4-ブラッド×葵

血×葵 :2008/07/05(土) 17:42:08 ID:HCf5ASNU

第5回世界格闘トーナメント会場―


ブラッドはいい女とより強い相手と闘うためにこの大会におもむいていた。
第4回トーナメントのあとの虚無感…それは彼の性格上耐え難いことであった。
今の彼の心境は、「この時を待ってたぜ!」まさにそんな感じだ。


お、いい具合に…
彼の目前に美人の姿が目に入った。
華奢ですらりとして緑の黒髪のエキゾチックな美人。
印象的なのはその独特な民族衣装。


「チャオ…アオイ!」
彼は梅小路葵の背後に彼女に気付かれないように近づき、彼女の肩に手を回す。
「いやぁあ~っ!」
アオイは文字通り飛び上がる。
「誰やの!?」
シュッ、とアオイはとっさに声の相手にビンタをかます。
しかしブラッドはプロのボクサーである。
彼女の平手をひらりとかわしさっと再び彼女の後ろに立った。
「相変わらずだな、ハニー」
アオイは後ろに立って自分の肩に腕を回したブラッドをびっくりした顔で見つめた。
「なんや、またあんたどすか…イタリアの伊達男はんがうちなんかに何の用やの?」
アオイはつんと唇を尖らせそっぽを向く。
「何の用って…冷たいなぁ」
ブラッドは苦笑いで言った。


ふとアオイの手元をみると小さな箱…日本の重箱というやつか を抱えている。
「ハニー、なんだいそれは?」
アオイはかあっと赤くなる。
「あ・あんたには関係あらへんわ!」
…ふーむ。
「好きな男に手作りの弁当かい?妬けるなァ」
「あ、あほ!!アキラはんはそんなんとちゃいます!」
と言った後でアオイははっとして

口を塞ぐ。
耳まで真っ赤にして俯いた。


なるほど、アキラというのは彼女と同じ日本人の結城晶のことだろう。
武骨そうな男だが…アオイはああいうのがタイプなのか。
ちょっと妬ける。


少し、からかってやろう。
「ノーノー!アオイ、そんなんじゃダメだ。

君は男の喜ばせ方をまったく分かっちゃいない。」
ブラッドは大袈裟に手を振る。
「えっ!?ほんま?」
アオイははっとしておろおろとした目でブラッドを見上げた。
強がっているけど、素直で可愛らしい。
そんなアオイの態度がますますブラッドのイタズラ心に火をつける。
「オーケー、俺が教えてやろう」
「ほんまに!
せやけど、迷惑やないの…うちに付き合わせてしもて」
本当に素直だ。
さっきまでナンパしていた男にこんな隙だらけの顔を見せて。
ブラッドは思わずクスクスと笑った。
「手取り足取りな…」


二人はアオイの泊まるホテルに向かうことにした。
「まず、渡すときはこうだ。上目遣いに目を潤ませて」
「こうでええの?」
アオイは言われた通り上目遣いに目をうるうると潤ませてブラッドに重箱を差し出す。
「そしてセリフはこうだ。「私だと思って食べて?」」
「うちやと思って食べて?
…恥ずかしいわこんなん…」
「オーケー!可愛いよ!アオイ!完璧だ。
君は飲み込みが早い」
ブラッドはこれでもかというくらいアオイをヨイショする。
「そ、そんな…うちは大したことあらへん。
あんたの教え方がええからやわ…」
アオイは頬をぽっと染めてもじもじと嬉しそうに言った。
こんな見え見えのヨイショにも嬉しそうにして。
よほど恋の駆け引きを知らないと見える。
ブラッドはぎゅっと彼女を抱きしめてやりたい気持ちを抑え、続ける。


「もしもアキラがウマイ!と言って食べたらこうするんだ。
「私の方が美味しいわよ」」
「ええー!そんなん無理無理!口が裂けても言えへんわ」
アオイはブンブンと頭を振る。
しかし構わずブラッドは続ける。
「アオイ。アキラは鈍感だからな、大袈裟なくらいでないと気づかんぞ」
「鈍感て…あんたが知ってるとは思えへんのやけど…まぁ当たってるんやけど」
ブラッドはアオイの肩をきゅっと掴んで顔を近づける。
「さ、俺をアキラだと思って」
「ほ、ほな…うちの方が美味しいんとちゃう?」
アオイは練習だというのに半分涙目になって真剣だ。

