「ゆ~、あみゃいよ!」
「このあかいのおいちいね!」
「いっぱいあるからおかーさんにももってかえってあげようね!」
森の奥、ちびれいむ達が野いちごをむしゃむしゃと食べています。
稔りの神様のおかげでいっぱいに実った野いちごはちびれいむだけでは食べきれず、もって帰ることにしたようでした。
「ゆ~、いっぴゃいはいっちゃよ!」
「れいみゅのほうがいっふぁいだよ!」
「ゆぐぐぐ・・・もっちょはいるよ!」
「ゆへん!まだまだ!」
「それいじょういれるとあぶないよ!」
どれだけ持って帰るれるかを競い始めた数匹のちびれいむを他のちびれいむが注意します。
野いちごを口に含んだちびれいむ達は巣に戻ることにしました。
「ゆ~、おかーしゃんなんちぇいうかな!」
「たのちみ!」
「ゆっくりかえろうね!」
ちびれいむ達はぽよんぽよんと跳ねて移動していきます。
しかし、口に苺をたっぷり含んだ小さなちびれいむはうまくバランスを取れません。
「ゆゆっ!」
「ゆっ!?」
一匹のちびれいむが急な斜面に跳ねてしまい、ごろごろと地面を転がってしまいます。
他のちびれいむ達は驚き、あわてて後を追いかけました。
やがて木の近く、枯葉が溜まっている場所で転がったちびれいむを見つけました。
「おねーしゃんあしょこ!」
「ゆゆっ!ほんちょだ!」
「だいじょうぶ?!」
ちびれいむ達は転がったれいむのところに跳ねていきます。
ちびれいむは他の姉妹に反応することなく、小刻みに震えているだけでした。
「ゆ~?なんだかおかしいよ!」
「どうしたの!」
「ゆっくりしてね!」
心配そうにちびれいむを覗き込む姉妹達。
そして、動かない理由に気づきました。
「「「ゆ゙ゆ゙っ!?」」」
ちびれいむたちは驚き後ろに飛び跳ねます。
野いちごがいくつか飛び出しますが、そんなことは気になりませんでした。
目を見開いてちびれいむたちは動かない妹を見ていました。
「ゆ゙っ・・・」
転がったちびれいむは枯葉に隠されていたトラバサミによって傷を負っていました。
頬から背中にかけてきれいな切り傷ができています。
刃は途中で止まっており、もう少ししたら半分に切れているところでした。
そういう意味ではちびれいむは幸運でした。
最初に我に返ったのは一番大きなちびれいむです。
「ゆゆっ!おかーしゃんをよんできちぇね!」
「ゆっくりわかったよ!」
「ほかのみんなはれいむをたすけるのてつだってね!」
「「「「ゆっ!」」」」
一番大きいれいむの指揮のもと、傷ついたちびれいむの救出作業が始まります。
「ゆっくち!ゆっくち!」
「ゆぐゅ!」
「ゆゆっ!もっとゆっくり!」
「わかっちゃよ!」
慎重に慎重にちびれいむを外していきます。
はずし終わるころには親れいむを呼びに行ったちびれいむが、親れいむをつれて帰ってきました。
心配そうにちびれいむを見ていた姉妹達は親れいむの登場に喜びました。
「「「「ゆゆっ!おかーしゃん!」」」」
「おかーさんたすけて!」
「いもーとがゆっくりできてないよ!」
「ゆゆ!ゆっくりみせてね!」
妹を囲んでいたちびれいむを退かして、親れいむが傷の様子を見ます。
傷れいむは苦しそうに親れいむに話しかけました。
「おかーしゃん、ほっぺがいちゃいよ・・・」
「ゆっくりがまんしてね!」
親れいむは痛がる傷れいむをなだめながら、傷口に中身が漏れないように葉を当てていきます。
薬草にも用いられる葉は傷を抑えるのに適していました。
数枚の葉を使い、何とか傷を防ぎきります。
「ゆっ、これできずはふせいだよ!」
「ゆっくりなおそうね!」
「ゆ・・・」
「ゆぅ~・・・」
傷を塞いでもいまだ痛そうに震えているちびれいむを他のちびれいむに声をかけて元気付けます。
親れいむは傷れいむと小さいちびれいむを頭の上に乗せて巣にゆっくりと戻りました。
巣に戻ると寝床に使っている枯葉や藁を傷れいむ用に分け、予備に置いていた枯葉も使い、傷れいむ用の寝床を作りました。
