【赤羽根探偵と奇妙な数日-3日目夜-】
「どーして来んのよっ!?」
……金切り声、とはこの事だな。
昼夜を問わず同じテンションで疲れねーのかコイツは?
陽が沈んだ住宅街の中で、街灯に照らされたせいで余計に明るく見えるハニーブラウンのロングヘアを拵えた―――見掛けだけの―――少女が不機嫌な顔付きで、詰め寄ってくる。
……腹を減らした野良猫みてぇな敵意を剥き出しにして。
"どうして"って言われても、"仕事だから"としか言い様が無ぇんだが……残念ながらコイツは、そういう理屈が通じるような奴じゃない。
「……日本の警察っつーのは優秀な人材の集まりだと思ってたが、考えを改めるわ」
「……なんですってぇ……!?」
お、ノッてきたか。適当に煽っただけだが、意外にもゴロリンの反応は良い。
「仕様がねぇだろーが。
有力な手掛かりが無いからって、善良な市民に当たり散らすよーな程度の低い奴が優秀"だった"組織に居るんだからよ?」
「バカにするのもいい加減してよねっ! こっちだって伊達に足を棒にしてるワケじゃないわよっ!!」
「ほーぉ? じゃあ何かな? その短いオミアシで手に入れた情報は役立っているのかなお嬢ちゃん?」
「なんですってぇっ!!? 失礼ね、当たり前―――」「―――宮前刑事!!」
内心で舌打ちをした。
俺がゴロリンの扱いに慣れているのは警察署内じゃ周知の事実だったらしく、頭に血が上り、口を滑らせようとしていたゴロリンの言葉を、駆け寄ってきた制服姿の警察官が遮る。
「―――無線連絡です」
「……わかりました。今行きます」
うー、と犬か猫みたいな威嚇の声と共に俺を睨み付けてから、ゴロリンは近くに停車していた覆面パトカーにとてとてと走っていった。
……相変わらず変わり身の早い奴。
「―――さ、一般の方は立ち入り禁止ですよ」
―――直属ではないにしろ―――ゴロリンの部下と思しき制服の警察官がにこやかに笑いながら、俺を拒絶する。
「ンだよ、つれねーな」
「公務執行妨害ってご存知ですか?」
「ご存知なかったらどうなるんだ?」
「署でゆっくり御説明して差し上げますよ」
どこぞのロリコン官僚を彷彿とさせる嫌味っぷりだな、この警官。
……やっぱ正攻法じゃダメか。
今はまだ現場付近の状況を直接調べられるようなタイミングじゃねぇみてーだし。
しゃーねぇな……他を当たってみるか。そう思い、踵を返そうとした刹那―――
「―――あ、そうそう、探偵さん」
「あン?」
その嫌味な警察官が俺を呼び止めてくる。
「一昨日のひったくり事件ですが……」
……あぁ、名佳と嬢ちゃんとでデパートに行ったあの日のコトか。
―――大胆不敵にもデパート店内で、男か女かも分かんねぇような不審な奴に嬢ちゃんのバッグがひったくられたアレだ。
結果から言っちまえば、何も盗られはしなかった、が代わりに……嬢ちゃんのバッグには盗聴器が仕掛けられていた。
その場に名佳が居たっつーコトもあって、通報が少し遅れちまった(つーか意図的に遅らせた)から、捜査も進んでねぇんだろう。
一応、俺も間近で見ていた目撃者だから証言でも取らされんのか?
「―――捕まりましたよ、犯人」
「………へ?」
普段より2オクターブ上の素っ頓狂な声が出た。……いかん、俺の固茹でなイメージが崩れる。
「……随分と早ぇな」
「目撃者が居ましたからね」
……まぁ、あんなデパートのド真ん中で、ひったくりなんざ起こしたら不特定多数の人間が目撃してて然るべきなんだが……だとしても、早過ぎやしねぇか?
「―――実行犯が逃走の際に使用した車のナンバーを携帯カメラで撮影していた方が居たのが決定的でした」
「………」
……なんか、引っかかンな。イロイロ。
とりあえず疑問は一個ずつ解決していくか、埒が空かない。
「わざわざ俺にそれを話してどうなるんだ?」
「坂城 るいさんと面識がおありのようですので」
―――なるほど。
一応、委員会を―――引いては神代家を―――通じて、お上から圧が掛かった案件だから、内密に報告をしろって魂胆か。
って……小間使いか、俺は。
「それと、拝島刑事からも貴方への報告を言付かっていましたので」
……ったく。あのオッサンは。
「……色々と言いてぇ事はあるが、それはそれだ」
「ご理解が早くて助かります」
嫌味ったらしく笑いながら、警察官は使い古された安物のメモ帳を取り出す。
「被疑者は、ひったくりの常習犯で―――」
「―――ちょっと待て」
「はい?」
出鼻を挫かれた警察官が、目を丸くする。
「常習犯って、あんな目立つ場所で犯行に及ぶモンなのか?」
普通、犯罪を犯す人間が前提として考えるのは捕縛されないことだろう。
まぁ犯罪の目的が、その場の感情に流されたものではない場合に限るが。
ただ、多少なりともノウハウが備わった常習犯ならそういうアタマが働く筈―――。
「―――流石ですね」
「あん? ……ナメてんのか?」
「素直に感心してるんですよ」
やっぱナメてんじゃねーか。
「ま、ま。そんな顔しないで下さい。怖いですから」
「これが地だっつの。いーから話を進めろ」
ったく、最近はタイムイズマネーって言葉を知らない輩が多いのか?
