ちょっと>>720ぽい話を思いついたんで書いてみた
あいかわらずの微病みだが


薬と膏薬、それと作ってきたおじやを鍋ごと○○の家の前に置く
声はかけない
もしも私に関わって、厄のせいでケガが悪化したら大変だから
できれば、もう一度話しかけたい
そんな思いを振り払って、○○の家に背を向けた

○○とは交流、と言えるほどのものがあったわけじゃない
時々、顔を合わせて話をする程度。それだけ
でも、私が厄神だと知ってもなお、気にも留めずに話しかけてくれる彼が、いつの間にか気になっていた
ううん。気になっていた、なんて曖昧な物じゃない
私は、彼が好きになっていた

彼は普段、子供に手作りの飴を売って日銭を得ている
その帰り、泥棒に襲われた
お金は守ったけれど、脇腹を刺されて全治3ヶ月の大怪我を負った
その時、私は痛感した
厄を抱えるものが、厄を忌避する人間と生きていけるのか、と
前から分かっていたことだった
ただ、○○と離れたくなくて、その事実から目を背けていただけだ

その日から、私は○○の家の前に薬とご飯を置くようになった
直接関わらなければ、厄が移ることもないはず
初めは○○の嬉しそうな顔を見ていたけれど、今ではただ置いて帰るだけ
それでもいい
たとえ、ただの自己満足に過ぎないとしても
厄に穢れた私でも、こうすることで○○と繋がっていられるから

それに――――

「今日も置いてあるわ」
「うん。僕が暴漢に刺された日から、一日も欠かさずね」
「あなたが大怪我を負った日からって……もう三年になるわね」
「本当に、奇特なお人がいるよね」

つい先月、所帯を持ったあなたを、どうしても見たくないから

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最終更新:2011年03月04日 01:28