親れいむはその上に傷れいむをゆっくりと載せます。
傷れいむは親れいむの細心の注意を払った動きでも痛がりました。
「ゆ゙ゆ゙!?」
「ゆっ、ごめんよ!」
「おかーしゃん、いぢゃいよ・・・」
「すぐおわるからね!がまんしてね!」
何とか寝床に傷れいむを乗せる親ゆっくり。
ちびれいむ達は傷れいむに近づき頬や額を擦って上げます。
「ゆぅ~、はやくよくなってね!」
「げんきになっていっしょにあそぼうね!」
「ゆっくりしていってね!」
「ゆぅ~・・・」
傷れいむはちびれいむ達の気遣いに、苦しそうな顔を無理やりにっこりさせて喜びます。
親れいむはそんな傷れいむの姿に同じようににっこり笑っていましたが、内心では不安で不安でたまりませんでした。
次の日、親れいむは早く傷を治してもらおうと美味しい食べ物をとりにいつもより早く狩りに向かいました。
傷れいむが心配で早く起きていたちびれいむに傷れいむを任せます。
「じゃあ、おいしいものをとってくるね!」
「おかーさんがんばってね!」
「ちびちゃんがいたがりだしたらはっぱをかえてあげてね!」
「ゆっくりりかいしたよ!」
「それじゃいってくるね!」
「ゆっくりしてらっしゃい!」
親れいむはぼよんぼよんと跳ねていきます。
ちびれいむは親れいむを見送った後、傷れいむの様子を見に行きました。
傷れいむは今はぐっすりと眠っています。
まだ葉を変えなくてよさそうです。
今のうちに朝ごはんの準備をしておこうとちびれいむは外に水を取りに行きました。
「ゆ~、おねーしゃんおはよう!」
「おなかしゅいたよ!」
「ゆっくりごはんにしましょうね!」
ちびれいむ達はご飯を食べ始めます。
傷ついたれいむにも食べさせようと一匹のちびれいむが傷れいむの口に食べ物を持っていきました。
「ゆっくりかんでね!」
「ゆぅ・・・」
苦しそうに口をあけた傷れいむはもそもそと食べ物を口に含みました。
「むーしゃ、むーしゃ、いちゃいいいいい!」
「ゆっ!そのままじゃむりだったね!ゆっくりほぐしてあげるね!」
傷がひどく噛むごとに痛がる傷れいむ。
ちびれいむは先に口に含んで食べやすいように柔らくして食べさせました。
「むーちゃ、むーちゃ、ちあわちぇ~・・・」
「ゆっくりたべてね!」
食べてくれたことを喜んで、さらに口で食べ物をやわらかくするちびれいむ。
何とか全部食べた傷れいむはやがてゆっくりと眠り始めました。
ご飯を食べ終わるとちびれいむ達は遊びの時間です。
「きょーはすでゆっくりしようね!」
「ゆっくりりかいしたよ!」
「きずれいむからはなれちゃだめだからね!」
きずれいむの近くで傷れいむの様子を見るゆっくり。
傷れいむのために巣の近くのお花を取りに行くゆっくり。
どのちびれいむも遊びといいながら傷れいむのために何かをしてあげていました。
「ゆぅ~!おはなさんとってきちゃよ!」
「ゆぅ・・・きれい・・・」
「れいむがよろこんでくれてよかったよ!」
ちびれいむが取ってきてくれたお花を見て傷れいむも喜びます。
「ゆ~・・・ゆぐっ!」
「ゆゆゆっ!?ゆっくりしててね!」
「ゆぐぐぐぐ・・・」
もっと近くで見ようと身を乗り出した傷れいむはすぐに痛がり出しました。
あわててちびれいむは傷れいむを寝床に戻します。
「れいむたちもいっしょにゆっくりするね!」
「ゆぅ~、おねーしゃんありがとう・・・」
「ゆっくりしてたらねむきゅなちゃった・・・」
「ゆ~、れいむも・・・」
「ぐっすり・・・」
傷れいむの周りで一緒にゆっくりしていたちびれいむ達は眠気に襲われ、やがて傷れいむとともにまた眠りにつきました。
「なにしてるんだぜ!」
「ゆゆっ!?」
突然の叫び声にちびれいむ達は飛び起きます。
そして辺りをきょろきょろと見回し、叫び声の主を探します。