「ご指摘の通り、確かに不自然極まりないですね。
被疑者に、被害者との接点はありませんでしたし……あんな目立つ場所で一介の女子高生を相手に、ひったくりをするメリットなんて無―――」
そこで、警官は一つ咳払いをした。
「……あったとしても微々たるものです」
いくら警察官でも、流石に"無い"と言い切れはしないらしく、妙に歯切れが悪い言い回しをされた。
ヒトサマの価値観なんざ、それぞれだ。そう言われたら終いなんだが……まぁ、人それぞれの価値観っつー不確定要素を差っ引いたとしても、違和感は拭えない。
「―――んで、奴さんが犯行に及んだ際の不自然さに説明は付くのか?」
「それが……」
警官の顔が曇る。そりゃもう、どんよりと。
「……犯行は認めているのに動機に関しては、とかく口が堅いらしいんですよ」
「……何の参考にもなりゃしねぇな」
あからさまに落胆した表情を作って警官を一瞥する。
「いやいやいや、ただ―――妙な点もありまして」
「あン? 何がだ」
……あくまでも警察をアテにしていない体を装うのも楽じゃねぇな。
「証拠物件そのものはお見せ出来ませんが―――その被疑者の銀行口座には、多額のお金が振り込まれていたんです。
しかも、犯行の前日にですよ?」
「………」
よく推理小説や二時間のサスペンスドラマで聞くような話題だが、具体的な金額は明かさないのが通例なのか?
その俺の機微を察したのか、警官がおずおずと口を開く。
「……まぁ、一生遊べる額には程遠いですが、当面の生活には困らない筈です」
とどのつまり、ひったくり犯には嬢ちゃんの鞄を狙う理由が無いと言いたい訳か。
「その金について犯人は?」
「過去の犯行で得た盗品を売り裁いたと供述していますが……」
警官の尻切れトンボな言い回しがあからさまな不一致を物語っていた。
「……今の所、振り込まれたお金と犯行の間に関連性が見当たらないので、こちらも強く出られないのが本音なんです」
取り調べの時に、刑事が多少の揺さぶりを掛けるにしても、犯人にシラを切り通されちゃあ警察に打つ手が無いのも頷ける。
―――恐らく、警察は盗聴器の件は知らねぇンだろーな。
今、新法案の審議で微妙な時期にあるから、異体委――つーか、神代――は、これ以上警察を介入させたくねぇってのが本音なんだろう。
……だとしたら、ひったくり事件の真相に近いのは―――むしろ、俺らなんじゃねぇか?
こりゃ、ますます嬢ちゃんに話を訊く必要が出てきたワケだ。
……気は乗らねぇけど。
あと、引っ掛かるのは……。
「さっきは聞き流しちまったが、犯人の車のナンバーを撮影したっつー"目撃者"ってのは?」
「……個人情報は流石に漏らせませんよ」
「ンなのは分ぁってんよ」
確かにそこいらの情報は欲しいが、今はそれよりも訊きたいことがある。
それを説明するには……クチで言うよりも実際にやってみた方が早ぇな。
俺は携帯を取り出して、カメラのレンズを警官に向けた。
「な、なんですか?」
怪訝そうな顔をする警官。
「動くなって、……そのままそのまま。……あい、バター」
カシャ、という大時代的なシャッター音が携帯から発せられる。
……パブロフ現象なのか、画面の中で反射的にピースする警官が痛々しく映し出された。
1メートル程度の距離しかねぇのに、2インチサイズ画面の中の警官のピース写真は僅かにブレている。
「……って何ですか、バターって!?」
我に返った警官の突っ込むとこがおかしいのは放っておこう。
「携帯カメラってよぉ、起動してピントを合わせて、撮影するだけでも随分と時間が掛かるモンだなぁ」
「え……っ?」
機種によって多少のタイムラグはあるかもしれねぇが、それも微々たるモノだとすれば―――
「―――目撃者ってのは、車が撮影出来る位置に居たンだろ?」
「は、はい」
「しかもナンバーまで正確に割り出せる画像ってコトは、逃走車の真正面か真後ろに、その目撃者が居たってことになる」
「画像は、デパート正面口から発進する車の背面を写していましたね」
なるほど。
―――そこで、当然の疑問にぶち当たる訳だ。
「んじゃあ、"どうしてそんな写真が存在するんだ"?」
「どういう意味ですか?」
言い方が悪かったのか、警官は首を傾げる。
「……事件が起こったのがデパートの中だろ?
