リグルはバカルテットですが、意外に自身の糧を蓄える仕事は勤労です。
と言うわけでキリギリスの化生が優雅に遊んでいる時期もせっせと蓄えをしました。
蟻たちが汗水流して働いている横を一生懸命働きました。
虫の知らせサービスは忘れっぽいので止めてしまいましたが、充分に冬を越せるだけの蓄えを得ました。

優雅に冬を越すリグル邸のドアを誰かが叩きました。
キリギリスの化生が「食べるモノも住む場所も無いんです。助けてクダサイ」と言ってきました。
リグルはドアを開けて「自業自得でしょ」と言い、地上の流星をぶっ放しました。

次は蟻たちの化生がやってきました。
彼らは口々に「家と倉庫が雪の重さで潰れてしまいました」「助けてクダサイ」と言いました。
リグルはドアを開けて「そう、残念だね。じゃ」と言いドアを閉めました。
後生だの人でなしだと言われたのでファイヤフライフェノメノンで温めてあげました。

また、ドアが叩かれました。
リグルがドアを開けると、防寒具を来て荷物を担いだ人間の男が居ました。
「リグル、これが最後の頼まれものだよな?」「うん、それで最後だよ」
男は、リグルが里で購入した物資を運んできたのでした。
男は物資を室内に下ろして金子を受け取ると、「じゃ、また春な」と言ってドアを開けようとしました。

ダン!

リグルキックが炸裂し、ドアの手前にリグルが先回りしました。

「何言ってるの○○、まだ残ってるじゃない冬籠もりの相手が」
「……リグル?」
「やっぱ、冬籠もりを共にするには無粋な物乞いよりも……気に入った雄だよね?」

ペロリと、妖艶な仕草でリグルは上唇を舐めます。

「冬眠までの間、理解を深め合おうよ。ねぇ、○○……?」

ジリジリと近付いて来るリグルに対し、○○は途惑うばかりでした……。







「いや、僕も雄なんだけどね……」

雪原で死にかけているキリギリスの化生の言葉は、誰も聞いてくれませんでした。

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最終更新:2011年03月04日 00:51