ゆっくりいじめ系1903 まりさは森へかえるんだ 1

(作者注:これはいじめSSですが、虐殺・無残死が好きな方には向いていません)
(編注:前後編に分割しました)



  まりさは森へかえるんだ  〜幼き饅頭に捧げるサーガ〜   作:YT


  1.

 赤ちゃんまりさが気がついた
 河口の砂浜、板の上
 母さんまりさはどこにもいない
 まりさはゆんゆん泣き叫ぶ。

 まりさは森でうまれた子
 ゆっくりしてねと愛された
 ある日川原へ出て行って
 ころりんぽちゃんと落っこちた。

 板に乗っかり川下へ
 とうとう海まで流れ着く
 見たこともない遠くの地
 母さんまりさはどこにもいない。

「たちゅけにきちぇね」と泣くまりさ
 そこへ現れるウミガメさん
 まりさの話を聞いて言う
「なあにそれなら簡単さ」。

 森から来たなら森へお帰り
 川をのぼればいずれ着く
 やる気を出したまりさは叫ぶ
 まりちゃは森へかえりゅんだ!

 ウミガメさんもさすがに知らない
 まりさが三日も流れたことを
 ここははるかな下流の地
 まりさの森まであと百キロ。


  2.

 ウミガメさんと別れたまりさ
 ぽいんぽいんと勇んで跳ねる
 けれどもすぐに休憩タイム
 百メートルでもう限界。

「まりちゃは ゆっくち きゅうけいすりゅよ!」
 のんきに護岸で転がるまりさ
 ぺーろぺーろと川水なめる
 川はほんのり故郷の味。

 お花をかじり虫をたべ
 結局そのまま日が暮れた
 無邪気で無垢な赤ちゃんまりさ
 その場ですやすやおねむになった。

 けれどもそこは危険な地
 夜半に近寄る黒い影
 がぶりと噛まれてまりさは跳ねる
 見たのはフナムシ、強い敵。

「きょわいよ きょわいよ たちゅけてね!」
 容赦はしない肉食昆虫
 ぽりぽりクチュクチュまりさをかじる
 痛みのあまり大絶叫。

 ところが神様気まぐれ起こした
 なんのはずみかまりさはコロリ
 川に落っこちしばらく流れ
 フナムシたちから逃げ延びた。

 再び護岸に上がったまりさ
 ゆっくりゆっくり事態に気づく
 誰もまりさを守ってくれない
 ケガしたまりさはひとりぼっち。

 護岸に沿って旅するまりさ
 コンクリートにごはんはいない
 むーちゃむーちゃもほとんどできず
 飢えて疲れて目が回る。

 かみちゃまかみちゃま まりちゃをたちゅけて
 これじゃあ まりちゃはゆっくちできにゃい
 ぺちゃんこになって ちんじゃうよ
 まりさの森まで九十八キロ。


  3.

 そんなまりさに近づく影
 ガブリ後ろから噛み付いた
 自慢の帽子に穴が開く
 ポロリ顔出すシロツメクサ。

 それはまりさの大事なお花
 母さんまりさのお手製だ
「ゆっくりゆっくりいい子になってね!」
 甘いにおいの花輪をくれた。

「まりちゃの おはにゃを かえちてねぇぇ!」
 まりさは必死で噛みついた
 相手は大きなネズミさん
 らんらん光る目まりさを睨む。

 噛みつき引っかき体あたり
 死力を尽くして戦った
 鋭い牙がざっくり刺さる
 あんこが漏れ出し虫の息。

(ゆっくちしちぇね おかーしゃん)
(まりしゃは ここでちんぢゃうよ)
 もうわがままも言えないけれど
 すーりすーりがしたかった。

 どれほどたったかわからない
 まりさは再び目を覚ます
 そこは薄暗い土管の中で
 そばには怖いネズミさん。

 なんとネズミは助けてくれた
 まりさのガッツを気に入った
 噛まれたしっぽの傷を見せ
「やるじゃないかよ、チビまんじゅう」と。

 事情を聞かれてまりさは答える
 花輪をくれた母のこと
 ネズミはほろりともらい泣き
 猫に母ちゃん食われたよ。

 食べ物もらって手当てを受けて、
 まりさはちょっぴり元気になった
 腐ったチーズもけっこうおいしい
「むーちゃ、むーちゃ……ちあわちぇっ!」

 ネズミが住むのは河口の町
 大きな町だが危険もいっぱい
 ちょっとの油断が死につながる
 まりさの森まで九十五キロ。


  4.

