『
鉄道』は
平井喜久松さんの著書で,
岩波書店から1936年(昭和11年)に第1刷が,1949年(昭和24年)に第7刷が発行されました。
このページには「第三編 運転,信号および保安 第三章 連動装置」を収録。
目次
第三編 運転,信号および保安 (p. 197)
第三章 連動装置 (p. 241)
§1. 概説 (p. 241)
信号機が適当の現示をしてもこれに関連する分岐器がこれに伴う位置になければ列車運転の安全を期し難い。而(しか)して信号機分岐器の数が多くなればなるほど間違いは生じやすくなる。そこで信号機および分岐器を扱う総ての梃子(てこ)を1箇所に集めて,機械的あるいが電気的の装置により互いに連動せしめ,例えば列車の通る関連分岐器が適当に位置に開通するにあらざれば信号機は無難信号を現示することのできないようにしたり,また逆に一端無難信号を現示する梃子(てこ)を引いた後は関係分岐器の梃子(てこ)は絶対に引く事ができないようにする。斯くの如き装置を連動装置と言うのである。
§2. 連動装置の種類 (p. 241)
連動装置には全然機械的なものと電気および圧搾空気等の動力によるものとある。前者は機械式連動装置(mechanical interlocking),後者は動力式連動装置(power interlocking)と称する
我国では連動装置を次の如く分類している。
- 第1種連動装置
- 機械連動装置(mechanical interlocking)
- 電気機連動装置(elector-mechanical interlocking)
- 電気連動装置(electric interlocking)
- 電空連動装置(electro-pneumatic interlocking)
- 第2種連動装置
- 機械連動装置
- 電気連動装置
§3. 第1種連動装置 (p. 242)
第1種連動装置は複雑な連鎖関係を要する場所に用うるものである。
1. 機械連動装置 (p. 242)
一般に広く用いらるるもので,梃子(てこ)は人力で動かし,梃子と梃子の間の連鎖を機械的に行うものである(第252,253図)。
これには色々な形式があるが動作ならびに連鎖が最も精確なものは Sakby and Farmer 型で,これが広く用いられている。
連鎖関係を簡単に説明するれば第251図に示す如く,梃子に(1)(2)の如きタペットと称する切欠を有する桿を取付けこの切欠に適合するドッグが喰い合うようになっている。今(a)図の(1)を引けばドッグは右に動き(2)の切欠に嵌入(かんにゅう)して(b)図の如くなり,(2)が鎖錠せられ(2)の梃子は動かすことができないようになる。
梃子(てこ)の動作はクランク,デフレクション・バー等によって信号扱所外に導き,鉄管または鉄索によって分岐器または信号機に伝えるものである(第254図)。
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2. 電気機連動装置 (p. 244)
信号機は電気的に,分岐器は機械的に操縦するものである。電気機連動機はサクスビー(Saxby)型機械連動機の上部に電気梃子(てこ)を取付けたもので,電気梃子を動かす方式により前後回転式と引出式の2種がある(第255図)。
3. 電気連動装置 (p. 245)
分岐器信号機ともに電気によって操縦するもので,梃子(てこ)は簡単に信号機および分岐器の制御回路の開閉をなし,それによって分岐器および信号機に取付けたモーターを動かし必要な動作をなすのである。これも電気梃子を動かす方式により左右回転式と引出式との2種がある。電源は交流または直流110Vを普通とする(第256図)。
4. 電空連動装置 (p. 245)
これは電気連動機と同様であるが,分岐器および信号機を動かすに電気および圧搾空気を使用するようになったものである(第257図)。
§4. 第2種連動装置 (p. 245)
第2種連動装置は簡単な連鎖装置であって,連動関係の必要な分岐器に小形の連鎖函を設け,これに関係信号機の導線を通じ分岐器と信号機との相互連鎖を行うもので,保安装置としてはあまり信頼できないが,取扱が容易で設備費も極めて少額であるから中小停車場では一般に広く用いられている。
1. 機械連動装置 (p. 248)
第2種機械連動装置には第258図の如き種類がある(第259図)。
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2. 電気連動装置 (p. 248)
簡易な装置で分岐器においては電気鎖錠器付分岐梃子(てこ)を各現場に取付けて機械的に取扱い,信号機においては色燈式を用い簡易電気連動機をもって電気的に制御するもので,梃子相互間の連動は総て電気的である(第260図)。
§5. 自動列車制御装置 (p. 248)
速度制限の信号を現示しているにも拘(かかわ)らず,列車または車輛が速度の調節を怠るか,またはこれを無視して信号を冒(おか)した場合,これを自動的に減速せしめて事故を未然に防止する装置を自動列車制御装置(automatic train control)と言い,次の如き種類がある。
1. 打子型 (p. 248)
この型は枕木上軌条の傍に打子を取付け,これと信号とは連動し,危険を現示している間は打子は軌道上に立ち,列車が通れば列車の制動用コックに接触してその列車を制動するもの(第261図)。
2. ランプ型 (p. 249)
第3軌条の如く本線軌条の沿うて長尺の接触装置(25〜40m)即ちランプをマンガン・スチールで作り,車上の接触子がこの箇所を通る時は接触し,ランプ,接触子,車輛,軌条間に電気回路を作り,その作用によって継電器または電磁弁を動かすものである。
3. マグネット型 (p. 249)
地上に永久磁石と電磁石とを装置し,車上の線輪に感応せしめる方法である。
4. インダクター型 (p. 249)
単に鉄心と巻線とからなるインダクターを設置し,信号制御継電器によって,進行信号の時は巻線を短絡し,停止信号のときはこれを開き,列車がこの上を通過するとき車上のレシーバーの1次線輪によって生ずる2次線輪電流にインパルスを与え,継電器を動作せしめる方法である。
5. 連続式 (p. 249)
軌道に通ずる交流電流を車上のレシーバーに誘導し,これを真空管により拡大して継電器を動作するものである。
参考文献
(著者・編者の五十音順)
書籍
- 平井喜久松『鉄道』岩波書店,1936年5月15日 第1刷発行,1949年7月15日 第7刷発行
辞典
- 岩波書店『広辞苑』〈シャープ電子辞書 PW-9600 収録〉岩波書店,1998-2001年,第5版
(書名の五十音順)
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更新日:2010年12月07日
最終更新:2010年12月07日 18:15