○○先輩に初めて会ったのは高校生の時だった。私が一人で泣いていた時、
「......こんな面白い話、知ってる?」
そう言って励ましてくれたその人が○○先輩だった。
その日から○○先輩と仲良くなった。
○○先輩はどうやらフラッと居なくなったと思ったら
いつの間にかひょっこり現れるような、よくわからない人みたいだった。
そんな○○先輩とは話をしていて飽きなかった。
『幻想郷』と呼ばれる不思議な里の事。そしてその里で起きた『異変』と言われる出来事。
例えば、
紅い霧が空を覆う。
3月なのに気候が冬のまま。
夜が異常に長くなる。
「作り話として聞いてくれ」と言っていたけど、○○先輩はまるで自分が体験した事を懐かしむように話してくれた。
そして数週間後、私はいつの間にか○○先輩に恋をしてしまった。そして私は○○先輩に告白をした。
「......こんな、俺でいいのかい?」
○○先輩は私にそう返した。
その日から私は○○先輩と恋人になった。
○○先輩と恋人の関係になってから、私は何故か視線を感じるようになった。
後ろを振り返っても誰もいない。
......私は誰かから怨みを買うような事をしただろうか......?
視線を感じるようになってから何日か経ち、何故か私の周りでおかしな事が起こり始めた。
何も無い空から私目掛けて植木鉢が落ちてくるようになったり、
私の家が火事になりかけたり、
夏なのに氷柱が私に飛んで来たり等と言った奇怪な事が起きた。
そしてこの出来事には共通して、
『○○に一切関わるな』
と書かれた手紙が落ちていた。
その事を○○先輩に説明した時、○○先輩は怒りと困惑がごちゃ混ぜになった顔で、
「....何であいつらが...?」
そんな事を呟いていた。
○○先輩に相談した途端に奇怪な出来事は治まった。
相変わらず視線は感じたままだけど。......こんなことを考えても仕方ない。
今日は気分転換に散歩でもしよう。
私が交差点に差し掛かった時、
急に誰もいないはずの後ろから
「私の○○に貴女みたいな女は相応しく無いわ」
一切の抑揚の無い淡々とした声が響いた。
それと同時に私は背中を押され、私の体はトラックの前へと飛び出した。
誰が?
何故?
私を?
次々に浮かぶ私の疑問は誰にも答えて貰う事は出来なかった。
真っ赤に染まって行く視界で私が見たものは、謎の空間に戻っていく狂った笑顔を浮かべる女性達だった。
最終更新:2017年02月12日 20:24