【沖縄・本島南部パワスポ巡り】
第4話)私有地が存在しない島

《沖縄旅行記|本島南部|糸満|奥武島|斎場御獄|久高島》

斎場御嶽(セーファーウタキ)を後にしていよいよ神の島・久高島へと向かう。島の入口・安座真港までは斎場御嶽からバスで5分ほど、そして島へはフェリーで30分ほどだ。

沖縄・本島南部パワスポ巡り|久高島行のフェリー
久高島行のフェリー

琉球王国の首都・首里から真東にある久高島は、琉球の創世神が最初に舞い降りた地とされ、神聖な島として沖縄の人々に崇められている。その神の島では今でも土地は全て共有地とされ、住民といえども土地の所有権が認められておらず、ただ利用権だけがあるというから驚きだ。

そんな久高島であるが那覇から手軽に行ける離島ということで観光客の多くは日帰りが多く、宿泊施設は少ない。

旅行のピークシーズンでないにも関わらず、いくつかの島宿に事前に電話をかけてみると、「ウチは満室です」とか、「もう民宿は廃業しました」など、なかなか泊まるところが見つからない。

沖縄・本島南部パワスポ巡り|久高島・泊まれる郵便局
泊まれる郵便局は満室だった

そんななか、この島には泊まれる郵便局があるという情報を掴んだ。一体どういうことかと電話してみると、郵便局の局長が自宅を民泊として開放しているのだという。なんともユニークなので泊まってみようと思ったが、生憎ここも満室だった。さて、どうしよう? 改めてネットで調べてみたら謎のゲストハウス情報にヒットした

このゲストハウス、住所の記載はないし電話番号は携帯だし、本当に久高島に実存してるのだろうか? 恐る恐る電話してみると、しっかり営業していて、部屋も空いてるとのことで予約したが、後でなぜ住所を載せていないのかと聞いてみると、「この辺りはどこも住所が『字久高▲▲-●』になってしまうから記載しなかった」とのこと。さすが土地が全て共有地の島である。

 「今3時のフェリーでそちらに向かってます」

と宿主の携帯に電話をしたら、おかみさんが「その船なら私も今乗ってます。本島に買い物に行ってました」と同じ船に乗っていることが分かった。なので港から宿まではおかみさんの車で連れてってもらったのでラクチン、ラクチン。

泊まらせて頂いたのは個人宅の一室を旅行者用に開放したまさに民泊であったが居心地よい空間であった。

沖縄・本島南部パワスポ巡り|民泊・おかめやの室内
民泊・おかめやの室内

本当はこの島でもガイドを頼もうと思っていたのだが1時間5000円と結構な料金を取るので断念。集落の外れにある交流館を訪れてみた。その中には島の歴史や風習を展示した資料室がある。本格的な展示の他に、島の小学生が手作りした特産品の紹介が面白い。

沖縄・本島南部パワスポ巡り|久高島宿泊交流館
久高島宿泊交流館

沖縄・本島南部パワスポ巡り|交流館の展示物
交流館の展示物
沖縄・本島南部パワスポ巡り|交流館の展示物

久高島の名物として有名なのがイラブー=ウミヘビである。聖なる生き物とされるイラブーを燻製にして食べる習慣があり、その製造過程等が展示されていた。

このイラブーを捕獲したり燻製にしたりする仕事は神に仕える仕事とされ、漁師や業者が行うことはできない。琉球神道で神職に就くのは女性とされ、イラブーにまつわる仕事は、神人(かみんちゅ)女性の夫の仕事とされている。つまりイラブーを捕まえ、加工し、食すること、これ即ち全て宗教行事なのである。

そんなイラブー汁が島の食堂でいただける。夜に開いている食堂は島で一軒しかない。港近くにあるその食堂は定食1000円前後が主流の食券式の店であったが、イラブーは高級食材である。イラブー汁定食だけ2300円と他を圧倒して高額であった。おそらく日本一高額な食券メニューのボタンを押すのに少し手が震えたが、思い切って押してみた。

 さてどんな味なのか…

そして、やってきましたイラブー汁。恐る恐るその身をかじってみると、燻された独特の煙の香りと何やらほろ苦い感触が口の中に残る。ものすごく美味という感動ではないが、薬膳料理と言うか、滋味深い苦味が伝わってくる。そうこれは単なる美味しさだけ追及する料理ではない。食べること自体が宗教行事なのだ。これを食べるときっと神の力が備わるに違いない。そう信じていただくのであった。

沖縄・本島南部パワスポ巡り|イラブー汁定食
イラブー汁定食


 「今日は月食が見られるそうですよ」

話は前後するが、食堂に向かう前、宿のおばさんが教えてくれた。2021年11月19日、この日はちょうど月食の日であった。ウェザーニュースによれば98%が隠れるほぼ皆既月食に近い月食だとのこと。

 「あ、隠れた」

空を見上げると、まさに月が地球の影に隠始めていた。これはと思って写真を撮る。そして写した画像を確認する。すると隠れているはずの月は満月のまま写っているではないか!! これは一体どういうことだ? 

もう一度撮影してみるが、肉眼で見ると確かに月は大きく欠けているのに、何度映しても写真の月は満月のままだ。果たしてこれは久高島の神の力か?それともイラブー汁を食したオイラに神の力が宿ったのか?

沖縄・本島南部パワスポ巡り|怪奇現象? 月食を撮影したはずなのに満月のまま
怪奇現象? 月食を撮影したはずなのに満月のまま

ともかく、肉眼では見える月食が撮影すると残らないという摩訶不思議な現象が起こった神の島であった。

(続く)


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最終更新:2022年01月02日 22:09