―もうそろそろいいだろう
「じゃあ俺に君を味あわせてくれ」
ブラッドはちゅっとアオイの花びらみたいな唇にキスをした。
あまりにも一瞬だったため、アオイは真剣な顔つきのままフリーズしたままだ。
「………ぎゃー!!!」
叫んで、飛び上がる。
「あ、後ろ危ないぞ」
アオイは、座っていたソファの隣にあったテーブルにつまづいて、後ろに倒れそうになる。
「きゃ…」
倒れそうになるのをブラッドはガシッとアオイの肩を抱いて支える。
アオイは、ブラッドに抱きつくような体勢になる。
二人の顔と顔が近くなる。
「…は、離して」
「俺を、アキラだと思って。」
ブラッドは、再びアオイの唇に唇を重ねる。
アオイの唇はぷるぷるしていてまるでさくらんぼみたいだ。
ブラッドは顔の角度を変え、するりと舌を挿入する。


「!!」
アオイは、びっくりしたようで、何とか舌の侵入を防ごうと固く唇を閉ざす。
ブラッドは、アオイの袴の上から彼女の尻に手をやる。
撫でさするように形を確認する。
「~~っ!」
アオイの唇が開くと、すかさず舌を滑り込ませる。
こんな時に舌を噛まれでもしたらたまらないので早めに舌と舌を絡ませ合う。
アオイはブラッドを突飛ばしでもしてやりたかったが、今はブラッドに体を支えてもらっている状態である。
手を離せば机に頭を打ってしまう。
くちゅくちゅといやらしい水音だけが響く。

「…ん…はぁっ!何すんのん!」
「何って…練習だよ?」
「こんな練習きいてへんわ!アキラはんはこんなんせぇへんもん!」
アオイは今にも泣き出しそうだ。
女性の涙には弱いブラッドは、泣かれたらまずいなぁ、なんて思いつつ続ける。
「アキラだってするだろ。
男と女が愛し合う方法なんてたったひとつさ」
「アキラはんも!?信じられへん…」
「アキラに嫌われたくないだろ?」
「あ、当たり前や」
「なら、俺の言う通りにするんだ。アオイ、君ならできるっ!」
ブラッドはぎゅっとアオイの手を握った。
「…よくわからへんわ…
うちは恋愛のことについては素人やからあんたの言う通りにします。
変なことせえへんといてね?」
やっぱりアオイ、素直だ。


「とりあえず、ベッドへ行こう。とりあえずその着物、脱いで」
「ええ!?着物脱ぐの大変やのに…着るのも大変なんよ!」
アオイはしぶしぶと着物を脱ぎ始める。
ブラッドはその子を自分もシャツのボタンを外しながら眺めていたが、むくむくと好奇心が沸いてきて、

「待ってアオイ。やっぱり俺が脱がせてやろう。」


「おおきに。一人では大変やから助かるわぁ」
アオイはふ~とため息をついて、くるっとブラッドの方へ向き直る。
なぜブラッドが手伝おうと言ったかというと…着物を脱がせてみたかったからだ。
この民族衣装は日本人女性を最も美しく魅せるものだ。
色んな国の女を食いつくしてきたと豪語するブラッドから見ても、どんなにセクシーなドレスでも着物には勝てまい、と思う。


アオイを襦袢一枚にさせると、割りと日本人らしい控えめなボディだと思っていたが結構出るところは出ている。
それでもすらりとした首と腰のラインなどは西洋人が逆立ちしてもかなわないようなエキゾチックな色気がある。


「んじゃ、脱がせてもらうよ」
「よろしゅうおたのもうします」
アオイはちょこんとベッドの上に正座をして、丁寧にお辞儀をして言った。
なぜかブラッドの方が変に緊張してしまう。

襦袢をするりと外すと華奢な鎖骨とやや小ぶりだが柔らかそうなバストが現れる。
それまで気づかなかったがアオイはまるで雪のように肌が白い。


「綺麗だよ、アオイ…」
思わず見とれてしまう。
「いややわ~ブラッドはん顔が赤いどす。
扇いであげまひょか?パタパタ~♪」
アオイは子供みたいに笑ってぱたぱたと手で風を送る。
「……アオイ…。」
恋愛に関しては素人だと言ってはいたが素人どころかほとんど無知ではないか。
女が男の前で裸になるということがどういうことなのかをまるで理解していない。
うーむ…これは…
先ほどキスをした時は慌てていたので恐らくアオイにとっては恋愛とはキスどまりなのだろう。


