ルーミア×ゆっくり系1 ルーミアとゆっくり

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「じゃあ、そのおまんじゅうは食べられるの?」 「ええ、結構美味しいんですよ」  闇の妖怪ルーミアと、パチュリーの従者である名も無き小悪魔。  あまり接点のなさそうな2人だが、仲は良いらしく、楽しげに話していた。 「ゆっくりかー……お腹空いたから、一匹食べてみたいな」 「どこにでもいるから探してみるといいですよ。見つけたら、軽く洗ってからいただくのがオススメです。焼いていただくと、とても良い香りがして素敵ですね」 「焼いたおまんじゅう……美味しそうだなー」  ルーミアがよだれを垂らしそうな声色で呟くと、タイミング良く腹がきゅるるるる、と鳴る。 「あ、あのさ小悪魔! それで、そのおまんじゅうが沢山いるところってどこなの?」 「どこにでもいますよ。ちょっと周りを見渡したら、10匹や20匹はすぐ見つかります」  明らかに話を切り替えようとしているルーミア。その顔は、微妙に赤く染まっている。  小悪魔は、内心妹の様に思っている可愛らしい友人に、ニコニコと笑いながら教えてやった。 「じゃ、じゃあ探してみるね! ありがとう小悪魔!」  ばいばーい、と手を振るが、すぐに周りを真っ暗にしてしまったので何をしているか分からない。  だが、そんな事はおかまいなしに小悪魔も笑顔で手を振り、図書館へと戻っていった。  『ルーミアとゆっくり』 「ゆっくり~♪ ゆっゆっゆっくり~♪」 「「「ゆっきゅり~♪ ゆゆゆゆゆっきゅり~♪」」」  ゆっくりれいむの親子が楽しそうに飛び跳ねている。  風がさらさらと草を揺らし、暑すぎない程度に太陽が輝いている、そんな最高のゆっくりデイ。  親子は、今この時がずっと続いて欲しいと思いながらゆっくりとすごしていた。  だが、幸せな時は永久に続くものではない。 「ゆゆ? おかーしゃん、ゆっきゅりへんなのがきゅるよー」 「おかーしゃん、あれなーに?」  一匹の子れいむが何かを見つけたらしく、怖そうに親れいむにくっつきつつ訴える。  親れいむが視線の先を見ると、何やら真っ黒くて丸い物体がふらふらしながら動いていた。 「ゆっ? おかーさんもわからないよ!」 「まっきゅろだね」 「きょれなんだろー?」 「ゆうー……みんなきをつけてね、ちかづいたらだめだよ」  きゃいきゃいと、オバケ屋敷の幽霊でも見ているかの様に怖がりつつも楽しそうに騒ぐ子れいむ達。  親れいむは、そんな子れいむ達をたしなめつつ、黒い物体が何なのか見極める様な厳しい顔で見つめている。 「ゆっ? ちかづいてきゅるよ!」  黒い物体が段々と自分達の所に近づいてきていると分かったゆっくり家族は、流石に緊張した。 「きょないでよ! ゆっきゅりあっちいってね!」 「ゆっ! ここはれいむたちのゆっくりプレイスだよ! ゆっくりどっかいってね!」  気味が悪そうに親の近くに集合する子供、体を大きく膨らませて子供を自分の後ろに隠す親。  ゆっくり親子は、奇妙な黒い物体の真正面に立ちはだかり「どっかいってね!」「こっちこないでね!」などと言いはじめた。  黒い物体は、そんな必死なゆっくり達をあざ笑う様にどんどん近づいてくる。 「ぎゅううううう! ぎょないでよおぉぉぉ!」 「ゆっぎゅりあっぢいぎぇえええぇぇぇぇぇ!」 「さっさとべつのところにいってね! ゆっくりしね!」  どんどん近づいてくる黒い物体。ゆっくり達は、もう声も出ないほど震え上がり、腰でも抜かしたのか一歩も動けないでいる。   ゆっくり親子が、黒い物体に立ちふさがった事自体が間違いであると気付いたのは、闇の中に閉じ込められてからだった。 「「「ゆぎゃあああぁぁぁぁぁ!!! ぐらいよおおおぉぉぉ! ごわいよおおおぉぉぉ!」」」  暗闇の中にいる恐怖。いつどこから何が襲ってくるか分からない。 「ゆぎゅ!?」  ぶちゃっとアンコが飛び散る音と温かい何かが頬に張り付く感触。どのゆっくりかは分からないが、一匹殺されたらしい。  