは初めてかもしれない。
私はあの人の傍にいられる。
できる事なら私はずっとあの人の傍にいたい。
でも、きっとできない。
あの人はお母さんの事を色々聞いた後、私にこういってくれた。
「お母さんの元に絶対帰してあげるから、安心しなさい」って。
嬉しかった。でも、同時に寂しくもあった。
お母さんが見つかったら、私はあの人から離れないといけないってことだよね?
私はあの人がの傍にずっといたいのに。
だけど、わがままを言ってはいけないよね。
わがままを言って、あの人の困った顔は見たくない。


○○の日記
○月□日
こころを連れて一緒に命蓮寺に行った。
連れて行ったのは、こころと一緒に何かをした、と思い出を作ってあげたかったからだ。
今日は縁日だったようで、多くの参拝客で賑わっていた。
同様に、たくさんの露店が並んでいた。
私は子供の頃から祭りなどに興味がなく、行った事も無かったので、祭りをどのように楽しめばいいのか分からない。
だが、こころが楽しんでくれているようでよかった。
こころは最初に比べてよくしゃべるようになってくれた。
私の家の環境に慣れてくれたのだろう、いい事だ。
そうそう、こころが私の事を「お父さん」と呼んでもいいか、と聞いてきた。
私は呼び名なんて気にしていないので、何と呼んでも構わないと言った。
するとこころはとても嬉しそうだった。
もしかしたら、母親が恋しいのかもしれない。
早く母親が見つかるように、頑張らなくてはいけないな。

そういえば、少し前にみんながええじゃないかとかなんとか騒いで、宗教家達が祭りをやっていたな。
命蓮寺の住職である「聖白蓮」様も参加していたらしいが、
私は生憎ああいうのに興味がなかったし、仕事が大量に入ってきたので行かなかった。
こころは祭りが好きなようだから、もしかしてあの祭りに参加していたかもしれないな。

こころの日記
○月□日
お父さんが命蓮寺に連れて行ってくれた。
たくさんの人だかりと、露店が並んでいて、いろんな店を見て回った。
とても楽しかったけど、お父さんがはあまり楽しそうではなかった。
もしかして、お父さんは私の為だけに連れて来てくれたのかな。
嬉しいけど、私はお父さんと一緒に楽しく見て回りたかった。
でも、これは私のわがままだ。
お父さんにわがままを言ったら、お父さんは私の事を嫌いになるのかな?
私はお父さんに嫌われたくない。
お父さんに嫌われるのは、ただのお面に戻る事よりも怖い。
もしもお父さんに嫌われて避けられたら、そう思うと気が狂いそうになる。
私はお父さんの事が大好きだから、こんな事考えてしまうのかな?
お父さんが私の事を嫌うはずがないのに、なんでだろうね、お父さん。


○○の日記
×月○日
今日、こころの母親の従者を名乗る「物部布都」という仙人(と本人が言っていた)と、
「蘇我屠自古」という亡霊がやってきた。
どうやら、「聖徳太子」という名前について聞き回っている私の事を聞きつけて、会いに来たらしい。
お互いに自己紹介を終えると、布都さんが突然「聖徳太子」や、仏教と道教、
自分達がどのように仙人になったのか、自分達がかつてどのような偉業を成し遂げたのかを話し始めた。
私は宗教などにとても疎いので、そういった話はできるだけ聞くようにしている。
布都さんの話を五時間程聞いていて、ふいに私は布都さんに対して憎しみを覚えた。
さらに苛立ちを覚え、妬ましくなり、怒りが沸いてきた。
なぜそのような感情が沸いてきたのか、今でも分からない。
普段の私なら、気持ちを落ち着かせようとするだろうが、その時の私は冷静ではなかった。
私は二人に、話は後日聞くから出て行ってくれないかと言った。
二人は当然驚いて動かない。さっきまで快く話を聞いてきた人が、突然怒り口調で出て行けと言ったのだ、無理もない。
私は間髪入れずに出て行ってくれ!と怒鳴ってしまった。

