ゆっくりいじめ系1635 ゆっくりと紐

ゆっくりと紐

 体内受精をしたゆっくりれいむと、それを見守るゆっくりまりさ。
 とうとうここまで来たのだなあ、と、感慨深く思い起こす。初めてこいつらと
出あったのは、春の桜が散り切る前のことだったろうか。ゆっくりの家宣言をさ
れた俺は、その唐突な内容よりも愛らしい彼女達の仕草に心を奪われてしまった
のだ。
 だって可愛いのだもの。
 毎日のようにご飯を食べさせ、ワガママを聞き、ゆっくりとさせてやる毎日。
頼っているという自覚すらないのだろうが、それでも俺は幸せで、ゆっくりと
できた。
 冬も間近、二匹の初めての子が生まれた。枝にまるまると実った彼女達は、本
当に幸せそうに笑っていた。俺自身家族が増えたことに大層喜び――その頃には
『おにいちゃん』ではなく、『おとーさん』と呼ばれ始めていた――、さらにゆ
っくりとした暮らしを深めていた。
 だが俺の稼ぎはそれほど多くはなく、多数の家族を養えるほどではなかった。
ゆっくりの姉達は一様に、父母と新しい子供を養うことを選択し、次の子供が生
まれると、なごり惜しげに皆旅立って行くのだった。
 悲しい出来事もあった。
 どこからか入り込んだゆっくりぱちぇりーに、生まれたての子ゆっくりが連れ
去られ、多数が行方不明になったこともあった。他のゆっくりが入り込み、子供
たちの何人かが犠牲になったこともあった。それは不幸ではあったが、家族の絆
をより深め、こうして新たな幸せを迎える原動力ともなったのだ。
 世の中には、ゆっくりを食べたり、虐待したりする人がいるらしい。見つけ次
第に殺してしまうのも居る。だがどうだ、ゆっくりはこうしてゆっくりしている
だけで、果てしなくゆっくりをもたらしてくれると言うのに……。

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「うまでるよ! もうずぐばぢざとでいぶのあがじゃんがうばでるよ!」
 顔を真っ赤にして、それでも幸せそうに叫ぶ母れいむ。父まりさと子供たちに
囲まれた彼女に近づいて、出産の手助けをしてやる。
「れいむは出産初めてだよな?」
「う゛? 子供だぢならだぐざん産んだよ?」
 違う違うと手を振り、俺は簡単な説明をする。
「枝から生まれる子供と、おなかから生まれる子供は違うんだ。今回みたいにお
なかから生まれる場合、何の準備もしないと、危険が危ないからゆっくりできな
いんだよ!」
 そう告げられた一同は、「ゆっくりしたいよぼおお!」「あかじゃん! まぢ
ざのあがぢゃんが!」「ゆっくりなんどがぢでえええ!」などと騒然とし始める。
「でも、これさえあれば大丈夫だよ!」
 出産のために用意してきた道具を取り出す。泣き叫ぶ声が歓声に変り、俺はそ
の道具を母れいむに巻き付けた。
「おとーさん、これなに? ゆっくりできるもの?」
「ああそうだよ、ゆっくりできるよ……とさて、聞いてくれ」
「何なに?」「ゆっくりする?」
「これはね、『紐』というんだ。出産をするときに、赤ちゃんが勢い良く飛び出
すからね! 怪我をしないように巻きつけてあげるんだよ! みんなも怪我した
らいけないから、つけてあげるね」
 信頼している『おとーさん』のセリフに、誰一匹疑うことすらなく、『紐』を
体に巻きつけるゆっくり達。
「あ、まりさはこっちに来なさい。ゆっくりと出産を見れるようにしてあげるか
らね!」
「わ、わかった! ゆっくり赤ちゃん見たいよ!」
 俺は父ゆっくりまりさを、母れいむの目の前に固定した。俺は出産補助装置の
概要を、皆に説明する。
 装置に固定された母れいむは、ゆっくりしながら出産することが出来る。そし
て出産された赤ゆっくりは、赤ゆっくりゆっくり装置によってゆっくりさせられ
る。子ゆっくりゆっくり装置は、母れいむの目前、固定された父まりさのすぐ体
下に設置されている。
「さあそろそろだな。みんな、動くと危ないから動いちゃだめだよ!」
「「「ゆっくりじっとしているね!」」」