"外に居た目撃者"が"デパート内のひったくり事件"を把握して、携帯カメラを起動、撮影するまでの間、犯人は悠長に撮影されるのを待ってたっつーのか?」
漸くの俺の言いたいことを理解したらしく、警官の頭上に電球マークが点灯した。
「……あっ、そういえば妙ですね。
他の目撃者はそんなタイムラグもなく一目散に逃げたって証言で一致してるらしいですし……」
つーことは……だ。
目撃者の行動には多少不自然なトコがあるってことか。
「……まさか、目撃者は予め事件を知っていた、と?」
「あくまで可能性の話だっつの」
俺は、あくまで写真の問題点を指摘しただけだ。推測の域を出ない。
「……どう思いますか?」
改めて、警官は俺に質問を投げ掛けてくる。
どう思うも何も、推測の域を出ない話をコレ以上広げて何の意味があるんだっつの。
「目撃者を調べてみねーとわかんねーよ。
ひったくり犯の動機だって、単なる偏った趣味で事件を起こしただけかもしれねーだろ?
女子高生の鞄が大好きで、見るだけで自分のモノにしてぇとか、匂いを嗅ぎたいとか、むしろ、その鞄の中に入りてぇとか」
「……とんだド変態ですね、それ」
「むしろエスパーだな」
この警察官の中でひったくり犯の人間性の評価が下がろうと、脳内で某ネズミの国の電気パレードのテーマが流れてようと知ったこっちゃねぇ。
なるほどなるほど、と真面目に頷きながらメモを取る若人の姿は、なかなかに滑稽だったから、まぁ良しとしよう。
「ま、そっから先は警察のオシゴトってこった。
……そーだろ? ゴロリンっ!」
「―――ゴロリン言うなバカバネっ! ……あ」
電柱の影に隠れて俺達のやりとりを聞いてたゴロリンが脊髄反射で声を上げてから、しまった、と言わんばかりの表情を浮かべる。
……コイツに尾行やら張り込みは多分無理だろうな。
タッパがないから標的を見失い易い上に、見た目年齢に相応しくないスーツ姿は浮いているという次元の話じゃない。
「あ、ぅう……よ、余計な仕事増やすなっ、バカバネっ!!」
近所迷惑顧みず、叫びながら走り去るゴロリン。
……あの合法ロリ警官はまともに礼の一つも言えねぇのか?
いや……期待するだけ無駄か。
「好かれてますね、赤羽根さん」
「……どう見たら、そういう解釈が出来るんだ?」
「分かりませんか?」
まるで、愛娘を見守る父親のような顔付きで笑い掛けてくる警官がウザったらしいコトこの上ない。
「………チッ」
その笑みから逃れる意味も合わせて、俺は焼け焦げたアパートの屋根を見上げる。
……夜の闇に溶けちまいそうな程に黒く染まったそれは、昭和の匂いを残した外観だ。身も蓋もなく言うなら古臭い。
新宿付近の立地条件を含めた所で、異対委の委員を務めるような富裕層の人間が住みそうにないものだった。
「……それにしても、何でったって被害者は、わざわざこんなトコに来たんだ?」
視線を逸らしたまんま、警官に聞こえるように呟く。
「呼び出された可能性がありますね」
「……可能性ねぇ。随分と曖昧な言い方だな」
「目下、捜索中なものですから」
「要は証拠や手掛かり見つかってないってだけだろうが」
「見つからない事が手掛かりってことだってありますよ?」
「あン?」
「被害者の携帯電話が、見当たらないんですよ。
被害者の衣服や現場付近は勿論、被害者宅や仕事場からも発見されてません」
……持ち去られたってことか?
