Kranteerl y io xal(本編後編)

(#43 DaSHの小説化版)
翔太と黒服はXelkenの拠点に侵入した。
しかし、拠点内は迷路のように入り組んでおり最奥部を目指すのに手間取っていた。

しかし、広いな・・・
まったく、残された時間はあとわずかだというのに・・・
そう思いながら翔太は黒服とともに最奥部へ向け走っていた。

そう考えている間に黒服は急に止まった。
「道が分かれている。 どういくかな」
「・・・」
「・・・」

こういう所は・・・
「よし、二人で左側に!」
黒服が驚いてるが気にしない。
ケートニアーだからろくな攻撃では死なない。

まぁ、だがしかし戦闘に入るのはご愛嬌である。
別に痛くも痒くもないがXelkenの戦闘員を数人倒し最奥部へ向かう。

行く先には扉がある。
扉には鍵がかかっているようだ。
翔太はウェールフープで扉を破壊し先へ急ごうと走ろうとした。
だがしかし、その扉の先にXelkenの戦闘員がWPライフルを持ち目を輝かせていた。
不気味な笑い声が聞こえた。

WPライフルによる一斉掃射を受けながら翔太は無意識に覚醒を始めた。
額が熱くなる、轟音を立て風を起こし翔太の力を高めてゆく。

「なっ!?何だあれは!」
Xelkenの戦闘員たちが驚き警戒する、だが時はすでに遅し。

「さぁ~て、こ こ か ら だ ぜ 。」
翔太の体は火をまとい火球を手に浮かべ立っていた。

まず、Xelkenの一人を超高速で殴り剣で向かってくるネートニアー諸共火の剣によってなぎ払った。

Xelkenはいなくなった。
だがしかし、そこにまだ一人の男の姿があった。
「てめぇ・・・誰だ・・・」
「私か、」
「私の名は・・・
      Ales.Falkac」
なるほど、こいつがシャルの父親・・・Xelkenの親玉ということになる。
「やることは決まっているだろ。」
「ああ、決着をつけてやる。」

シュカージュの氷塊は何度撃っても寸での所で当たらず、シュカージュはいらいらしていた。

「どうした姉さん!逃げてばかりじゃないか!」
姉さんは本気を出していない。
そんなことは分かっているさっさと本気を出して僕をもっと喜ばしてくれ。
姉さんが最後のピースなんだ。

「くっ」
明らかに劣勢。
もうこれだけ時間を稼いだのであればしょうがない、多分これを続けても体力を消費するだけ・・・。
望むのであれば、相手をしてやる。

「あは、アハハハハハハハハ!ようやくだ!姉さん!」
これで姉さんと本気で戦える。
それに狂喜を覚えクラディアに氷塊で串刺しにしようと臨戦態勢に入ったがしかし、クラディアはそこからいなくなっている。

「あ、あれ、い、いないだと。」
瞬間気配を感じる。
「後ろか!」
振り向く間もなく後頭部を殴られる。
WPで加勢しているのか強力な力だ。

舌打ちをしつつ後ろを振り向くがそこには虚無しかなかった。
「なん・・だと・・・」

正面から腹にストレートが入る。
「かはッ」

正面を殴るがまたもや虚無。

まぁいい。
僕にもまだ力は残っている。


「・・・変ね。」
まったく動かない、下を向いて黙っている。
生気が感じられない。

「あきらめたとは・・・思えないわね。」
その瞬間、シュカージュの体の周りを雷が覆った。

「ま、まさか」
ラーデミンが体を浸蝕している。
シュカージュからラーデミンが出てきてシュカージュの目が赤く光る。

「ネ エ サ ン ホ ン キ デ コ ロ シ ア オ ウ ヨ」

基地でシャルとリーサは待機していた。
ただ、待機しているのも体が疼くのでとりあえず、本部へいってみることにした。
「連邦上層部のことが知りたいですね。 いろんなことが分かるかと―って聞いてますが!シャル殿!」

しかし、シャルはあさっての方向を見ながら行った。
「ええ、でもその前に・・・」

砂煙の中に人物のシルエットが浮かんでくる。
シャルがリーサに向き合い、言う

『先客よ。』

「誰なの・・・」
リーサが怖さ半分興味半分で聞く。

シルエットが喋った。
「まさか、君たちの方から気づいてくれるとはね・・・」
「あなたは・・・」
「少し予定が狂ったがまぁ、いい。」
リーサが臨戦態勢だ。 正体が分かったのだろう。
そう、奴の正体は

