こいつは分かってやっているのだろうか?
「ん、どしたよ。いらねーの?」
いや、多分理解してないな。
「俺だってたまには、こういうコトするんだぜー?」
「ああ、分かったよ。貰う、貰う……」
大人しく三坂の手から缶を受け取る。
「さら絞オレンジ、マジでウマいんだぜ。甘いってのもそうなんだけど、なんて言うかオレンジの味が……」
「ああ、そうか」
「何だよさっきっから、冷たい反応だなー」
頬を膨らませて抗議めいたものをしてくるが、こいつは……。
「お前、分かってないだろ」
「? 何がさ」
缶を傾けながら答える。
「今までだったら普通のコトだったけど、今ならもう『関節キス』ってことになるんだぜ」
「え……? ああっ!」
グビリとやりながら、先週女体化したばかりの友人の顔を観察する。
目を皿のように見開いて驚いたかと思ったら、トマトのように顔を真っ赤に染めた。
(―――っとに、鈍いやつ)
そして分かっていながら事前に忠告しなかった俺は、ヒドイやつって所だろうか。
「か、返せ!」
「ほらよ、ウマかったぜ」
「へ? そ、それは、どういう意味で………?」
「さあな」
今度は耳まで真っ赤にさせた三坂。
これから後、こいつを苛めるので大分退屈しないですみそうだ。
最終更新:2008年10月25日 12:26