レイフェイ

2006/11/01(水) 23:48:06 ID:/g369sQh
「レディ!! ファイッ!!」

リングに響き渡る声。

リングの上にはレイ・フェイとアイリーンが向かい合っている。

試合開始前から、レイ・フェイが妙に落ち着きなく、
うつむいていること以外は通常と何も変わらない。



レイ・フェイはホテルのロビーに独り座っていた。

頭の中に“敗北”の二文字が駆け巡る。

相手は、過去、チャンピオンの影。あまりに一方的な試合展開だった。
開始直後、一瞬にして影は視界から消え、自分の体が宙に舞っていた。
落下する肢体に浴びせられる打撃技の連続。地に叩付けられた後、
腹に落ちて来た踵落しで、レイ・フェイは意識を失った。

あれが忍びなのか…。

レイ・フェイは溜め息をついて、重い腰を上げ、
鎮痛剤を貰いに救護室へ向かって歩きだした。

全身にズキズキした痛みがはしる。


レイ・フェイは救護室のドアをゆっくりとした動作で静かに開けた。

「んん…、剛はんったら…」

なっ!?

レイ・フェイは一瞬戸惑ったものの、静かにドアを閉めた。

勢いよく開けなくてよかった…、影のオカゲだな…

レイ・フェイは仕方なく、自室に戻ることにした。

しかし…、格闘家たるもの、何故ドアの音にも気付かないのだ。
急に襲いかかれたらどうするのだ。信じられない。
無論、敗北した私にこんなこと言える資格はないが…。

視線をエレベーター乗り場の方に移すと、そこには見慣れた男女がいた。

イタリア男と黒人の女だった。酔っ払っているのか、二人とも頬が赤く染まっていた。

レイ・フェイは、仕方なく階段を使う事にした。

鈍い痛みに耐えながら、階段を一段一段昇っていく。

あの二人は付き合っているのだろうか。全く気がつかなかった。
それにあんなにも気の強そうな黒人女に、
軽そうな男がくっつくものなのか。レイ・フェイの頭の中に、
昼間に見た試合着のバネッサの胸元がぼんやりと浮かんだ。

咄嗟にレイ・フェイはその映像をかき消す。

くだらない、わたしには関係のないことだ。


やっとのことで、レイ・フェイは自分の部屋のにたどり着いた。

一体この大会はどうなってんだ、夫婦参加の大会なのか?

レイ・フェイはベットに倒れこんだ。

剛のモノを咥えこんだ、葵の小さな唇がレイ・フェイの頭いっぱいに広がる。

何年も修行をしてきた。性欲などというものは、とっくの昔に押さえこんだはずだった。

今更自分の女が欲しいなどとは思わない。

レイ・フェイはベットに倒れこんだ。

今大会に出ている女性は5人。
言わずと知れた女優のパイ、アイリーン、黒人女、着物の女、金髪女。

余りものになってる男は誰だろう。

レイ・フェイはくだらない想像をかき消し、ゆっくりと目を閉じた。

その時だった。

コンコンッ、とドア叩く音が部屋に響いた。

レイ・フェイは痛みを堪えて体を起こし、ドアを開けた。

「こんばんは」

そこに立っていたのはアイリーンだった。

「なんだ?」
「パイさん、どこにいるか知りませんか?」
「さぁ、知らんな、部屋にいなかったのか?」

正直レイ・フェイは、今は女を見たくなかった。今日はどうかしてる…

「いなかったです…」
「じゃあわからんな」

アイリーンはうつむいた。


「何で俺に聞きにきたんだ?」
「えっ?あっ…、いやっ、それは…、あの、違いますっ、別に特に深い意味は…」

アイリーンは顔を真っ赤にしてあたふたした。

その恥じらう姿にレイ・フェイは、自分の顔が熱くなるのを感じた。

「少し休んでいかないか?」「えっ?」

思わぬ言葉が自分の口からついてでた。

「でっ、でも、迷惑じゃあ…」
「国の言葉が通じるのはあんただけた、少し話したいんだ」
「……」

アイリーンはモジモジしていたが、あきらめた様にレイ・フェイの部屋に入った。

この様な狭い密室で、女と二人っきりになるのはレイ・フェイにとって初めての事だった。

白いTシャツにわずかに透けて見える水色のブラジャー。
レイ・フェイは慌ててそこから視線をそらす。

レイ・フェイは冷蔵庫から2本ジュースを取り出し、1本をアイリーンに渡した。

最初はお互いの出身地の話や、最近読んだ本なんかについて話してるだけで、
正直、会話ははずんでいるとは言えなかった。


しかし、話がパイのことになった途端、アイリーンの目の色が変わった。

目はキラキラと輝き、話が止まらない。ノンストップでパイが出た舞台や映画の話だの、
格闘スタイルについて話し始めた。

「でね、でね、私が初めてパイさんの演舞を見たのが…、キャッ!!」

アイリーンの短い悲鳴でレイ・フェイは我に返った。

レイ・フェイはアイリーンに抱き付いていた。ジュースの缶はアイリーンの手から落ち、
ジュースが床に広がった。

「ちょっ…、レイ…んっ」

自らの名前を発しようとしたその唇を、レイ・フェイは自らの唇で塞いだ。

「んぅ…ぅぅ…、やめてっ!!放してっ!!」

アイリーンは泣きそうな声で叫び、レイ・フェイから離れようと暴れだした。
暴れた膝がレイ・フェイのみぞおちに食い込んだ。

「ぐぉっ」

レイ・フェイは本日2度目の攻撃を腹にくらい気が遠のいた。

「あっ、ごっ、ごめんなさい…」

――情けない。襲った小娘に腹を蹴られて気を失って、挙句の果てに謝られるなんてな…

「あの…、あっ、こういうの初めてで…、その…、びっくりして…」

――最悪だ。



「あっ、でも気にしないで下さいね、わたしっ、平気ですから…」

――気にしないで?ふざけるな、この小娘は俺に情けをかけているのか?