「Xelkenの幹部・・・。」
「そっちがその気なら、少し遊んでやるよ。」
手に火を浮かべその幹部は戦闘を開始した。

#44
FAFS
    • *
翔太は今だ、ファルカスと戦闘を続けていた。
翔太とファルカスの攻撃と防御の応酬は見ていて美しいほど噛みあっていた。
だが、二人には確実に疲労がたまっていた。

「くっ、ファルカスッ! こんな終わり方でいいのか! 共産党総裁は死んだ! もう、終わりだッ!」
翔太が虚空に叫ぶ。
戦闘しながらなのでファルカスの姿は見えない。

「…時間だ。」
そういって、ファルカスは"""消えた"""。
姿が見えなくなった。
感じていたあの覇気が完全に消滅した。
逃げたのか、いや奴とは互角だった。
部屋の壁を見つめてもファルカスは出てこなかった。
シュカージュ、クラディアはケートニアーの中でもラーデミン使いに入る。このラーデミン使いはウェールフープが使える動物をパートナーにして暮らしている一族だ。

そして、シュカージュもそうだった。

「コ レ デ オ ワ リ ダ」
シュカージュの声…人間の声とも思えないその声が頭に響く。
シュカージュのラーデミンである竜が彼を操っているのだ。

「シュカージュ…あなたを…全力で止めます。」
竜の攻撃を避けシュカージュに近づく。
「シュカァアアアアアージュ!」
シュカージュに触れようとした瞬間、シュカージュがその場に倒れこみラーデミンが消え去った。

「間に合ったようだな。」
声の方向を向くとそこにはファルカスが立っていた。
「Ales...Falkas...」
    • *

#45
FAFS
    • *
「Ales...Falkas...」
そういってクラディアは固まっていた。
なんで…ここに…

「何故、Xelken.valtoa総統の貴方がここに…。」
「見つけたんでな」
見つけた?一体何を見つけたというのか。
まさか、翔太をひきつけておいて私たちを殺そうというの?

ファルカスはシュカージュを足蹴にして言う。
「お前ら、レシェールの一族はな、血族の四人の血を飲むことでラーデミンが強化される。私たちの邪魔になる前に排除する、それだけのことだ。」
「…連邦の上部、共産党と癒着し長い間、私たちを、翔太を戦いに巻き込んだ罪は重いですよ。」
「八ヶ崎もアフツァーフリーガであってレシェールの一族なのだ。八ヶ崎翔太をXelkenにおびき寄せる命令をしていないにも拘らず独断で父を襲いxelkenに呼び入れると言っておきながら殺して血を飲もうとしていたのだろう。我らの一番の裏切り者はこいつだったということだ。」
そうか、私が最後のピース。 四人目の血ということか。

「強い血によってラーデミンはより強くなる。 だが、彼は今ここで殺す。」
「糞野郎が!」
クラディアが氷塊を撃つ。
だが、ファルカスは動かず手をかざした。

「少し静かにしてもらおう。」
氷塊の進行方向が完全に変わり異常な速度でクラディアに刺さる。
「くっ」
衝撃で吹き飛ばされ建物に打ち付けられる。

「さぁ、レシェールのエトゥシャータ・ラータよ。 死ぬがいい。」
手に火の剣を持ち足元のシュカージュに刺そうとする。
しかし、シュカージュに刺さる寸でのところで手を止めWPライフルを取り出し誰もいない方向へ撃った。だが、何も起きなかった。
ファルカスは焦っている様子だったが次の瞬間銃声が聞こえた。
何発か分からないWPライフルの連射、気づいたときにはファルカスの体は蜂の巣になっていた。

「くっ、何者だ!」
ファルカスが叫ぶと黒服の男性が姿を現した。
歩き出しファルカスに近づく。

「き、貴様は何者だ!」
「死神だ。」
フードをとって見えた姿はラヴュールだった。
ハンドガンを取り出し頭に当て弾丸がなくなるまで撃ち続けていた。

「ら…ラヴュール?」
そこには死んだはずのラヴュールが居た。
「ラヴュール…あなたは死んだはずじゃ…」
「ああ、でも何故か次起きたときには生きていた。何故かね。」
どういうことだろう。 誰が蘇生したのだろう…。

