このSSは「小ネタ・分類不可・未整理/24スレ/221」の続編です
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誰がそれをやったのか5




誰がそれをやったのか5

二ッ岩マミゾウを選んだ場合2

「一体どういうことだ?」
マミゾウにそう言われて、思わず言葉を返す
「どう、とはどういうことじゃ。そはそれ、言ったそのままじゃろうに。」
口と声は巫山戯たような調子を崩していないが、彼女の硝子の奥にある目は笑っていない。
「お主まさか、コウノトリが赤ん坊を運んでくるとか、キャベツから生まれてくるとかそういった類を信じておるのか?
信じておれば、教えてやってもよいがのう。」
「それは信じていないが…。」
マミゾウが何を言ってるのかわからず、言葉を濁す。
「ならば、お主の家が燃えた原因は一つ、お主の家に火をつけて得をする奴がいるのじゃよ。」
マミゾウからの推理を聞かされて、反射的に否定したくなる。
「違う、そんなこと違う!大体、俺の家を燃やして何の得ががあるというんだ!」
「得…。得とな。」
哀れみを込めた声が耳に入ってくる。
「そうじゃの…、おそらくまあ、外来人一人が困窮するというやつじゃの。」

それだけのために、まさか!という思いが生じる。
まさか、まさかそれだけのために俺の小屋は燃やされたのだろうか。
これまで一年間、必死で働いてきたそのすべてを踏みにじるが如く、脳裏の中で悪意をのせた炎が燃え盛る。
「まあ村の方からすれば、色々あるの。」
そう彼女は言う。
「聞くところによれば、お主ら、外来人同士で助け合っているそうじゃないか。」
「ああ、そうだ、何が悪い。村から除かれている者が助け合う、それが悪いことなのか。」
「いや、悪くはない。悪くはないのじゃが…。」
歯切れの悪いマミゾウ。
「ならば、何が問題だというのだ!」
思わずマミゾウに、きつく当たってしまう。
「まあ、村のものからすれば、外来人などというよそ者が固まって過ごしているのは、
なかなか不安になるというものなんじゃよ。
特に、そいつらに対して辛い仕事をせているという、負い目があるのならばな。」
「そんな、無茶苦茶じゃないか。これじゃあ只の逆恨みじゃないか…。」
心から溢れた言葉が部屋に流れる。
「ああ、無論そうじゃ。」
-しかし-とマミゾウは言葉を続ける。
「村の顔役なんぞは、それを良いとは思っておらなかっただろうな。
自分の言うことを聞かない連中がいるもんじゃから、それはそれは目障りじゃったろうな。」
明かされた黒幕に対して、怒りが頭に達し血が全身を駆け上る。
「あの野郎、畜生。今すぐ行ってぶっ潰してやる!」
「まあ待て。」
そうマミゾウがたしなめる。
「何を待てというのか、やられたことをやり返してやるやるだけだ。」
「おいお主、まさか火でも放つというのか?」
マミゾウの目が細められる。
「それは、そこまではしないが…。」
「無駄じゃ。やめておけ。」
煙管を火鉢に叩きつけて言う。

「どだい、よそ者が村の連中に勝とうというのは無理な話じゃ。」
「しかし、それじゃあ俺の腹が治らない。」
「正直なのは儂の好く所じゃが、そんなものに犬でも食わせておけ。」
吐き捨てるマミゾウ。
「ああ、そうじゃ。慧音がお主の歴史を消していたぞ。」
重要なことを、こともなげに彼女は言い放つ。
「上白沢先生が、何故そんなことをするのだ?!」
訳が分からず、疑問が頭を駆け巡る。
「先生は今まで、色々やってくれたじゃないか!村の連中とは違って、助けてくれていたんだぞ!」
信じたいという思いで、思わず声が大きくなる。
「さて、どうじゃろうな…。慧音とて村の一員だからこそ、
お主のような存在は疎ましく思っていたのかもしれんぞい。
大体、柄の悪い連中が何人も集まって、えっちらおっちらと大きな油を運んでおれば、
夜に出歩く人も居ないこんな村なんぞでは、それはそれは目立つじゃろうしな。」
「何が言いたい。」
「察しが悪いの…。いや、お主のその目は、知ってるけど認めたくないという目玉をしておるの。」
「嘘だ。」
「嘘ではない。お主、気づいていないだけで、動揺した時に耳が赤くなっとるぞ。」
とっさに耳に手がいく。その瞬間、マミゾウがニヤリと笑った。やられた。マミゾウに騙された。
「どうじゃ、分かったかの。上白沢慧音か裏でこの事件を操っていたということにな。
目障りな者を消して、そして下手人すらも歴史の闇に葬ってしまえば、後は綺麗な人里が出来上がるという訳じゃ。」
「まあ、安心せい。この家で大人しく居る限りは、儂ががどうにかしてやるぞ。」
僕はただ、黙って頷くしかなかった。







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最終更新:2019年01月23日 22:57