「はじめまして。
わたくし、壬生屋 未央(みぶや みお)と
申します。
お見知りおきをお願いしますね。
なんちゃってー。」

「熊本と比べると、ここはのんびりしていますね。
ここの部隊は、実戦慣れしていないように
見えます。
いくつか、私が教授出来る事があると
いいんですが。
…。
火力集中、わかりますか?
兵を分散させれば、視界は広がりますが火力は
弱くなります。
逆を言えば、兵を集中させれば、
火力は集中して同じ時間当たりの攻撃力は
あがります。
結局用兵は、いつ、どこで兵を分散させ、
あるいは集中するかですよ。
それを覚えておいてください。」


「それと、わかってるとは思いますけど、
ここは寒いので、暖かくしてくださいね?
ウォードレスにも寒冷地装備のものが、
青森でつくられたんです。
ホワイトスノーがありますから、
それを使えばいいと思いますよ。」


「人型戦車には弱点があります。
背が高くて視界がいい代わりに、
足元があんまり見えないんです。
だから、タンクデサント(戦車騎跨兵)か
スカウト(戦車随伴兵)が必要になります。
どちらも基本はただの歩兵です。
歩兵の視界で人型戦車の視界を補うんです。
普通の戦車の場合は射程が長いので、
前の方に歩兵をおけば、射程の長さを
生かせると思いますよ。」


「どんな武器にも使い道というものがあります。
単に威力で見るだけでなく、使い方というものを
考えた方がいいと思いますよ?」

「今は確かに戦時中で、戦況は厳しいですね。
でも、だからといって眉間にしわをよせていると
そのうちとれなくなりますよ?
こんなふーに。」
壬生屋は、あなたの顔真似をしてみせた。

「ふふ…、めー。
ほら、元気出してください。
あなたが渋い顔をしていると、
太陽も隠れてしまいますよ。」


「昔はもっと真面目で思いつめた
性格していたんですけどね。
…人間は、変わるんですよ。
昔は雪を見るだけで
気分が塞いでいましたけど、
今はそうではありません。
それはきっと、いい事ですよ。
ほら、元気を出してください。
世界はそんなに不機嫌ではないですよ。」


「この格好ですか?
…いや、似合うよって言われたので…。
私、好きな人に褒められたりすると
他の人よりずっと嬉しくなるんです。
ちょっとルール違反だけど、
秘密にしてくださいね。」


「今ですか、そうですね。
悲しい時もあるけれど、それとは仲良く
やる事が出来ていると思います。
あ、でも私は弱虫ですから、
時々泣いてしまう時があるんですけどね。
…でも、基本的には幸せです。
今までになく。」


「また考え事かなにかですか?
…。
うーん。
私、あんまり物事を深く
考えられない方なんですよね。
勉強は得意なんですけど。
大体、深く考えても結局は
好きな人に付いて行くんだから、
あんまり考えなくても良かったり。
ふふっ。
あなたもそういうタイプなんじゃ
ないですか?」


「昔の部隊の友達に、手紙を書いているんです。
みんな、筆不精だから、
私くらいは書いて差し上げないと。
昔はただの思い出だとかいう人もいますけど、
そういう人だってきっと、
昔が嫌いなわけではないと思うんですよね。
ふふふ。
それ一つ気づくのに、私、
一年もかかりました。」


「人を罰する事で自分が安心する人って、
いますよね。
でも一番なのは、泣く事なんです。
泣いちゃうとみんなオロオロして…、
ふふふ。
罰を下すより悲しいと表現する方が、
私には似合っていたんですね。
強がりは、ダメって事ですよ?」


「人間って、弱点を直す事は
出来ないと思いますよ。
出来るかもしれないけど、
無駄だと思います。
好きこそものの上手なれです。
同じ時間を使うなら得意なものを
伸ばした方がいいと思います。
弱点の補強には他人を頼ればいいんです。
人間もどんな生き物も
一人じゃないんだから。」