なぜ私は怒鳴ってしまったのか、怒鳴る必要などなかったはずなのに。
私は他人に怒りぶつけて、傷つけてしまった。できることならすぐにでも謝りたい。
それが、今の私の自分勝手な願いだ。

こころの日記
×月○日
今日、私はお父さんに能力を使ってしまった。
お父さんの感情を操って、あの人達を追い出すように仕向けてしまった。
でも、仕方なかった。他に思いつかなかった。
だって、お父さんが楽しそうにあの人の話を聞いてたんだから。
あの人の話のどこが楽しいのか、私には分からない。
でも、お父さんはそれを楽しそうに聞いていた。
私はそれを見て、なぜか憎しみや苛立ち、嫉妬や怒りがわいた。
だから、いつの間にか能力を使っていた。
でも、私は能力を使った事を後悔した。
お父さんは自分のした事を悔いて、自分を責めた。
私のせいなのに、お父さんは私のしでかした事に気づかず、自分を責めた。
そんなお父さんの姿を見るのがとてもつらかった。
私が能力を使ったせいで、こうなってしまったんだ、と言いたかった。
でも、できなかった。
もしも言ったら、お父さんは私の事を嫌うような気がしたからだ。
お父さんは、他人を傷つけるような事を嫌う人だから。
……私は、どうすればいいんだろう。

「どうでしたか?布都、屠自古」
「えっと、それが、その、なんというか」
「怒られてしまいました」
「……はい?すみません、話がよく見えないのですが、どういう事ですか?布都」
「それは、その、相手が仏教について教えてほしいと言ってきたので教えていただけです」
「……本当はどうなんですか?屠自古」
「他には太子様についての事や、道教について、あと自分の武勇伝を五時間ほど話していました」
「こ、こら!屠自古!」
「私は事実を述べたまでです」
「そ、そうだがしかし」
「布都」
「は、はい!」
「人の家で五時間も居座れた上に、よくも分からない話をされれば誰だって怒ります。
 私はあなたに「聖徳太子」について尋ね回っている者が、何の目的でそんな事をしているのか聞いてきてほしい、
とお願いしたはずです。それなのに……」
「その事に関しては、理由が分かりました」
「え、分かったんですか?分かっていながら居座っていたですか?まあいいでしょう。それで、理由というのは」
「秦こころを太子様にお返ししたいと言っていました」
「あの子が一緒にいたんですか?」
「はい。ただ終始黙った状態で、少し怒っているように見えましたが」
「……その者が怒る前に、何か兆候というか、苛立ちみたいなものは感じられましたか?」
「兆候?うーん、私は夢中で話していたので、気づきませんでした」
「私から見ても、突然怒りだしたようにしか見えませんでした」
「なるほど。では後日、私も一緒に謝りに行きましょう」
「太子様が謝りに行く必要などありません!これは私のしでかした事です!太子様が直々に謝りに行くなど……」
「私が個人的に会いたくなった、それだけですよ」


○○の日記
×月×日
今日、布都さんと屠自古さん、それに「豊聡耳神子」様がこの家に来てくれた。
私は彼女達に、昨日の事について謝罪をした。彼女達も、悪かったと謝った。
私達は二時間ほど雑談した後、こころの話に話題を変えた。
五人で話し合った結果、こころは神子様の家に戻るという事で話はまとまった。
彼女達がこころを連れて帰る時、私はこころを抱きしめた。
わずかな間しか一緒に居なかったとはいえ、やはり寂しさを感じてしまったからだ。

今日からまた一人だけの生活に戻った。
不思議と虚しさは感じなかった。
ただ明日から普段と変わらない生活が始まる、それだけだ。

こころの日記
×月×日
私は今日からお母さんの家にいる事になった。
こうなる事は最初から分かっていた、お父さんが私のためにこういう選択をした事もわかっている。
でも、やっぱり寂しかった、だから能力を使おうかと思ったけど、もうお父さんを困らせたくなかったからやめた。
けど、お父さんは最後に私を抱きしめてくれた。
お父さんがどれほど私の事を想ってくれているか、伝わってきた。
いつかまた、お父さんに会いに行きたいな。

神子の日記
×月×日
なぜだろうか、あの人と話しているのがとても楽しく感じた。
布都が五時間も話をしてしまった理由も、実際話してみてよくわかった。
あの人と話していると、いつまでも話し続けたい、そんな欲が芽生えてしまった。
できることなら、いつまで話し続けて、いつまでも一緒にいた。
はっ、私は一体何を書いているんだ!
はあ、たった一人の男に、それも普通の一般人の対して深く思い入れするなんて、私もまだまだだ。
……本当に、私にとって、あの人は、普通の一般人、それだけ、なんだろうか?


