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 あら、こんばんは。こんな夜道に如何されましたか?いくら里の近くとはいえども、こんな夜更けに女手一人で歩いていては、妖怪に襲われてしまいますよ。
近頃は用事があって外に出ていた村人を食べてしまう、怖い人食いがウロウロと出歩いている様ですし。博麗の巫女にもまだ見つかっていないようで、
村の噂の種になっているそうですね。
 …ああ。そうだったのですか…。それは大変でしたね…。そんなご苦労がおありとは。ええ、結構ですよ。大したお力にはなりませんが、向こう村まででしたら、
丁度私達も行く道中ですので、ご一緒しましょうか。丁度二、三刻ばかり歩いていきましたら、付く頃でしょうから。

 ええ、そうです。実はこちら私の主人でして、ちょっと病でこの様に目隠しをしている状態になっていますが、これでも実は中々な男前ですのよ?ふふふ…。
「ご不自由じゃありませんか?」ですか?いえいえ、傍目には大変そうに見えて皆様気に掛けて下さいますが、本当は私、それ程難儀をしている訳じゃありませんよ。
実は…、私、主人の心が読めますの。おしどり夫婦が相手の考えている事が分かるなんてことは、世間でも度々話されていることですが、そのような物ではなくて、
本当に主人が考えていることが解りますの。今この瞬間も。あら、いやだ、あなたったら。私という妻が側に居るのに、他の女の人の事を考えていては嫌ですよ。
この様な上っ面の美しさに心奪われて、死んだ人もそこそこいらっしゃるのですから…。

 うふふ…。嫌ですわ、そんなに血の匂いを漂わせて、か弱い人間の振りをなさるなんて。ただの村人でしたら騙せてしまえそうですが、残念ながら、私、
性根がひん曲がっていると、嫌われ者が集う地底でも大層ご評判ですので。ええ、この眼であなたの心を読めば、私達を食べてしまおうとしているその心が、
よおく見えましてよ。
 あらあら、そんなに急いでどうされましたか?いくら心では駆け足早足、脱兎の如くといえども、実際にあなたは一寸も進んでいませんよ。ええ、そうです。
その心の内で罵倒されている催眠術ですよ。如何でしたか?さとり妖怪の本場の読心術を体験されて良かったですね。御代はあなたの命で結構ですよ。それじゃあ…。

 はい、あなた、やはり目隠しを外された方が良いですね。ええ、半分はそうですよ。あの妖怪は相手の欲望に合わせて、自分の姿を変えることが出来ますので。
見えないようにした方が都合が良かったので。うーん、もう半分ですか?いやですね…。私が嫉妬深いのは、よくご存じでしょう?
そんなあなたを他の女に会わせるなんて…。そんなこと私が許す筈、ありませんでしょう?

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最終更新:2020年02月25日 11:44