「犯人によって隠匿された可能性が高いですね」
………それも含めて、拝島のオッサンは委員会に関わっている人間を疑ってるっつーワケか。
……とりあえず現場を調べることは出来ねぇし、このまま駄弁ってても時間の無駄だな。
神代への報告もあることだし、今日の調査はココまでにするか。
「……詳しいコトがわぁったらまた来るわ」
「はい、お気を付けて」
「おー。特にゴロリンには気を付けるようにする」
警察の人間にしちゃ珍しく、俺に大して敬礼をする警官に背を向けて、ネオンの眩しい駅の方面へと足を伸ばした。
―――目に悪そうな強いLEDの光を遮って安物時計を見やると、もうそろそろ20時になるとこだった。
……随分と遅くなっちまったが、名佳はおろか委員会組織の人間からも音沙汰が無い。
一応、嬢ちゃんには名佳から目を離さないように指示をしてはいるが……。
「……」
なんだか、あの三人娘の構図を考えてたら不安になってきた。
一応、連絡しとくか。
……淀みなく接続する音が流れてから、コール音が三回。
『―――っ、もしもし、あ、赤羽根サン……?!』
―――小さなスピーカーの開口一番に、緊張が走った。
この声、嬢ちゃんじゃない。
……名佳だ。
電話口の喋り方から察するに随分と取り乱してるみてーだが、俺まで一緒になってパニクってたって何の解決にもなりゃしねぇし……。
「名佳か。どうした? 何かあったのか?」
極力、不安を煽らないような口調を心掛けながら、俺は駅への歩みを早める。
『実は、その―――っ、やだ、やめ……―――っ!』
『―――はい、お電話替わりました、異性化疾患対策委員会、坂城です』
不意に、名佳の慌てぶりとは対称的な嬢ちゃんの冷静な声がスピーカーに割って入ってきた。
それで漸く電話の向こう側で起こっている騒ぎが事件性の薄いものだと察知する。
「……よぉ、嬢ちゃん」
『あ、なぁんだ。本当に赤羽根さんだったんですね』
俺の声を聴くや否や、嬢ちゃんの口調から力みが消えたのを感じる。
……とてつもなく複雑で深ぁい溜め息が吐いて出た。
「……人が必死扱いて調べモンしてたっつーのに、ナニやってんだてめーらは?」
『あ、一応言っときますけど、疚しい事はしてませんよ?』
事も無げに嬢ちゃんは言う。
いつにも増して淀みない嘘の吐き方をしやがる。
「じゃあ、今さっきから聞こえてる名佳の声は一体何だっつーんだよ」
『あー……それは、ですね……』
スピーカーの奥の方から聞こえる名佳と思しき悲鳴をBGMにして、嬢ちゃんとの会話が途切れる。
『……実はなのちゃん、見つかっちゃマズい人に見つかっちゃいまして』
「はあっ? 脅迫犯にもうバレたってのか?!」
『や、その……そーいうマズい人じゃなくて』
「んじゃ、どーいうマズい奴なんだよ?」
『と、兎に角、マズい人なんですっ!』
……なんか実に不毛な会話をしてる気がしてきた。
状況を把握しようにも"名佳が事件性は薄い騒ぎに関わっている"ことくらいしか情報が伝わってこない。
「あーもう、わぁったよ。俺がそっちに行く。その方が多分手っ取り早い」
『あはっ、助かります』
「んで……今何処だよ?」
『あ、今、周辺地図を赤羽根さんの携帯に転送しますね。最寄り駅は……わかりますよね?』
不安そうな声で嬢ちゃんに訊かれた。
バカにすんなっつの。
朝方に嬢ちゃん達が迎えに来たとこだろ、間違えようが無い。
「あぁ、大丈夫だ」
『……じゃあ、待ってますねっ』
―――終話音がスピーカーから鳴り響く。
……こうして会話をしてた限りじゃ、単なる悪戯好きなポニーテール娘っつーイメージしか湧かないんだがな……。
"坂城 るい"。
オッサン……拝島の中では、殺人事件の容疑者候補の一人、か。
訊きたい事は山程ある。
―――ちょうどメールが来た。簡略化された地図の画像もある。
……電話口の騒ぎの原因にも興味があるこったし、一先ずは、足を使うとするか。
――――
―――
――
「……ここか」
嬢ちゃんから送られたメールの地図を頼りに、辿り着いた先に待ち構えていたのは……随分と立派な門を構える古風な家だった。
門の横には暗がりでよく見えねーけど、道場らしき達筆な文字が書かれた板がぶら下がっている。
……なんつーか、圧迫感に満ち溢れていて、俺みてぇな破落戸(ゴロツキ)は近寄りがたいの一言に尽きるような場所だった。
「……ふぅ」
意を決して、俺は門柱に設置されたインターホンに人差し指を伸ばすと―――
―――チリンチリーン。
何故か、鈴の音が鳴った。
"呼び鈴"っつー意味では確かに間違っちゃいねぇけど……あぁ、何だ、このモヤモヤ感。
『はぁい』
大仰な門の向こうから、道場という場所には不似合いな若い女の声がする。
……名佳や嬢ちゃん達の声ではない。聞き慣れない落ち着いた声だ。
「夜分すいません、赤羽根と申します。名佳……あー、妹がそちらにお邪魔してると訊いて参りました」
『あ、はい、伺っています。ちょっと待って下さいね、……よいっしょ、と』
慣れない言葉に歯を浮かせていると、おっとりした掛け声と共に重々しい門がゆっくりと開いていく。
……そこから現れたのは、初紀嬢ちゃん……ではなく、彼女に似た白いワンピース姿の女性だった。
……初紀嬢ちゃんの姉、だろうか? 暗がりでも分かるくらい顔立ちがよく似ている。
髪の長さと身長が違っていなければ見間違えても不思議じゃない。
多分近所ではちょっとした評判になってんだろうな。
こんな美人姉妹が空手道場に居るんだとすりゃあ。
……つーか……この人、どっかで見たことがあるような―――。
「―――初めまして。赤羽根探偵さん、ですね? 御堂 初葉と申します」
―――御堂 初葉……?