叫び声は入り口にいる二匹のゆっくりの大きいほうが上げたものでした。
「ゆゆっ、まりしゃ!」
「なにしてるんだぜ!れいむがくるしそうなんだぜ!」
「ゆゆ?・・・ゆゆー!」
そのまりさ達はれいむの巣の近くに住んでいるまりさの家族でした。
その中でもれいむたちの仲が良いちびまりさが傷を負ったちびれいむのことを知り、見舞いに来たのでした。
そんな親まりさは必死な形相で傷をおったれいむのもとに向かいます。
ちびれいむはまりさの行動に驚きちびれいむを見、その原因に気づいて叫び声をあげました。
「ゆ゙・・・ゆ゙・・・」
傷れいむには蟻が集っていました。
ちびれいむの持ってきた花に蟻が入っていたのです。
蟻は、葉の効果が減り苦しみだしたちびれいむの傷から漏れたあんこに気づき、仲間を呼んであんこを集めていたのでした。
ちびれいむは苦しんで声を出していましたが、ちびれいむはぐっすりと寝ていて気づきませんでした。
たまたままりさが来たからよかったものの、もしきていなかったらと思うとゾッとします。
「かえのはっぱはどこなんだぜ!」
「ゆっ!ここだよ!」
「じゅんびするからありをとるんだぜ!」
「わかっちゃよ!」
「ありさんれいむのいもーとをたべないでね!」
ちびれいむ達とちびまりさは傷れいむに群がる蟻を潰したり食べたりして減らしていきます。
蟻が傷れいむの周りからいなくなったのを見計らって、親まりさが葉の交換を行いました。
手早い動きで葉を交換していく親まりさ。
「ゆゆっ、だいじょうぶかな・・・」
「とりあえずなおったんだぜ!」
「ゆ~、ありがちょ!」
「こまったときはおたがいさまだぜ!」
何とか蟻を追い払ったまりさ達は、親まりさの持ってきた甘い蜜を舐めてゆっくりしだしました。
傷れいむには親まりさが口移しで食べさせています。
永く生きた分だけ扱いはとても上手でした。
「ゆ~れいむたちだいじょうぶだった?」
「れいむたちはげんきだよ!」
「でも・・・」
「ゆぅ~、だいじょぶだよ!すぐにあのこもよくなりゅよ!」
「ゆゆっ、しょうだね!はやくよくなってまりしゃといっしょにあそぶよ!」
「まりしゃたのしみにしちぇるね!」
ちびれいむとちびまりさは傷の直ったちびれいむとどんな遊びをするか話し始めます。
親まりさはそんなちびまりさ達を微笑ましそうに見てから、傷ついたれいむの様子を観察します。
先ほど見た傷はとても酷いものでした。
葉によって中身が漏れないようになっていますが傷が完全に塞がるのはだいぶ先になりそうです。
それまでこのちびれいむが耐えれるか・・・まりさは冷静にちびれいむがこの後どうなるかを考えました。
「ゆゆっ、だれかいるの?」
「ゆっくりしていってね!」
「ゆっくりしていってね!」
ちょうどそのとき親れいむが帰ってきました。
ちびれいむ達の他にいるゆっくりを警戒しますが、それがまりさだと分かると警戒を解きます。
「ゆう、れいむたいへんだったね。」
「まりさ、みにきてくれたんだね!ありがとうね!」
「げんきだすんだぜ!すぐゆっくりできるようになるんだぜ!」
少しやつれてるように感じたれいむをまりさは励まします。
まりさはちびれいむの様態を知っていたのですがれいむの顔を見ると事実を言う気にはなりませんでした。
「まりさ達はもういくよ!」
「ゆっ!かんげいできなくてごめんね!」
「まりしゃ、まちゃあしょぼうね!」
「まちゃね!」
二匹のゆっくりまりさは自分達の巣に戻っていきました。
何もいわずに巣に戻っていく親まりさにちびまりさが話しかけます。
「おかーしゃん、あのれいむはなおるよね?」
「ゆ・・・」
親まりさは困りました。
本当のことを言うべきなのでしょうが、子供が知るには辛すぎる事です。
「だ、だいじょうぶだよ!よくなるよ!」
「しょうだよね!まちゃおいしいものもっていこうね!」
親まりさの返答にちびまりさは喜びます。
