〇〇「はぁ…何か辛いな。」
外来長屋に住む青年〇〇は顔を洗いながら呟いた。
と言うのもここ最近、淫夢に魘され目覚めても体が気怠いのが抜けないのだ。

〇〇「夢の内容が内容だけに誰にも話せないなぁ…。」もう一度、ため息混じりに呟いた。

慧音「おはよう〇〇。どうした朝から辛気臭い顔して?悩み事か?」
仕事に向かう途中に声をかけて来たのは人里の守護者である上白沢慧音。
外界から幻想郷に迷い込み人里に住む時に世話になり、その後も色々と相談にのってもらったりしていた。
〇〇「おはようございます慧音さん。いや、大したことではないので気にしないでk「無理はいけないぞ!!」
突然、言葉を遮り〇〇に食い入るように近づいて来た慧音に驚き〇〇はたじろく〇〇。
〇〇「本当に大丈夫ですから…し、仕事へ行ってきます。」脱兎の如く急いで仕事へ向かった。

〇〇「はぁ…何か今日は精神的に疲れた。」
夕方、トボトボと疲れた足取りで家路に向かう〇〇
仕事場で本人さえも洗顔の時に気が付かなかった首筋に何故かあった赤い点を指摘され「昨日は『お楽しみ』だったのか?」と冷やかせれたからだ。

〇〇「余計に話しをやり難くなったなぁ…。」
本日、何度目かのため息と呟きをして長屋にある自分の部屋の戸を開けた。
すると、炊きたてのご飯と味噌汁の匂いが鼻をくすぐり腹の虫が鳴った。
ふと、居間を見れば慧音が正座をし〇〇を見据えていた。
慧音「お帰り〇〇。お腹が空いただろ?夕餉の用意は出来ているぞ。」

〇〇「け…慧音さん、何で?」
慧音「今朝は話をはぐらかされたからな。今なら夕餉を食べながら話せるであろう?」
〇〇「大丈夫ですよ、平気ですから!!」
慧音「そんなに声を荒げなくとも聞こえている。さぁ、とりあえずは座って待っていなさい。」
スッと立ち上がった慧音の威圧感に圧され素直に座る〇〇
少しして夕餉が〇〇の前に出された。
始めは表情も体も強張っていた〇〇だが、料理の美味さに次第に綻び普通に会話をしていた。
だがー、
慧音「さて〇〇、そろそろ素直に話してはいいのでは?」と水を向けられた。

〇〇「え?いや…まぁ…はぁ…。」虚を突かれた〇〇。しかし、もう素直に話すしかないという諦めと話して楽になりたい気持ちが強まり、〇〇は打ち明けた。
慧音「成る程な…。年頃と言えば年頃だから仕方なくもない…な。」
〇〇「は…はぁ」
恥ずかしさと畏まって顔を伏せている〇〇に向かって慧音は言葉を続けた。

慧音「して、もう一度だけ確認するが男であるお前が組み伏せられて辱めを受ける夢を見るのだな?」
〇〇「は…はい」
慧音「そうか…この様にか?」
〇〇「え…えぇ!?」
気が付けば〇〇は夢に見た同じ状態に組み伏せられていた。訳がわからなず慧音を見ると頭から角を生やし、ワーハクタクとなっていた。

慧音「ふふふ…〇〇、あれを夢だと思ったか?違うな、あれは現実だ。その証拠が首筋にあっただろう?そんな事よりもだ〇〇さぁ今夜も私と新たなる歴史を作ろうではないか。」

抵抗をするもワーハクタク化した慧音の力に勝てず〇〇は夢と同じ現実を迎えた。




朝の日差しの眩しさとトントントンと規則正しい音で目覚めた〇〇。

自分が寝ていた布団の枕元には昨日着ていた服とは違う着替えがあった。
そこから昨晩あったことがいやがおうでも思い出されていった。
その事で頭を抱えた〇〇を呼ぶ声がした。