「……ご丁寧にどうも、赤羽根 真司です」
―――刹那に表情筋が硬直しそうになるのを寸での所で堪え、表情を悟られまいと頭を下げた。
その下げた頭から横目で、門柱にぶら下がる看板に再度見直してみる。
―――御堂空手道場。
やっぱり、そうだ。
格闘技好きだったら、その名を知らない者は居ない。
………良い意味では勿論のこと、悪い意味でも。
だが、決定的に覚えのある話と食い違う部分がある。それが、何を意味してるんだろうか?
「―――どうぞ、お上がりください。妹さんも待っています」
「はい、お邪魔します」
「こちらです、お足元に気をつけてください」
高級旅館のテンプレート的な応対よろしく、清楚な笑顔を崩すことなく俺を出迎えてくれた"彼女"への興味は尽きないが、一先ずは……名佳の事が先決だ。
胸の中で燻ぶる好奇心を振り払い、初葉と名乗る女性の先導で名佳達の元へ向かう。
「探偵さんも、宗くんのお知り合いなんですよね?」
くるりと、振り返り様に無邪気な笑顔を浮かべながら、彼女は言う。
その何の気なしの微笑みですら一々絵になっているところを見ると……おそらくは血縁者であろう初紀嬢ちゃんの将来は有望そうだ。
「え、えぇ、まぁ……そんなところです」
「ふふっ、良かったです」
何が良かったのか知る由もないが、彼女の中で合点がいったらしく、満足そうに振り返り、跳ねるような軽い足取りで再び俺の先導をし始める。
―――あの神代を"宗くん"呼ばわりとはねぇ……。
此処の家の人間―――少なくとも初紀嬢ちゃんと初葉さん―――は神代の奴を物怖じすることなく一人の男として見てるんだな。家柄とか、権力とか、そういう神代が嫌ってそうな要素を一切合切抜きにして。
―――何気ないやりとりをしている内に、俺達は目的の場所の前まで辿り着いていた。
そこだけ増設したばかりらしい新しいドアの真ん中には、丸みを帯びた文字で"るい"と書かれた小さな看板がぶら下がっている。
……ドアの向こうは俺の予想とは裏腹に、静かだ。
―――コンコンっ
「初紀、るいちゃん、名佳さん。
赤羽根さんがお見えですよ?」
『あ、はぁいっ』
―――思春期真っ只中の娘の部屋に入るっつーある種の役得感は、ドアを開けた瞬間に吹っ飛ぶことになる。
ガチャ。
その光景を見た瞬間、時間が停滞したような気さえした。
「………………何やってんだ」
まるで、日曜の朝にテレビでやってる子供向けのアニメみたいなフリルがこれでもかという程にあしらわれた現実味の無い服装で、
名佳達がお互いにデジカメを向けるという異様な光景がそこにあって、俺が思索を重ねに重ねて漸く捻り出せた言葉がそれだった。
俺の言葉を受けての三人の反応は様々だ。
気まずく笑いながらポーズを決めて誤魔化す赤い服の嬢ちゃん、
世界の終わりみたいな顔をしてからベッドに突っ伏して足をジタバタさせる青い服の初紀嬢ちゃん。……つーか下着見えるぞ。
目の輝きを失ったまんま呆然と立ち尽くす白い服の名佳。
……やっぱ、女になっても個性は残るんだということを感じた。
「―――良かった、サイズぴったりですねっ、名佳さんっ」
「……初葉、さん?」
まじまじと名佳の白い服を眺めながら無邪気に喜ぶ初葉の姿を見て、俺はなんとなく悟る。
―――主犯は初葉だ、と。
後で訊いて分かった話だが、御堂空手道場の稽古代だけでは収入が足りないらしく、御堂 初葉は自らの特技を生かしてネット販売で服を売って家計の足しにしているのだとか。
……まぁ見て分かる通り、普通の服ではなく、所謂コスチュームと呼ばれるモンだが。
んで、手近に居る人間をモデルにしたりする微妙にアブない趣味を持っているらしい。
……人の妹使って何やってんだこの人は。
「―――ふぅ、もういいよ……」
色々と大事なものを失ったような深い溜め息を吐きながら、制服に着替えを終えた名佳が嬢ちゃんの部屋からひょいと顔を出す。