もしかしたら、この闇の中にゆっくりれみりゃやゆっくりフランなどの捕食種がいるのかもしれない……ゆっくり親子は、あまりの恐怖から意識を失った。  さらさらと草の揺れる音で、親ゆっくりは目を覚ました。 「ゆー、ゆー……ゆっくりしていってね!」  起き抜けで、即座にいつもの鳴き声をあげるのは、生物的な習性だろうか。 「みんな、ゆっくりおきたよ。きょうは、なにをしてあそぼうかなぁ、あかちゃんも……??」  なぜ眠っていたか忘れていたらしく、寝ぼけ眼で周囲に語りかけていた親ゆっくりだったが、思い出した途端、素早く辺りを見始めた。  すでに辺りは真っ暗になっており、いつ捕食種が現れてもおかしくない。  親ゆっくりは、せめて一人だけでもと祈る様な気持ちで声を張り上げた。 「どご!? どごにいるの!? れ”い”む”のあがぢゃあ”あ”あ”ぁぁぁぁぁんんん!!!」 「ゆぎゅ……おかーしゃん、いるよー」  ノドが張り裂けるかの様な悲痛な叫びに答えて、一匹の子ゆっくりがぴょんぴょん飛び上がった。 「みんな……みんな……ぶじだっだのぉ!?」 「「「ゆっきゅりげんきだよー!!!」」」  良く見ると、全員いるらしい。  先ほどやられた子も含めて何匹かいなくなっているのかもしれないが、それでも無事な子ゆっくりはまだまだいる。  更に、ぴょんぴょんと飛び跳ねる子ゆっくり達に外傷はほとんどない。  一匹若干元気がないが、そのゆっくりの傷すら、小石にぶつかった程度の軽い傷だ。  命に別状はないし、数時間ゆっくりしていたらすぐに治るだろう。 ――これで、またみんなでいっしょにゆっくりできるよ。  親ゆっくりは、心の底から安堵し、大きく息をついた。 「もうくらいから、ゆっくりおうちにかえろうね!」 「「「おうちでゆっきゅりしようね!」」」  笑顔でぴょんぴょんと飛び跳ねるゆっくり一家。  後ろから今の騒ぎを聞きつけたゆっくりフランが追いかけている事に気付いたのは、もう絶対に逃げられなくなった後の事だった。 「お腹すいたなー」  ルーミアは、いつもの様に自分の周りを闇で覆い、食べ物を探してふらふらと飛び回っていた。  しばらく何も食べていないらしく、お腹から可愛らしく「くきゅるるる」などと聞こえてくる。  その音をきっかけとして、少し休む事にしたらしい。  闇を出すのとは違い、飛ぶためには栄養が必要だ。 「休憩休憩。ふぅ」  のんびりと地面に降り立ち、原っぱに座った。  上品に座っているその姿は、良家のお嬢様に見える。……姿を見るためには、闇の中で目が見える必要があるが。 「そういえば、さっきのは何だったんだろう?」  可愛らしく小首をかしげて、妙な声の事を思い出す。  ふらふらと飛んでいたら「ゆぎゃあ」とか何とか聞こえてきた。  それほど時間を開けずに「ゆぎゅっ!?」という声と、甘いニオイが鼻を刺激したのだが、どこから聞こえたのか、甘いニオイはどこから漂っているのか分からず、結局そのまま通り過ぎた記憶。 「あれは食べられるものだったのかなー?」  そうだったら惜しい事をした。  ルーミアは、憮然とした表情でバタバタと足を動かして、先ほど見逃した食事の事を悔やんだ。  少しの間足をバタバタさせてから、ルーミアは気を取り直した。 ――ご飯は他にもあるし、もうすぐ暗くなるから、何か食べるものが見つかるかもしれないもんね。  周りの闇を解くと、既に日は落ち、暗くなっている。 「休憩おしまい。ご飯はどこかな~?」  のんびりと飛びながら食事を探すルーミアの目に、口元を黒く汚したゆっくりフランが見えた。 「こんばんは。あなたは食べてもいいおまんじゅう?」  感想で東方キャラを希望されて書いた。せっかくなので精神的いじめをやってみようと思ったらこうなった。今は次のSSを考えている。  なお、私は全ての東方シリーズはプレイしていないため、人称や設定など間違っている部分もあるかもしれません。  不快に感じた方は、ご容赦下さい。  by319 [[このSSに感想を付ける>感想フォーム]]

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