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ダンボ

原題:Dumbo
公開:1941年10月23日
時間:64分
監督:ベン・シャープスティーン
原作:ヘレン・アバーソン*ハロルド・パール*

1990 2002 2010(SP)



  • 目次

ストーリー

ある晩、サーカスの動物たちのもとに次々とコウノトリが赤ちゃんを運んできた。しかし、象のジャンボには届かなかった。翌朝、サーカスの列車ケイシー・ジュニアが町へ向かって走り出した。そこへ、コウノトリがやってくる。赤ちゃんゾウが重く、道に迷ってしまったため、配達が遅れてしまったのである。ジャンボのもとに届けられた赤ちゃんゾウ、ジャンボ・ジュニア。サーカスのゾウ仲間たちにも可愛がられが、ジャンボ・ジュニアがくしゃみをした瞬間、突然、耳が大きくなってしまう。するとゾウ仲間たちはジャンボ・ジュニアをダンボと呼び始める。怒ったジャンボは、ゾウ仲間たちを遠ざける。

町へ着くと、大雨の中テントがセットされた。翌朝、ダンボはサーカスのパレードでデビューを飾るが、観客の少年・スキニーがダンボの耳をバカにして、からかいはじめる。怒ったジャンボはスキニーをこらしめ、暴れはじめる。そのため、サーカスの団長に「危険なゾウ (Mad Elephant)」とされ、牢屋に入れられてしまう。ゾウ仲間たちは一人ぼっちになってしまったダンボの陰口を叩く。それを哀れに思ったサーカスに住むネズミ、ティモシーがダンボを勇気づける。ティモシーは真夜中、サーカスの団長のもとを訪れ、「スターはダンボだ!」と暗示をかけ、パフォーマンスを説明する。天からの声を聞いたと思ったサーカスの団長はさっそくショーを実行する。

+ ...
ダンボの初パフォーマンスは、玉乗りをするゾウのピラミッドのてっぺんで旗を振ることだった。しかし、大きすぎる耳が邪魔となり、ピラミッドに激突。ダンボ以外のすべてのゾウが怪我を負ってしまう。その後、ダンボはピエロの化粧をさせられ、ピエロたちと共演し、家事の建物からトランポリンへ飛び込むというパフォーマンスをやらされる。そのトランポリンは底が抜けて、水の中に突っ込むというもので、観客は大笑いする。サーカスの仕事が嫌いなダンボを元気づけようと、ティモシーはダンボと共に、ジャンボを訪問する。泣いてしまったダンボはしゃっくりをし始めたので、水を飲むことにする。しかし、その水にはたまたま大量のシャンパンが入っていた。

よっぱらったダンボとティモシーはピンクのゾウのパレードの幻覚(ピンク・エレファンツ・オン・パレード)を見る。目が覚めると、2人は木の上にいた。原因を考えるティモシーは、ダンボの大きな耳で空を飛んだのだ、と推測する。これを聞いたカラス(クロウ)たちは大笑いし、その案をバカにして、歌を歌い出す。しかし、ティモシーからダンボのかわいそうな境遇を聞き、涙したカラスたちはダンボに協力したい、と申し出る。カラスはダンボに持っていれば空が飛べるという魔法の羽*を与える。ダンボは魔法の羽を鼻に持ち、全力で耳をはばたかせた。すると、ダンボは自由に大空を飛び始める。

再び、ピエロの飛び込み(前回よりも高い高さで)をやることになったダンボ。魔法の羽を持ち、飛び降りるが、途中で魔法の羽を落としてしまう。ティモシーは落ちいていくダンボに、魔法の羽がダンボを勇気づけるために持たせたただのカラスの羽であることを打ち明ける。すると、ダンボは耳を広げ、テント内を自由に飛び回る。

ダンボは一躍有名になった。ダンボの耳には100万ドルの保険がかけられた。ティモシーはダンボのマネージャーとしてハリウッドと契約を結ぶ。そして、晴れた自由の身となったジャンボと、ダンボにサーカス列車の自家用車を与える。

概要

ディズニーの長編アニメーション映画第4作として公開された。

ピノキオ』(1940年)、『ファンタジア』(1940年)に完璧さを追求し、興行的失敗に終わった前2作に対し、短期間と低予算で、スタッフも楽しみながら仕事をしたと言われている。

原作は、1939年に発行されたヘレン・アバーソン*ハロルド・パール*による子供向けのパノラマ絵本の8コマ漫画であった。ディズニーの商品のライセンス管理を担当していたケイ・ケイメン*からこの物語を教わったウォルト・ディズニーは大いに関心を持ち、映画化の権利を購入した。この絵本は多く出回ったものではないため、原作の実物を見るのは非常に困難である。DVDの特典映像には原作の絵本が収録されている。

当初は短編映画としての製作を予定していたが、長編映画にすることに決定。しかし、戦時中のために莫大な予算を投じた『ピノキオ』(1940年)や『ファンタジア』(1940年)をヨーロッパ諸国で公開できなかったことでスタジオの財政問題は深刻化。『ダンボ』は低予算で作らざるを得なくなるが、結果として本作の収入がスタジオを救うこととなった。