……心なしか顔が赤いのは、嬢ちゃん達の着替えを目撃しているからだろう。
そんな不謹慎なコトを考えながら俺は改めて嬢ちゃんの部屋にお邪魔する。
……部屋ン中は想像していたよりもシンプルなものだった。
必要最低限の家具と、棚に置かれている使い古された小さい野球のグローブくらいしか目に付くものがない。
外見が三人の中で一番女の子らしい嬢ちゃんらしからぬ部屋だ。
「どーしました? 想像してたのと違います?」
物珍しさが顔に出ちまったのか、嬢ちゃんが首を傾げながら問いかけてくる。
「シンプルで好きだぜ、俺ぁな」
「ふふっ、そう言ってくれると思ってました。これが私の趣味ですから」
清々しいほどに嬢ちゃんは開き直っていた。
―――女だろうが男だろうが自分は自分。
それが嬢ちゃんのポリシーなんだろう。良くも悪くも一本筋な奴だ。
んで、他の二人は……嬢ちゃんとは打って変わって静かだった。
名佳は、一連のバカ騒ぎに付き合わされた疲労感が表立ってきたのか、下を向いて黙ったまま。
初紀嬢ちゃんは………フリフリなコスプレ姿を、ほぼで他人であるに俺に目撃されたのが余程ショックだったらしく、部屋の隅で体育座りをしたまんま泣きそうな目をして微動だにしない。
……あからさまにこっちの方が重症だな。
「あー、初紀嬢ちゃん。あれは不可抗力だ。他言無用にするから機嫌を直してくれねーか、頼む」
「っ……本、当に……ですか?」
鼻を啜りながら俺を上目遣いに見つめ、震えた声で訊いてくる初紀嬢ちゃん。
……そんな顔したら約束を反故にしたくなる加虐心を煽るんじゃねーか? 特に俺みてーなヒネくれモンが相手だと。
……ま、相手は仮にも思春期の娘なワケだから、オトナ気ねぇコトは止しておこう。
―――正直に言うなら……おふざけの代償が、あの御堂空手道の教えを受けた者達のWキックというのが割に合わないだけだが。
「あぁ、約束する。探偵は守秘義務厳守、信頼第一だからな」
「あ……ありがとうございますっ!」
初紀嬢ちゃんの表情、雨のち晴れといったところか。うむ、めでたしめでたし。
「……赤羽根さんって、時々紳士ですよねー」
失敬な。俺は常に紳士だぞ。と心の中で嬢ちゃんにツッコミを入れた瞬間に―――
「―――あの……」
―――おずおずと名佳が、らしからぬしおらしい声を上げる。……その際に嬢ちゃんがニヤニヤしてたから、なーんかヤな予感はしたが……まぁ、いい。
「どーしたよ?」
「その、……調査、お疲れ」
「ん? おぅ」
身構えてた割には随分と普通な言葉が返ってきたせいか、拍子抜けしちまったが……。
まぁ、いいか。
気を取り直して初葉が用意してくれた冷めかけのコーヒーを口に含む。
「あの、そ、その……」
「なンだよ?」
「―――お、お兄ちゃん……」
―――ぶーーっ!!!
「わわっ、汚なっ!?」
俺が吹き出した悪役レスラー顔負けの茶色い毒霧に、嬢ちゃん達が怯んだ。
……無理だ、無理!
プロボクサーのボティブローをモロに食らったような威力に耐えられるような強靭な肉体を俺は持ち合わせてねぇっ!
それほどまでに、名佳の恥じらいながら放った"お兄ちゃん"口撃はあらゆる意味で破壊力抜群だった。
「けほっ、げっほ……っ」
「だ、大丈夫か!? お、お兄ちゃん……?」
「がはっ!!?」
名佳の言葉はピンポイントで俺の気管支を狙っているような気さえする。
そんな噎せ狂う俺の姿を見て、ニヤついている嬢ちゃんが目に映った。
「―――もぉ、少しは慣れて下さいよ~、お・に・い・ちゃ・ん?」
……てめーか、てめーが主犯か、坂城 るい。
「ぜぇ、ぜぇ……一体……何が目的だ」
そこだけ切り取って見たら事件の核心に近付いてるみてーなセリフだが、そんな兆候は一切ないぞ、くそっ。
嬢ちゃんはあっけらかんとした体を繕いながら、まだニヤついている。
「んー……目的っていうか……。
そもそも"妹"が"兄"を"苗字"って呼んでるのはおかしいですよね?