「ごめんなさい…、大丈夫ですか?試合で怪我してるのに…」

――馬鹿にしてるのか?

「キャッ!!」

再び部屋に小さな悲鳴が響いた。

レイ・フェイはアイリーンのTシャツを無理やり脱がせ、ベットに押し倒した。

こぶりであるが、形のいい胸が水色のブラジャーに包まれている。

「あっ…、いやっ…」

レイ・フェイは馬乗りになり、大の字になったアイリーンの手を押え付け、
強引にキスをした。

レイ・フェイの舌はアイリーンの口の中を這うように舐めまわす。
徐々に大きくなっていく、喉の奥から聞こえてくるアイリーンの呻き声に、
我慢できなくなった。

レイ・フェイはブラジャーを真ん中から引き千切り、露わになった、胸にむしゃぶりついた。

「んぁっ!!」

アイリーンは全身をピクピク痙攣させながら、抵抗して、身をよじらせる。
が、男に馬乗りされ、腕を押さえ付けられたアイリーンに逃げ場はない。
つばがついた胸の先の突起を軽く噛まれた。



「あっ…、ん…」

レイ・フェイは体を密着させ、胸を舐めながら、押さえ付けていた腕を放し、
その手をそのままズボンとお腹、正確に言えばパンツとお腹の間にすべり込ませる。

「いやあっ!!駄目!!」

粘液で手が濡れる感触がレイ・フェイの全身に広がった。

アイリーンは勢いよく上体を起こし、レイ・フェイを突き飛ばした。
ズボンの中に入っていた手は、外に出て、アイリーンの白いお腹に、粘液の筋がつく。

アイリーンはベットから転がり落ちるようにして逃げだしたが、
すぐに後ろから抱き付かれ、胸を鷲掴みされる。

「痛いっ!!」

レイ・フェイは右手をアイリーンの腹にまわし、左手を前から股の間にもっていき、
ズボンの上から中指に強く力を加えた。

「あんっ!!いっ、いやっ!!」

叫び声を無視して、レイ・フェイは更に力強く左手に力を入れ、振動を加える。

「いやっ!!あぁ…」

腹を押さえていた右手の力を抜くと、
アイリーンは初めて感じたであろう刺激に耐えられず
足の力がなくなったかのように、ヘナヘナと床に座り込んだ。


レイ・フェイは自分が下に履いていたものを脱ぎ捨て、
激しく熱を持って上を向いたモノをアイリーンの口の前に突き出した。

「ひゃっ…」

アイリーンは目に映ったその物体を避ける様に顔をそらしたが、
レイ・フェイに頭をもたれ、強制的に、口の中に熱いモノを入れられた。

「ん…、ん…、んぐ…」

淫らな音がアイリーンの口腔内から聞こえてくる。

レイ・フェイは初めて味わう快感に我慢出来ず、顔を上に向けた。

――くっ、でるっ!!

レイ・フェイはアイリーンの半泣きの顔を見てやろうと、視線を自分のモノに移した。
…着物女?

「ウッ!!」

自分のモノをくわえていたのが、
いつの間にかアイリーンではなくなっていた謎を考える前に、
レイ・フェイは絶頂を向かえた。

そして全てを悟った。

言うまでもなく夢精だった。

レイ・フェイは辺りを見回した。それは間違いなくホテルの自室だった。

だが、ゴミ箱に入っていた空っぽの2つのジュースの缶と、
脱ぎ捨てられた自分の衣類を見てレイ・フェイ青ざめた。

――おかしい、どこまでが現在で、どこからが夢なんだ…?


結局、誰にも何も聞けず、時間だけが過ぎた。
2試合目の相手がアイリーンだと聞いて、棄権しようか本気で考えた。

こうして向かい合っただけでも、
レイ・フェイの頭では上半身裸のアイリーンが勝手に動きだし、何も考えられなくなる。

――相手の顔をまともに見れないで戦えるわけがない。

結果は当然、惨敗だ。

「キャハハハ、10年はやかったわね、な~んちゃって♪」

――本当に10年修行しないといけないかもな…

レイ・フェイはそんなことを考えながら、
次第に遠くなるアイリーンの無邪気な声を、かすれゆく意識の中でただただ聞いていた。




この日を境に、レイ・フェイは試合前に梵字を顔に書き、
黒や赤の目隠しをして戦うようになったという。

その理由を知っているのは、この話を読んだ者だけである。

    完
最終更新:2007年01月06日 23:54
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