 ネズミの世話になりながら
 まりさはゆっくり世間を知った
 生まれて七日で流れたまりさ
 なんにも知らない田舎者。

 ある日まりさは側溝たどり
 キラキラ光る何かを見つけた 
 頭の上から足音がする
 帽子に入れて逃げ出した。

 ネズミに連れられ地上に出たら
 数え切れない大きな生き物
「人間たちには気をつけな」
 怖い顔してネズミが言った。

 それでもまりさは町に出た
 横断歩道も上手に渡る
 止まった人のお靴に乗って
 道を渡ったら飛び降りる。

 すっかり治った赤ちゃんまりさ
 生ゴミ食べて大満足
「ゆっゆっ ここはゆっくちできりゅよ!」 
 ありすじゃないのに都会派に。

 ところがまりさに魔が差した
「まりちゃといっちょに ゆっくちしようね!」
 なんと人間に声かけた
 彼らの目つきに気付かない。

 路地裏に響く怖い声
「ヒャッハーこいつを踏み潰せ!」
 ぽいんぽいんと蹴飛ばされ
 まりさはまるでサッカーボール。

 ゴミ箱の裏に蹴りこまれ
 まりさは潰れて致命傷
 漏れ出すあんこを舐めながら
「もっちょゆっくちしちゃかった……」

 ところがそのとき奇跡が起こる
 チュウチュウチュウと集まるネズミ
 人間たちは踊りだす
 なんだこいつら、どこから湧いた。

 人間たちは棒を持ち
 狂ったようにネズミを叩く
 あの親切なネズミの兄ちゃん
 まりさの前で笑って死んだ。

 ふと気がつけば静かな路地裏
 人間去って死体が残る
 まりさはよろよろ動き出す
 ごめんなちゃいと呟きながら。

 蹴られ破れた死にかけまりさ
 鼻をくすぐるいい匂い
 匂いに引かれて飲み屋に入り
 ぽいんともたれた人の靴。

 そのときまりさの帽子が外れ
 何かがカチャンと落っこちた
 キラキラ光る宝物
 それ見た誰かが叫び声。

「おおっ、こいつは俺の鍵!
 溝に落として一週間
 車を出せずに困ってた
 お礼をするよ、何がいい?」

 けれどもまりさは答えない
 あんこが漏れてぺらぺらだ
 袋みたいな皮だけまりさ
 痛くて疲れて気絶した。

 これ見てびっくりトラック運ちゃん
 ドヤの医者へとまりさを運ぶ
 まりさを見るなりヤブ医者言った
 ギョーザの皮でも貼っておけ。

 まりさは悪夢にうなされる
 ネズミの兄ちゃん潰れて死んだ
 世間知らずなまりさが悪い
 まりさは町には住めない子。

 けれどもまりさは生き返る
 運ちゃんゆっくり治してくれた
 人間怖いと驚いたけど
 運ちゃん優しく鳥飯くれた。

 けれどもまりさは落ち着かない
 やっぱり分かれることにした
 運ちゃんの前でまりさは叫ぶ
「まりちゃは森へかえりゅんだ!」

 トラック運ちゃん仕事を再開
 まりさはぽいんと乗せられた
 大きなトラック小さな饅頭
 行き先同じでヒッチハイク

 ダッシュボードはゆっくりポイント
 エアコン浴びてまりさはおねむ
 分岐点ではむにゃむにゃ答え
 寝ている間に上流へ

 夜明けの寒い道の駅
 ここから先は別々だ
 トラック去ってまりさは跳ねる
 まりさの森まで四十八キロ!


  5.

 ぽいんぽいんとまりさは跳ねる
 野宿の仕方はネズミに聞いた
 日のある間にむちゃむちゃ済ませ
 夜は物陰隠れておねむ。

 大きな世界に小さなまりさ
 お花も草も見上げんばかり
 まりさの一歩はたったの五センチ
 森まで残すは百万歩。

 雨は降る降る風は吹く
 濡れたまりさは雨宿り
 帽子を飛ばされ追いかける
 一日走って五分でパー。

 それでもまりさは黙々跳ねる
 大きな母さん思い出し
 夕日を眺めて大声上げて
「まりしゃはかえりゅよ、まっててね!」

 母さんまりさは大きなゆっくり
 帽子でぽんぽんしてくれた
 母さんれいむは優しいゆっくり
 まりさにぺろぺろしてくれた。

 川の堤防ひたすら跳ねる
 ちょっとずつしか進まないけど
 いつかは森に着くはずだ
 まりさの森まで五十二キロ!


