大妖精「○○さん、ちょっと私に付き合ってくれませんか?」
○○「お、大ちゃんから俺を誘ってくれるなんて嬉しいね。いいよ、どこだってついていくぜ」
大妖精「それじゃ、私につかまってください。一緒に瞬間移動しますから」
○○「オッケー」

ぎゅ

大妖精「あ、あの……手を握るくらいでも、大丈夫なんですけど……」
○○「硬いこといわないの。こうやって体全部で抱きついたほうが、不慮の事態が起きないんだよ」
大妖精「不慮の事態って?」
○○「大ちゃんが瞬間移動して、振り返った先にあったのは、俺の手首だけだった……とか」
大妖精「うわああああああっ! そういう怖い話はやめてくださいっ!」
○○「あはは、ごめんごめん」
大妖精「もう………じゃあ、いきますよ。それっ」




○○「で、だ。 周りは水、右を見ても水 左を見ても水。 ああここはどこ? わたしはだれ? あの白い雲はどこに流れるの?」
大妖精「混乱しないでくださいよ。ちゃんと説明します

      私は今まで、ずーっと○○さんのことが好きだったんです
   でも、あなたはそんな飄々とした態度なのに妙にしっかりしていて、
   いっつもチルノちゃんやリグルさんの面倒を見ていて、あんまり私にかまってくれませんでした
   だから、無理やりにでも私がいなければ死んでしまうような環境を作ってしまえば、あなたは私を見てくれる
   私と一緒にいてくれる。私に、依存してくれる。そう思ったんです
   あ、助けはたぶん来ませんよ。ここは幻想郷の端も端、誰も知らない湖に浮かぶ小島です
   私は飛んで出られますけど、○○さんはそうは行きませんよね? あとここには飲み水はありますけど、ご飯はありませんので
   存分に私を頼って、私無しにはいられないようになってください。……えっちなことも、してあげます
   さあ、○○さん!」


○○「フィーーーーッシュ!!」
大妖精「釣りしてるーーーー!?」
○○「いや、長い話みたいだから、そこらの木の枝で竿作って」
大妖精「針は!? 糸はどうしたんですか!?」
○○「ふっ、こんなこともあろうかと、俺はいつもタコ糸を持ち歩いてるのさ
   幻想郷では否応無しにサバイバルになることも珍しくないからな。タコ糸・ワイヤー・十徳ナイフは必需品だぜ
   針は打ち上げられてた魚の骨を削って作った。強度が不安だったが、実用に耐えるくらいにはなってるな
   餌もそこに打ち上げられてた魚の骨にこびりついてた魚肉で十分
   見てくれこの大物! 白焼きしかできないけど、大ちゃんもそれでいい?」
大妖精「はい。ナイフでさばくのは私がやりますか?」
○○「マジ? それはありがたい。俺ぶきっちょだからそういうのは苦手なんだ。火は俺が起こすよ」
大妖精「あ、そんな感じがしますね」
○○「ひどいなあ。ちょっと傷ついたぞ、俺」
大妖精「くすくす。冗談ですよ

    ………じゃなくて! これじゃあ私の作戦が台無しじゃないですか!」
○○「え? 作戦って?」
大妖精「もういいです! 次の場所に行きます!」
○○「ええ!? ここで二人でバカンスじゃないの!?」
大妖精「そうだけど違います!」
○○「えっちなこともしてくれるって言ってたのに!」
大妖精「なんでそんなところばっかり聞いてるんですか! 行きますよ!」
○○「ちょっと待って! せめて火を消してから! 火のようじ………」




○○「ああ……今頃あの小島、火事にでもなってないかなぁ………」
大妖精「今現在の状況を見て、まず心配するところがそこですか」
○○「あと、あの美味そうな魚食い損ねたってのも」
大妖精「それどころじゃないでしょう! 今いる場所は鬱蒼とした森の中、しかも周りからは獣のうめき声ですよ!
    現状を心配してください! これなら私を頼るしかないでしょう?」
○○「よ~~~しよしよしよしよしよしよしよし」
獣「ゴロゴロゴロ…………」
大妖精「言ってるそばから魔獣を手なずけないでください!」
○○「でも、喉の下をやさしくなでてあげれば、たいがいの獣は喜ぶってムツ○ロウさんが」
大妖精「知りませんよ! だいたいこういうところでは無力な人間は怖がるものなんじゃないですか!?」
○○「そのチョコレートは仲間で分けるんだよー」
獣「(ペコリ)」
大妖精「私の話を聞いてください! 
    あなたはいっつもそうです! 何でも自分で解決してしまって、ちっとも私を頼ってくれないんです!」
○○「ん? 大ちゃんは俺に頼られたいの?」
大妖精「そうです。そうしなきゃ、○○さんは私を必要としてくれないから」
○○「(俺は大ちゃんがいてくれるだけで嬉しいんだけどなぁ……)
   わかった。じゃあ、次の場所ではおもいっきり大ちゃんを頼るよ。それでいいかな?」
大妖精「……約束ですよ。もしも嘘ついたら、咲夜さんのナイフ千本飲んでもらいますよ」
○○「一本も喉を通りそうに無いってば。 で、次はどこに行くの?」
大妖精「そうですね……○○さんが私を頼ってくれるって言うし、今の私ならどこへでも行けそうな気がします」
○○「じゃあ、場所は定めずにその上がったテンション全てを総動員して行ける限りの遠くへ、なんてどう?」
大妖精「いいですね。それじゃ、今度こそ大好きな○○さんを振り向かせて見せます!」
○○「え? 俺は最初っから大ちゃんのことが好…………」




