最近は意外と忙しいな、と雑貨屋の店主は思った。
何と、一ヶ月間で顧客と呼べる存在が何と、4人も来たからだ。
2人は生まれた子供のための玩具、1人は相変わらず逃げ回っているのか保存食を買いに来た。
どうやら里の方はマーク及び手回しがされていて、自給自足かこうして此処に買いに来るしか手がないそうだ。
いい加減諦めたら、彼女(守護者の友人)は人見知りだけど、うち解ければ良い子だしさ、そう言ったものの、
「肝が、レアな肝が」と言いつつ拒絶のポーズと取っていた。何か食事にトラウマがあるようだ。
最後の1人は紅魔館の主のペットとなった男だった。
見張り役の門番を連れた彼は、主の暇潰しの為に何か面白いものはないか探していたのだ。
やがて数枚のレコードを男は手にした。サロンルームに古びた蓄音機があるらしい。
中には宇宙人が作ったレコードもあったが問題なかろうと売ったら、後日館の主が槍を振り回しながらやって来た。
どうやら、宇宙人の作ったレコードは人間を発狂させる効果があったようだ。
危うく店を焼かれそうになったが、狂気を『破壊』されて正気に戻った男が「お許しください」と腰にしがみついた為事なきを得た。

何はともあれ、5人も客が来たのだ。
ひょっとしたら、来月は二桁の大台に乗るかも知れない。

雑貨屋の店主は鼻歌気分で文々。新聞の一面、『脅威! 本編集者の知人の過半が、僅か半年で妊娠・出産経験者に! 空前のベビーブーム到来か!?』の記事に目を通した。

「ま、例え外がどうなろうと、僕は此処でこうしてるしかないんだけどね」
最終更新:2011年03月04日 01:47