  6.

 ある日まりさはありすを見かけた
 初めて出会う他のゆっくり
 けれどもまりさは近づけない
 ありすをヘビが噛んでいた!

 助けてねぇぇと転がるありす
 まりさは怖くて動けない
 虫もネズミも戦ったけど
 ヘビの怖さは段違い。

 まりさは泣く泣く逃げ出した
 大きなありすもヘビには勝てない
 小さなまりさじゃなおのこと
 言い訳しながらぽよぽよ逃げた。

 だけどまりさは立ち止まる
 みんながまりさを助けてくれた
 ネズミの兄ちゃん命を張った
 まりさは誰も助けてない。

 まりさの中であんこがたぎる
 恩を返せととどろき唸る
 小さなまりさは炎と燃える
「まりちゃは ゆっくち たちゅけるよ!」

 毅然と戻る赤ちゃんまりさ
 もつれたヘビのしっぽに噛み付く
 ヘビは怒りが有頂天
 鎌首返してまりさを襲う。

 爬虫類VS小さな和菓子
 どちらが有利か確定的に明らか
 けれども望みは一つある
 まりさにガッツがあることだ!

 皮は破れる牙刺さる
 注ぎこまれる血液毒
 幸か不幸かまりさは饅頭
 血の一滴も流れてない。

 のた打ち回る二匹の姿
 勢いあまって転がった
 かたくて黒い地面の上
 それは道路のアスファルト。

 走ってきたのは自動車だ
 グチャリグチャリと踏み潰す
 二台目続いて三台目
 気付けば勝負が着いていた。

「ゆっくりしてね、ゆっくりしてね!」
 まりさは意識を取り戻す
 覗き込むのはカチューシャゆっくり
 ありすがまりさを運んでくれた。

 ヘビを倒した小さなまりさ
 ありすはすっかりメロメロだ
「まりさはとってもつよいのねぇぇ!!」
 目覚める危険なあの本能。

「ありすのあいをうけとってぇぇ!!」
 やっぱりありすはレイパーだった
 恩も忘れて押し倒す
 ズタボロまりさは身動きできない。

 まりさのうえでありすが動く
 小さなまりさはわからない
(おもいよ、ちゅらいよ、くるちいよ) 
(どうちてこんなことすりゅの?) 

 ありすはもうすぐイキそうだ
「むほぉぉお、むほぉぉぉぉ!!」
 叫んでうねって体をそらす。
 ところがそこは道路端。

 走る自動車が石跳ねた
 バチンとありすに当たる石
 悲鳴を上げてひっくり返る
 チャンスとばかりにまりさは逃げた。

 よろりよろりと這いずりながら
 まりさはぽたぽた涙を落とす
 レイプが悲しいわけじゃない
 信じた自分が憎かった。

 誰も助けちゃだめなんだ
 一人で生きなきゃだめなんだ
 赤ちゃんまりさはそう思う
 それはゲスへの入り口だ。

 ところがそのとき響く声
「まってね、まりさ! ごめんなさい!」
 ありすが再びやってきた
 そしてふかぶか頭を下げた。

 ついつい暴走したけれど
 あんな乱暴二度としない
 だからお願い許してと
 すっかりしょげてありすが言った。

 まりさは結局許してあげた
 迷ったけれどそう言った
 それから話を始めたら
 ありすは意外な身の上だった。

 ありすも最初は森の子だった
 トンビに狙われさらわれた
 お空を飛んで旅をして
 見知らぬ村で落とされた。

 ありすはお空を飛んできた
 だから道がわからない
 森へ帰るのはあきらめて
 知らない村に住んだのだ。

「まりさもゆっくりしていって!」
 ありすは必死に頼み込む
 落ち着いてみれば美ゆっくり
 一緒に暮らすもいいかもしれない。

 けれどもまりさは首を振る
 ありすと比べて小さな体
 それでもきっぱり首を振る
 行くべきところがあるんだと。

「まりちゃは かわをながれてきたよ
 かわをのぼれば おうちにつくよ
 だからゆっくち たびすりゅよ
 まりちゃは森へかえりゅんだ!」

 呆然とするゆっくりありす
 まりさは彼女に背を向ける
 ぽいんぽいんと走ったけれど
 こらえられずに振り向いた。

「まりちゃは森にかえりゅけど
 ありちゅがくるなら くればいいよ
 にどとあんなこちょ しないなら
 まりちゃはありちゅといってもいいよ!」

 ぽいんぽいんとまりさは跳ねる
 ぽよんぽよんとありすが続く
 微妙な間隔五メートル
 まりさの森まで五十八キロ!