親まりさはそんなちびまりさを見て心がちくりと痛みました。
それから数日が経ちました。
あれから数回、ちびまりさと親まりさは傷れいむの見舞いに向かいました。
傷れいむの傷は見るたびに酷くなっていました。
最初の蟻の襲撃から目をつけられた傷れいむは毎日虫に狙われたのです。
巣の奥にいるので動物は来ませんでしたが、虫の侵入は防げませんでした。
ちびれいむ達は必死に追い払っていました。
まりさたちも手伝いましたが焼け石に水です。
見舞いに行く度疲れが増しているようなちびれいむたちをまりさは励ますしかできませんでした。
親れいむの方はもっと酷い有様でした。
早く良くなってもらおうと危険な場所に生えている食べ物も取りに行っていました。
親れいむの鬼気迫る表情に親まりさは止めることなどできず、せめて睡眠は取る様にと忠告しました。
しかし、
「ゆ・・・ありがとうまりさ。でもちびちゃんがたべられちゃうから・・・」
と、睡眠時間を削って傷れいむを見ていました。
まりさ達は日々弱っていくれいむ家族を見て、すぐにでもゆっくりさせたいと思いました。
傷れいむは今はゆっくりとしていました。
最初のころは苦しそうに転がり、傷をぶつけて痛がることが日常茶飯事でしたが、今はそうではありません。
今はぼーっと天井を見上げ、寝ているのか起きているのかわからない状態でした。
それをとてもゆっくりできていると思ったからこそ、れいむ家族はがんばっているのでした。
しかし、第三者であるまりさから見ればその努力が実ることはないという事が分かりました。
だけど、まりさにはれいむ家族を止める勇気はありませんでした・・・
「ゆっ、ちびちゃんおきて!」
「ゆー、どうしたのおかーさん?」
ある日の夜中、親まりさがちびまりさを起こしました。
起こされたちびまりさは眠そうに目をぱちくりさせます。
「いまかられいむのところにいこうね。」
「ゆっ?でもいまれいむたちはねむっちぇるよ!」
「れいむたちはねてないからいこうね。」
「ゆ?ゆ?」
ちびまりさは不思議がりながらも外に出るために帽子を被ります。
親まりさはしっかりと帽子を被っていることを確認すると巣の外に出ました。
れいむの巣に向かう途中もちびまりさは親まりさに質問を浴びせます。
「どーしちぇそんなにいしょぐの?」
「・・・」
「おかーしゃん!」
「・・・ちびちゃんよくきいてね。」
「ゆっ!」
「あのれいむはあしたまでいきられないんだよ。」
「ゆゆっ!?」
親まりさの発言はちびまりさにとって信じられないものでした。
ちびまりさは傷れいむが治ることを信じていたのです。
親まりさはなおも続けます。
「さっきね、ぱちゅりーがやってきたんだよ。」
「ぱちゅりーが?」
「ぱちゅりーもまりさたちとおなじで、れいむのしんぱいしてたんだよ。」
「ゆっ!」
「そのぱちゅりーがれいむはきょうがやまだっていってきたの。」
「やま?よくわきゃらないよ。」
「きょうでれいむがゆっくりできなくなるんだよ。」
「ゆー!しょんな~・・・」
まりさの説明を聞いてちびまりさは目に涙を浮かべました。
まもなくれいむの巣です。
れいむの巣には先ほどのぱちゅりー種、ちぇんやみょんなど近くの巣からさまざまなゆっくりがやってきていました。
やってきているのはちびまりさを除き大人となったゆっくりばかりです。
全部が巣に入ることは無理なので、巣の前に陣取り、そのときを待っていました。
「ぱちゅりー!」
「むきゅ、まりさきたわね。」
先ほどやってきたぱちゅりーにまりさは話しかけます。
「ちびちゃんはどうなの?」
「もうむりね。どうしようもないわ・・・」
「しょんな!」
ぱちゅりーの言葉にちびまりさは起こったように叫びます。
「まりさ、そのこもつれてきたのね・・・」
「つらいけど、しらなきゃいけないことだよ。」
「そうね。じゃあいきましょう。」
ぱちゅりーに連れられてまりさ達は巣の中に入っていきます。
