hypnotherapist K K

 こんばんは。ええ、そうなの。
暫くお姉ちゃんは用事でいないから、私が代わりにお話するね。
大丈夫、こう見えても、私もさとり妖怪だから無意識には自信があるんだ。

 ふうん、そうなんだ。大変だったね。
たしかにお姉さんの心に糸が絡まっているね。
心にギュッと絡みついていて、だからお姉さんも恋人の人に糸を掛けて、思い通りに操ろうとしてしまうんだね。
その生き方でずっと過ごしてきたんだもんね。それしか知らなかったんだもんね。大変だったね、辛かったよね。
うん、そうだね、苦しいよね。こういうときに、外の世界の賢い人はお話を患者の人に聞かせていたんだって。
お医者さんがお話をすると、不思議に患者の人の心に届いて、病気が良くなってしまうんだって。
だから私もお医者さんとおんなじように、お姉さんのためにお話をするから、目をつぶってゆっくり聞いていてね。

 むかーし、むかし、あるところに、一人のお花屋さんがいました。
そのお花屋さんはひまわりを育てていたんだけれども、外で育てていたんだ。
外は風が強くて雨も当たるから、お花屋さんは可哀想に思って、ひまわりにこう言ったんだ。
「ひまわりさん。あなたは雨にうたれて、風に吹かれて、もし台風でも来たら倒れてしまうよ。
ようし、ガラスの壁を作ってあげよるよ。そうすれば寒くないし、風も防げるよね。」
するとひまわりはこう言ったんだ。
「お花屋さん。ありがとう。でも、私はずっと外で生きていたから、ガラスは要らないですよ。」
でもお花屋さんは、
「いやいや、そんなことは言わないでくれ。私はあなたのことが心配なのだから。」
と言って、そのひまわりをガラスで覆ったんだ。

 ところが、しばらくすると、ひまわりの具合が悪そうなの。
お花屋さんは心配になって、ひまわりに聞いてみたんだ。
「ひまわりさん、どうしてそんなに具合が悪そうなんですか?」
するとひまわりは、
「お花屋さん、実は雨が当たらなくって、私は喉が渇きました。どうかガラスを取ってくれませんか。」
って言ったんだ。それを聞いたお花屋さんは、
「おお、そうか、じゃあ、雨の代わりに私が毎日水をあげよう。」
と言って、毎日じょうろで水をあげたんだ。
しばらくすると、また、ひまわりの具合が悪そうなの。お花屋さんは心配になって、ひまわりに聞いたんだ。
「ひまわりさん、どうしてそんなに具合が悪そうなんですか?」


するとひまわりは、
「お花屋さん、実は風が当たらなくって、私は息が詰まりそうです。どうかガラスを取ってくれませんか。」
って言ったんだ。それを聞いたお花屋さんはやっぱり、
「おお、そうか、じゃあ、風の代わりに私の風車で、いつも風を送ってあげよう。」
って言って、風車をグルグル回して風を送ったんだ。

しばらくすると、また、ひまわりの具合が悪そうなの。
お花屋さんはやっぱり心配になって、ひまわりに聞いたんだ。
「ひまわりさん、どうしてそんなに具合が悪そうなんですか?」
するとひまわりは、
「お花屋さん、実はガラスが私の体に当たるんです。どうかガラスを取ってくれませんか。」
って言ったんだ。
それを聞いたお花屋さんは、ガラスの壁が実はひまわりを苦しめていたことを知って、
「ごめんなさい、ひまわりさん。私はあなたのためにガラスの壁を作ったんだけれども、
それがあなたを苦しめてしまった、ごめんなさい。」
って言ったんだ。
そしてガラスの壁をひまわりから取り外したんだ。すると、ひまわりは
「ああ、ありがとう、お花屋さん。そとの空気がおいしいです。」
って言って、すっかり元気になったんだって。
めでたし、めでたし…どう?お姉さん、よく眠れたかな。
じゃあ、これで今日の話は終わりだよ。このひまわりの花を持って帰って
ね。お部屋に飾っておけば、きっと良い事があるはずだよ。それじゃあ、お大事にね…。






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最終更新:2018年01月15日 23:02