慧音「おはよう〇〇。」
にこやかな笑顔だが濁った目の上白沢慧音が挨拶をして来たのだ。
半人半獣でありながら人里の守護者であり人々から信頼が厚い彼女。
その彼女に…正確にはワーハクタク化した彼女に自分は昨晩、辱めを受けたのだ。人間として男として屈辱でしかなかったのが悔しく顔を強張せた。
しかしー、

慧音「こら!朝から何だその険しい顔は?挨拶くらいちゃんとしろ!!」と顔を慧音の両手で掴まれ間近で言われた。
朝ご飯を作っていたのか手から調味料の匂いがした。
〇〇「お…おはようございます。」
慧音「ふふっ…わかればよろしい。朝ご飯は出来ているから顔を洗って来い。」慧音に促されすごすごと顔を洗いに行って居間に向かうともう朝ご飯が器に盛られていた。

慧音「さぁ、しっかり食べて頑張って働いて来てくれよ?」
〇〇「……いただきます。」昨晩の恐怖と最早逃げられないという諦めが彼の中にあった。

〇〇「行ってきます。」朝ご飯を食べ終え仕事へ向かう〇〇。部屋を出る時に慧音から弁当を渡され接吻もせがまれたが、弁当をさっさと受け取り出て来た。

その日の午前中、〇〇は昨晩の事で何処か上の空で仕事中に失敗しなかったのは奇跡に近いかもしれない。そして昼、渡された弁当を広げため息を出しながら食べ始めようとすると「こんにちは〇〇さん」と後ろから声がした。

振り向けばそこには閻魔である四季映姫が居た。
映姫とは〇〇が博麗神社の宴会に呼ばれた時、神社に向かう途中で妖怪に襲われそうな所をたまたま参加するため通り掛かった映姫が助けた事で知り合った。
もちろん宴会で周りが騒いでいる中、隅で一人こっぴどく説教をされた。
それから何度か会うがその度、説教をされるのが少し辛かったが今はそれ以上に辛いかもしれない。
〇〇「あ、映姫様…こんにちは。」
映姫「元気が無いみたいですが、どうしたのです?」〇〇「い、いや元気ですよ。ほら、こんなに!!」と体を動かし体操するも
映姫「〇〇さん、閻魔である私に嘘をつくのは大罪ですよ?」と威圧された。

〇〇「いや…あの…その…。」口ごもる〇〇
映姫「〇〇さん!!」と一喝するような迫力ある声を出す映姫。
それに驚いた〇〇は素直に全て打ち明けた。夢の事、慧音の事、昨晩の事を…。

映姫「不純です…。」
全てを聞き終えた映姫からそんな言葉が出て来た。

映姫「いくら人里の守護者と言えど辱めを受けさせるなんて…しかも、選りに選って〇〇さんを…。」
どんどんと暗い表情になって行きブツブツと何かを呟いている映姫
〇〇「え…映姫様?」
心配し顔を覗きこむと映姫がいきなり顔を上げ

映姫「だいたい、貴方も貴方です。何処でも、誰彼構わず愛想を振り撒くから勘違いをされそういうことを受けるのです!!ここは閻魔である私に嘘をつこうとした贖罪と言うことでほとぼりが冷めるまでの間、私のもとに居てもらいます!!それが貴方が出来る善行なのです!!」
鬼気迫る勢いと慧音と同じ濁った目をした映姫に恐れ弁当を投げ出し逃げようとする〇〇だが

映姫「逃がしません!!逃げたらさらに罪が重くなりますよ!?」と言われながら抱えられ飛んで行く映姫と〇〇

その光景と投げ出され地面にぐちゃぐちゃとなった弁当を離れた所の物陰から上白沢慧音はしっかりと見ていた。そしてー、

慧音「〇〇…待っていろ。すぐに迎えに行くからな。」月は出てないが今にも角を出しそうな雰囲気と歪んだ笑顔だった。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2011年03月27日 22:57