ゆっくりいじめ系1974 ゆっくり人間

※○ちゃん「ぱられるぱられる、もうどうにでもなれ〜」
※「僕はこうして〜」シリーズの無断クロスです。レイパーさん、ごべんなさい
※いじめは、うん・・・すまない、特にないんだ。正直作者の自己満足の境地です
※登場人物紹介とかはあとがきの後に記載しています






「おねーさん!すいか、ゆっくりにんげんさんにあいたいよ!」

きっかけは我が家で飼っている珍種ゆっくり、ゆっくりすいかのそんな一言。
ゆっくり人間とはすいか曰く、人間とゆっくりの間に生まれたナマモノで外見は人間と変わらないらしい。
が、身体の成分が一部ゆっくりのそれに類似しており、またゆっくりにエライ勢いで好かれるそうだ。

すいかはこんな馬鹿げた都市伝説をどこからか、恐らくテレビ辺りで仕入れ、なおかつその実在を見事に信じきっているらしい。
そんな生物学者がまた何人か発狂しそうなナマモノがいるはずも無いと言うのに、連日連夜会いたい会いたいと喚き続けるすいか。
私はずっと「居ないものとは会えない」の一点張りで押し通してきたのだが、結局彼女の執念に負けしてしまった。

「そんないきさつでれいむたちはゆっくりにんげんさんをさがしにおでかけをしているんだよ!」
「きょうはどんなゆっくりしたことがおきるのかな?!」
「ゆっくりにんげんさん・・・ゆっくりにんげんさん・・・ゆっくりしていってね!」
「アンタら、誰にナレーションしてる?」

左右の肩にれいむとまりさ、頭上にすいかという傍目には私こそゆっくり人間だろうと言わざる得ないような出で立ち。
それ以外はジーンズ、Tシャツ、白のコート、メガネと至ってシンプルなのだが人の顔の周りで騒ぐこいつらのせいで道行く人々の注目を意味も無く集めていた。
これが私の美貌のなせる業・・・であればどれだけ優越感に浸れただろうか。
しかし、現実というのは残酷なもの。
他の女性を圧倒しているものは胸くらいの私にそこまでの魅力はなく、行き交う人々の視線は私の顔の周りでゆんゆん歌っているゆっくり達に向けられている。
地元ならまだしも、見ず知らずの土地へ向かう電車の中では「何、あのゆっくり馬鹿」と言わんばかりの好奇の眼差しが少し痛かった。

「ということで、れいむたちはゆっくりにんげんさんのまちについたよ!」
「ゆっくりにんげんさんはみつかるかな?!」
「ゆっくりにんげんさん・・・すいかといっしょにゆっくりしようね〜〜〜〜〜!!!」

目的の駅に到着した時、また誰かに向けてナレーションをし始める我が家のゆっくりども。
近くに座っていた中学生のグループがクスクスと笑うのを一瞥し、電車を降りると、階段を駆け下りて、改札を後にする。
余談だが、すいかのおかげで無料で乗車できた。理由は言わずもがな。
この無意味にピンポイントなサービスは一体誰が得をするんだろうか・・・心の中でそう突っ込んだ直後に、自分が得をしていることに気付いた。



ゆっくり人間を探して訪れた街は一見すると何の変哲もない普通の街だった。
強いて特徴を挙げるとすればゆっくりが比較的浸透していて、飼いゆっくりや野良ゆっくりが平然と人々の隙間を縫うようにして通りを行き来しているくらい。
そのあまりの平凡さを訝しく思ったれいむは「ほんとうにここにいるの?」と首をかしげていたが、私がこの街を訪れたのには理由があった。

「ねえ、おねーさん?」
「んあ?」
「ほんとうにゆっくりにんげんさんはここにいるの?ゆっくりしたふつうのまちだよ?」
「ああ、多分ね」

この街にゆっくり人間がいると思った理由は至って単純。
私が勤めているゆっくりショップのバイト仲間にゆっくり人間について尋ねてみたところ、この街の名前が挙がったからである。
彼が適当なことを言っていたり、間違っている可能性もあるのだが、話を聞いた後に調べてみたらこの街には“ミスターゆんちぇいん”がいることが判明した。

「みすたーゆんちぇんってなあに?」

そう言って首をかしげたのはまりさ。
すいかもれいむも言葉の意味が理解できずに首をかしげている。
そんな訳で、私は彼女らに、私自身最近知ったその言葉の意味を説明してやった。