○○の日記
×月△日
また付喪神がこの家にやってきた。しかも付喪神なのに姉妹でだ。……私が言えた義理ではないが。
名前は姉の方が「九十九弁々」、妹の方は「九十九八橋」と言っていた。
二人が私の家に来たのは、八橋が高熱を出していてしまい、どう処置したらいいかわからなかったからだ。
幸い、緊急用に置いてある置き薬の中に、八橋に効く薬があったので、熱は下がった。
とりあえず、八橋の体調が落ち着くまで、この家で安静にしておくように伝えておいた。
そのあと、二人が付喪神である事を伝えられた。
なぜこの家には付喪神が集まるだろう?
それはともかく、私は弁々にどのように生まれた付喪神なのかを聞いてみた。
二人とも、あの異変の時に生まれた付喪神で、姉さんに例の呪法を使ってもらったらしい。
だが、呪法を使うときに邪魔が入ってきたと言っていたので、不完全な状態で呪法がかかっている可能性がある。
あの呪法はかなりの集中力が必要なので、邪魔が入ると失敗した状態でかかってしまう事がある。と姉さんが言っていた。
いつ支障が出るか分からないので、近いうちに呪法をかけ直した方がいいだろう。

弁々の日記
×月△日
あの方に日記をつけるように言われた。
なぜ日記をつけるのか尋ねると、「自分が生きてきたという証明の為だ」と答えてくれた。
「生きてきた証明」というのが何なのか、私には分からない。
しかし、妹を助けてもらった恩もあるし、数日の間ここに居させてもらえる恩もあるので、書こうと思う。
しかし、無我夢中で探し回って見つけた家の主人が、雷鼓さんの友人だとは、偶然というのはすごいな。

八橋の日記
×月△日
お兄ちゃんに日記をもらった。
お姉ちゃんが初対面の人間に「お兄ちゃん」と言うのは失礼じゃないかって言っていた。
けど、そう呼びたくなったから仕方ないよね?
それに、本名で呼ぶと少しむずかゆくなる、なんでだろうね。


○○の日記
×月□日
二人に呪法をかけ直した。たぶん成功したと思う。呪法をかけるのはやはり疲れる。
集中力がいる上、魔力をかなり消費してしまう。といっても、私がやったのは補修なので、一からかけ直すより簡単だ。
とにかく、今日は早めに休むとしよう。
そういえば最近、神子様が毎日家にやって来ていろんな事を話す。
ただいつも顔をそらして話すので、何を考えているのか正直分からない。
私の嫌いという訳ではないようだが。

神子の日記
×月□日
なぜ私は毎日あの人に会いに行っているのだろう。
なぜ私はあの人の顔を見るたびに顔が赤くなってしまうのだろう。
分からない、何一つ分からない。
人の考えている事を察する事ができる私が、自分の気持ちも察する事ができないなんて。
まるで私が私ではないみたいだ。なぜ私はこんなに悩んでいるんだ?
誰のせいで私はこんなに悩んでいるんだ?誰のために私はこんなに悩んでいるんだ?
分からない。何一つ分からない。

弁々の日記
×月□日
あの方に呪法をかけ直してもらった。これといって変化はないのだが。
あの方は呪法をかけた後、とても疲れた顔をしていた。
疲れるのなら、私達なんかのために呪法なんて使わなければいいのに。
なぜあの方は無関係な私達のために呪法を使ったのだろう。
私達を助けてもあの方には何の利益もない、ただあの方にとって無意味な行為だ。
……人間というのは、無駄な行為が好きなんだろうか?