ブラッドはアオイをベッドの上に押し倒すと横に手をついて上に乗った。
「これから俺がすることに驚かないでくれ。
まぁ、後で感謝することになるだろうけどな」
ブラッドはふっと鼻で笑った。

「?」
アオイは相変わらずキョトンとした目で見上げている。


ブラッドは、アオイの首筋のあたりにちゅっちゅっとキスをする。
「んん…なんやの…くすぐったいわ」
アオイは体をもじもじと揺らす。「まあ見てな」
つうッと唇を耳まで這わせ耳たぶをあまがみする。
アオイの耳たぶは冷たくてぷにぷにしていてまるで「白玉」みたいだ。


ブラッドは唇でアオイの身体中を舐めるように愛撫する。
時々舌でペロッと舐めてあげるとアオイは「ひゃうっ」と可愛い声をあげる。


「ブラッドはん…うち何か変やわあ…あんたに触られる度に下腹のあたりがきゅうっとするんどす」
どうやらアオイもしっかり感じてくれているようだ。
「よしよし。大丈夫だ」
ブラッドはアオイの頭をポンポンと撫でて言った。
「もうッ、子供扱いせんといて」
アオイはぷくっと頬を膨らませて拗ねた。

ブラッドはアオイの乳房に手を伸ばすと下から上へと持ち上げるようにやんわりと揉む。
「…んッ」
よしよし。アオイも気持ち良さそうだ。


何回かその柔らかい乳房の感度を確かめるように揉む。
そして彼は雪のように白い乳房の中心の蕾を口に含む。
「…あぁんっ!」
アオイはびっくりしたようで身体がびくんと跳ねた。
しかしブラッドは腕を捕み身動きを取れないようにする。
「い、いやぁ…」
「大丈夫大丈夫」
口に含んだ蕾を舌でころころと転がしてやるとすぐにぴんと立ち上がった。
「ブ、ブラッドはん…ッ」
「気持ちいいか?」
「なんやよくわからへんけど気持ちいいわ…っ」
アオイは乳首を吸ったり転がしたりするたびにあんあんと可愛い声を上げる。
この鳴き声はなかなかすごいかもしれない、とブラッドは思った。
「アオイ、どうして欲しい?」
「もっと…強く胸を吸って…っ」


アオイはぎゅうとブラッドの頭を抱きしめ自分の胸に押し付ける。
ブラッドはそれに応えちゅうちゅうと胸を吸う。


彼女の汗と唾液で胸がべとべとになったころ、ブラッドはそろそろいいかな…とアオイの秘所へ手を伸ばす。
そこはもう十分なほど濡れていた。
「いややわ…そないなトコ…」
「嬉しいよアオイ、こんなに濡らしてるじゃないか」
「嬉しいことなん?」
「ちょっと触らせてもらうよ…」
つぷ…と指を入れてみるとそこはやはり少しきついものの愛液が潤滑油となって難無く彼の指を受け入れる。
「いやぁ…」
アオイはくねくねと腰を揺らす。指をくの字型に折って中を撫でてみる。
「ああんッ!!」
アオイはきゅうっと足を閉じた。なるほど。多分ココがいいのだろう。
アオイが感じる所を中心にリズミカルに抽送を続ける。
「ん…ああんっ…いやぁん…ッ」
どうやら痛みは感じていないらしい。
どうせ後で少しは痛い思いをしなくてはならないのだから…と今のうちにさんざん気持ち良い思いをしてもらおう、
とかなり激しく指を動かした。
アオイのそこはじゅぼじゅぼと音を立てて指を飲み込む。


「あッ、あっ~なんやうち…変になってしまいそう…っ」
指を飲み込む秘所が先ほどからピクピクと痙攣して絶頂が近いことを知らせる。
「いいぜ、イッちまいな」
「ブラッドはん…ッ!!」
アオイはそう叫ぶと膣内を震わせて果てた。

