8・177

満開の桜を前に私はこの歌を思い出す。

 ひさかたの
  光のどけき
   春の日に
    しづ心なく
     花の散るらむ

百人一首にも納められている有名なこの歌は華々しく散るを潔しとした大和魂の象徴としてかつてもてはやされたことがある。
そういう私も国を大事な人を守れるなら美しいまま死んでもいい。そう思うところがあった。
でもこの世界を取り巻く真実を知ったとき、それは絶望へと変わり、世界を道連れに死のうとした。

そのとき立ちはだかったのが友奈ちゃんだった。友奈ちゃんは言ってくれた。ずっと一緒にいると。

ハッ
「ゆ、友奈ちゃん!」
気がつくと友奈ちゃんにそばでジーッと見つめられていた。
「どうしてそばにいたの?」
「えへへ。考えてる東郷さんがかわいくて」
「何考えていたの?悩みがあるなら相談してよ」
「何にもないわ」
友奈ちゃんは私をやさしく抱きしめてくれた。
「本当に?もうあんなことはいやだから。悩んだら相談だよ。勇者部五箇条にもあるでしょ」

ありがとう友奈ちゃん
貴女が隣にいるおかげで生き抜いていくのも恐くないわ。

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最終更新:2015年04月07日 10:41