八橋の日記
×月□日
お兄ちゃんが呪法をかけ直してくれた。そのおかげか、体が軽くなった気がする。
私、お兄ちゃんに助けられっぱなしだな。
熱を出した時も、今日の事も、お兄ちゃんが助けてくれた。
私も、お兄ちゃんのために何かしてあげたい。お兄ちゃんの役に立ちたい。
でも、私はお兄ちゃんに何ができるのかな?


○○の日記
△月○日
弁々と八橋がこの家を出て行って数日が経った。
今この家にいるのは私一人だけだ。
ふいに、今までの日記を読み返してみた。
驚いた。先生が死んでから日記の内容が途端に短くなった事。
彼女達と過ごした日の日記だけはよく書かれている事。
私は、心のどこかで寂しがっているのかもしれない。


○○の日記
△月×日
「堀川雷鼓」姉さんが帰ってきた。
雷鼓姉さんと会うのは何ヶ月ぶりだろうか?
まあ、そんな事より、雷鼓姉さんが元気でよかった。
雷鼓姉さんから旅の話をい聞かせてもらった。かなりの付喪神を助けたようだ。
話が終わった後、弁々と八橋が家にやって来て、恩返しがしたいからしばらく家に泊めてくれないか、と言って来た。
断る理由などないので、快く承諾した。
そういえば、最近神子様が来ないが、どうしたのだろうか。

こころの日記
△月×日
明日、お父さんとまた会う事ができる。早くお父さんに会いたいな。
私はお父さんに会えなくてとても寂しかった。
きっと、お父さんも私に会えなくて寂しがっていると思う。
早くお父さんに会って安心させてあげたい。
そういえば最近、お母さんの態度が少しおかしい。
明日お父さんに会うっていうのに、どうしたんだろう。

神子の日記
△月×日
私があの人に対して抱いて感情が、ようやく分かった。
私は、あの人の事が好きなんだ。
何をしていても、何を考えていても、あの人の事がいつも頭をよぎってしまう。
あの人の手に触れたい、あの人の目をずっと見ていたい、あの人の傍にずっといたい。
あの人の事を考えると、色んな欲が出てしまう。
明日は顔に出ないように努めないと。

弁々の日記
△月×日
私達は、八橋の提案でこの家に戻ってきた。
私はこの家を出て行ってから、なぜかずっとあの方の事が気になっていた。
あの方は今何をして、何を考えているのか。
あの方は私にとっては妹の恩人、ただそれだけ、それだけのはずなんだ。
なのに、どうして私はあんな、たった一人の人間の事を気にかけるんだ。
……考えてもしょうがないか。そんな事よりも、今はあの方にどんな恩返しをすればいいのか考えないと。

八橋の日記
△月×日
私にでもできるお兄ちゃんへの恩返し、やっと見つけたよ。
お兄ちゃんはいつも一人で寂しそうだから、一生お兄ちゃんの傍にいる事にした。
私なんかでも、お兄ちゃんの寂しさを紛らわす事ぐらいはできるはずだから。
これでもう寂しい思いはしなくていいよ、お兄ちゃん。
それに、お姉ちゃんもお兄ちゃんの事が好きみたいだし。
もっとも、お姉ちゃんは自分の気持ちに気づいていないようだけど。

雷鼓の日記
△月×日
久々に家に帰ってきて、あいつに会った。
何ヶ月も家を空けていたから、あいつが寂しさのあまり、おかしくなっていないか心配だったが、大丈夫のようだ。
けど、次からは気を付けないといけない。あいつが悲しむような事があってはいけないんだ。
あいつを守れるのは私だけであって、あいつの傍に居ていいのも私だけなんだ。
誰にも渡さない。私の大切な大切な弟は、誰にも渡さないし、誰にも傷つけさせない。
それがあいつの友であったとしても、私の友であったとしてもだ。