1941年秋、配給会社RKO*は64分の本作を長編映画として扱うには短すぎるので長くするように求めたが、ディズニー側はこれを拒否。結局、長編映画として公開されることとなった。

監督のベン・シャープスティーンは財政問題のため、低予算でシンプルに制作することを求められる。そのためウォルトが徹底した完璧主義を追究した前3作に比べるとキャラクターのデザインはシンプルになり、背景も単純な構図のものを多用した。キャラクターのセル画なども、使い回されているが、編集のおかげで全く違和感のないものに仕上がっている。これらのおかげで、制作費は81.3万ドルに抑えられた。ちなみに、ラストシーンでダンボの耳にかけられた保険金(100万ドル)よりも安価に仕上がったことになる。

背景には水彩絵の具が使われている。全面的に使用されているのは、『白雪姫』(1937年)、『ダンボ』(1941年)、『リロ・アンド・スティッチ』(2002年)のシリーズぐらいである。ダンボはぬいぐるみとして『リロ・アンド・スティッチ』にゲスト出演している。

動物のスケッチには本物の動物をスタジオへ連れてきて行うこだわりっぷりを発揮しており、この手法は次作『バンビ』(1942年)や『ライオン・キング』(1994年)にも継承されている。

ファン・アンド・ファンシー・フリー』(1947年)の『ボンゴ』では、本作のキャラクターを登場させて前日譚という扱いにする案があったが、実現には至らなかった。

2019年には『ダンボ』として実写でリメイクされた。

ピクサー・アニメーション・スタジオの『晴れ ときどき くもり』は、コウノトリがダンボをどこから運んできたのかという疑問に着想を得て制作された物語である。

声優

喋らない主人公ダンボの周りには魅力的なキャラクターが多く登場する。ティモシーの声を演じたのはギャング役で知られる性格俳優のエド・ブロフィサーカスの団長にはコメディで活躍したドイツ系アメリカ人のハーマン・ビング

また、意地悪な象メイトリアークベルナ・フェルトン、ダンボを運ぶコウノトリスターリング・ホロウェイ、ナレーションにジョン・マクリーシュなどディズニーの常連となる名優たちも参加。『ピノキオ』でジミニー・クリケットを演じたクリフ・エドワーズはカラスのリーダー、ダンディ・クロウ役で出演している。

キャスト

初公開版 TBS版 再公開版 ソフト版
ティモシー エド・ブロフィ 坊屋三郎 井上順 三田松五郎 牛山茂
ジャンボ ベルナ・フェルトン 菱田美恵子 松田敏江 眞理ヨシコ 磯辺万沙子
コウノトリ スターリング・ホロウェイ 三木鶏郎 熊倉一雄 はせさん治 関時男
ダンディ・クロウ クリフ・エドワーズ(台詞) 山崎唯
鈴木ヤスシ
滝口順平
大竹宏
安西正弘 中村雄一
プリチャー・クロウ ホール・ジョンソン 伊沢弘
グラス・クロウ ニック・スチュワート 山崎哲也 橋本友之
ファット・クロウ ジェームズ・バスケット 永井寛孝 片岡弘鳳
ストローハット・クロウ ジム・カーマイケル 島田敏 吉水慶
サーカスの団長 ハーマン・ビング 古川緑波 森山周一郎 阪脩 内田稔
キャティ サラ・セルビー 七尾伶子
田村淑子
安双三枝
大坪日出代
清川虹子 牧野和子 北城真記子
ギグルズ ノリーン・ガミル 小原乃梨子 太田淑子 一柳みる
プリシー ドロシー・スコット 麻生美代子 小宮和枝 土井美加
メイトリアーク ベルナ・フェルトン 丹下キヨ子 瀬能礼子 久保田民絵
ジョー ビリー・シーツ 八奈見乗児 槐柳二
スキニー マルコム・ハットン 後藤真寿美
ピエロ ビリー・ブレッチャー 市村俊幸
千葉信男
田の中勇
二見忠男
八代駿
飯塚昭三
呼び込み人 玉置宏
ケイシー・ジュニア マーガレット・ライト - - - -
ダンボ - - 大場久美子 - -
ナレーター - 竹脇昌作 河野洋平*
黒柳徹子
村越伊知郎 小山武宏

※ソフト版は旧・新録版ともに共通(パブリック・ドメインは除く)。
※ソフト版について、公式サイトのクレジットではかつてダンボ:真理ヨシコと誤記されていた。
※かつてNHKはNHK版、WOWOWは1994年まで再公開版を使用していた。現在、TV放映時はソフト版に統一されているため、他のバージョンは録画以外で見ることはできない。

  • 初公開版:1957年製作。ディズニー初の日本語吹替作品。
  • TBS版:1978年10月6日放送。1988年5月5日、NHKでも放送。
  • 再公開版:1983年製作。劇場公開用。
  • ソフト版:1985年5月25日発売。正規盤Blu-ray・DVD・ビデオに収録。

スタッフ

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長編映画
最終更新:2024年03月27日 13:39
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