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ラフォグラム社

企業:Laugh-O-Gram Studio
設立:1921年6月28日 - 1923年11月20日

概要

ミズーリ州*カンザスシティに本社を置く黎明期のアニメーション会社。ウォルト・ディズニーが初めて立ち上げたアニメ会社であり、アブ・アイワークスと共にサイレントアニメーションを制作した。

その他アニメーターのヒュー・ハーマン*フリッツ・フリレング*カーマン・マクスウェル*が在籍していた。会社は貧しく従業員に給料はろくに払われず、ウォルト自身も極貧生活を送っていた。

1921年6月の創業からわずか2年4ヶ月で倒産し、ウォルトがハリウッド*にて三度目の正直で創業したのが、ディズニー・ブラザーズ・カートゥーン・スタジオ(現ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ*)である。

ラフォグラム社時代のウォルトを描いた映画として『As Dreamers Do』『Walt Before Mickey』があるが、いずれもディズニー作品ではない。

歴史

1921年、ウォルト・ディズニーミルトン・フェルド*とラフォグラムと呼ばれる12本のアニメーションを作る契約を交わす。

1922年、20歳のウォルトはアイワークス=ディズニー・コマーシャル・アーティスツ*の余った資金でラフォグラム社を設立した。ラフォグラム社は12本のうち9本を安く仕上げたが、作品に人気が出てくるとウォルトは自分流のおとぎ話を作りたくなり、6ヶ月かけて『赤ずきん』を制作した。

1922年9月16日、セールスマネージャーのレスリー・メイス*は配給会社ピクトリアル・クラブス・インク*と契約し、6本のアニメに対して11,000ドルを受け取ることとなり、100ドルは前払いとなった。しかし、納品後にピクトリアルが倒産し、残りの金額は受け取れなかった。

資金難に直面したウォルトは地元の歯科医トーマス・B・マクラム*の依頼で歯科衛生推進映画『トミー・タッカーの歯』を制作し、500ドルを得る。ウォルトはその報酬をアニメーターの給料に充てず、実写とアニメを合成した『アリスの不思議の国』に全額を投じた。ウォルトはフライシャーの『Out of the Inkwell』シリーズでアニメキャラクターが実写の世界に行くアイディアから着想を得て、その逆を『アリスの不思議の国』で実現した。

1923年4月23日、アリスを演じる子役の ヴァージニア・デイヴィス*の両親と契約を結び、5月14日には配給会社を探して作品に興味を持ったマーガレット・ウィンクラー*に手紙を書いた。

1923年7月にラフォグラム社は破産手続きを進め(連邦倒産法第11章)、ウォルトは女の子の写真撮影やカメラの売却で資金を作り、未完成のアリスのフィルムを持ってハリウッド*への片道切符を購入する。ディズニー・カリフォルニア・アドベンチャー東京ディズニーシー上海ディズニーランドにあるストーリーテラーズ像*はこの時ハリウッドに降り立ったばかりの21歳当時のウォルトをモデルにしており、スーツケースにはラフォグラムの文字も確認できる。

ラフォグラム社のあった建物は廃墟となり、「Thank You, Walt Disney」という非営利団体によって修復が試みられ、ウォルトの遺族がラフォグラム社の映像を上映したりアニメーションについて教える記念館とする目的で45万ドルの寄付を宣言した。

作品リスト

日付 邦題 原題
1921 3/20 ニューマン劇場のお笑い漫画 Newman Laugh-O-Grams
1922 7/29 赤ずきん Little Red Riding Hood
8/1 ブレーメンの音楽隊 The Four Musicians of Bremen
9/4 ジャックと豆の木 Jack and the Beanstalk
9/12 Jack the Giant Killer Jack the Giant Killer
10/5 三匹のクマ Goldie Locks and the Three Bears
11/3 長靴をはいた猫 Puss in Boots
12/6 シンデレラ Cinderella
12/6 トミー・タッカーの歯 Tommy Tucker's Tooth
1923 - Martha Martha
- アリスの不思議の国 Alice's Wonderland

『ジャックと豆の木』『Jack the Giant Killer』は長らく紛失したとされていたが、2010年に発見された。この2作品は実際に発見されるまでは同じ映画の別タイトルなのではないかと思われていた。『三匹のクマ』も同時期に発見されている。

2019年現在、『Martha』のみが未発見となっている。

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最終更新:2022年11月09日 01:00