中では傷れいむの周りにちびまりさと親れいむが集まっていました。
傷れいむは死んでいるのと代わりがありませんでした。
目は虚ろで、天井を見ているのかも分かりません。
傷を覆っていた葉も剥がれかけていましたが中身が漏れることはなさそうでした。
何かをいいたいのか、口を少し震わして声なき声を出している状態が今の傷れいむのすべてでした。
「れいむ・・・」
「まりさ、みんながこのこがもうしんじゃうっていうんだよ!」
「しょうだよ!まだまだしにゃないよ!」
「しょーだ!しょーだ!」
やってきたまりさに親れいむが詰め寄り、まだ生きていると主張します。
ちびれいむも親れいむに続いて叫びました。
まりさは困ったようにぱちゅりーを見ます。
ぱちゅりーは何も言葉が出ず、ただ地面を見ているだけでした。
ちびまりさが傷れいむに近づきます。
「ゆ~・・・」
「ゆっ!まりしゃみちぇよ!れいむはまだいきちぇるよ!」
「ゆっ?」
一匹のちびれいむが傷れいむをゆすります。
そのたびにちびれいむは反応するように震えました。
「ねっ!れいみゅはいきちぇるよ!」
「ゆ~・・・」
いくらちびまりさでもそれが生きていると言えないことは分かりました。
それでもちびれいむは傷れいむが生きていると信じて必死に揺り動かしていました。
見かねたぱちゅりーが止めに入ります。
「むきゅ・・・れいむもうやめなさい。」
「ゆっ、なんで!?このこはまだいきちぇるよ!」
「そうおもうのならゆらすのをやめなさい。」
「ゆぐっ・・・」
ちびれいむが揺らすのをやめます。
傷れいむはまた天井を見上げ動かなくなりました。
「ゆっ、ゆっくりしすぎだよ!」
ちびれいむがまた揺すろうとするのを親まりさが止めます。
ちびれいむの目には涙が浮かんでいました。
「なんぢぇ、なんぢぇどめるのおおおおおおおおお!」
「「「「ゆ゙わ゙あ゙あああああああああああああああん!」」」」
とうとうなき始めるちびれいむたち。
そんなちびれいむたちを親れいむはやさしく擦ります。
「おかーしゃん・・・」
「もうやめようね。このこはゆっくりさせてあげようね。」
「ゆ゙ぅ゙うううううううううう・・・」
親れいむは動かない傷れいむをゆっくりと外に出しました。
外では他のゆっくりが穴を掘ってくれていました。
穴の中にはちびれいむがゆっくりできるようにと枯葉がしかれています。
「ちびちゃん、またね・・・」
親れいむのつぶやきの後、穴の中のちびれいむに土が掛けられていきます。
穴はすぐに埋まり、ちびれいむの姿は見えなくなりました。
「じゃあ、たべものをとりにいってくるよ!」
「おかーしゃんがんびゃって!」
親れいむが巣から出て行きます。
傷れいむの死からしばらく、れいむ家族はゆっくりと生きていました。
あれからちびれいむ達は巣から離れることがめっきりと減りました。
その分親れいむが遠くまで動き、さまざまな食べ物をとるようになりました。
今日も親れいむはぴょんぴょんと跳ねていきます。
「ゆ~、おいしそうなたべものどこかなー。」
れいむは木の実が落ちてないかと木の周りを探し始めました。
やがて、ある木の下にれいむの頭にこびりついている物を見つけました。
「ゆゆっ!これは!?」
れいむが見つけたのはトラバサミです。
ちびれいむを傷つけたものとは別のもでしたが、れいむにはそれを知る方法がありませんでした。
「ゆ゙~、ごい゙づめ゙えええええええええ!」
親れいむは憎きトラバサミの周りを飛び跳ねます。
刃を触ると親れいむといえど致命傷となることは理解できました。
ゆえに親れいむは近くを飛び跳ねるしかできません。
そしてとうとうトラバサミの上に載ってしまいました。
「ゆっ?」
ちびれいむでは反応しなかったトラバサミも親れいむの大きさでは反応してしまいます。
がしゃんとトラバサミは親れいむに食い込みました。