「クラディア、まだあの二人が戦闘している。行こう。」
「はい。」
    • *

#46
DaSH
    • *

「……ったく。痛ってえなおい」
ファルカスは落ち着きを取り戻して言う。
「だいぶ焦っちまったが、それほどでもなさそうだな、死神」
彼はラヴュールに向かって言う。
「……チッ。外したか。まあいい。シュガージュの身柄は預かった」
対するラヴュールは少し残念そうな顔をしながらも、間に合ってよかったという安堵で満たされていた。
だが、その顔はすぐに緊張する。
「シュガージュをこちらに渡せ」
ファルカスが炎の槍をラヴュールの周囲に無数に召喚し、ラヴュール目掛けて発射する。
「ラヴュール!!」
クラディアが叫ぶ。
「チィッ…!」
ラヴュールは抵抗しようとするが、ファルカスの槍の速度に間に合わない。 
ラヴュールは死を覚悟した。
「「消えろ!」」
しかし、槍はラヴュールの元に辿り着く前に消え去った。
「……間に合ったか」
ラヴュールの前には翔太がいた。

    • *

#47
KPHT+FAFS

「翔太!」

「翔太君・・・」

クラディアとラヴュールが翔太の姿を見て安静の顔を浮かべる。ファルカスは舌打ちをした。

「追ってきやがったか」

クラディアはラヴュールに駆け寄った。

「俺のやるべきことはお前を倒すことだ!」

翔太は手に炎を再び浮かべファルカスへ再び攻撃を仕掛けた。

    • *

「ふー・・・」

「なんとかやりましたね。シャル殿」

シャルらは突然絡んできたxelkenの幹部にいちおう勝つことができた。しかし、シャルはウェールフーポを限界まで使い果たしてしまったようだ。

「どうしましょう、翔太殿のところまで合流しますか?」

「とりあえず、そうしましょ

二人は地面に倒れ込んだxelken幹部を後ろに走って立ち去って行った」

(馬鹿なガキ共め・・・そのまま総統へ突っ込んでみろ・・・さもなくば死ぬぞ・・・総統の恐ろしさを思い知れ・・・くっ)

    • *

「翔太君!今すぐファルカスから逃げるんだ!」

ラヴュールが注意を喚起する。翔太はファルカスに押され気味であった。

「どうした、アフの子孫よ。ついさっきのあの強気はどうした」

「う、うるせえ・・・今からお前を殺すから・・・そこで待ってろ・・・」

翔太は肩を押さえながらふらついていた。

翔太はふたたびWPを発動する。すると翔太の手に5mはありそうな剣が出現した。翔太はその剣を10本ほど出現させファルカスに投げつけた。しかし、それらの剣はすべて進行方向をくるりとかえ、翔太の方向に向かった。そして翔太に突き刺さる。

もうあたりは血がべったりとついていた。

「ラヴュール、私たちも加勢しましょう!」

クラディアがその光景に耐えられなくなったのか、ラヴュールに提案する。

「いや、ダメだ。奴はアフの子孫によって倒されるべきだ・・・」

「このままでは翔太の身体回復の為にWPを使われてそのうちウェールフーポも切れます!」

すると、翔太の頭に一つの光が灯った。同時に翔太の周りで爆風が起こり、あらゆる砂埃を吹き飛ばした。あの守護霊である。

「アフの子孫よ・・・世界を救え」

    • *

そして、シャルが二人のもとに到着する。リーサは数秒遅れて到着した。

「あ、父さん・・・」

ファルカスがシャルらに目をやる。

「おい、シャル」

「・・・なによ」

「父さんのことが好きか」

「!?・・・いきなりどうしたの父さん・・・?」

「やはりお前は、そこのアフの子孫と共に過ごし、古代からのリパライン語を否定するのか」

「ち、違う!」

「じゃあなんなんだ、お前は古理派か?新理派か?」

「私は・・・」

シャルの目には涙が浮かんでいた。翔太はそれをじっと見ていた。

「私は・・・ただ、古リパライン語を話さない人たちを皆殺しにしようとする父さんの持論を間違ってるって思って行動しているだけよ!」

「どこが間違っているんだ!私は古リパライン語を話そうとしないやつらを皆殺しにしてみんなが古リパライン語を話す世界を作り上げようとしているのだ!」

ファルカスの罵声が飛ぶ。もはや父親としての顏ではなくxelkenとしての顏であった。

「だから・・・」

シャルが涙を鼻水をすする。

「そんなことのためにネートニアーや一般市民を巻き込んでいいと思っているの!?そんな父さんの願望で何万何億の人々を殺していいの!?」

シャルの必死の一言があたりに響く。シュカージュもクラディアもそれを聞いていた。

「・・・もういい。わかった。そんなにお前に古リパライン語のよさが分からないのならば・・・いっそここで死ね・・・」

「え?」

「16年間・・・ご苦労だったな」

シャルは父親を食い止めようとWPを発動しようとするが、先ほどの戦闘でウェールフーポをほぼ使い果たしたようだ

「くっ、父さん・・・待って・・・」

「新理派の娘など用はない!」

シャルの周りに火焔が現れ始めた。その火焔はやがて10倍に燃え盛りシャルを灰にしようとしていた。翔太がそれを助けようとするがあまりに炎が大きいために近づけない。クラディアもラヴュールも重傷を負っていて助けられない状況。

