梨花ちゃんを押し倒したのは無意識だった。
「えーと、圭一?」 
「いや、これはだな……」
梨花ちゃんの長い黒髪が畳に触れる面積を増やしている。胸の前を両腕で隠すようにして俺を見上げて
いる様子は、無意識のままこの体勢にさせてしまった俺にこの先を躊躇させる。
いや、何を考えてるんだ俺は。
そもそもなんでこんなことになったんだ。
思い返してみる。
久々に会えて嬉しかった。梨花ちゃんの作ってくれた夕食は絶品だった。寄り添い、梨花ちゃんは
高校生活、俺は大学生活をお互いに話しながら時間を過ごした。そして、ふと会話が途切れたとき、
キスをした。
唇の感触は未だ残っている。梨花ちゃんの柔らかさと、熱さ。
俺は一瞬何も考えられなくなった。
気がつくと、この体勢。
「……圭一。何か言いたいことはあるかしら?」
睨みつけられていた。声色も一段と低くなっていた。
いつもの如く梨花ちゃんの腹黒変化(彼女に対して使う言葉ではないかもしれないが)。
ならば俺も痛い目(主に精神)を見る前に撤退するべきであって、これまでもそうしてきたのだが、
畳についた手は接着剤でもついているかのように離れない。
背に嫌な汗を流しつつ、沈黙が状況を改善できるはずもないと思い俺は口を開いた。
「あー、あのさ、俺たち久々に会ったよな」
「そうね。圭一がお金がないとか言って帰郷を遅らせてなかったらもっと早く会えたわ」
「…………」
 ……負けねぇぞ。何にかはよく分かっていなかったが。
「それは謝るよ。悪かった」
「許してあげなくもあるわ」
「…………」
……どうすればいい。
俺は今下で仰向けになっている梨花ちゃんをまじまじと見た。
振り乱された漆黒の髪。電灯の無機質な明かりがその黒髪に反射されたときだけとても美しく輝いて
見える。緑色のワンピースは年を重ねるごとに大人びる梨花ちゃんの子どもからのお気に入りの洋服だ。
サイズが合わなくなるたび買いに出たり、作ったりしているらしい。出会ったとき以来、俺の記憶には
このワンピースが存在し、何というか、いけない妄想をしてしまう。こう、胸も腰もすっかり女性らしく
成長した梨花ちゃんの、小悪魔的な笑みと無邪気な笑みが頭を巡って……。
「梨花ちゃん……」
いつの間にか口に出していた。
「…………」
梨花ちゃんは何も言わない。まっすぐに俺を見ている。
肩紐が腕の方へと寄っているのに今頃気づいた。そうして目に付いたのはブラジャーの紐。
透き通るように白い肌が鎖骨のふくらみにおいてより一層の滑らかさを。
胸元から下は俺の影で隠れており、視線をそちらに移すのをやめた。代わりに、首筋を辿り再び目を
合わせる。
自分が何をしたいのか理解できてきた。
「梨花ちゃんて十六歳だよな?」
「そうだけど?」
「実は俺は二十歳だったりする。」
「? そんなの知ってるわよ」
「ああ、そこで導きだしたい結論がある」
「なによ」
「俺たちはお互いに結婚できる年齢だってことだ」
「……は?」
……は? 俺は何を言ってるんだ?
「……もう一回言ってもらっていい? 圭一」
「いやっ…そのっ…ああっと……っと」
俺が軽いパニックを起こしてもごもごしていると、
「圭一、お願い」
と、梨花ちゃんが縋ってきた。シャツが引っ張られる。
顔を見た瞬間自分を殴り倒したくなった。言い換えると、覚悟が決まった。
「梨花ちゃんと結婚したい。一緒になりたい」
……言った。言ってしまった。
って指輪も何もなく何を言ってんだ俺はぁっ! 男としてどうなんだこれはっ!
しかし常日頃考えていたことでもあるから本心であることに変わりはないのだが……。
というかちょっと待てよ。断られたら俺はどうすればいいんだ。今更ながら不安になってきた。
心臓がばくばく鳴っていて息苦しい。雛見沢の夏夜は涼しいはずなのに、この汗のかきようは
どういうことだよ俺前原圭一。
そんなことを考えていると、首に手が回されて重みが加わる。
「うおっ」
梨花ちゃんが抱きついていた。しかしすぐに手を離しばたんと畳みに倒れる。
そして。
「はいっ」
と涙を目の端に浮かべながら返事をしてくれた。俺はその笑顔をきっと生涯忘れない。
心を奪われた。同時に、理性も。
震える声で梨花ちゃんに言う。
「して……いいか」
顎に軽く手を添えられ、同じく添えるようなキスをされる。
「圭一の、したいように」
梨花ちゃんは幸せそうな顔でそう言った。