「ミスターゆんちぇいんって言うのは・・・ゆっくり関係で凄すぎる記録を残したせいでゆっくりカンパニーの人工衛星で常時監視されている人のことだよ」
もっとも、一介のアルバイトに過ぎない私では流石にその監視衛星の映像を見ることは出来ないし、眉唾もいいところではあるが。
「ゆゆっ!じゃあ、ゆんちぇいんさんはすごくゆっくりしてるんだね!れいむゆんちぇいんさんにあいたいよ!」
「まりさも!まりさも!」

ついでに彼らが時速5km以上で移動するとバッジに取り付けられた迷子防止用のGPSの座標が70mずれることも付け加えておいた。
すると、まだ何が凄いのかは一言も言っていないのにれいむ達は何か凄そうな人がいると聞いて大はしゃぎ。
そんな3匹の様子を見て、何が凄いのかを教えてあげた。

「ちなみにここのゆんちぇいんはゆっくりレイプギネス記録保持者ね」
「「「ゆげぇ!」」」

それじゃゆっくり出来ないよと言わんばかりの表情になった3匹は「かえろうよー!」などと言い出した。
が、「ゆっくり人間を探すんだろう?」の一言ですいかが立ち直り、れいむとまりさも巻き添えを食う格好ゆっくり人間捜索に参加させられる。
「にんげんさんのすっきりごわいよおおおお!」と泣き喚くれいむとまりさはなかなかに可愛かった。



そんなつまらないやり取りから数時間後。
何故か観光スポット巡りに興じてしまった私たちはゆっくり人間のことをすっかり失念していた。
気がつけば陽が沈み、弁当を買って立ち寄った公園には殆ど人影が見当たらない。
そんな静寂の中、ようやく見つけた私以外の人間は・・・

「・・・・・・うへぇ」
「おねーさん!ここはゆっくりできないよ!」
「ゆっくりしないでにげようね!」

長身の、ガタイの良い黒人の男性だった。
勿論、それだけならば驚くほどのことでもない。
問題は彼の、一糸纏わぬ生まれたままの姿にあった。
変態?危険人物?・・・普通に考えたら貞操の危機を感じるべきところなのだろう。
が・・・・・・

「オー、ヤッパリタマニハゲンテンニカエッテオーソドックモイイモノデス」
「やべでえええええ!でいぶずっぎぢぢだぐないいいいいい!?」
「HAHAHAHAHA!」

その黒人男性はどうやらHENTAIお兄さん、もしくはゆっくりレイパーらしい。
HENTAIお兄さん・・・ゆっくりを性の捌け口にする異常性癖の持ち主の総称である。
流石に飼いゆっくりに手を出すようなことは稀だが、野良ゆっくりにとっては虐待愛好家に次ぐ脅威。
勿論、現物を、そして現場を目撃するのは私も初めてのことだった。

「・・・・・・そういえば」

流石にこの光景を平然と直視することは出来ないが、相手がゆっくりならとやかく言う事もないだろう。
そう思った私は、店の先輩から聞いた「レイパー同士は惹かれあう」という言葉を信じて彼にギネス記録保持者の居場所を聞くことにした。
彼がゆっくりれいむを犯している茂みから少し離れたベンチに腰掛け、そこにれいむとまりさとすいかを下ろす。

「ゆゆっ、にんげんさんまたきたの!まりさのはにーをいじめないでね!?」
「「「やめちぇね!ゆっくちできにゃいよ!」」」
「ワオ、マリサニコドモタチモヤッテキマシタ」
「ゆぎぃ!?やめてね!にんげんさんのすっきりはこわいよ!ゆっくりできないよ!」

どうやらつがいを助けに来たまりさやその子ども達を相手に第2ラウンドに突入したらしい。
流石にあれだけの数を相手するとなると長くなりそうなので、彼らの嬌声や悲鳴をBGMにして弁当を広げる。
我が家のれいむ達が「ゆっくりできないいいい!」と喚くのをでこピンで黙らせ、昼ごはんを食べ忘れたため8時間ぶりになる食事にありついた。

「むーしゃむーしゃ・・・幸せ〜」
「ず、ずっぎぢー!」
「もっちょ・・・ゆっくちちたかっちゃよ・・・」
「フゥ・・・スッキリー」

私が鮭弁当のチープな美味さを満喫し終えた時、ちょうど男性もゆっくりを満喫し終えた。
傍らでは我が家のゆっくり達が同胞を助けてあげられなかったことを悔やんで「ごべんねぇ!」と謝り続けていた。
いや、あの手つきと技術を見る限り殺さないように加減してるよ・・・そうフォローしようとした時、レイパーの男性が、ちゃんと服を着て茂みから姿を現した。



