安価『生物の授業』

 生物の授業はいつも退屈だ。
 教科書には訳の分からない文字が羅列し、先生は意味不明な言葉を発している。
 もともとこういったことを覚えるのが苦手な俺は、入学して初っ端のテストで赤点を取って以来、一番苦手な授業となってしまった。
 生物の先生も一番嫌いな先生であり、授業を受ける気のない俺は、いつも夢の中へダイヴしている。

「ねぇねぇ、この絵見てみ。」
 突っ伏して寝ていた俺の肩をグラグラと揺らしながら話しかけてくるKYがいる。
 うっとおしいなと思いながら、俺はそいつの方を向く。
 ・・・例の如く、孝子である。
「ったく、人が気持よく寝てるのに、起こすなよ。」
「授業は寝るもんじゃないっての。」
「うるせぇ、お前だって他の授業は寝てるじゃねぇかよ。」
「生物は大好きなの。」
 いつもいつも訳の分からんことをいう奴だな、とつくづく思う。
 男だった頃と比べると、多少なりとも変わっているところがあるけど、本質的にはあまり変わっていないなって最近気づいた。
「んで、この絵がどうしたって?」
「見てよ見てよ! この小さなちん●!」
 嬉々しながら、教科書に載っている成人男子の裸の絵を指差す。
 なんで教科書にこんな絵が載っているんだ、って今は生物の授業か。
 というか、こいつは何でちん●を見て喜んでるんだ? まったく理解できない。
「別に小さくたっていいじゃねぇかよ。」
「いや、私はあんたみたいな立派なヤツがいいの!」
「大きいほうがいいのか・・・ってなんで俺の息子の大きさを知っている?」
「まあね、色々とあったじゃん(はぁと)」
 色々あったって、男の頃、一緒に風呂入ったときに見ただけじゃないか。
 お前が女になってから互いに体の見せあいっこなんてしてないぞ。
 やめろ・・・その誤解されるような言い方やめてくれ・・・
 同じ机にいる奴らがニヤニヤしながらこっちを見てるじゃないか・・・

 こうして、いつもの如く誤解されまくる俺なのであった。


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最終更新:2008年09月22日 17:55
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