○○の日記
△月△日
こころと神子様が家にやって来たのだが、さっきまで喋っていた九十九姉妹と雷鼓姉さんが突然話すのをやめて、こころと神子様をにらみ始めた。
それに応戦するかのように、こころと神子様も九十九姉妹と雷鼓姉さんをにらみ始め、今すぐにでも弾幕が飛び交いそうな殺伐とした雰囲気になった。
私はその雰囲気を変えようと話題をふったが、四人はなぜかその話題を無視して、罵詈雑言が相手に浴びせかけ始めた。
私は九十九姉妹と雷鼓姉さんを別の部屋に連れて行って、こころと神子様には謝って帰ってもらった。
こころと神子様が帰った後、私は三人をこっぴどく叱った。
叱ったのだが、三人に反省の色は見られなかった。
正直、彼女達があんな事を言い出すなんて今でも信じられない。
彼女達があんな言葉を使うところを、私は見た事がない。
……今日はもう寝るとしよう。明日も来てくれるらしいから、その時改めて謝るとしよう。

こころの日記
△月△日
お父さん、あんな奴らが家に居座われているから、大変な思いをしているみたい。
だって今日のお父さん、とても困っていたから。
きっとあいつらに毎日悪口を言われてこき使われているのね。
お父さんごめんね、もっと早く来てあげられなくて。
でも安心して、もうお父さんにそんなつらい思いはさせないから。
明日、あいつらを排除して迎えに行ってあげるから、待ってね。

神子の日記
△月△日
あの堀川雷鼓とかいう女!
あの人とべたべたくっついて、まったく腹立たしい!
どうしたら付喪神のくせにあそこまで付け上がる事ができるでしょう?
あの人は優しすぎるので許してしまうのでしょうけど、付喪神にも自分の身の丈というがあって、
身の丈に合わないものは本人にとっても、他人にとっても悪影響を与えてしまうものです。
はあ、明日その事をあの人に教えてあげないと。
あ、その前に邪魔者を消さないといけませんね。

弁々の日記
△月△日
気に入らない。
日記の最初に書く言葉ではないかもしれませんが、私は秦こころという付喪神が気に入らない。
あの方の事をお父さんと呼ぶなんて、馴れ馴れしいにも程がある!
彼女は礼儀というものを知らないのか?
確かに妹の八橋もあの方の事を、お兄ちゃんなどと呼んでいるが、少なからず礼儀を弁えている。
とにかく、今度あの付喪神がこの家にやって来たら弾幕で消すとしよう。
それが結果としてあの方への恩返しとなるはずだから。

八橋の日記
△月△日
なんか変な子がこの家にやって来た。
お兄ちゃんの事をお父さんって言う子。
あの子、あんまり好きじゃないなぁ。
お兄ちゃんにかなり親しげにだし、表情も全然変わらないからつまらないし。
こっちに敵意まで向けてくるしね。
まあ、私達とお兄ちゃんの仲を裂こうというのなら、容赦はしないけどね。
いらないものはちゃんと供養して捨てないとだめだよ、お兄ちゃん。

雷鼓の日記
△月△日
やれやれ、あいつは昔からゴミを拾ってくる癖があるんだよね。
その上、ゴミ虫にも優しいから、大変なんだよ。
それはあいつのいい所なんだが、いくらなんでも優しくするにも限度がある。
じゃないとああいうゴミがすぐ集まってくるんだよな。
はあ、弟の後片付けも姉の仕事か。しばらく家を空けていた私にも責任はあるし。
とりあえず、明日片付けるとしよう。


注意書き
  • ここから複数ENDになります。
  • 別のヤンデレが出てくるENDがあるのでご了承ください。


BAD END
雨がひどく冷たい。
足が、腕が、体もまったく動かない。というより全身の感覚がない。
どうやら弾幕をまともに受けてしまったらしい。
彼女達を守ろうとして、彼女達の弾幕にやられるなんて、なんて皮肉だ。
まあ、守ろうとした事を後悔する気はない。
これもまた私の背負うべき罪なのだから。
それより、彼女達はどうなっただろうか?
……この様子から考えて、全員死んでしまったか。
はあ、みんな、私はもう疲れてしまったよ。
もう私は眠たい。だから、ここで眠ろうと思う。
寝てしまったら、もう二度と起きれない気がするけど、今は目を閉じるね。
おやすみ、みんな。