大妖精「ここは、どこでしょう? 変わった顔の人たち、大きな石造りの時計つきの建物、変わった乗り物……」
○○(……あれビッグベンか? ってことは、ここロンドン? 結界も国も超えるって、大ちゃんちょっとテンション上がりすぎだろ……)
大妖精「○○さん、ここって……じゃなくて、ちゃんと迷子にならないように、私についてきてくださいね!」
○○「はぁ、じゃあよろしく」


(英語翻訳:○○(高校の頃の英語成績はオール2))


外人1「ヘーイ」
外人2「ホワット イズ ユア ウイング?」
大妖精「○、○○さん! この人たち呪文を唱えてます! 気をつけてください!」
○○「はぁ」(まあ、確かにぜんぜん知らない大ちゃんからすれば英語も呪文にしか聞こえないかもなぁ)

外人1「イミテーション?」
外人「オウ! ディス ウイング イズノット イミテーション!」
大妖精「いたたっ! 羽を触らないでください!」 
○○「……」(止めるべきなのか? いやでも、大ちゃんに任せると言っちゃったしなぁ……)

外人1「オウ! グレイト!」
外人2「ヘイ カモン! シー イズ リアル フェアリー!」
大妖精「今度は人が集まってきました! 弾幕を張って追い払いましょう!」
○○「それは駄目、この人たちは普通の人間なんだから! ここは俺に任せてくれ!」
大妖精「でも」
○○「でももヘチマもない! 人に弾幕使おうとしてる時点でもう大ちゃんテンパってるでしょ!?」
大妖精「……はい」
○○「だったら任せてくれ。俺だって、たまには大ちゃんに頼られたいんだから」
大妖精「えっ?」

外人3「フェアリー!?」
外人4「オウ! フェアリー!」
○○「ノウノウノウ! シー イズント フェアリー!」
外人2「ホワット?」
○○「シー イズ ア エンジェル!」
外人1「エンジェル?」
○○「イエース シー イズ ア マイ エンジェル」
外人3「オウ イエーッ! hggjghfhfdhs(○○には翻訳不可能)」
○○「シー イズ ア エンジェル アンド マイ ワイフ」
外人2「アー ユー jhqvfhvvwvjhqfjdfh(翻訳不可能)?」
○○「パ パードゥン? ソーリー スロウリー プリーズ」
外人2「アー ユー jhggghvmdj(翻訳不可能) ロリータ コンプレックス?」
○○「ノウノウノウ! シー イズ ア ベリー リトル バット トウェンティ イヤーズ オールド」
外人4「トウェンティ!?」
外人1「HAHAHA! ユー アー ナイス カップル!」
○○「サンキュー! オー イエーッ!」
外人2「オーケー ヒア ウィー ゴー!」

大妖精「ふわぁ……○○さんって語学も堪能なんですねぇ」
○○「堪能ってのとは違いすぎるような気もするけど」
大妖精「あと、なにかとっても嬉しいことを○○さんに言われた気がします」
○○「嬉しいと思ってもらえるならよかったけど」
大妖精「それで、あの人は最後に何て言ってたんですか?」
○○「たぶん、あそこに行こう って意味だと思うよ。パブ、居酒屋みたいなものだね」

○○「バット……アイ ドント ハブ マネー アンド アイ ノウ イングリッシュ ベリーベリー ア リトル
   シー ドント ノウ イングリッシュ」
外人2「ノー プロブレム!」
外人1「イエース!  ウィー アー フレンド!」
外人4「オー イエー!」
外人3「イエーッ!」
○○「サンキュー! マイ ソウルブラザー!」

○○「奢ってくれるよ、やったね大ちゃん!」
大妖精「………」
○○「大ちゃん?」
大妖精「……また、頼ってもらえませんでした」
○○「なでそんなに頼って欲しいの?」
大妖精「言ったじゃないですか。あなたはみんなに頼られる人だから、いっつもチルノちゃんやリグルさんにつきっきり
    私のことなんて見てくれないのが、つらいんだって」
○○「………」
大妖精「だから、いっそあなたが私無しで生きていけない状況に放り出してしまえば、あなたを私が独占できると思ったのに
    すっかり○○さんに頼りきりになっちゃってます。これじゃ、あべこべですよ」
○○「よし、いいことおもいついた」
大妖精「?」
○○「大ちゃん、俺に思いっきり甘えろ」
大妖精「え」
○○「俺が大ちゃんを独占してやる。誰にも渡さない。24時間いっしょにいる。それじゃ駄目か?」
大妖精「……返品は、絶対に受け付けませんよ」
○○「頼まれたって返さん」

外人2「ヘーイ! カム ヒアー!」
○○「オーケー! さ、行くよ大ちゃん」
大妖精「はい!」

ぎゅっ





ミスティア「で、そのままつい瞬間移動して帰ってきちゃったのね?」
大妖精「はい。…手をつないだらついついテンションが上がっちゃって。あ、ウナギの肝焼きください」
○○「ソウルブラザーたち、ビックリしただろうなあ。俺も同じのちょうだい」
ミスティア「また? 肝ばっかり食べてるね」
大妖精「夜の運動のために、性をつけたくて」
○○「右に同じ」
ミスティア「ごちそうさま。で、○○を依存させる作戦はもう止めたの?」
○○「そうみたいだな。だって」
大妖精「私が、すっかり○○さんに依存しちゃってますから」
ミスティア「はいはい、またごちそうさま」
大妖精「ところで……あの人たちに羽が本物なのか調べられてから、私のことを何だって説明したんですか?」
○○「え、それは~その~…………この娘は俺の天使で、妻だ って……」
大妖精「も、もう○○さんったら! 恥ずかしいですよ!」
ミスティア「はぁ……今日はあと何回ごちそうさますることになるのかしら」
最終更新:2010年10月11日 18:56