~その1~

俺には今愛する人が居る。彼女の名前は永江 衣玖。
種族は違うけれど、俺達にとってそんな物は何の隔たりにもならない。
むしろ、壁になるものがあるとするならば―

「○○さん、私達の子供が出来ました」
「それ、昨日お邪魔したお隣さんの子供じゃないか?」
「え?えぇ。○○さんが『こんな可愛い子供が出来ると良いな』
と言っていましたので、空気を読んで―」
「帰してきなさい」
彼女に、愛されすぎている事である。

「○○さん、明日は天界でデートしましょう。拒否権はありません」
「・・いきなりだね、衣玖。明日は仕事だから週末に予定を空け」
「拒否権はありません、と言った筈ですよ?
仕事の方は、私から連絡しておきましょう。
それで○○の仕事を切る程度の勤め先ならば、見限ってしまうのが得策です。
それに、私は貴方が働いていなくても…」
「ヒモになるのはごめんだよ。じゃなくて…
何でそんなに頑なにデートしたがるんだい?」
「デートしたいんです」
「だから何で?」
「理由が必要ですか?」
「理由があるんでしょ?」
「○○と一緒に居たいのに理由なんてありませんわ」
「衣玖、明日は二人の思い出のあの花畑に行こう。明日の天気は?」
「え、あの場所へ?明日には稀に見る竜巻で
幻想郷殆どが巻き込まれると竜神様が言ってたので危ないかと…
でも○○さんが一緒に行きたいのなら仕方ありませんね。
私が一緒に居れば」
「…ねぇ衣玖、お告げは皆にしてきたの?」
「大丈夫です。○○さんだけは何があっても護りますから」
聞いちゃ居ない。この様子じゃまた
(○○以外がどうなろうと私は構いません!)
というパターンの口喧嘩になる。
後で巫女か天狗にでも伝わるよう、連絡しておこう…。


~そにょ2~

俺には愛する人が居る。彼女の名前は永江 衣玖。
魚介類も俺は食べるけど、そんな物は何の隔たりにもならない。
むしろ、壁になるものがあるとするならば―

「○○さん、ここはこうして…」「…。」
「そう、そんな感じで…いいですよ。もっと腰を深く」「……。」
「優しく撫でる様な感じで…あっ、いけません!それは…」「………。」
「ああっ!お上手です!○○さん、その調子でっ」

「さっきからうるせーぞおめぇら!!!」
「…すいません店長。今日、衣玖が暇をもらったらしくてまた―」
「何ですか店長さん。私が○○と一緒に仕事して何がいけないんですか。
それともまさか○○に対して職権を利用した暴力を―

許しまs」
「うるせぇからもう少し静かにしろって言ってんだぁ!!
毎度毎度どぉーしておめぇんとこの連れはそぉなんだ!」
彼女に愛されすぎている事である。
というか、偶に職場までついてくる事である。

毎度の事なので店長もすっかり慣れてしまっていたが
相変わらず恐がっているのは明らかだ。
店長は温厚な人でめったに怒らないが
衣玖がついて来て日、不注意で火傷をしただけで
「……○○っ!!…やってくれましたね…よくも」
「・・い、衣玖サン?俺は大丈夫だから落ち着―」
「私と過ごす時間を奪っているだけでも疎ましいのに
この店は○○に恩を仇で返すのですね。…こんな店は、消えてしm」
ちゅっ。
「ひゃっ!?」
「すいません店長ー!今日は早退させて頂きますー!!」
「…もう明日からくんじゃねぇぇ!!」
こんな感じになったのだから。
逆効果だって気付いて欲しいんだけどなぁ…。

「ああっ!もうダメッ!!○○さん、早退しましょう!」
「なんでだ!?」
今日も仕事は大変になりそうだ。
最終更新:2011年03月04日 01:44