ゆっくりいじめ系1756 テガミ

※注意!
ゆっくりSSにおけるおなじみの注意事項(自分設定とか、虐待要素薄いとか、その他沢山)に該当するかもしれません
苦手な人は回れ右。

『地に還れ』『ヒメイ』『カンミ』と世界観がつながっているきがします





おにいさん、まりさだよ
おにいさんのおうちからひとりだちしたあと
まりさはれいむやぱちゅりとゆっくりがんばりながら
すごくゆっくりしたおうちをつくって
おはなさんをむーしゃ、むーしゃしたり
きれいないしさんをあつめたりして、とってもゆっくりしたよ!

そのあとさむいさむいふゆさんがきて
おそとでゆっくりできなくなったけど
ぱちぇがいっしょうけんめいあどばいすをくれて
ほしくさをしきつめたおうちで
ゆっくりあったかくえっとうすることができたよ!

はるさんがきて、またおそとでゆっくりしていたら
まりさのれいむがかわいいあかちゃんをたくさんにんっしんしたよ!

まりさがごはんをとってきて
れいむがおうたをうたってあげて
ぱちぇがいろんなことをおしえてあげて
まりさのあかちゃんたちは、せかいでいちばんゆっくりしているとおもうよ!!!

ひとりでさみしくてゆっくりできなかったまりさとれいむとぱちぇを
たくさんゆっくりさせてくれたおにいさんに
こんどはかわいいかわいいあかちゃんをみせて
たくさんたくさんゆっくりさせてあげるからね!!

ちかいうちにあいにいくから
ゆっくりまっていてね!たのしみにしていてね!!

まりさ。

  *   *   *

便箋一枚ほどの文章を解読するのに私が要した時間は三時間
以前まりさに書かせた50音表と照らし合わせ
字がくずれて理解できない部分は文脈から予想し
酷いときには魔術さえ行使して(ある意味これが一番簡単なのだが、なんとなく抵抗がある)
読み上げたころには太陽は正午を指す位置に移動していた。

家を追い出してから、まりさは時々こうやって手紙を寄越す。
初歩の読み書きを教えてやり
クレヨンと落書き帳を持たせてあったので
何かに使うだろう、とは思っていたが
こうやって何度も手紙を送ってくるというのは
想像だにしていなかった事である。

一度目は巣が見つかった事

二度目は降り続いた雨がやんで安心している事

三度目は結婚のお知らせ

四度目は冬篭りが近いのでしばらく手紙を出せない事

五度目の今度はどうやら
子供が生まれたから見せに来る、と言う事らしい。
ふむ…

うーぱっくは少なくない量の報酬を要求する。
あの三匹で、まともに食料を集められるのはまりさだけだろう
だというのに事あるごとにこうやって手紙を送ってくる。

「おかしい…」

手紙が届くたびに感じる気味の悪さ。
うーぱっくを尾行、あるいは買収して様子を見に行っても良かったが
純粋に面倒なので放置していた…していたのだが
今回の手紙はあまりにも無視できない違和感がある。

あの三匹はきちんと避妊してから野に放した筈だ。
それなのに『子供を見せに来る?』

ぱちぇは足を焼いた

れいむは両目が無いはずだ

まりさ環境的には多少マシだったが
気まぐれで寺子屋の幼年部で教わる程度のことを詰め込み教育したので
ノルマを達成するまでは餌も与えず
『一瞬たりともゆっくり出来ずに』生後の半年間をすごした筈だ
どうにもケツのおさまりが悪い。

「ちかいうちにあいにいくからゆっくりまっていてね…ね」

口に出して、あまりの現実味の無さに笑ってしまう。
笑ってしまって、自分の目が笑っていない事に気がついた。

むかし、こんな話をどこかで聞いたことが無かったか…?