アオイは汗だくで胸を上下にさせながら息づいている。
やはり、初めてにしては強すぎたか…。
「ブラッドはん、これで終わったん?」
葵ははあはあと息をしながら潤んだ瞳で問いかけた。
「アキラはんとこないなことせえへんといけんの…ちょっと緊張するけど頑張りますえ
ほんなら、うち汗だくやからお風呂いただきます」
起き上がってベッドに腰かけると、葵はパタパタと手で風を送りながら言った。


「おいおい、まだまだ本番はこれからだぜ?ハニー。今のはほんの準備運動さ」
「ほんま!?あかん…うち試合よか疲れてしもたわ
今度じゃあきまへんの?」
ブラッドは葵を再び組敷くと、真上から葵を見下ろして言った。


「俺を慰めてくれるか?」
ブラッドに真っ直ぐな瞳で見つめられ、葵は不覚にも「ドキッ」としてしまった。
(うちのアホ!うちはアキラはんのこと好いとるはずやのに…
何でこないな伊達男に胸をときめかせなあかんのや!)
葵は心の中で「ドキッ」としてしまった自分を打ち消す。
そして自らも真っ直ぐに彼を見上げてみる。
よくよく考えてみればこの男をまじまじと見るのは初めてかもしれない。
(確かに…なかなかの男前やけど)
それまでは軽薄なナンパ男としか思ってなかったけど、よく見ればなかなかの…いや、かなりのいい男である。
アキラとは違った魅力があるではないか。
こんな出会い方さえしていなければ、葵もこんなええ男はんがうちみたいなんに優しくしてくれるやなんて…と思ったところである。

「なぐさめろ言われたかて…何をすればええの?
なんなら、頭なでなでしてあげまひょか?」
葵は手で「なでなで」の仕草をする。
しかしブラッドはその手を取る。
「なでなでしてほしいのは頭じゃなくてこっちさ、ハニー」
「こっち?」
葵はキョトンとした目で聞き返す。
ブラッドは器用にズボンのベルトを外すとはち切れんばかりのものを取り出した。
「君を可愛いがってたらこんなになってしまってね」
ブラッドはアオイにウインクを飛ばしながら言った。
「いやぁ~!!なんやのこれ!!」
アオイはいかにも気持ち悪い!と言いたげな表情と口調で言った。
自慢のモノをバカにされてブラッドも少しカチンときた。
(そのうちこれがなければ生きられないようにしてやるぜ、ハニー)
と心中で呟きほくそ笑む。
「アキラだってこうなるんだぜ?」
「嘘や!アキラはんも…ショックやわあ…
で、これをナデナデすればええの?」
アオイはブラッドのものに手を伸ばし、亀頭をナデナデと触る。


既にビンビン&突然だったためにブラッドは思わず飛び退いた。

「うわッ!いきなりすぎるよハニー、まずはこうさ」
ブラッドはアオイの伸ばした手をとると、根元を掴ませゆっくりと上下させる。
「うわぁ~なんや…変な形どすなあ…男はんはみんなこんなんぶら下がってはるん?」
「そうさ、アオイ。
だからって試合中対戦相手の股間ばかり見つめちゃいけないよ」
「アホ!でもうちついつい気になってしまうかもしれへんわぁ~」
アオイはまじまじとブラッドの股間の一物を観察する。
まるで虫かなにかの観察をするように、興味深げにまじまじと。
こんなにまじまじと見られるのは初めてだが、このお嬢様が自分のお宝を興味津々に見ているという光景は嫌いじゃない。
「さぁ…ゆっくりと上下に…」
ブラッドはアオイの細くてもちっとした手を握り一緒にしごく。
アオイの女性らしい手の感じだけでも興奮に値する。
「オーケー…いいよ、その調子…もっと動きを早めて、次は口に含みながら」
「口…ッ!それ、絶対にやらなあかん?」
アオイは少し戸惑ったような目でブラッドを見上げた。
「いいんだぜ、アキラに頼まれたときに恥かいても」
「いけず…。わかりました。やりまひょ」
アオイはその花びらみたいに小さくて可愛らしい唇にモノを含んだ。
アオイの唇が触れた瞬間、ついモノがびくっと震えた。
アオイは少し驚いたようだが、続けてモノを口に含んでゆく。
「そう。キャンディーを舐めるみたいにすればいい」
ペロペロとゆっくりと丹念に舐める。
「ん…ッこれでええですのん…?」
アオイは少し苦しそうだ。
無理もない。初めてなんだから当然だ。
「アオイ、苦しかったら無理しなくていい」

