「自由」というものは曖昧なものだ。
肉体が欠損していても自由だという人もいるし、
脳に異常が起きて記憶力が無くなってしまっていても自由だという人もいる。
ようは個人の価値観なのだ。
他者から見たら可哀想なことや悲劇なことも、
本人が気にしていなければそれは悲劇ではない。
そうだ、たとえ光すら差し込まない部屋で、
身動きすらできない程に体を縛られていても、
それは断じて不幸ではないのだ。


「ふぅ……流石にくたびれてきたな…」

ため息を吐いていると突然部屋に光が差し込んできた。
どうやら誰かが扉を開けたようだ。

「失礼するわ。 ……○○大丈夫?」
「………あぁ、全然大丈夫だぜ」

入ってきたのは咲夜だった。
手には食事を載せたトレイを持っており、
食事を持ってきてくれたのだろう。

「これは今日の食事よ、スープがまだ熱いから気をつけて食べてね」
「今日は洋食かー」

湯気が上がっており香ばしい匂いが鼻を刺激してくる、
もちろんすぐにでも食べてしまいたかったのだが俺には食べることができない。

「……あっ、そうだったわね。 あなたひとりじゃ食べれないんだったわね。 …仕方ないか」
「すまないね咲夜さんや、こんなんじゃなかったら自分で食べれるんだけどねえ……」
「それは言わない約束でしょ」

軽口を言い合いながら咲夜が俺の目線にしゃがみ込んで来る。
咲夜はスープの入った食器を持ち、スプーンでスープを掬い上げ、

「ふぅー、ふぅー、ふぅー。 はい、あーん」
「あーん」

(パク)
(モグモグ)

流石や咲夜の料理、文句なしの味わいだ。
腹が減っていた俺は咲夜が差し出してくるスープをすぐに飲み干してしまい、
そしたらまた咲夜がくれるのを待ち続けるという行為の繰り返し。

「ふふ……○○ったらまるで赤ん坊みたいね。可愛いわ」
「男が可愛いなんて言われても嬉しくないな、どうせなら、かっこいいーとか、素敵ーのほうが俺は嬉しいよ」
「くす…、その格好じゃあ無理ね」

一笑されてしまい悔しかったが、咲夜の微笑が見れたから良しとしよう。

「食器は片付けるわね、それじゃごゆっくり…」

咲夜が部屋を出ていき扉がしまる、
途端に部屋の中は暗闇に支配された。

「ふわぁ……腹が膨れたら眠くなってきたな…。 少し寝るか…」

そのまましばらくして、部屋の中に○○の寝息が響きだした。

ドカァッ

「ぐほっ……!?」

強烈な衝撃を腹から受け強制的に眠りから戻される。
まだ消化しきれていない食べ物がのど元までせりあがってきた。

「目が覚めたかしら○○? 私が来たというのに眠っているなんて酷いんじゃない?」
「レミ……リア……か?」
「えぇ、あなたの愛しいご主人様よ」

せりあがってきたものを無理やり飲み込みレミリアを見上げる。
そこには悠然と佇む彼女がいた。
俺が愛して止まない存在だ。

「レミリア! 会いたかったよ! 君に会えない時間がどれだけ苦痛だったか」
「ふふ、そんなに私に会えることがうれしいのね」
「ああ、俺には君と居られる時こそが幸せな時間だ」
「なら、今日も沢山愛してあげないといけないわね」

レミリアの手が俺の右上に伸びてくる。
指が肩に触れ、レミリアの体温が伝わってくる。
その指がゆっくりと肌を伝い腕を撫で上げていく。

「○○の肌は綺麗ね。 咲夜にも負けないんじゃない?」
「ん…んぅっ………そこ…までじゃ…ないよ。 咲夜のほうが…もっと綺麗さ」
「あら? そこは普通君の方が綺麗だよとか言うものではないかしら? 咲夜に嫉妬しちゃうわね」
「はは……もち…ぁ…ろん……ん…君も…綺麗だよ」
「ありがと、○○に言われるとうれしいわ。でもやっぱり○○の肌は綺麗ね。………ねぇ○○、あなたは誰のものかしら?」
「レミリアのものさ。この体の血から髪の毛1本まで君のために存在する」
「-------なら、


あなたの全ては私のものよね」


ゴキャァ


「ぐ、ぐぁあああああああああ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”」
「うふふふふ」

あまりの痛みに目の前が真っ白になった。
激痛の箇所である右腕に目を向けると、
そこには肘から先がおかしな方向に折れ曲がり、力なく垂れ下がる腕があった。

「くっ……レミ…リア!」
「あぁ……○○の絶叫……なんて素敵な声なの…」

折れ曲がった腕をレミリアは撫で回す。
その度に走る激痛が体を駆け巡り声が漏れる。
しかしそんな事は気にも留めずレミリアの愛撫は続く。

「もっとその声を聞かせて」


メキメキキィ

ベギョッ


「----------------------っ」
「うふ……うふふ」

次は左足を潰された。
骨盤の方から砕かれたらしく、太ももから下が全く動かない。
感じるのは膨大な激痛だけ。

「あら、血が出てるわよ。勿体無い…、○○の血がこんなにもあふれ出して……」

レミリアが顔を太ももに近づけてくる。
吐いた息が太ももの肌に感じられるほど近づけ、真っ赤な舌を伸ばしてきた。

「ぺちゃ……なんて…はふ……美味…ずずぅ……なのかしら」
「あ…あ…ぐぅっ……くっ…はぁ…はぁ…れみ……りあ」

丹念に流れ出す血液を飲み下していく。
表情は情欲に溺れ、頭の中は○○の血液のことしか考えていない。
しばらく続け満足したのか、レミリアは顔を○○の目の前まで近づけてくる。

「あなたはわたしのもの……」

「その血その肉その髪その笑顔その目その口その耳その声その心臓その腕その足その頭その心…」

「○○の全てがわたしの…わたしだけの存在」

「ほかの奴らになんて絶対に渡さない」

「○○を鳴かせていいのはわたしだけ、愛していいのもわたしだけ、壊していいのもわたしだけ、殺していいのもわたしだけ」

「わたしはあなたを死んでも離さない。死んでも愛し続ける」

「だから○○………」

「だぁいすき♡」




そう…2人の世界、永遠に等しい刻を生き続ける。
愛しい彼女と赤い世界と一緒に。


「俺は……幸せだ」

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最終更新:2011年05月06日 02:08