「クソッ、シャルーーーーーーーーー!!!」

「アフの子孫よ・・・世界を救え」

ものすごい熱風が吹き荒れる。同時に彼らがいた部屋、建物ごと吹き飛んだ。

熱風で、シャルの周りで燃え盛っていた火焔が消えたように見えた。

「クソッ、アフの子孫め・・・ついに完全に覚醒したか・・・!」

翔太はもはやだれにも止められない。なぜなら、彼はケートニアーの本質を理解し、もはや人間ではないものになろうとしていたから。やがて、翔太から直視が全くできないまばゆい閃光が出た。

翔太はファルカスに向けて手をかざした。翔太の眼は赤紫にかがやいていた。やがて、翔太の手からまばゆいビームが放たれた。そのビームはファルカスに直撃した。

「吹き飛べえええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえぇええええええ!!!」

そのビームはファルカスに当たるとものすごい爆発を伴った。すると半径700m以内にものすごい爆風が広がり、辺りは更地になった。ものすごい閃光をまわりに放ち、強力なWP波を四方八方に飛ばした。

#48
FAFS
    • *

爆発が収まった。

翔太は地面に着地した。やがて煙が晴れる。そこにはもうファルカスの姿がなくなっていた。まわりには気を失ったクラディアとそれを抱えるラヴュールがいた。

「シャルは!?」

ふと、焦り始める。さっきの方向を見てみる。そこには、目をつぶったまま血まみれになって倒れる無残なシャルの姿があった。

「シャル!」

「翔…太…。」
「し、シャル!」
シャルに近づきシャルの声を聞く。
「け、っきょく、わた、わたし、まけ、たの…?」
「もう喋るな、もういいんだ、誰も負けてない。」
「わた、しは…とうさんに、とうさんにわかって、ほしかった…」
「へい、わな…みらい、ほしか、た」
そういってシャルの目から正気が失われ力が抜けた。
翔太に伸ばされたシャルの手は地面に打ち付けられた。

「この労働者は、頑張ったよ。」
ラヴュールが言う。
「シャルは死んでないッ!早く病院にッ!」
「もう、彼女は…」
「死んでないッ!!!
クラディアが肩を庇いながら近づく。
「翔太、残念ですが…」

「うわぁああああああああああああああああああああああああああああ」
翔太は虚空に叫んだ。

    • *
シャルは死んだ。
翔太は今回の戦闘のXelken戦死者式典に居た。
今回の戦闘での死者も平均的なテロの死者数よりも断然多かった。

「今回の戦死者に哀悼の意を捧げると共に…」

そしてもっとも痛手はシャルを失ったことだ。

「Xelkenは全力を持って各派閥の抑止に動き平和の実現へと…」

僕の生活と大切な人々を殺していった。
だから、


大衆の面前にXelken反戦派の人物が出てくる。
「私は…」
瞬間爆風が目の前を覆った。

「何だ!?」
「うわぁあああ!!」
「助けてぇ…!」
困惑の声、悲鳴、苦しみもがく声…
全て、全て翔太の暗い闇に吸い込まれてゆき、そのたびに気持ちよくなっていく。

世界は繰り返す。


人の恨みは消えることはない。



「僕は…繰り返す、繰り返す、繰り返す、繰り返す、繰り返す」
逃げ狂う人を尻目にぶつぶつ呟きながら真っ直ぐ壇上へ向かう。
そして、喪服のXelkenの首根っこを掴んで言った。

「世界は…繰り返す。」
「き、貴様…x.aの残党か…」
「繰り返すなら……ここで止めるッ」
ふところからWPライフルを取り出し喪服のXelkenに言う。
"Salar, mi'd undesti."

翔太が引き金を引こうとする瞬間、翔太の頭に銃弾が大量に打ち込まれた。
「間に合ったか…」
翔太がその場に倒れる。
喪服のXelkenがずるずると後ろに下がった。

「ラヴュール、本当にこれでよかったのでしょうか。」
少女は問う。
「世界は繰り返す…だろ。」
ラヴュールは自分の銃を頭に当て引き金を引いた。

少女に血が掛かる。

世界は繰り返す。


人の恨みは消えることがない。



少女はまた歩き出した。

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最終更新:2015年03月20日 17:21