安価『送信ミス』

111 名前:缶詰の中の人 ◆FP9rUXa9Eo [] 投稿日:2007/11/21(水) 01:46:44.54 ID:Pdbj1oDM0
安価『送信ミス』

女の子を拾った
話に聞けば父子家庭の一人っ子が、女体化してアル中の父に襲われたと
神経が衰弱した彼女をマンションの自分の部屋で養っている
キーホルダーを付けた鍵を差込、回す
がちゃん、という音を聞き、ノブを回して部屋に入る

「あ………」

制服姿の彼女が、ベットから起き上がる
着の身着のまま飛び出したのか他に荷物は持っていなかった

「部屋の中なら動いていいって言ったろ」
「こんなの着いてたら………動けない」

彼女はスカートをたくし上げる
液に濡れた下着が透けて、ピンク色のバイブレータの存在を見せていた
低い電動音を響かせ、小刻みに振動
熱に冒された様に彼女の頬は紅潮している
彼女とは、毎日のように身体を重ねた
そして解った
彼女の愛情表現は、身体を重ねること
恐らく、父親に襲われたときに何らかの精神的外傷が残ったのかもしれない
今、彼女はあまり話さない
彼女の身に付けている物から、元の性格は明るい性格だと予想できる

「動かすぞ?」

何時間もかけて焦らされ続けた彼女は、小さな動きにも敏感に反応した

112 名前:缶詰の中の人 ◆FP9rUXa9Eo [] 投稿日:2007/11/21(水) 01:47:34.14 ID:Pdbj1oDM0
「どうよ?」
「お前……携帯で授業中に何書いてんだ」

目の前の自身ありげな友を見やる
女になってから急激に成長した胸を張っている
情熱を持て余す

「………未送信ボックスが多いが、もしや」
「うん、書き打め。いや、今の時期パソコン使わせてもらえなくてさー」

コイツはネット上のとある大型掲示板で、小説……の、もっと短い様なのを書いてるらしい
一応名家のお嬢様だ
親も今までは黙認していたが、書いてる内容がR18な物だと知るや否やパソコンを取り上げた
妥当な処置だな
しかしコイツはめげずに携帯で書いているらしい
いやもう、ゴキブリ並みの生命力

「女の子にゴキブリは失礼じゃないかな?」

初めは初心者同然の手つきだったのが、今では目を瞑ってでもメールが打てることだろう
ただ、コイツの受信ボックスには半年前の物も残っているが
『相手居ないし』、という身も蓋も無い事を訊いた

「あーー!!」

突如絶叫
平穏静寂を好む俺にとっては迷惑この上ない

「………どうした」
「………書いた奴……間違えてお母様に送っちゃった」

113 名前:缶詰の中の人 ◆FP9rUXa9Eo [] 投稿日:2007/11/21(水) 01:48:12.36 ID:Pdbj1oDM0
空気が凍った。気がする
そして、携帯が着信を告げた。早いな

「ど、どうしよう……」
「出るしかないんじゃね?」

青ざめた顔で電話を取る
母親の声が俺にも聞こえてきた
どうやら怒っているようだ。当たり前か
かなり焦りながら弁解をしている

『貴女はまた!』
「ち、違うんですお母様!」
『何が違うというのですか!これは決定的な証拠じゃない!』
「え、えと……その、其れは」

必死でごまかしの言葉を探している
言葉に詰まったあたりで駄目だと思うんだけどな
と、昔ながらの表現をするならば電球がついたような感じがした

「そう!わ、私の彼氏の日記なんです!それは!」
『彼氏?』

………無理あると思うぞ。内容とか
大体、その日記がどうやったら母親に送ることになる
火に油を注ぐだけ………

『………そう、それなら良いわ』

信じたよ。っていうか、良いのかよ

114 名前:缶詰の中の人 ◆FP9rUXa9Eo [] 投稿日:2007/11/21(水) 01:49:11.26 ID:Pdbj1oDM0
『今度、その彼氏さんを連れてきなさい』
「はい!」

電話を切り、安堵の溜息
達成感が顔に浮かんでる

「………彼氏居たのか」
「んー?居ないよ?」「は?」

連れてこいって言われたら、連れて行かなきゃ鬼のように怒るだろ、あの人どうするつもりだ


「大丈夫大丈夫」

俺の肩へ手を置いて、憎憎しいぐらいに良い笑顔

「彼氏役、君しか居ないじゃないか」



「…………マジで?」

『家の娘を穢しやがって』

とでも言いたげな凄まじい殺気を受けるのは、それから3日後の事だった………

~終~

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2008年07月21日 04:40
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。