無題:8スレ目991

991 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2011/03/26(土) 22:30:38.81 ID:D9sHB5Dmo [5/9]
「ん~……」

リビングで本と数枚の書類を前に俺は悩んでいた。

俺は高坂京介、22歳。大学4年生。

無事に就活も終え、あとは卒論を仕上げるだけだ。

そして俺を悩ませている原因はというと

「さっきからなにしてんの?ずっと唸っててキモいんですケド」

「いきなりだな、おい」

いきなり俺に暴言を吐いてきたコイツは高坂桐乃、19歳。大学1年生。

いわずと知れたハイスペック妹である。

いや、義妹である。

ついでに俺の彼女である。

「いや、車買おうかなって思ってな」

「え?いまさら?」

「う……まあ、そうかもしれないんだが……」

もう免許を取って3年近くになる。

この間車に乗ったのは親の車で、それも数えるほどしかない。

そんな俺がいきなり車を買おうかと思うようになった理由はというと……。

「その……高校の時の知り合いが車買ってな。この間ドライブにいったんだが……やっぱり楽しいし、うらやましいなぁ……と」

「はぁ?なにそれ。影響受け易す過ぎでしょ。そこまで行くとキモイを通り越して、哀れなんですけど?」

「さっきよりひでえな、おい」

実際そうなのだから反論の余地はない訳だが、ストレートに言われるとやはりちょっぴり傷つく。

「つか、京介の知り合いで今車買うような人いたっけ?せなちーのお兄さんはバイク一筋だし」

「えーっと、三浦って分かるか?ゲー研の部長やってたヤツ」

「ああ!あのお風呂に入らない残念な人!」

三浦よ、お前は俺の妹にひどい覚えられ方をされているぞ。

事実だから特に訂正はしないが。

ちなみに三浦は俺と同時に卒業して、働いている。

「残念な人だよね、あの人、ヘヴィ級ってか無差別級のヲタだし。普通にしてればいい人なのに」

「お前がいうな、それ」

「まあ、いいじゃん。で?あの人なに買ったの?」

「……スバル、インプ、STI-tS」

「ごめん、わかんない」

「簡単に言うと、メーカー純正のスポーツカーを、メーカーが更にスポーツ仕様にしたヤツだ。当然、値は張る。」

「どれくらい?」

「えーっと……たしか500万しないくらい」

「マジで!?」

「マジで」

桐乃が驚くのも無理はない。

社会人3年目。しかもヲタ趣味の三浦が持つ車としては高価すぎる。

しかも三浦はそういった車よりも、ヲタグッズに金をかけるイメージだしな。

992 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2011/03/26(土) 22:32:31.96 ID:D9sHB5Dmo [6/9]
そのころのゲー研

「すごいよこのSTI-tS!さすがSTIのお兄さん!!」

「順番で言えばこれが弟ですけどね」

「そんなこまかいことは気にするな真壁!」

「とりあえず事故らないでくださいね。もう吐くものもないから大丈夫ですよ」


「ちぃ!やっぱりパワーと駆動方式の差がありすぎるわね……相手に回転縛りでコノザマなんて!!」

「だから五更さん!やめましょうよ!いくらRSでもフィットでインプを追っかけるのはムリですって!!」

「……瀬菜、だまってなさい!舌かんでもしらないわよ!!」

「わあーん!!助けておにいちゃーん!!」

「(ターボかスーチャーを真剣に検討しなければいけないわね……!!)」




桐乃とふたりで中古車雑誌や新車見積もりの眺める。

イニシャルコストかランニングコストかどちらを選ぶかで、選択肢は変わってくる。

それが中古車であってもだ。

「つーかさ」

「うん?」

「別にいまじゃなくてもいいんじゃない?就職してからもでもいいじゃん、内定もらってるんだし」

「う~ん、まあ、そういうことも考えたんだが……」

「なによ、気持ち悪いわねぇ」

桐乃が怪訝な顔をしてこちらを見てくる。

う~ん、本音を言うべきか言わざるべきか……。

しかしすぐに22年の経験から言ったほうがいいという判定が下った。

「いや、俺もう8月くらいしかヒマがないだろ?だからお前と一緒に旅行とか……そういうの楽しむのには車あったほうがいいかなって……な」

「あ……うん、それは……そうかも」

桐乃が雑誌で顔を隠す。

たぶん……というか間違いなく赤くなってるんだろう。

本当にかわいいやつだ。

「って、そういうことなら、私も少しはお金だすよ?」

「いや、それは遠慮する」

「なんでよ?」

まだ少し赤い顔を雑誌から除かせながら桐乃が尋ねる。

ここはたたみかけるのが正解だと経験が言っている。

「彼女を乗せるんなら、自分の金で買ってないとカッコつかねぇじゃねぇか」

そういうと桐乃は、再び雑誌で顔を隠してしまった。

まったく本当に……



俺の妹はなんでこんなに可愛いんだ

993 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2011/03/26(土) 22:33:14.86 ID:D9sHB5Dmo [7/9]
数日後の黒猫さん

「すいません、ボルトオンターボとスーパーチャージャーの見積もりお願いできますか?」

「瑠璃姉ぇえ!!??買い物じゃなかったの!?なんでこんなトコにきてんの!?」

「安心しなさい。今日は見積もりもらうだけだから」

「瑠璃姉ぇぇぇえええーーー!!!」





終わり

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2011年03月26日 22:54
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。