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○○は彫刻師である。その腕は確かであり、里の人間のみならず妖怪にもファンがいるほどであった。
ある日、○○はそういったファンの一人であるレティ・ホワイトロックからの依頼を受ける。
「素材は私の方で用意したから、私をかたどった氷像を掘ってほしいな~」
かねてより氷の彫刻に興味があった○○は二つ返事で依頼を受けた。
いくらレティが作った氷とはいえ、この氷は氷に他ならない。春先になれば溶けて形が崩れてしまうため、人里離れたレティの住処へと持って行かねばならない。それまでに氷像を完成させるために寝食を惜しんで作業を行う○○。○○が彫刻に注力するためにレティも○○の家に泊まり込みで家事を行い全力でバックアップ。
「ありがとよ、レティ」
「こうしてると、なんだか夫婦みたいね~」
いよいよ氷像も完成の日を迎えた。これが終わればレティは○○と別れて住処へと帰らなければならない。
意を決してレティは○○へと告白するが、○○は言葉を濁す。
「やっぱり、人間と妖怪じゃ難しいよ」
「嫌よっ!」
レティの起こした癇癪は、冷気を巻き起こした。その冷気はレティの目の前にいた○○を包み込み、レティが我に返ったときには彼女が愛した男の氷像が出来上がっていた。
彼は、息をしていなかった。
「ああっ、ごめん…なさい……○○……そんなつもりじゃ…………」
その意気消沈ぶりたるや、人里の中で起こった局地的な吹雪の裏に妖怪の存在を察して駆けつけた博麗の巫女が、退治する気も起こせずに一言二言かけて帰っていったほどである。
それ以来、レティの住処には彼女が愛した男が作った像と、彼女が愛した男の像がまるで夫婦のように並べられている。レティにとってこれらの像は己の罪悪感を酷く刺激するものであったが、溶かしてしまう気にもなれないのだった。





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最終更新:2020年02月08日 22:13