おいおい、人の顔を見るなり睨み付けるなんてずいぶんと冷たくないか?
まるで嘘つきを見るような目をしているよ、あんた。

え?天邪鬼に話すことなんてない?
ずいぶんとひどい言い草じゃないか。
私は確かに、人里への道を教えたよ?
少し遠回りの道をね。

失せろ?ひどいひどい、そんなひどい事を言われたのは、うーんと人生で五十回目だよ。

ふざけるな?ふざけていないさ、私はふざけてはいない。
ただ君をおちょくってるだけだよ。

ふふふ、突然胸倉を掴むなんて、ずいぶんと大胆な人間だね。
バギッ!!

おっとごめん、私これでも妖怪だから、つい本気で君の腕の骨を折ってしまったよ。
でも最初に力で解決しようとしたのは君だから、そこは反省してもらうよ?

さて、なぜ私がまた君の前に現れたか分かるかい?
もしかして、私がただ単に、また君をおちょくるために現れたと思ったのかい?
違うよ。
私は

君の事が好きになったからまた君の前に現れたんだよ。

いいね、今君はとてもいい顔をしてるよ。やはり君を選んでよかった。
私はね、別に君に好かれようなんて思わない。むしろ逆だよ。
もっと私の事を嫌ってほしいんだ!
私は天邪鬼だから人から好かれる事をすると自己嫌悪に陥ってしまうだ。
逆に人から嫌われる事をすると、とても幸せな気持ちになる。

ん?言っている意味が分からない?
簡単な話、君はこれから私の事を嫌いながら生きるってことだよ。
私を喜ばせるためにね。

おかしいかい?ああ、おかしいだろう。私は壊れているからね。
でもね、誰かを愛するというのは壊れることなんだと思う。
その人を愛し、独占するためにその人を監禁したり、その人の周りの人間を殺してしまうという行為も他の人からしてみれば、いかれているのかもしれない。
けど、愛している本人にはそれは普通の行為なんだよ。
分かるかな?愛するというのはいかれた行為であり、そして、普通の行為なんだよ。

ふう、長話がすぎたね。ここじゃ人がつく可能性がある。場所を移そう。
果たして君は、何日で精神が壊れるのかな?
前の奴みたいに一月もてば上々かな。
最終更新:2017年06月10日 23:27