スリンキー近似
2本のばねに引かれた質点の縦振動と横振動における,スリンキー近似(自然長\ll平衡長)と小振動近似(変位\ll平衡長)の比較。



自然長a_0から平衡長aに伸びた,ばね定数kの2本のばねに左右に引かれ,なめらかな平面上で運動する質量mの質点の縦振動および横振動について考察する。

縦振動の運動方程式は,

m\ddot x = -k(a-a_0+x)+k(a-a_0-x)

すなわち,

m\ddot x = -2kx

したがって角振動数と周期は,

\omega_x = \sqrt\frac{2k}{m}\quad , \quad T_x = 2\pi\sqrt\frac{m}{2k}

となる。また,横振動の運動方程式は,

m\ddot y = -2k(l - a_0)\times\frac{y}{l}

すなわち,

m\ddot y = -2k\left(1-\frac{a_0}{l}\right)y

となるが,lyの関数であるから調和振動にはならない。そこで,横振動が調和振動となる2つの近似について考察しよう。

(1) スリンキー近似

自然長が平衡長に対して無視できるほど小さいとする近似である。スリンキーは,階段を下りるゆるいばねのおもちゃ。



a_0\ll a < l だから,運動方程式は

m\ddot y = -2ky

となり,変位の大小に関わらず,角振動数および周期は縦振動に等しくなる。

\omega_y = \sqrt\frac{2k}{m}\quad , \quad T_y = 2\pi\sqrt\frac{m}{2k}

(2) 小振動近似

変位が平衡長に対して十分小さいときに可能な近似である。

y \ll a だから,

1-\frac{a_0}{l} = 1-\frac{a_0}{\sqrt{a^2+y^2}} \simeq 1-\frac{a_0}{a}

と近似でき,運動方程式は

m\ddot y = -2k\left(1-\frac{a_0}{a}\right)y

となる。したがって振動は縦振動に比べてゆっくりとなる。

\omega_y = \sqrt{\frac{2k}{m}\left(1-\frac{a_0}{a}\right)}\quad , \quad T_y = 2\pi\sqrt\frac{ma}{2k(a-a_0)}




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最終更新:2010年02月21日 10:16