4スレ66

  • 作者 4スレ66氏

放課後の生徒会室。
夕陽の射す室内、当然のように彼女はいた。
「あれー?坂田君だ」
椅子にもたれて笑うその人こそ、我が校の生徒会長、津島先輩だ。
普段と変わらない表面だけの微笑みに、来なきゃ良かった、と後悔する。
「…ノート、取りにきました」
「あぁ、これ?」
なるべく関わるまいとする俺に、津島先輩はニヤリと一冊のノートを見せた。
…って、それだ!!なんであんたが…!
「ほんと、真っ白ね。しかも`English´の綴り違うし」
勝手にパラパラと中を見ている。遠慮とか知らないのか、この人。
そこらへんの芸能人の数倍は美しい顔は、俺に接する時のみ、からかいと意地悪に満ち溢れている。 他の生徒が抱く『凛々しくクールな完璧超人』の面影はない。
反論できない俺に飽きたのか、先輩はやっとノートをかえしてくれた。
よし、さっさと帰って明日の試験に向けた悪あがきを…
「坂田君、帰るの?」
誰もが惹かれる、美しいハスキーボイスが背を向けた俺に放たれた。…やばい。「会長がさぁ、試験前の貴重な時間を割いて仕事してるのにさぁ?部下がさっさと帰っちゃうわけ?」
そんなのあんたが勝手に…なんて死んでも言えない。「はい、これ」
頬杖をついて、雑誌の表紙でも飾れそうなスマイル。手には、書類の束。
「…」
終わった。

春、ただ普通の高校生活を送ろうとしていた俺の前に津島先輩は現れた。
君、私の下で働かない?
そう言った彼女は本当に、咲き誇る桜に見劣りしないほど綺麗だった。
のに。
俺と他の人間で態度がまるで違うし、毒舌できついし遠慮しないし。騙された!「くそっ、…会長!書類の整理終わりましたよ…っていねえええ!!」
もう最悪だ。


つづく

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最終更新:2007年08月04日 17:02