「ゆぎゃ!・・・」
親れいむに思いっきり食い込んだ刃はれいむの喋りをさえぎります。
こうして親れいむは死ぬまで傷れいむの痛みを味わうことになるのでした。
「れ゙い゙む゙の゙がわ゙い゙い゙ぢびぢゃん・・・」
親れいむの苦しそうな呟きは誰にも聴かれることはありませんでした。
「れいむたちげんきかなー!」
れいむ達の巣にちびまりさがやってきました。
まだ、ゆっくりできていないちびれいむを励まそうとやってきたちびまりさは巣の様子がおかしい事に気づきました。
巣の中からはゆっくりがいる気配がなく、ちびれいむ達の声が聞こえません。
巣の入り口も飛んできた枯葉などで汚れています。
「ゆぅ・・・ゆっくりしていってね!」
巣の様子を気にしながらもまりさは元気よく挨拶をしました。
「ゆ・・・ゆっくりしちぇいっちぇね・・・」
返事はお世辞にもゆっくりしているとは思えない声でした。
ちびれいむ達は看病をしていたときと同じぐらいにやつれていました。
「れいむ、どおちたの!?」
「ゆぅ・・・おかーしゃんがかえっちぇこないの・・・」
ちびれいむ達は親れいむが帰らなくなってから巣に残った食べ物を少しずつ崩して餓えを抑えて生きながらえていました。
親れいむを捜しに行こうと思ったときもありましたが、傷れいむのようになってしまうのが怖く、待つことしかできませんでした。
「れいむ、げんきだしちぇね!」
「おにゃかしゅいた・・・」
「ゆぅうううう、しょうだ!ちょっとまっちぇちぇね!」
ちびまりさが巣の外に飛び出していきます。
ちびまりさは自分達の巣から食べ物をとってこようと思いました。
親まりさももうすぐ帰ってきます。
まりさは親まりさに何とかしてもらおうと思いました。
「ゆ・・・」
ちびまりさと話したちびれいむは残った力を振り絞ってしまいたちを引きずります。
何匹かは気を失っていましたがまだ生きていました。
「がんばっちぇね!もうすこしでまりしゃがたしゅけてくれりゅよ!」
「ゆ゙ぅ・・・」
お互いに声をかけてなんとか気を保とうとがんばります。
そんなちびれいむ達の巣に一匹のゆっくりがやってきました。
「ゆ、まりしゃ、ゆっくりしちぇいっちぇね・・・」
「・・・・・・」
そのゆっくりに気づいたちびれいむ達はゆっくりに話しかけます。
ちびれいむ達はまりさと勘違いしていました。
やがてそれに気づきます。
「ゆぅ、まりしゃ?」
「・・・・・・れ、れいむううううううううう!」
「ゆわあああああああ、ありすだああああああああ!」
よだれを垂らし跳ねてくるありすにちびれいむは少ない力で飛び跳ねます。
最初に標的となったのは気を失っているれいむでした。
ありすは気絶していようが関係なく体をこすり付けます。
「れいむ、いいよおおおおおおおおお!」
「や゙、や゙め゙ぢぇえええええ、しにぢゃぐないいいいい!」
途中で目を覚ましたちびれいむの抵抗もむなしく、最初のちびれいむが黒ずんだものに変わりました。
ゆっくりと黒ずんでいくちびれいむを他のちびれいむは驚きと悲しみの混じった目でじっと見ていました。
しかし、ありすは悲しむ時間をちびれいむに与えません。
「つぎのれいむどごおおおおおおおおおおおおおお!」
「や゙め゙ぢぇえええええええええええええええ!」
れいむは小さな体に鞭打ち、巣の奥へと逃げていきます。
ありすは入り口を塞ぐように動いていたのでそれはしょうがないことでした。
ありすに捕まるのが少し伸びるだけの逃避でしたがちびれいむ達には希望がありました。
ちびまりさが親まりさを連れてきているはずです。
親まりさならありすを倒してくれるとちびれいむは思っていました。
「がんばっちぇにげるよ!」
「しょうだよ!まりさがたすけてくれりゅよ!」
弱った体に鞭打ち必死にちびれいむは巣を逃げ回ります。
れいむは逃げれているように感じていましたが、これはありすが遊んでいるだけでした。