ねー初紀ちゃん?」
「えっ? あ、その……ぅ……う、うん……」
いきなり話を振られ、慌てて首肯を返す初紀嬢ちゃん。
嬢ちゃんの意図する所には同意しかねるが、否定は出来ずに戸惑っているらしい。
……安心してくれ、そのモヤモヤ感は間違ってないぞ絶対。
「明日赤羽根さんは保護者として、なのちゃんに付き添うんですから慣れてなきゃ一発でバレちゃいますよ?」
「いや、そん時はちゃんとするっつーの!」
「ふぅん? そうですかぁ……」
嬢ちゃんは何か腑に落ちないらしく、名佳に視線を送る。
それを受けて名佳はおずおずと上目遣いで俺を見つめて―――
「お、……お兄ちゃん」
「ぶふぅっ!!!!?」
―――耳元で消え入りそうな声で囁いてくるモンだから、ダメージがデカい。そりゃもう、イロイロと。
そんな俺のリアクションを見て、クスクスと見下すみたいに笑う嬢ちゃんが憎たらしいことこの上ない。
「ほーら、めちゃくちゃ動揺しちゃってるじゃないですかぁ?」
くそ、このアマ……絶対ぇ俺で遊んでやがる!
……。
つーか、名佳を傷つけんなーって再三に渡って俺を警告してきたヤツの所行とはとても思えねぇぞ。
「……ごめん」
嬢ちゃんを恨みがましく睨んでいると、何故か名佳がアタマを下げた。
「何がだよ?」
「オレ……じゃなくて……わ、わたしが頼んだ……の」
辿々しい、取って付けたような口調の名佳と、微笑ましいもの見ているような顔の嬢ちゃん達。
「何をだ?」
「……あ、その、オレ……じゃなくて! わ、私……が、女として、違和感なく振る舞えるように特訓して……って、坂城さん達に」
辿々しい口調で必死に弁護しようとする名佳。
……やれやれ、嬢ちゃんに何を吹き込まれたんだか。
「そうしなきゃ、アンタに迷惑が掛かる。そんなの……嫌だ」
「―――バカか?」
名佳の言い分が分かった瞬間に俺の口から言葉が漏れていた。
その瞬間に、緩んでいた空気が一気に収縮していく。
「てめーが転がり込んで来た時点で迷惑してんだ、俺ぁよ」
「な……っ!!?」
「わかんねーか?
天邪鬼だし、可愛げねーし、勝手に何でも決めちまうしよ。
迷惑なんざ、とっくに山ほど掛かってるっつってんだよ」
名佳の顔色が、余計に暗くなる。
多感な思春期の"妹"を傷付けてるっつー罪悪感を無理矢理に心の隅に押しのけて、俺は名佳を睨みつけた。
「赤羽根さ―――」「―――"余所の人間は黙ってろ"っつってんのが聞こえねぇのか?」
名佳が責め立てられているこの状況がやはり気に入らないらしい嬢ちゃん達の抗議の口火を、腹の奥底からの低い声で強に掻き消す。
―――俺の理不尽な様を見ていた、名佳が漸く顔を上げた。
……"妹"の表情は俺への怒りの色で満ちている。
「……なんだよ、それ。
オレはアンタに―――!!」
「―――ンなトコにアタマ働かせる余裕があンなら、てめーの先のコトをもっと考えろっつってンだよっ!!」
名佳の主張を、自分でもビビるくらいのデカい声を上げ、感情の赴くままに女物のブラウスの首根っこを掴んでいた。
気が付くと、眼前には恐怖と困惑の色に染まる名佳。
……まどろっこしい"妹"の言い分なんて聞く必要がなかったから、強引に話を切るだけのつもりだった。
なのに名佳の言葉が、すげー苛ついて、声を荒げてた。
……なんでだ?
「あか、ばね……さん?」
嬢ちゃん達の戦慄いた声に、ふと我に返る。
この部屋に居る人間は俺を除いて、皆同じような表情をしていた。
恐怖と混乱と怒りが混濁したような……そんなツラだ。
「……っ、悪ぃ。ちぃとドタマ冷やしてくる」
……名佳の襟元から手を離して、そそくさと立ち上がる。
「あ、赤羽根さんっ!? 赤羽根さんったらっ!?」
聞こえないワケがないのに、俺はお構いなしにドアノブに手を掛けて、勢いよく戸を閉める。
空気を読んでくれたのか、俺以外の誰も嬢ちゃんの部屋から出て来ることはなかった。
……部屋から出たは良いものの、流石に俺一人で事務所に戻るのはイロイロとマズい。
あのロリコン官僚から違約金なんか請求された日には、どんだけアイツの下でタダ働きをさせられるか分かったモンじゃねぇし……。
……結局、俺には、御堂家の縁側で立ち尽くす位しか出来ない訳で。
「……どうされました?」
背後で、柔らかな女性の声がする。それが誰かを確かめるのに振り返る必要はない。
「……すみません。お邪魔した上に、大声を張り上げてしまって」
元来のマナーならば、相手に向き直り頭を下げるのが普通だが、俺にはそれが出来なかった。
自分でも、よくわかんねーような今のツラを他人様に見られンのが堪らなく嫌で。
