タグ一覧: 早苗


「不幸中の幸いといっていいでしょう。あれだけの事故にも関わらず、彼女の命に別状はありませんでした」
「……ただ、彼女にとっては酷な話なのですが、その……彼女の身体は──」

────────────────────────────

早苗「ただいま戻りました」
○○「ああ、おかえり早苗。飯も風呂も準備できてるけど、どっちにする?」
早苗「うーん、悩ましいですが……○○さんで」
○○「真面目な顔して何言ってんだか。ほら、先に風呂行ってこい」
早苗「うぅ、どうしても駄目ですか?」
○○「……目、閉じて」
早苗「!はい……んっ」
○○「続きは夜にな」
早苗「えへへ、はい。じゃあお風呂に入ってきます」
○○「ゆっくり温まるんだぞ」
早苗「もちろんです。夜のためにぴかぴかに磨いてきますよ」
○○「言わなくていいから」
早苗「はーい」
○○「全く……さて、ああいう時の早苗の風呂は長いし、料理の方はもう少し待ってからでいいか」


早苗「さあ、ここからは夫婦の時間ですよー」
○○「ムードもへったくれもないな」
早苗「いいじゃないですか。それとも三つ指をついた方がいいですか?」
○○「いや、そこまでは言わないけど……あ」
早苗「ん?あー……やっぱりこの傷、気になります?」
○○「気になるというか……それは、俺が……」
早苗「何度も言いますけど、あの事故は誰が悪いというわけではありませんでした。○○さんが気にすることはありませんよ」
○○「だけど、俺があの時……」
早苗「たしかに、あの時の○○さんの行動が違っていれば事故は起こらなかったかもしれません。ですがもっと酷いことになっていた可能性だってあります」
○○「…………」
早苗「それに、ほら、私はこうして日常生活を問題なく過ごせてしますし……避妊技術の発達していない幻想郷でそれらを気にしなくてよくなりましたし?」
○○「っ……」
早苗「ご、ごめんなさい。今のはさすがに言っていいことではありませんでした……ですが、私はこの身体になってしまったことを不幸とは思っていませんよ。それは本心です」
○○「身体にそんな大きな傷跡があることも……子供が作れない身体になったこともか?……俺に気なんて使わなくていいんだぞ」
早苗「本当ですってば。だいたいこんな所にある傷なんて○○さんにしか見られることはないですし、あなたを恨んでいるなら夫婦になんてなりません。それに私は現人神ですから、子供はどのみち諦めなければならなかったでしょうしね」
○○「それは、そうかもしれないが……」
早苗「ね?私がなんとも思っていないのですから、どこにも問題はないでしょう?ここにいるのはお互いを愛するただの夫婦です。それとも、○○さんは同情と罪悪感だけで私を妻にしたのですか?」
○○「そ、そんなことはないぞ。そりゃあ罪悪感はあるが、俺は早苗が好きだからここにいるんだ」
早苗「ふふ、ありがとうございます。なら、私は謝ってもらうより、たくさん愛してほしいかなーって」
○○「……わかったよ……ありがとう」
早苗「えへへ、気にしないでください。夫婦ですから」

────────────────────────────

永琳「一つ間違えれば半身不随になっていたかもしれないなんて、あの子にとっては些細な問題だったんでしょうね。子供が作れなくなるのも……ああ、むしろ計算の内か。そこまでする根性はすごいけど、魅入られた男性には同情しかないわね」
鈴仙「師匠?なんの話ですか?」
永琳「なんでもないわ。ただ、負い目を首輪にする女は怖いってだけ」
鈴仙「???」





感想

  • ありがとう、面白かったです。 -- 金谷 (2019-11-20 23:03:16)
名前:
コメント:




タグ:

早苗
+ タグ編集
  • タグ:
  • 早苗

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2019年11月20日 23:03