  7.

 一歩一歩とまりさは進む
 一日一キロ五日で五キロ
 草を食べ食べ虫を食べ
 地道な努力でまりさは進む。

 堤防行くのも楽じゃない
 水門・沿道・取水堰
 何かあるたびに大回り
 小さなまりさは一日がかり。

 まりさの皮はごわごわだ
 フナムシ・ネズミ・人間たち
 ヘビとの死闘にありすのレイプ
 切られ刻まれ汚された。

 ケガはなんとか治ったけれど
 帽子の穴は塞げない
 治す方法はあるけれど
 まりさはそれをまだ知らない。

 ある日土砂振りまりさは濡れた
 小さなお堂で雨宿り
 外ではありすが無言で我慢
 仕方がないから入れてやる。

 けれどもまりさは風邪引いた
 ぶるぶる震えてくちゅんとくしゃみ
 とろけたように平らになって
 弱って吐いて気絶した。

 夢の中では森にいた
 まりさのそばには大きな母さん
 …………てね! とすりすりされて
 まりさはゆぐゆぐ泣き出した。

 ゆっくちちたいよ、おかーしゃん
 まりちゃはとっても がんばっちぇるよ
 けれどなかなか あえにゃいよ
 つらいよ、つらいよ、あいたいよ……。

 ふと目が醒めると隣にありす
 まりさの帽子にすりすりしてた
「にゃにをするの!」と叫んだけれど
 帽子の穴が塞がっていた。

 すりすりすれば治るのよ、と
 教えてくれるゆっくりありす
 驚きぼんやりするまりさ
 そのほっぺたに、つうっと涙。

 ありすのすりすり温かかった
 まだ信用は出来ないけれど
 ちょっぴり嬉しい小さなまりさ。
「ありがちょね……」と小声で言った。

 雨が上がれば離れるまりさ
 元の通りの五メートル
 ぽいんぽいんと跳ねる音
 それはちょっぴり軽やかだ。

 虹のかかった青い空
 鏡のような田んぼがたくさん
 もう町からはずいぶん離れた
 まりさの森まで七十二キロ!


  8.

 山に分け入り木陰に入り
 まりさはゆっくり山登り
 辺りはすっかり森のよう
 勢いつけてまりさは走る。

 まりさは森を覚えてる
 きらきら流れに鳥の声
 大きな岩のある渓流
 着けば一目でわかるはず。

 ところがある日にまりさは止まる
 道がなくなったわけじゃない
 道は横手にあるけれど
 川が壁にぶつかっちゃった!

 まりさは混乱、???の嵐
 壁の上から降る川水
 滝よとありすが言うけれど
 まりさはそんなの覚えてない。

 まりさは森でころりと落ちて
 板につかまり流された
 流れの急なところはあった
 でも滝なんて通らなかった!

「どうちて? どうちて? かわさんにゃいの?
 まりちゃの森はどっちなの?
 まりちゃはどっちへいったらいいの?
 だれかまりちゃに教えちぇねえええ!!」

 そのときまりさは思い出す
 足元流れる川の水
 町に入る前舐めてみた
 ほんのり故郷の味がした。

 ぺーろぺーろと舐めてみる
 信じられずに舐めてみる
 何度舐めても変わらない
 全然しない、故郷の味!

 これは故郷の川じゃない
 まりさは道を間違えた
 努力はすべて水の泡
 心の何かが、ぽっきり折れた。

 もやもや湧き出す黒いもの
 それは大きな恐怖心
 虫より蛇よりそれがこわい
 もう母さんに会えないなんて!

