変位電流による磁場について
Yahoo!知恵袋より。変位電流による磁場を源である電流=電荷の移動にさかのぼって解釈できるかという,根源的な問題。

質問の概要は

電流の周りに磁場ができる理由について、

「導線に沿って運動する観測者にとっては、ローレンツ収縮によって導線の電荷密度が偏り、正味の電場が存在する。これを静止観測者から見ると、磁場として観測される」

というような説明がなされるが,変位電流の周りにできる磁場に対して同様に電荷の移動にさかのぼって説明できるだろうか。

というもの。


他に回答がつくのを心待ちにしたが,なかなか回答がつかなかったので,力不足ながら反応しておきたいと思い,下記のように書きこんだ。

磁場の成因に対して電荷の移動にさかのぼって,

「テスト電荷とともに動く観測者から見ると,ローレンツ収縮による電荷密度の変化のために生じる電場と観測される」

…という説明は,場とその源の関係に対する初歩的な理解のレベルでも大変納得のいくものです。しかし,だから電場と磁場のふるまいのすべてが電荷とその移動に帰することができる,とは考えない方がいいのではないか,というのがひとまずの私の解釈です。

極板間に誘電体が満たされている場合は,誘電体の分極がまさに電荷の移動(変位電流)の実体であり,疑問の余地はありません。一方下記などを読むと,真空に対しても同様のことが起こる…とされています。真空に対して分極を考えることができるのなら,仮想的にせよ「電荷の移動」が極板間で起こっているということになりますね?もちろん,これで納得がいくようなレベルには私も達してはおりません。


電荷やその移動といった「源」を離れたところでも,
「電場と磁場は実体のある存在として相互に変換しあうのだ」
というのが,古典的で初歩的な電場・磁場に対する描像と,電磁波の存在との整合がとれる考え方なのではないでしょうか。


最終更新:2012年12月28日 09:43