「うふふ、にげてるれいむたちかわいいいいいい!」
「ごな゙い゙でえええええええええ!」
ありすはちびれいむに近づくと舌でちびれいむを嘗め回して逃がします。
そのたびにちびれいむは恐怖に顔を引きつり、また一生懸命逃げるのでした。
やがて、巣の一番奥にある寝床に来てしまいます。
「もうにげばがないよ!」
「ゆっくりしないいでかくれてね!」
「れいむはこっちにかくれりゅよ!」
「れいむはこっちにすりゅよ!」
あるものは寝床にした藁の下、あるものは置いている食べ物の中に。
ちびれいむ達は見逃されることを信じて隠れました。
一番大きいちびれいむは隠れる場所が限られていました。
一番小さなちびれいむはうまく隠れれませんでした。
「ゆっくりまにあってね!」
「ゆっくち!ゆっくち!」
二匹のちびれいむは協力して穴を掘ることにしました。
そして二匹が隠れる場所を作るしかありません。
二匹は傷れいむが寝ていた藁の横を掘ります。
「ゆっくりがまんしてね。」
「ゆっくりりかいしちゃよ・・・」
そして傷れいむの寝床を横にずらして穴をすっぽりと覆いました。
二匹のれいむにできるのは後は祈るだけでした。
ありすはわざとちびれいむたちが隠れているのを待っていました。
「ゆふふ、ちびちゃんたちがんばってかくれてるかしら。」
ありすは隠れる場所も見ないで隠れきるのを待ちます。
見つけたれいむから犯していく、ありすにはその未来を想像して涎を垂らすのを止められませんでした。
ゆっくり、ゆっくり。
二匹のちびれいむはありすがいなくなるのを待ちます。
「おねーしゃんもうだいじょうぶかな・・・」
「ゆっ、まりさがくるまでがまんしようね。」
「ゆっくりわかっちゃよ・・・」
二匹はまりさがくるのをじっと待ちます。
まりさはまだかな・・・
そんな二匹のゆっくりとした時間は唐突に終わりを告げました。
「「ゆっ?」」
「あなたたちがさいごね!」
無慈悲にもちびれいむたちを見つけたのはありすでした。
二匹の顔に絶望が広がります。
「やめちぇええええええええ!」
「いもーとをはなせえええええええええ!」
小さい方を引きずり出すありすに大きいちびれいむは体当たりを仕掛けます。
しかし、ありすにはちょうどよい刺激にしかなりません。
「ゆふふ、ちびちゃんいいよおおおおおおおおお!」
「い゙や゙ああああああああああああ!」
「や゙め゙ぢぇえええええええええええ!」
ちびれいむの奮闘も虚しく、ちびれいむはゆっくりと黒ずんでいきました。
「おねーしゃん・・・もっちょゆっくりしちゃかっちゃ・・・」
「ゆ゙ううううううううううううう!」
呆然としているちびれいむを無視して黒ずんでしまったちびれいむをありすは投げ捨てます。
ちびれいむは弧を描いて地面に落ちました。
そこには似たような黒い物体が集まっています。
ちびれいむはそれが姉妹だと思いたくありませんでした。
「さぁ、さいごのいっぴきね!とってもかわいがってあげるわ!」
ありすの発言ももはやちびれいむには届いていませんでした。
ありすと触れ合う瞬間、ちびれいむは最後の言葉を吐きました。
「おかーさん・・・」
森の中を二匹のゆっくりが跳ねています。
「おかーしゃんいしょいでね!」
「まってね!たべものをいっぱいふくんでいそぐとあぶないよ!」
親まりさの発言に傷れいむのことを思い出したまりさは速度を落とします。
親まりさは俯くちびまりさをやさしくさすってあげました。
ちびれいむは顔を上げて親まりさを見ます。
親まりさはにっこりと笑うとちびれいむ達の巣を見つめました。
ちびまりさも親まりさにつられて巣を見つめます。
二匹は安全に、しかし出来るだけ早く巣を目指していました。
二匹がありすのいなくなった巣で黒ずんだちびれいむたちを見るのはそれからしばらくのことです。
最終更新:2008年10月17日 13:43