「ゆわぁぁぁぁぁん! ゆわぁぁぁぁぁん!
 ゆわぁぁぁぁぁん! ゆわぁぁぁぁぁん!
 ゆわぁぁぁぁぁん! ゆわぁぁぁぁぁん!
 おかあしゃあぁぁーーーーーん!!!」

 溜めて来たものが噴き出して
 支えたものが崩れ落ちた
 もうこれ以上歩けない
 まりさはゆんゆん泣き喚く。

 驚きそれを見守るありす
 こんなまりさは初めてだ
 まりさはずっと強かった
 年下なのに頼ってた。

 けれどもありす気がついた
 まりさはやっぱりまだ赤ちゃん
 母性本能きゅんきゅんうずく
 思わず近寄りすーりすり。

「げんきをだしてね ゆっくりまりさ!
 まだまだほうほう あるはずよ!
 ゆっくりゆっくり かんがえて!
 まりさはぜったい かえれるわ!」

 言われて泣き止むちびまりさ
 そばにはぴったりありすのほっぺ
 レイパーなのかと脅えたけれど
 ありすの瞳は穏やかだ。

 ゆっくり記憶を確かめる
 どこかで間違いあったはず
 やがてあんこのおつむの底から
 一つの言葉を思い出す。

「こっちへ行くかい?」誰かが言った
 まりさはむにゃむにゃうなずいた
 あれはトラック運ちゃんだ
 きっとあそこで間違えた!

「まりちゃはゆっくち わかったよ!
 くりゅまのなかでまちがえたよ!
 もどればきっちょ、かえれりゅよ!
 ……だけどあしょこは、とってもとおいよ」

 まりさはしょんぼり落ち込んだ
 けれどありすは気がついた
「まりさはぼうしで およげるはずよ
 かわをくだればいいじゃない!」

「おいてけぼりになっちぇもいいの?」
 心配になって聞くまりさ
 聞かれて嬉しいありすはにっこり
「これがとかいはの あいなのよ!」

 そのときまりさは思いつく
 板を使って下ればいい
 言われてありすも大喜び
 ゆっくり二人で下りましょうね!

 流れる板にゆっくり二匹
 ゆらゆら揺れて下ってく
 オールもちゃんと積み込んだ
 まりさの森まで八十キロ!


  9.

 激流濁流渓流過ぎて
 二人は来た道引き返す
 雨のお堂も遠くに見えた
 いつの間にやら二人は隣。

 ゆらゆら楽しい川下り
 じっとしてても運んでくれる
 疲れたまりさもぐんぐん回復
「おふねはとってもゆっくちできりゅよ!」

 ほんとはありすも楽じゃない
 好きなまりさがこんなに近く
 レイパー発動七回我慢
 最後は自分で川落ちた。

 そんなありすの一人相撲を
 まりさは笑っていたけれど
 ほんとは色気づいてきた
 ありすがそんなに嫌じゃない。

 赤ちゃんだったゆっくりまりさ
 体はずいぶん大きくなった
 言葉はまだまだ赤ちゃんだけど
 気付けばそろそろ子ゆっくり。

 昼はゆらゆら川下り
 夜はすやすや岸で寝て
 三日三晩の旅の果て
 大きな二股見えてきた。

 どきどきしながらお水をなめる
 舌を伸ばして触れたとたん
「ぺーろぺーろ……ゆっくちー!」
 確かに感じる故郷の味。

 やり直しにはなったけど
 次こそきっと故郷へ
 陸に上がって走り出す
 まりさの森まで四十五キロ!


  10.

 昼は跳ね跳ね夜は寝て
 ぽいんぽいんとまりさは跳ねる
 時々水を確かめて
 一歩一歩とふるさとへ。

 森を出てからもう二ヵ月
 世界は夏の真っ盛り
 ヘビやムカデやスズメバチ
 敵は次々現れる。

 けれどもまりさはくじけない
 ムカデもハチもやっつける
 ヘビは苦手で逃げるけど
 草に隠れてやり過ごす。

 まりさはすっかり自信をつけた
 いっぱい敵を倒したし 
 いっぱい道を歩いたよ
 怖いものなんて何もない!

 ありすと一緒にまりさは跳ねる
 もうじき森に着くはずだ
 二人の母さん待っている
 びっくりする顔早く見たい

 すーりすーりをしてもらおう
 ぺーろぺーろもしてもらおう
 母さんほめてくれるはず
 すっごくがんばったんだから!

 水田地帯を走って抜けて
 二人はそろそろ山あいへ
 まりさの森まで二十キロ
「あとすこしだよ おかーしゃん!!!」


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最終更新:2009年01月08日 21:51
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