「イヤァ、オミグルシイモノヲ」
「ん、ああ・・・お構いなく。こちらこそ、お楽しみの邪魔をして申し訳ない」

ファミレスの椅子に腰掛けたままの私とドリンクバーの安物のコーヒー越しに視線が合った男性は頭をかきながら照れ笑いを浮かべている。
レイパーとは言え性癖以外は他の人と変わらないわけで、黒い肌とは対照的な白い歯を輝かせている彼はなかなかの好青年のように思えた。
彼に会釈しながら、れいむとまりさとすいかを抱きかかえて立ち上がり、必要も無いのに軽く自己紹介を済ませた。

「ボブさん、だったっけ?」
「ハイ、ナンデショウ?」
「あれ、趣味なの?」
「イエス、ワタシユックリダイスキデス!」
「ゆゆっ!だったらひどいことしないでね!ゆっくりできないよ!」
「そうだよ!ゆっくりさせてあげてね!」

満面の笑みを浮かべてサムズアップするボブに対して怒り心頭のれいむ達。
しかし、ファミレスで騒ぐと迷惑になるし、それに大声で話すようなことでもないので頭をはたいて黙らせた。
その後も3匹は頬を膨らませて抗議していたが、大声で叫ぶようなことはなかった。

「シツケガジョウズデスネ」
「特別なことをしているつもりはないんだけどね」
「ソレニシンライサレテイマス」
「全く嬉しくないけどね」
「ナニヨリスゴクカワイイ」
「1回50ドルで貸してあげても良いけどね」

そんな具合で、すぐにボブと打ち解けた私は早速彼にゆっくり人間について尋ねてみる。
しかし、帰って来た言葉は「ウワサクライハシッテイル」という非常に曖昧なものだった。
その回答に目に見えて落胆するすいかの頭を撫でながら、私はもう一つの質問をぶつけてみた。

「じゃあ、ここら辺で一番実力のあるゆっくりレイパーって知ってる?」
「レイパーハプライバシーヲマモリマス」
「・・・そりゃそうか」

多少親しくなったとは言え所詮は見ず知らずの相手。
もしかしたらレイパー撲滅を狙う組織の人間かもしれないし、そうでなくても金目当てで情報を売る可能性だってある。
最近もどこかでゆっくりレイパーの会合をアンチレイプの組織が襲撃しようとしたなんて話を聞いた気がする。
いや、そもそも世間に公表できるような性癖でないのだから、容易に口外できるものではないのだ。

「仕方ないか・・・今日は安いカプセルホテルにでも泊まって、明日また探そう」

本日の捜索を諦め、ボブに適当なホテルの場所を教えてもらった私は、会計の全てを彼に託してそそくさとファミレスを後にした。
『地球がゆっくりする日』や『Yull:E』の話題で盛り上がった手前、少し気が引けたがホテル代を捻出するためだから仕方ない。

結局ゆっくり人間は見つからなかったが、ボブに遭遇したことで色んな情報を得ることが出来た。
彼の日本語の習得状況を鑑みるに、来日して何年も経っているようには思えない。
にもかかわらず、近くのファミレスやカプセルホテルの場所を知っていた。
それにあの公園でレイプされていたまりさは「にんげんさんまたきたの!まりさのはにーをいじめないでね!?」と言っていた。
つまり、あそこの公園のゆっくりは頻繁に人間からの干渉を受けていると考えられる。

確証はないが、明日はあの公園に張り込むのが最善策だろう。



翌朝、まだ陽も出ていない時間から私とれいむ、まりさ、すいかは例の公園での張り込みを開始。
懐中電灯片手に公園の中を散策すると、いとも簡単に野良ゆっくりの巣をいくつも見つけることが出来た。
まだ人間の姿は見当たらないが、そこには朝ごはんと称して人間の捨てたごみを集めて回るゆっくり達の姿があった。
余談ではあるが、その中に昨日レイプされたれいむ一家の姿もあった。予想通り、全員健在のまま。