アオイはモゴモゴとしながら答える。
「大丈夫どす」
少し涙目になっている。
少し可哀想かな…
「アオイ、口から出していい」


ブラッドは腰を引いてアオイの口からモノを引っ張りだす。
先走りの液がつう…っと彼女の唾液とともに糸を引く。
アオイ本人は分かっていないだろうがとても嫌らしい光景だ。
ブラッドはアオイを跨がらせ彼女の太ももに自身を挟む。
彼女の一番感じる場所にしっかりと触れるように。
「あ、熱い…ッ」
「少し動かすよ」
ブラッドは彼女の腰に手をやり、自身もガクガクと腰を揺らす。
「うち…っまた変になってまうわ!」
アオイは頬をぽっと染めながら言った。
「すぐに気持ちよくしてやるよ」
一心不乱に彼女の秘部にモノをこすりつける。

「あっ熱いわ!ブラッドはんっ!」
「気持ちいいか!?」
「ええッ!ええどすッ!」
アオイの体が上下に揺れるたびその柔らかそうな乳房もリズミカルに揺れる。
このお嬢様のこんな姿を誰が想像するだろうか。
ブラッドは他の男…アキラよりも先に自分が彼女のこんな姿を見れたことに少し優越感を感じていた。
「ブラッドはん…っ!もうあかん…!」
「イクときは一緒だぜ」
ブラッドは更にスピードを速めると一気に精を放った。
アオイが二度目の絶頂を迎えたのもほぼ同時だった。
アオイはドサッとブラッドの体に覆いかぶさり倒れた。


「はぁ…はぁ…疲れたわぁ」
二人の体がぴったりと密着する。
「アオイ、ちょっと」
「もうちょっとだけこうさせておくれやす」
アオイは、照れたような表情を向けていった。

10分くらいそうやって抱き合っていたら、アオイはすっと立って襦袢を羽織ると、先ほどの重箱を持ってきた。
「日本食やからお口に合うかわからへんけど、良かったら食べておくれやす…」
うつむきかげんに頬を染めながらそう言った。
「でもこれはアキラの…」
「うちに出来るお礼なんてこれくらいしかないどすから…それに料理はまた作れます」

―これは嬉しいことだ。
「どうせなら食べさせてくれ」
「まっ!…仕方あらへん、今回だけどすえ」

アオイはパキンと割りばしを割ると、煮物をとってブラッドの口に運ぶ。
アオイはそのようすを恐る恐る不安気に見ている。
「これが日本の味か…癖になりそうだ」
「ほんま!?わぁ~嬉しい!作ったかいがありましたわぁ」
アオイは子供みたいに顔をほころばせ喜ぶ。

ブラッドはアオイの手から箸を奪うと今度は自分がアオイの口に料理を運んだ。
「お上手やなぁ…お箸の使い方」
「アオイの可愛い手をずっと見てたら覚えてしまったんだよ」
「お口の方もえろぉお上手で…」葵はちょっと呆れたような口調で言った。
しかし素直にあーんと口を開ける。
「ほんまに美味しいどすなあ」


しばらく談笑しながら重箱をつついていたが、アオイは立ち上がり重箱を綺麗に片付け、
元通りちゃんと着物を着付けるとぺこりとお辞儀をして部屋をあとにした。


そんな後ろ姿を見送りながら、ブラッドの頭の中ではじわじわと罪悪感が浮かんでいた。
もしかしたらアオイに嫌われるかもしれない。
しかしもう後の祭りだ。
罪悪感と同時にアキラに対する言い様のない嫉妬も渦巻いている。
彼女が日本に帰ればアキラといくらでも「さっきのようなこと」が出来る。
だが、自分には出来ない。
遊ぶときは遊ぶ、去るもの追わずの恋愛しかしたことがない彼にとって一人の女に対して嫉妬を覚えるなど初めての経験だ。
しかしブラッドは「男の嫉妬ほど醜いものは無いな」と頭の中の黒い感情を打ち消すのであった。


終わり
最終更新:2008年08月12日 23:45
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