俺は梨花ちゃんに覆い被さった。

唇とその奥を執拗にに嘗め回しつつ、梨花ちゃんの首と畳みの間に腕を通し首筋と耳を指でなぞる。
感じるのか、時折びくっと跳ねるのが唇越しに伝わってきた。
「ん…んん……はぁっ……は…あっ……けい、んむっ」
息苦しさは快感を増長させてくれた。俺は唇を離そうとする暇を与えず貪り続ける。
梨花ちゃんの口内の粘膜が舌にまとわりついて熱かった。そして甘い。
たまにすくった涙を間に紛れ込ませてはさらに水音を梨花ちゃんの家に響かせていく。
初めはきつく抱きついていたがだんだんと重力に従うように倒れていき、完全に体重を畳みに預けてからは
俺が梨花ちゃんの首を手で支え、ディープキスを繰り返していた。
年下のはずなのに、いつもからかわれる俺。そんな関係は心地よく楽しい日々だった。気に入っていた。
けれど、たまには俺だって梨花ちゃんを掌の上で転がしてみたいんだ。両の手で包み込めそうなほど
細い首は、俺に梨花ちゃんへの征服欲を強めさせていく。
梨花ちゃんの足がもぞもぞと動いているのを俺の下半身が感じ取ったとき、キスは終わった。
「はあっはあっ、はあっ……」
脳がしびれる感覚。張り裂けんばかりに膨張したそれは梨花ちゃんの膝がかすかに触れただけで大きく
跳ね上がり、行き場を求めていることを俺に激しく主張する。しかし。もう少し我慢してくれよ。
「……は…あ…あ……あ…は……は」
焦点が合っていない目を俺に向けてくる。息も絶え絶えにかすかに笑っている。
「け、いいち……はげ…し…い……あは…」
俺にはその様がひどく妖艶に見えて、また唇を重ね合わせたい衝動に駆られたのだが、今は次の行為へと
進みたかった。けれど頬を伝う唾液だけは舐めて梨花ちゃんの口に戻した。
「服脱がすぞ」
「うん……」 
 思い切り破ってしまいたかったがそれは我慢する。梨花ちゃんのお気に入りだし、そもそも俺の
お気に入りでもあるからだ。裾を上へとずらしていく。
ふと手が止まる。梨花ちゃんの中心部、一番大事なところに目がいき思わず息を呑んだ。
濡れている。白いパンツに大きな染みができている。
お腹のあたりでワンピースを脱がすのを止めて、パンツ越しに指を這わせた。
くちゅ……。
「ひあっ!?」
梨花ちゃんが即座に反応する。その反応で俺はやめられなくなった。水音が耳奥で響いていたキスの
ときと違って、今度はその音が纏わりつく。粘りをもって指に絡みつく様子と同じように。おそらく
今の俺の目もそうなっているだろう。梨花ちゃんの秘部へと。
「あ、ひっ、ひぅっ…うぅんっ!」
撫ぜるたびにいやらしい声を出す。そんな梨花ちゃんの様子を窺うと、自分でワンピースの下の胸を弄んで
いるようだった。俺が見ていることに気づいたら即座に目をそらして手を止める。
「胸も触ってほしいのか?」
「……いちいち、聞かないで……」
今度はワンピースを完全に脱がし、ブラジャーのホックを外す。乳房全体を、梨花ちゃんの腕が俺の
視界から遮っていたがそっとどかして掌で揉みしだく。握力を加えるたびに適度な弾力をもって手に
柔らかい感触を返してくる。これまたやみつきになりそうな触り心地だった。
「ふぅ、んぅ……あっ」
喘ぎ声もしばらくは耳から離れないだろう。
……俺、自分を抑えきれるだろうか。大事にしないといけない。
「梨花ちゃん、愛してるからな」
そしてまたとんでもないことを言ってしまっていたことに気づく。
「……嬉しい。私も、愛してる、圭一……」
全然問題なかった。よかった……。
 すでにかたくなっていた乳首を舌の上で転がした。ピンク色の乳輪をぐるりと舌先で何度もなぞり、
乳頭へと近づけていく。
「ああぁっ」
乳頭のぎりぎりまで達してから乳首を口の奥まで含み、乳房全体に重みを加える。頬に当たる柔肌が
とても気持ちいい。そうして思い切り吸い上げる。そ の間もう一方の胸の乳首を休むことなく指で
弾き続けていた。時々つまんだり。
「ひぁあっ!」
本当にかわいい声を出す。頬はすっかり上気しており涙も流れるまま。俺が手を休めるたびに確認する
梨花ちゃんの表情は常に恍惚としたものであり、間違いなく快感に溺れていた。
病み付きになっているのではないだろうかという俺の思いつきは、
「圭一……もっと」
という梨花ちゃんの言葉によって裏づけを得ることになる。
「ああ」
病み付きになっているのは俺も同じだった。
 濡れて、通常の何倍にも重みを持ったパンツを脱がす。薄い恥毛と秘唇が露になった。 かすかに
ひくついているように見えたのは空気に直に触れたからか、あるいは恥ずかしさからか……。
「あんまり見ないで……」
後者のようだった。赤くした顔を下に向けて俺と目をあわそうとしない。
 梨花ちゃんの秘唇はさっき撫で回したせいか軽く開きかけている。奥から きらきら光る液体が漏れて
