215 名前:缶詰の中の人 ◆FP9rUXa9Eo [] 投稿日:2007/11/30(金) 01:26:02.65 ID:Pumig4nY0?
安価『もふもふ』
「………桜」
「はい」
額を汗が流れ落ちる
夏の日差しが容赦なく俺に降り注ぐ
「お前が服を作ったから着てくれ、と言う事だったな」
「そうですね」
桜は涼しげな顔で勉強している
そろそろ四つん這いの腕が痺れてきた
毛糸やらウールやらで作られた服が体温を逃がしてくれない
「…………これ、着ぐるみじゃねぇかぁぁぁぁぁ!!!」
魂の絶叫。汗が噴出す
そう、俺が今着ているのは羊の着ぐるみ
しかも無駄に凝っている
もふもふっとした羊毛が重い
この着ぐるみを絞ったら滝のように搾り出せるかもしれない。汗を
「羊、可愛いですよ」
「いや、それは今関係無いだろう」
何かしらの誘惑に負けた桜がもたれかかって来る
もふっと身体が沈んでいった
217 名前:缶詰の中の人 ◆FP9rUXa9Eo [] 投稿日:2007/11/30(金) 01:27:04.89 ID:Pumig4nY0?
「…………」
「…………」
ジージー
蝉が鳴いている
更に汗が噴出す
桜は悦に入ってるらしく、勉強に戻らない
「…………暑い」ボソッ
桜が小さく呟いた
「暑いなら無理すんなよ!」
「いえ、全然暑くないです」
「今暑いっつったろうが。って言うかなんで夏にこんなもん作るんだよ」
「可愛いからですよ」
「ふざけんな」
俺は何が悲しくてこんな事をしているのだろう
惚れた弱味だろうか
「……言ったじゃないですか。迷惑、かけるって」
「其処シリアスになる所違う」
そろそろ腕が生まれたての子馬
「心頭滅却すれば火もまた涼し、ですよ」
「大量に汗流しながら言われてもなぁ」
218 名前:缶詰の中の人 ◆FP9rUXa9Eo [] 投稿日:2007/11/30(金) 01:27:40.68 ID:Pumig4nY0?
「ヤバイ、遅れた………」
「篠崎ー、河原さーん、入る……ぞ?」
「脱いで良いか?」
「駄目です」
「………お前も限界だろ?」
「私、まだ我慢できますもん」
「我慢て言った」
「………」
「ほら、(服の)中まで(汗で)濡れてきてるじゃないか!」
「そんな事無いですよ!」
「そんな事ある!」
「もう!脱がないで下さいよ」
「ハァ、ハァ……あぁもう、これ、何処に入れようか?」
「そんな所入れちゃ駄目です!」
「知るかっ!」
「そんな乱暴にしないで下さい!」
「………えーと」
「ごゆっくりぃぃぃ!!この不純物共がぁぁぁぁぁぁ!!(泣)」
羊の着ぐるみをダンボールに入れると、紙の屑などが羊毛に引っ掛かっていた
どうやら切り取った紙片とかを入れていたらしい
不機嫌な桜を宥めるのに結構時間が掛かった
………そう言えば、柳生の奴遅いな
~おわり~
最終更新:2008年07月21日 04:41