「はたて、これは一体なんなの?」

足下に叩き付けられる新聞。

「事実以外のなんだというのかしら文、私と○○の婚約記事よ」

仕返しとばかりに叩き付けられる新聞。

「あやぁやぁ……ふん、妄想も此処まで極まると滑稽よね。こっちの記事の方が正真正銘よ」
「へぇ、近日婚約……ねぇ? その割にはあくせく○○を探しているのは、捕まえられなかったからじゃない?」
「そちらこそ、妄想記事が何時まで経っても妄想なのは、○○さんを確保できてないからじゃないの?」

ギチリと、場の空気が軋む。

「じゃあ、勝負よ文。対抗新聞記者の時のように、どちらかが真実になるのか」
「ふふん、あなたに勝てるかしら? 郷最速の私なら、○○さんを捕獲して籍を入れるのなんて直ぐなんだから!」
「速度の違いが花婿ゲットの決定的な決めてでは無いことを教えてあげるわ!」

そして、2人は○○をゲットすべく行動を開始した……。


と、その頃。
妖怪の山の麓にある簡単な山小屋。

「ねぇ……次は何時逢えるんですか?」
「そうだな……来週の週末なら逢えそうだ。どうだ?」
「あ、はい、大丈夫だと思います。シフトの調整はしておきますから」

激しく充実した情事の後、甘えるように愛する男の胸に頬を擦りつける白狼天狗の犬走椛。
そして、彼女の頭を優しく撫でるのは天狗2人が口にしていた男だった。
ちなみに先の天狗2人とはそこそこ付き合いがあるものの、先に椛を意中にしていた為好意には全く気付いてなかった。

「そっか……じゃあ、これ、預かって貰えないか?」
「え、これ、これって……!」
「えへへ、結構、高かったんだぜ?」

小さい箱に入った、白銀のエンゲージリング。
明らかに椛のイメージを意識したリングだった。

「ああ、今はまだ良いよ。来週までじっくり考えて、答えを出してくれ」
「○○さん……もう、私の答えは出てるんですよ……」
「いいんだ。俺は、椛との関係を本当に大事にしたい。勢いだけでは駄目なんだ。ずっと一緒に居られるか考えてくれ。な?」
「……はい。でも、私、○○さんの為だったら今の立場だって捨てる覚悟あるんです。それは信じてくださいね」
「うん、解った。じゃ、来週、良い返事期待しているぜ?」
「はい、○○さん」

迫る2人の新聞記者。そして流血と波乱の予感。
2人は来週の週末に、新たなる門出を踏み出す事ができるのだろうか?

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最終更新:2010年09月03日 09:23