「あなたは多くの罪を犯していますね」
「……はい」
「同時に多くの徳も積んでいる。あなたのような方を裁くのが一番大変なんですよね」
「すみません」
「謝る必要はありません。それでは判決を言い渡します。被告人は有罪、刑罰は……そうですね。永遠に私の付き人として仕えなさい」
「……はい?」
「本来、あなたのように多くの罪を犯し、同時に多くの徳を積んだ者、もしくは罪も徳もない者は冥界に行ってもらいます。
 しかし、あなたが冥界に行っても、あなたが地上でしでかした事が今度は冥界で起きてしまうでしょう。
 だから、私の目の届くこの場所に居なさい。そうすればあなたが同じことを繰り返す事は無くなるはずです。
 安心してください、私があなたを永遠に守ってあげます。」
「……映姫様」
「映姫でいいですよ」(本当は冥界に連れて行かせたくないだけですけどね。彼は私だけに仕えていればいい、そうすれば私も彼も幸せになれるのだから)

こころEND
「おはようお父さん、調子はどう?
 あんまり無理しちゃだめだよ?まだお面に成り立てなんだから、なじむまで少し時間がかかるの。
 なじむ前に無理をすると、ただのお面になっちゃうから、なじむまで大人しくしててね。
 だけど、なんでこの方法をもっと早く気づかなかったんだろう。
 そうすればもっと早く二人だけになれたのに。
 まあ、邪魔な奴らは無事に排除できたから、別にいいね」

神子END
「やっと、あなたを手に入れることができた。これでようやく、私はあなたの傍にずっと居られる。
 今のあなたにはきっとわからないでしょう、私がどれほどあなたの事を想っていたか。
 でも、私はそれでもいいと思います。今はまだ分からなくてもいい。
 今は物言わぬ屍になっていても私は一向に構わない。
 私はあなたが仙人として生まれ変わるその日まで、一年だろうと、十年だろうと、百年だろうと、
 それこそ気が遠くなるような長い年月が経ようと、私は待ち続けます。
 生まれ変わり、二人だけで愛を語り合うその時まで」

九十九姉妹END
弁々の日記
□月○日
今日、あの方が目を覚ました。
弾幕がまともに受けたから、もうだめかと思ったが、無事でよかった。
ただ、神経を傷つけたしまった上に、記憶の欠如が見られるらしい。
簡単に書くと、体が動かない上に記憶が無くなってしまったという事だ。
誰かがあの方を一生看護しなくてはいけない、との事だ。
これはとても好都合だ、なぜならこれで恩返しができるからだ。
私達が一生看護してあげればいい、そうすればあの方も寂しい思いをしないで済むし、私達も一生傍に居られる。

八橋の日記
○月○日
お兄ちゃんの回復が目覚しい。
最初は私達がいないと何も出来なかったお兄ちゃんが、永遠亭でのリハビリのおかげか、軽い運動ならできるようになった。
お兄ちゃんは「これも永琳先生のおかげだ」と言った後、「実の妹である私達に苦労をかけてすまない」と謝った。

せっかく私達が妹だって記憶をすり替えたのに、このままじゃ意味がなくなっちゃう。
でもね、解決する方法を見つけたから大丈夫だよ。
ねえ、お兄ちゃん。
次は、体のどこを弾幕で撃てばいいかな?

雷鼓END
「おはよう、○○。ごめんね、こんな何もない地下室に幽閉して。
 でもここなら、お前を傷つけようとする奴らもいないから安全だろう?
 お前は私の可愛い弟だからな、いつも心配でしょうがなかったんだ。
 小さい頃からお前の事を見守っていたからね。
 私がお前と離れ離れになってしまった時、どれほどお前の事を心配した事か。
 私は商品だったから仕方なかったんだけどな。
 だけど、もう離れない。私はお前と一緒さ。永久に、その身が朽ち果てるまで」

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最終更新:2014年07月21日 14:02