「ゆ゛っ! ゆ゛っ! ゆ゛ぐりいいいいい!」
 息も絶え絶え、頬を真っ赤にしながら、母れいむの出産が開始された。母れい
むに巻きつけた『紐』には多少ゆとりがあるため、この程度で怪我をすることは
ない。
「赤ちゃんだ! れいむの妹だよ!」
「違うよ、まりさの妹だよ!」
「ゆっくり! ゆっくり生まれていってね!!」
 皆の応援のなか、生まれながら声を上げる赤ゆっくり。
「ゆ、くり、……う?」
 違和感に気付いたのだろう、慌て始める。
「ゆ、おかあしゃんゆっくり出来ないよ! お顔がひたい、ひたいよぅ!」
「ば、ばだじのあがじゃん! どぼじだぼおおお!?」
「ゆ、ゆっくりがんばってね!」
 だがもう出産は止まらない。勢い良く子供を産み出す母れいむ。
「い゛っ! ゆ゛っ! ぐりじでぶううううううううううう!」
 母れいむに巻きつけられた鋼鉄の紐に輪切りにされ、絶命したまま勢い良く飛
び出した赤ゆっくりは、そのまま赤ゆっくりゆっくり装置にその亡骸を晒した。
「う゛あああ! でいぶどぶりぢいいいいいなあがじゃんがああああ!! あが
じゃん! あがじゃっ!?」
 そのショックが次の出産を早めたのだろう、下腹部が膨張し、新たな赤まりさ
が顔を覗かせる。
「うっう……。お、おかあさんがんばって!」
 娘達の応援に、今失ったばかりの命を思うゆとりも与えられず、出産を開始す
る母れいむ。だがすでに赤まりさの顔には行く筋もの切れ込みが入っており、
「ゆっぐうううああああぶっ!!!」
 生を得るのと同時に死に誘われた。
「うばああああああああああああ! あが! でいぶのあがああああ!!」
「あがじゃあああんんんんんんんん!!!」
 装置に横たわり、ぴくぴくと震える、赤まりさだったもの。
 ゆっくりと生まれ、ゆっくりと育ち、ゆっくりと旅立つはずだった、幸せなゆ
っくりとなるはずであった餡の塊は、何を言うこともない。
 絶望に染め上げる家族に向けて、僕は慰めの言葉を紡ぐ。
「もしかしたら、産むのが速すぎたのかもしれないな。可哀想に……ゆっくりし
たかったんだろうにね」
 その言葉にびくりと体を震わせる反応する母れいむ。目の前の我が子の亡骸に、
絶望の表情を浮かべる父まりさ。声すら立てずに涙を流すゆっくり一家。
 そんな彼女達の心を癒すために、ビデオを見せてやる。
「おや、あれは何かな……?」
 母れいむの、昔生んだ娘達の姿が、そこには映し出されていた。ビデオの概念
を知らない一家は、まるでその中に生活しているように見えることだろう。昔、
唐突に現れたゆっくりぱちぇりーにさらわれたはずの、生まれたての我が子。彼
女達の元気な姿を見せられた母れいむは、彼女達が生きていることに――今の状
況を忘れているわけではないだろうが――歓喜した。
 喜びもつかの間、ゆっくりぱちぇりーによっていたぶられ、無残な姿を晒す赤
ゆっくり。その衝撃は、またも出産を早めたようで、何とか赤ゆっくりが生まれ
ないように暴れだす母れいむと父まりさ。
「だめ! ゆっぐり! もっどゆっぐりじでえええええ! うばでだいで! う
ばれないでぼおおお! ゆっぐりじでよぼおおお!」
「がばんじででいぶ! がばんじだいどまでぃだどでいぶのごどぼがああああ!」
 ゆっくり達は気付かないが、装置は時間とともに母れいむを締め付け、出産を
強要する作りになっている。装置に固定されており、そもそも出産をコントロー
ルする術も知らないであろう母れいむは、またも生まれながら死に絶える赤ゆっ
くりを目の当たりにせざるを得なかった。
 ビデオからは延々と、巣立ったはずの子ゆっくり達の断末魔が流れつづけ、生
まれては死んでゆく赤ゆっくりの残骸は増えていった。

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 時間を掛ければこんなにも「ゆっくり」させてくれる存在になるのだ。
 次回の出産のためにも、信頼を損ねることは出来ないのだが、彼女達の信頼を
踏みにじる時のことを考えると、とてもゆっくりとした気分になれるのである。

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最終更新:2008年12月07日 14:53
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