回転の記述と軸性ベクトル(2)
回転の記述と軸性ベクトル(1)では,軸性ベクトルとのベクトル積が双対の関係にある2階反対称テンソルとの行列積に他ならないことを示した。次いで軸性ベクトルの変換性を考察する。
(2) 空間反転に対する軸性ベクトルの変換
本来回転の角速度の記述は,2階反対称テンソルによる記述が3次元空間における素直な表現といえる。スカラー積が行ベクトルと列ベクトルの行列積で表されるのに対して,ベクトル積の定義はいかにも操作的に思われる。
ここで,
の部分
の部分が2階反対称テンソルになっているわけだ。さて,空間反転の変換
に対して,極性ベクトルは
とその符号を変える(成分の符号が変わるという意味で,ベクトルそのものは変わらない)。一方,反対称テンソルは
とその符号を変えない(ベクトルそのものが反転する)。空間反転に対して符号を変えないベクトル
こそは軸性ベクトルである。
を軸性ベクトル,
を極性ベクトルとするとき,空間の反転に対して
すなわち,軸性ベクトルどうし,極性ベクトルどうしのベクトル積は軸性ベクトルになる。また,
すなわち,軸性ベクトルと極性ベクトルのベクトル積は極性ベクトルになる。
最終更新:2012年02月22日 21:14