  *   *   *

次の朝、またうーぱっくが手紙を持ってきた。
今日巣を出発したらしい

ぱちゅりーがゆっくりしているので
そっちに付くころには子供達はみんな子ゆっくりになっているかもしれないと
冗談めかして書かれていた。

れいむがはぐれてしまった時、赤ちゃんたちが大きな声で教えてくれたので
大事にならなかったこと、かしこい子供達はやっぱりとてもゆっくりしているという事が書かれていた。

次の日、また手紙が届く。
親切なめーりんたちが『スィー』をくれたという
これで思っていたよりも早くこちらに付く事ができそうだと言う事。
その親切なめーりんたちには、ずっとゆっくりしてほしいと思っている事。


私は最初から、まりさが送ってくる手紙に気味の悪さを感じていた。
最初は無視することが出来る程度だったその気味の悪さは
最早無視することが出来ない程の不安となって私の日常を苛んでいた。

たかが饅頭にこれほどの不安を感じるなど
愚かしいことだと思う。
思うのだが、私は備えをすることにした。


私は魔術師だ
私のことを知っている人間なら、誰しも知っていることだ。

位階はそう高いものではないが、小さいながらも工房を持ち
人里から訪れる人たちの些細な依頼や相談事を解決して日々の暮らしを営んでいる。

魔術を使って戦うことは決して得意ではないが
魔術師である以上、工房を守る程度の術はひと通り扱える。

里のほうにはしばらく工房に近づかない様に伝え
必要なものを買い揃えてその日一日を慣れぬ術の準備に費やした。





「F、H、T…」

夜が開け、窓から差し込む日が瞼に入ってようやく朝まで続けていたことに気がついた。

「C、Z。」

玄関に彫り付けた文字を見て苦笑する。
元々凝り性な所はあったが、これ程徹底的な備えをしてどうすると言うのか。
馬鹿げている、こんなものを使えば私自身もただでは済むまい。
上級悪魔か大妖怪でも相手にするつもりか、解除も容易ではあるまい…私は何を…怯えている?

酷く時の進みが遅く感じる。
人里で買い求めた本も頭に入らず、数ページめくって投げ出してしまった。
揺り椅子で浅くまどろみながら、懐には数年ぶりに手にする短剣…魔術の品である。

ばかばかしい、頭に思い浮かぶ益体も無い思考を否定しているうちに
私の思考は一年前のあの日のことを思い出していた。

  *   *   *

里をゆっくりが襲った、春先のことである
越冬を耐え切り、新芽が芽吹くのを待てなかった群が
手っ取り早く餌を得ようと暴挙に出たのだろう。

ドス級の固体が二体、暴れに暴れた。

死者も出た。
二人のうち一人は私の客の少女だった
気休めにしかならない恋の呪いを私に求めた少女だった。

そういうのは、魔法の森の彼女の方が優れていると何度言っても

「先生の方が良い」と、何度も何度も工房を訪れた娘だった。
笑顔を絶やさない娘だった。

私は激怒し、彼らを根絶やしにした。

川に魔法薬を流し、虫に呪をかけ
火を放ち、燻し出された彼らを
禁呪でもって生きながらに地の底に埋めた。

終ってから、私は自らの行いを恥じた。

あの三匹はその生き残りである。
それを里から引きとり、成体になるまで育てた。
(里の総意で増えて群れることが無いよう去勢された)

目を失っていたのは、私が放った呪虫に抉られたから
足が焼かれているのは私が火を放ったから。

教育を施したのは、彼女が確かそんな事をしていたからだったと思う。

要は…エゴだ

命の価値が対価だと言うのなら
あの群には千を超えるゆっくりが居たのだ、
私は殺されるだけの罪を背負っているのだろう…

まどろみの中で、私はまた『ばかばかしい』とつぶやいていた。

  *   *   *

バンッバンッ!!

窓ガラスに、何かが体当たりしている。

懐中時計を改めるまでもなく深夜。
人は決して訪れない、では…何が?