……その事をイの一番に責められて然るべきなのに彼女はそうしなかった。
「いつも、うちは騒がしいですから、お気になさらないでください」
……毎夜毎晩、さっきみてーなコスプレパーティまがいなことを彼女が強制しているのであれば、強(あなが)ち社交辞令とも言えないところが恐ろしい。
優しさで言ってるにしろ、事実にしろ、俺には有り難い話だが……。
―――とにかく。話のベクトルが俺の方に行く前に先手を打とう。
「ひとつ、訊いてもいいですか」
「なんでしょうか?」
「あなたは、初紀……さんの―――」
「―――あ、はい。母です」
……その何気ない返答で確信する。
彼女は――――。
「では、初紀嬢ちゃん―――娘さんは知ってるんですか?」
「っ、何を……でしょうか?」
俺の聴覚に間違えがないのであれば、彼女は言葉に詰まった。
―――思い当たる節が無ければ、決して生まれない……ごく僅かなタイムラグ。
「―――"御堂 初葉"さん」
俺がゆっくりと彼女の名前を呼ぶと、再び、彼女は息を飲んだ。
……別に、俺は彼女を追い詰めたくてこの話をしてるワケじゃないんだが……。
「勘違いしないで下さい。俺は強請屋じゃあない。
……ただ、その返答によりけりで娘さんとの会話に注意を払う必要性が出てくるので」
生温い湿った風が俺と、彼女の間をゆっくりと通り過ぎた。
「―――流石は探偵さん、ですね」
その風の去り際に、諦観にも似た穏やかな声を背中で聴く。
「多分、探偵さんがお察しの通りです」
「………そう、ですか」
「―――ただ」
彼女のこれまでで一番強い語気が、最後の二文字に宿っていた。
「"あの人"は……何も知りません。
娘と等しく……何も」
まるで許しを請うような、か細い声で彼女は呟いた。
彼女の言う"あの人"が誰のことを指しているのか俺には分からないが、それ以上のことは興味本位で訊いちゃマズい部類だろう。
「……分かりました、このコトは墓場まで持っていきます」
「申し訳、ありません」
こんな御時世だ。
イロイロと複雑な家庭事情があったって、おかしくもなんともない。
……さっき、嬢ちゃん達に"余所の人間は干渉すんな"とか嘯いてた人間の行動とは思えねーな。
―――職業病っつーモンはつくづく恐ろしい。
「―――探偵さん」
屁の役にも立たないような言い訳を頭で呟いていた俺を、真後ろの声が現実に引き戻した。
「なんです?」
脊髄反射で振り返りそうになるのを抑えて、俺は背中越しのまま応えを返す。
「家族って、難しいですね」
多分、母親であれば誰もが直面するような初葉の何気ない一言。
その言葉が、妙に心臓の周りに引っ掛かったような気がした。
「―――さ、早く戻ってあげてください。妹さんが心配されてますよ」
こちらの返答を待たずして、柔らかな声で囁く初葉に向き直る。
「……どうでしょうかね?」
上手く苦笑出来ているかを心配しながら、再び玄関に向かう。
流石に、縁側から靴を脱いで上がり込むのは気が引けるしな。
―――だが、名佳と対面するのはもう少し後になるらしい。
「………」
その理由は、玄関先で眉間に皺を寄せたポニーテールの少女が仁王立ちで待ち構えていたからだ。
俺の姿を認めても、嬢ちゃんは一言も発することもなかった。
……俺からの謝罪の言葉でも待ってんのか?
だとしたら生憎だが、それよりも先にお前さんに確認してぇことがあるんだよ。
さっきは名佳や初紀嬢ちゃんが居た手前、槍玉に挙げることも出来なかったが今は1対1だ。遠慮することは何もない。
「何か、云うことは無いんですか?」
「そいつぁ、こっちの台詞だな」
俺の返しに一瞬だけ戸惑った表情を見せたものの、嬢ちゃんは怯むことなく俺を睨み続ける。
そこに、普段の少女然とした嬢ちゃんの姿はなかった。
……丁度いい。畳み掛けるなら今しかない。
「名佳を保護したあの日の夜、てめーはどこで、何をしていた」
「………どういう、意味ですか?」
警察でも手が出せない委員会の私設秘書に、直々に尋問する日が来るとは思ってもみなかったが。
意外に優越も感慨も何も無かった。
確証なんてモンも何一つない。
ただ、後顧の憂いだけは払いたかった。
俺は……質問に返された質問の意図を―――嬢ちゃんに伝えた。
「新宿三丁目で起きた殺人事件の犯人が……坂城 るい。
てめーかって訊いてるんだよ」
「っ………!」
嬢ちゃんからの返事よりも先に、玄関の外側で庭に植えてあった木々の葉が揺らぐ音が聞こえた。
【赤羽根探偵と奇妙な数日-3日目夜-】
完
最終更新:2010年09月04日 23:54