壬生屋は、わずらわしそうに
髪をかきあげている。
ずいぶん重そうだ。
(切ったら?/大変だね)
「確かにそうですね。
時々はこの髪が嫌だと思う時もあります。
でも…髪だって、私の身体の一部ですから。
せっかく長く付き合ってきたんです。
今日、たまたま重たいからって、
見捨てる必要はないんじゃないですか?
それに…、髪ごと愛してくれる人が
いたりいなかったり…きゃっ。
ふふふっ。」


壬生屋は、優しく微笑んでいる。
(人はどうやって変わるのかな?/どうやって君は変わったの?)
「うーん、そうですね。
心の奥底から勇気が湧いたら、
人は変わると思います。
このままじゃ駄目だ…と自分の心が言うのなら、
変わるしかないんです。
人というものは。
もう一つ、ありますよ。
私は、こっちの方です。
愛されているとわかったら、
人間は変わると思いますよ。
ふふ、照れましたね?
私も、照れちゃった。」


「…希望ちゃん。
きっと将来、
すごい美人になると思うんです。
今から私、楽しみなんですよ。
どんな服をきせようか、
どんな髪型させようか。
元がいいので、気合が入ります。
今は毎日がパレードのよう。
さっさと戦争を終わらせて、
パレードだけを楽しみたいと思います。」


「私、どうせだったら和を乱すくらいの
人の方が好きです。
乱れたものを直すのは私がやります。
二人で一組なら、きっと上手くいきますよ。
一人で何もかもやろうなんて、
思う必要はないと思います。
だって、子供だって一人じゃ
出来ないんだから。
ふふふ。
わたくし、殿方をからかうのが
大好きかもしれません。」


「疲れると、殿方の肩に
こてんと寄りかかりたい
気分になりますよね?
…なりませんか?
わたくし、だけかしら…。」


「私、嫉妬深いんです。
それに泣き虫だから、何時間でも
人目をはばからずに泣いちゃいます。
…そうならないように、お人形のように
大事にしてくださいね。
時々は抱きしめて寝てください。」


「困っているようですね。
そういう時は私に言わなくちゃ。」
壬生屋は、嬉しそうに笑った。
「人は変わるんですよ。
昔出来なかった事が、今はそうじゃないわ。
人が世代を重ねるのは、きっと今までにない
何かに変わるためでしょう。
手を、出してください。」
壬生屋は、あなたの手に、
模様のようなものをかいた。
「これで、よし。
希望号やMAKIちゃんから
教わった魔術です。
何かを殺すためでない力を、矛を止めるから
武という事を、証明してください。
誰でもない、何もかも殺せるあなたが。
効果は、保証します。
そのゲンコツでばーんと、
この空を覆うほの暗い何もかもを
叩き潰してくださいませっ。」
精霊手を手に入れた。


「……あなたの手に書いたものは、
太陽って意味なんですよ。
わたくしの大切な友達が、教えてくれたんです。
……がんばって、くださいね。
なんでも殺せるあなたならきっと、
絶望や悲しみだって殺せるはずです。
私、一生懸命応援していますからっ。」



(壬生屋未央ED)
え、急に敵が撤退した時の、感想ですか?
そりゃーもう、もう購買部で食糧買いまくり
ました。
実家に帰って妹や弟に、食べさせてあげたかった
から。
 (108警護師団に
    配属されていた学生兵の手記より)

その日はやる事がなくて雪の溶けた道を
ぼんやりと歩いていた。
その隣を、いつのまにか壬生屋が歩いている。
「……終わりましたね。」
(今のところは/……)
「……いい風ですね。」
(春だ/……)
「……はい。
……あの。」
(……?/……)
「二人で、歩きませんか。春の、道を。
なにもないかも知れないけれど。
少し暖かいから。」
あなたと壬生屋は、一度だけお互いの顔を
見ると、ゆっくりと歩き出しました。



壬生屋未央 通常 / 提案 / 派生 / シナリオ

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最終更新:2006年08月31日 00:52