「もうすぐにんげんさんのくるじかんだよ!」
「ゆっくりおうちにかえるよ!」
「「そろーり、そろーり・・・!」」

散らかしたゴミが巣まで一列に並んでいるのだが、どうやら彼女達はそのことに気付いていなかった。
あるものは子ども達を引率してゴミ置き場で拾った生ゴミを溜めて帰り、またある赤まりさはお菓子の袋を持って帰っていった。
そんな光景を尻目に私たちも彼女達と同じように適当な茂みに身を隠して、人間が来るのをじっと待つことにした。

「ぱちゅりーは本当に馬鹿ね」
「んぶぅ〜!」
「むきゅ〜、も言えないなんて伝説的だわ」
「ん〜、んん〜!?」

数分後、割りと珍しい胴付きぱちゅりぃを連れた少女が公園に姿を現した。
一見すると勝気そうで、なおかつ真面目そうな少女とお馬鹿で有名なぱちゅりぃというのは違和感を覚える組み合わせである。
しかし、よくよく見てみるとぱちゅりぃは猿轡と首輪を装備済み。
ああ、あの子もそっちの世界の住人なのか・・・と納得しながら、彼女を観察し続ける。

「さあ、ぱちゅりぃ。ゆっくりを連れてきなさい」
「んぶぅ〜・・・」

ぱちゅりぃはきょろきょろと辺りを見回し、においを嗅ぐような仕草をしながらふらふらと歩き始めた。
一方、少女は首輪のリードを握ったままぱちゅりぃの後を追いかける。
そして、必死の形相でゆっくりを探し回っていたぱちゅりぃがようやく見つけたゆっくりは・・・

「んぶぅぅぅぅぅぅううぅぅぅ!!」
「ぱちゅりぃをゆっくりさせてあげてね!」
「ぱちゅりぃをゆっくりさせてくれないおねえさんがきらいだよ!ぷんぷん!」
「すいかおこるよ!ぷくぅぅぅうううう!」
「う゛・・・」

私と一緒に茂みに隠れていた我が家のゆっくりども。
目が合ったときの彼女のばつの悪そうな表情はなんとなく可愛らしかった。



「ふぅん・・・で、たまにここに来てゆっくりを虐待しているわけね」
「・・・はい」

ベンチに腰掛け、ホットコーヒーで暖を取る私と少女。
彼女はまるでポエムを書き溜めたノートを拾ってくれたが、不可抗力で中身を見てしまった親切な人を前にしたときのような表情を浮かべている。
これが知人であればしこたまからかってやるところなのだが、流石に見ず知らずの少女相手にそんなことはしない・・・はず。
せいぜい必死に弁明する彼女の表情をにやにやと笑いながら眺めつつ、私の膝の上でいまだに膨れているれいむ達の頭を撫でる程度。

「ゆっくりできないいいわけはやめてね!」
「そうだよ!ぱちゅりぃをゆっくりさせてあげてね!」
「そうだよ!ぷんぷん!」

我が家のゆっくりどもは同族の虐待風景なんか目の当たりにして黙っていられるような連中ではない。
こっぱずかしそうにしている彼女に向かってもっともな文句を口にする。
が、流石に早朝のまだ辺りも暗い時間に大声で喚かれては近所迷惑もいいところ。

「だからアンタら五月蝿いよ。頭を少しかじってやろうか?」
「「「ゆっ・・・!」」」
「・・・・・・愛でお姉さん、じゃないんですか?」
「じゃないんです、断じて」

できるだけ柔和に微笑みながら、言われたとおりに膝の上で黙っているれいむの額にでこピンをお見舞いする。

「なんだぁ・・・だったら、必死になって言い訳する必要なんてなかったのね・・・」
「Exactly」

ついでにもう一発、今度はまりさにでこピンをお見舞いするのを見た彼女は盛大にため息を吐いた。

「そもそも・・・仮に私が愛でお姉さんでも首輪や猿轡くらいは飼い主としての責任の範囲内だから責める理由がないし」
「・・・え?」
「それにまだ虐待らしい虐待の現場は目撃していなかったわけよ」
「それじゃ・・・」

ようやく状況を把握したらしく、赤くなった顔を両手で隠す少女。
そして、にんまりと意地の悪い笑みを浮かべつつ、彼女の肩を優しく叩く私。

「そ、完全に、一部の隙もなく、貴女の自滅」

耳まで真っ赤になるのが手に取るように把握できた。



「と、まあ、そんなことは置いといて・・・」
「・・・・・・・・・・・・」

指の隙間から見えるジト目に篭った殺気を感じた私は意地の悪い笑顔はそのままに話題を強引に切り替えた。
すると、彼女も顔を覆っていた手を膝の上に戻し、いつの間にか温くなってしまった缶コーヒーのプルトップに指をかける。
ようやく陽が昇り始め、徐々に明るくなってきた公園にぱちんっ!という軽快な音が響き渡った。