「う…っ…、…!!!」

僅かに聞こえたのはもはや聞きなれたうーぱっくの声
尋常な様子ではない、涙を撒き散らしながら
前面をひしゃげさせながら、死に物狂いで
私に助けを求めている。

窓を開けてやろうと駆け寄ると
異様な光が窓に直撃した。

「うぎゅべっ!!!!?」

短い断末魔をあげて、消し炭となるうーぱっく。
今の光を、私は見たことがあった。

ドススパーク…ドス級のゆっくりが放つ
茸の魔術反応を用いた魔術の醜悪な劣化模倣。
障壁が無ければ、窓際の私も無事ではなかっただろう。

つづけて、二度三度と衝撃が工房を襲う
たまらず私は手近な家具にすがり付く
続けて、何度も何度も。

揺れによろめきながらも、工房の中央に向かい
陣の核になっている方陣に短剣を突き立てて命じる。

「≪迎撃/全方位:反射≫――――!!」

窓の外を照らしあげていた光が何倍にも広がる。
打ち込まれた攻撃を対象に跳ね返す
防御の術としてはそこそこに高位の物だが
恐ろしい事に、反射しているにもかかわらず
次々と多方向から新たなドススパークが打ち込まれ続ける。

効果時間の限界が近づくたびに、何度も何度も術を再行使しながら
術をかけた姿見を通じて外の様子を確認する。

まばゆく照らしあげられた昼の様な私の庭中で
まるで泥の様な無数の黒い塊が
不定形に形を変えながらふくらみ、孔を広げては光線を吐き出す異様な光景が広がっていた。

「≪遠視/拡大:接写≫」

黒い塊には、目玉が・口が・へばりつくような白い部分が・金の黒の紫の銀の糸くずがまとわり付いている。

「馬鹿な、あれら全てがゆっくりだとでも…」

巨大な塊が全方位から光を放つ中
小さな塊が波打つように工房を包囲する円を狭めていく。

冷たいものが背筋を滑り落ちる。

反射された光線を受け、消し炭になった部分を、新たな黒いものが覆ってまた大きさを取り戻すと光線を放つ。
あの黒いものは…餡子だ、虫のように蠢く餡子が大きなゆっくりを形作るたびにドススパークを放っている。

そして這って、這って、這って、這ってくる無数の小さな黒い塊…あれらは成体サイズのゆっくりの様だ。

私は呆然としながら工房を覆う白線に這い寄る彼らが触れるのを見ていた。

「ゆ゛」
「ゆ゛」「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛」
「ゆ゛ゆ゛ゆ゛」
「ゆ゛ゆ゛」「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛」「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛」
「ゆ゛」ゆ゛ゆ゛
「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆゆ゛ゆ゛゛」
」「ゆ゛ゆ゛ゆ゛」「「」」「」

ゆ゛ゆ゛
ゆ゛

白線が回転し、回転し拡大し、拡大して彼らを陣の中に閉じ込める。

「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛」

余裕は、無かった。
私は床の方陣に突き刺さった短剣の柄に収まった宝石を

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

硝子のように砕け散る短剣ごと踏み砕いた。

白線の内側に、床に描かれた方陣と同じ文様が四重に浮かび上がりスライド
描かれた方陣から無数の巨大な牙が競り上がる

「≪餓哭喰噛嚥魂≫!!」

障壁に包まれた工房をも巻き込んで、巨大な顎が閉じられた。

  *   *   *

吐き気と頭痛に苛まれて、私は目を覚ました
一年前に使った物等比べ物にならない、大禁呪である。
本来なら私如きが扱える術ではないが、外敵の命を生贄に転換する式が功を奏したのだろう。

後に、降霊専門の術士に頼んで今回の件を調べてもらった所
私が地の底に埋めた彼らの怨霊が、襲ってきていたらしい。

とはいえ、これで片付いた
≪餓哭喰噛嚥魂≫の術式は、喰らい尽くした外敵を魂まで蹂躙する。
永劫にわたって地の底で貪られ続けるのだ、二度とああやって現れることは無い。

半壊した工房の修繕を行っている私に、二通の手紙が届いた。
今度は人間の配達人である。

一通は赤い便箋、内容はたった一行
『あなたの力をお借りしたい。』

二通目は、薄汚れた一冊の落書き帳
『またあいにいくよ』


つづく…?


【あとがき】

まだつづきます。

かなり前スレで冷凍みかんと名乗る事にさせていただきました
正直あの魔法が使いたかっただけです
ゾンビゆっくり状態の彼らなので、あまり派手に叫ばせませんでしたが
なんかすっきりしないので修正して叫ばせるかも。

このシリーズは、もう少しだけつづくんぢゃよ。

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最終更新:2008年12月16日 22:23
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