「雪崩の単純化モデル」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

雪崩の単純化モデル」(2009/09/09 (水) 17:19:24) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

****雪崩の単純化モデル 「[[かぎしっぽ>http://hooktail.maxwell.jp/cgi-bin/yybbs/yybbs.cgi?room=room1&mode=res&no=25500&mode2=preview_pc]]」の質問から。雪崩の最も単純な力学モデル? ---- 【問題】 水平と$$\alpha$$の角をなす斜面に一様に積もった雪が上部から次々に積み重なりながら落ちるときの雪崩の加速度を求めよ。 #ref(http://www14.atwiki.jp/yokkun?cmd=upload&act=open&pageid=165&file=nadare.bmp) 雪崩が起き始まる位置を原点として斜面下方に$$x$$軸をとる。 雪の密度を$$\rho$$,雪崩を起こす積雪の断面積を$$S$$とすると,雪崩の位置が$$x(t)$$のとき雪塊の質量は, $$m = \rho Sx$$. この雪塊が微小時間$$dt$$の間に,長さ$$dx=\dot{x}dt$$,質量 $$dm = \rho S dx$$ の雪を巻き込みながら進む。 これは,基本的に完全非弾性衝突=合体と考えることができる。 このとき,運動量-力積関係は $$m\dot{x} + mg\sin\alpha\cdot dt = (m+dm)(\dot{x}+d\dot{x})$$ となる。両辺を$$dt$$で割って2次の微少量を落として整理すれば, $$m \ddot{x} + \dot{x}\dot{m} = mg\sin\alpha$$ 上の$$m,dm$$を用いてさらに $$\ddot{x} + \frac{\dot{x}^2}{x} = g\sin\alpha$$ ここで,一定の加速度$$a=\ddot{x}$$を仮定すると $$\dot{x}=at,\quad x=\frac{1}{2}at^2$$ だから, $$3a = g\sin\alpha$$ すなわち, $$a = \frac{1}{3}g\sin\alpha$$ を得る。 ---- 上のモデルは,非弾性衝突モデルで衝突による力学的エネルギーの散逸を前提としているが,雪塊を半径$$r$$の円筒と考えて,斜面を転がって積雪を巻き取りながら降りていくモデルも考えることができる。「かぎしっぽ」でyamaさんに教わった。 円筒の慣性モーメントは, $$I = \frac{1}{2}mr^2$$ で,力学的エネルギー保存により, $$\frac{1}{2}mgx\sin\alpha = \frac{1}{2}I\omega^2+\frac{1}{2}m\dot{x}^2$$ すべりのない転がり$$\dot{x}=r\omega$$を仮定して整理すると, $$gx\sin\alpha = \frac{3}{2}\dot{x}^2$$ となり,上と同様に $$\dot{x}=at,\quad x=\frac{1}{2}at^2$$ を考慮して, $$a = \frac{1}{3}g\sin\alpha$$ を得る。 非弾性衝突モデルで散逸する力学的エネルギーは,巻き取りモデルにおいては回転の運動エネルギーに相等するわけである。どちらも運動量-力積関係に違いはないから当然とはいえ,興味深い結果といえる。これらのモデルは,多分あまり役に立たないかもしれないが,雪崩の雪塊の加速度の上限(?)を与えるものといえるだろう。もっとも,安全値は $$a = g\sin\alpha$$ かもしれない。部分的に切り離された雪塊が,雪面上をほとんど摩擦なくすべってわれわれを襲ってくるかもしれないからである。 ※ いずれのモデルにおいても,積雪の深さは降下距離$$x$$に対して無視できるものとしている。 ----
****雪崩の単純化モデル 「[[かぎしっぽ>http://hooktail.maxwell.jp/cgi-bin/yybbs/yybbs.cgi?room=room1&mode=res&no=25500&mode2=preview_pc]]」の質問から。雪崩の最も単純な力学モデル? ---- 【問題】 水平と$$\alpha$$の角をなす斜面に一様に積もった雪が上部から次々に積み重なりながら落ちるときの雪崩の加速度を求めよ。 #ref(http://www14.atwiki.jp/yokkun?cmd=upload&act=open&pageid=165&file=nadare.bmp) 雪崩が起き始まる位置を原点として斜面下方に$$x$$軸をとる。 雪の密度を$$\rho$$,雪崩を起こす積雪の断面積を$$S$$とすると,雪崩の位置が$$x(t)$$のとき雪塊の質量は, $$m = \rho Sx$$. この雪塊が微小時間$$dt$$の間に,長さ$$dx=\dot{x}dt$$,質量 $$dm = \rho S dx$$ の雪を巻き込みながら進む。 これは,基本的に完全非弾性衝突=合体と考えることができる。 このとき,運動量-力積関係は $$m\dot{x} + mg\sin\alpha\cdot dt = (m+dm)(\dot{x}+d\dot{x})$$ となる。両辺を$$dt$$で割って2次の微少量を落として整理すれば, $$m \ddot{x} + \dot{x}\dot{m} = mg\sin\alpha$$ 上の$$m,dm$$を用いてさらに $$\ddot{x} + \frac{\dot{x}^2}{x} = g\sin\alpha$$ ここで,一定の加速度$$a=\ddot{x}$$を仮定すると $$\dot{x}=at,\quad x=\frac{1}{2}at^2$$ だから, $$3a = g\sin\alpha$$ すなわち, $$a = \frac{1}{3}g\sin\alpha$$ を得る。 ---- 上のモデルは,非弾性衝突モデルで衝突による力学的エネルギーの散逸を前提としているが,雪塊を半径$$r$$の円筒と考えて,斜面を転がって積雪を巻き取りながら降りていくモデルも考えることができる。「かぎしっぽ」でyamaさんに教わった。 円筒の慣性モーメントは, $$I = \frac{1}{2}mr^2$$ で,力学的エネルギー保存により, $$\frac{1}{2}mgx\sin\alpha = \frac{1}{2}I\omega^2+\frac{1}{2}m\dot{x}^2$$ すべりのない転がり$$\dot{x}=r\omega$$を仮定して整理すると, $$gx\sin\alpha = \frac{3}{2}\dot{x}^2$$ となり,上と同様に $$\dot{x}=at,\quad x=\frac{1}{2}at^2$$ を考慮して, $$a = \frac{1}{3}g\sin\alpha$$ を得る。 非弾性衝突モデルで散逸する力学的エネルギーは,巻き取りモデルにおいては回転の運動エネルギーに相等するわけである。どちらも運動量-力積関係に違いはないから当然とはいえ,興味深い結果といえる。 これらのモデルは,多分あまり役に立たないかもしれないが,雪崩の雪塊の加速度の上限(?)を与えるものといえるだろう。もっとも,安全値は $$a = g\sin\alpha$$ かもしれない。部分的に切り離された雪塊が,雪面上をほとんど摩擦なくすべってわれわれを襲ってくるかもしれないからである。 ※ いずれのモデルにおいても,積雪の深さは降下距離$$x$$に対して無視できるものとしている。 ----

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: