ツィオルコフスキーのロケット方程式
「イオンロケット」について初歩的な実験と考察を深めているNさんに教わった「ツィオルコフスキーのロケット方程式」について。彼女が苦慮しているイオンクラフトの「噴射速度」の考察とともに。

時刻tにおけるロケットの質量M(t),速度V(t)とする。ロケットがガスを噴射する相対速度の大きさをvとすると,運動量保存により
MV=(M+dM)(V+dV)+(-dM)(V-v)
すなわち,
MdV+vdM=0
または,
dV=-\frac{vdM}{M}
を得る。これを初期条件M(0)=M_0,V(0)=0として積分すると,
V(t)=v \ln\frac{M_0}{M(t)}
となる。これが,ツィオルコフスキーの式である。

Nさんは,こいつを使って固体燃料を用いたモデルロケットとイオンクラフトの比較をしようと考えたようだ。そこで,イオンクラフトの噴射速度vをどう測定するかで大分苦慮していたが,ひとまず空気流によってどれほどの推進力が生じているかを測定してみたのである。固定したイオンクラフトの下に台ばかりを置いて直接空気流による力を測定したところ2.2gwの値を得た。この力がそのまま同じ大きさでクラフトの推進力になっているとすれば,空気流の速度は大雑把な見積もりが可能である。
求める速度の大きさをvとする。空気流がクラフトの水平断面積S内で一様であると仮定すると,時間dtの間にクラフトを通り抜ける空気の体積はS v dtである。その質量は空気の密度を\rhoとして,\rho S v dtとなる。この空気の運動量変化は\rho S v^2 dtとなるから,クラフトが受ける推進力をFとすれば,運動量-力積関係と作用反作用則から
\rho S v^2 dt=F dt \qquad \therefore \quad v=\sqrt{\frac{F}{\rho S}
を得る。

F=2.2\times 10^{-3}\times 9.8 [N],\rho=1.3[kg/m^3],S=(6.5\times 10^{-2})^2[m^2]を代入して,v=2.0[m/s]を得るが,これは線香の煙の流れなどから推定される空気流の速さとして妥当な値であると思われる。

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最終更新:2011年07月22日 21:40
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