くるのを見て、これならもう挿入しても問題はないかと思ったが、処女だとイきにくいという話を
聞いたことがあったため愛撫をもう少し続けることにした。
……しかしそんな俺に抗議するかのように息子ががまん汁を出した。
 一際強く梨花ちゃんの匂いがする。 濃艶さの立ち込めるその一帯にふーっと息を吹きかけた。
「んっ!」
大陰唇に親指を添えて左右に押し広げる。
「梨花ちゃんのここ、綺麗だな……」
「……っ」
 小さく開いた膣口が目に入って俺はふと思った。こんな小さなところに入るのだろうか。
指一本は入るが……。ぬちゅ…となんともいえずエッチな音がした。
「ああんっ!?」
 以前怪我したときに、梨花ちゃんに指を舐められたことがあったっけ。それよりも熱く、指先自体が
熱を放っているかのように感じられる。そのせいか中 の襞を擦るスピードも早くなっていった。
最終的にはかき回すと表現したほうがいい行為にまでなり、梨花ちゃんの嬌声はこれまでになく激しい
ものへと変化していた。
「ああっ、は、ひゃあっ! ふぅっんっ、ぃひぁっ、ああんっ!」
 処女だとイきにくいと聞いたとき、ならばイかせるにはどうするのかと尋ねたところ、高い確率で
女性がオーガズムを迎えられるという場所を教えてもらった。
止まらぬ喘ぎ声とだんだんと激しさを増していく呼吸のために揺れる双丘に意識を向けつつ、俺は包皮
から覗く小さな豆、陰核を口に含み乳首と同じよう に舌先で転がした。
「―――っ!!」
指が膣壁に圧迫される。梨花ちゃんは身体を弓のように反らせて息を吸いな がら声を出そうとする。
が、それは当然声になるはずもなく。一瞬遅れて至上 の快感に悦ぶ叫びを俺は聞いた。
「あぁあああーっ!」
……。
 手首までべっとりと濡れていた。俺の息も荒れている。もう我慢できなかった。虚ろな目とそれに
合わず笑みを浮かべている梨花ちゃんに跨る。
「け…い……い…ち」
呟いた声はおそらく自然に漏れたものだったのだろう。 返事をすることもなく俺はいきり立ったペニスを
膣口に押し当てた。
「くっ」
「あっ」
 俺のものは梨花ちゃんの熱さと柔らかさに触れただけで飛び跳ねた。双方でコミュニケーションが
とれているかのように、ひくひくと動いていた。
「梨花ちゃん、挿れるからな……」
「え…ま、まって……」
「ごめん、もう待てない」
一気に奥まで突いた。それで梨花ちゃんと一つになった。
 全く未知であったものの快感と一つという認識が頭の中で混ざり合ってペニスはさらに膨張する。
絡みつく膣壁をカリで巻き込みながら思い切り引き抜いて、突き上げる。それを繰り返す。俺のものは
梨花ちゃんに優しく包み込まれているはずなのにめちゃくちゃに暴れたがる。この矛盾がまた快感とは
別に脳を刺激する。最強の矛と盾というより最愛の、というべきか。
一番に愛する人とのセックスがこんなに幸せなものだとは思わなかった。
「ぐっあぁあっ!」
「け、いぃいひぃっ!」
 涙をぼろぼろ流しながら俺の肩をがりがりと爪で削っていく。獣のごとく腰を振り続けていた俺に
とってはそれすらも激しい快感となり、ついに最後の一線を越える。
「で、射精るっ!」
 このまま梨花ちゃんの中で果てたかったが子どもが出来たらまずい。欲しいのは欲しいのだが、これからの
ことを考えると、一時の快楽に完全に溺れることは、よくない。俺も梨花ちゃんもまだ学生なのだから。
一緒に居られるだけでいい、という考えは少し現実を甘く見すぎていやしないだろうか。
そんな思考が頭を過ぎった。それが最後の理性だった。
「はっあっはああっ」
 精液を吐き出す。梨花ちゃんのおへそでそれはプールを作り、横腹から太ももの付け根へとゆっくり
流れ落ちていった。どれだけ出るんだというぐらいに射精は続いており、俺は、梨花ちゃんの名前を
何度も呼びながら梨花ちゃんが俺の精子に汚されていく様を見ていた。
「はっ、はぁっ、はっ…」
 畳に頬を寝かせて呼吸を整えようとする梨花ちゃん。染みができていることから分かるように、
結構な量の唾液か涙かを流したのだろう。
少し罪悪感が生まれた。かなりめちゃくちゃなことをしてしまったかもしれない。
おまけにまだ収まってない。あれだけ出したにも関わらずだ。
「梨花ちゃん……」
後頭部に手を滑らせ優しく起き上がらせる。そのままキスをした。先のように激しいものではなく、
これまでの快感の余韻に浸ってゆっくり、じっくりと。
完全に力が抜けていたのか、最初は俺だけが舌を動かしていたが、梨花ちゃんも徐々に舌を絡ませてきてくれた。
「ん……」
顔を離すと繋がっていた唾液がその力を失くしたように落ちていった。
梨花ちゃんがとても満足そうに笑っていた。
……いささかの小悪魔的な表情も含まれているような気がした。

「ふふ」
「うあっ」
情けない声は梨花ちゃんがぺニスの裏筋を撫でた行為による。
「今度は私の番……」
そう言いながら今度は俺が倒されていく。弱々しくしおらしい表情で、狂ったように俺に身を預けていた
梨花ちゃんの姿はもうなくて。全く逆のお姉さんのような態度と振る舞いで体勢を変えていった。
ああ、下から見上げる裸の梨花ちゃんもいい……。
いつもの二人の関係だった。
「なぁ、気持ちよかった?」
「もう狂いそうだったわ」
「狂ってたと思うけど」
「うるさいわね。私をものにできたからって自惚れないでよね」
ばしばしと叩いてくる。
「そんなこと言われると自惚れる必要もないよな、ってああ! 気持ちいい!」
見ると、梨花ちゃんがあそこを俺のものにこすり付けていた。
「ん、ふぅっ…まだ、こんなに硬い、じゃないっ、はぁ…」
「あ、ああ。ごめん」
「謝る必要なんて――あっ。な、ないわよ……。……ねぇ圭一、一つ聞いてもいい?」
腰を動かすのを止めることなく尋ねてくる。俺は頷いた。
「圭一……エッチ、したかったから結婚、なんて言ったんじゃないわよね」
それはそう思われても仕方なかった。だから俺はそれを否定する。
「違う。あれは常日頃から思っていた俺の本心だ。将来は梨花ちゃんと結婚したいと思ってたし、梨花ちゃん以外考えられなかった」
「うん」
梨花ちゃんからのキス。
「でも、その。ごめんな。指輪とか何も用意できてなくて」
よく考えなくてもかなり情けない男に違いなかった。
「ううん、嬉しかったわ。そういうのはこの先にまた……」
「ああ、約束する」
「ええ。それじゃあ」
「うぅっ!?」
敏感な性器にまた刺激が与えられる。
「今はこの節操のないおちんちんを、鎮めることからしないとね……ふふ」
ああ……卑猥な言葉を堂々と言う梨花ちゃん、いい!
そう、ここからは梨花ちゃんのターン。


――ぬはぁ!



<続く>









あぅあぅ、これで終わりではないのです。
このあと圭一は、腹黒い梨花にあうあうされてしまうのです。あぅあぅあぅ~♪

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最終更新:2007年10月29日 09:37