「一つ聞きたいことがあるんだけどいいかな?」
「なんですか?」
「ゆっくり人間って知ってる?」

その言葉を聞くや否や露骨に怪訝な表情になる少女。
私だってそんな質問されたら同じような顔をしただろうからその気持ちはよく分かる。
というか、私だってすいかの与太話でその存在を知っただけだから半信半疑だ。

「そんなの訳の分からないもの知りません」
「だよねぇ・・・」

私は彼女の言葉に首肯した。
続いてレイパーに関する質問もしようかと考えたが、流石にカタギにする質問じゃないのでやめた。
立ち上がり、リードを握られたままのぱちゅりぃを指差す。

「こんなの人目にさらすのも体裁が悪いから、そろそろお開きしようか?」

そんなこんなで、挨拶もそこそこに彼女と別れた。



「いや、そんな都市伝説聞いたこともないよ」
「ゆっくりにんげんさん?れみりゃのことなのぜ?」
「強いて言うなら君が一番そんな感じだよ」
「ち〜んっぽ!びっくまらぺにすっ!」
「JAOOOOO!JAO!JAO!JAOOOOOOOON!」
「そんなことよりれいむのおうたをきいていってね!」

少女と別れた私たちは、公園に住むゆっくりや散歩中の人達にしらみつぶしに話しかけてみるが全く成果が得られない。
ゆっくり人間の事を訊けば怪訝な顔をされるし、ギネスレイパーのことを訊いても人間なら顔をしかめ、ゆっくりなら怯えるばかり。
代わりに得た情報と言えば以前この公園のゆっくり達を二分していた対立と、両勢力の共通の敵となることでその対立を鎮めたレイパーのこと。
そして、人間に虐められているのを助けてくれたゆっくりふらんを連れたとてもゆっくり出来るゆっくりのこと。
もしくは時々この公園に出没するゆっくりふらんを連れた少年のこと。

「う〜ん・・・やっぱり情報が集まらないな・・・」
「れいむ、もうつかれたよぉ〜」
「まりさもだよ〜・・・」
「ゆゆっ!でも、ゆっくりにんげんさんはこのまちにいるんだよ!」

元々半信半疑だった私とどうしてもゆっくり人間に会いたいわけではないれいむとまりさは半ば諦めモード。
対して、どうしてもゆっくり人間に会いたいすいかは私の頭の上から檄を飛ばす。
が、疲れていることもあって私やれいむ達の反応は鈍い。

「きっとアンタの妄想だよ・・・」
「れいむ、なんだかねむいよ・・・」
「まりさも・・・」

朝から歩き詰めでいい加減飽きてきた私はれいむ達と一緒にうつらうつらと舟を漕ぎ始める。
そんな私を起こすためにすいかは膝の上に飛び降り、お腹に何度も体当たりを仕掛けてくるが、何故か余計に眠くなってきた。
そうして、れいむとまりさが本格的に眠ってしまったその時・・・

「どうも・・・清く正しく、きめぇ丸です」
「んあ?」

風と共に、どこからともなく姿を現したのはスレンダーなボディの上に乗っかった下膨れの顔をニヒルに歪めた鬱陶しい饅獣。
きめぇ丸・・・かなり貴重なゆっくりの一種で、胴無しのものは知人が飼っているので何度か見たことがあるが、胴体付きを見るのはこれが初めて。
睡魔と戦っていたこともあって、私は彼女がゆっくりであることを理解するのに3秒程度の時間を要した。

「あなた達ですか、ゆっくり人間を探していると言うのは?」
「ん、まあ・・・一応」
「ゆっくり人間は見つかりましたか?」

きめぇ丸はニヒルな笑顔を一層ニヒルに歪める。

「いや、ヒントすらもつかめない状況」
「そうですか」

私の返答と、今までの聞き込みで得た情報を聞いた彼女はブンブンと高速で首を振った。
そのあまりのゆっくり出来なさ加減にすいかがすっごい表情で怯えているが、まあ気にすることでもないだろう。

「で、アンタは何のために話しかけてきたの?」
「みょんやめーりんと話せる人間が居ると聞いたので、少し興味が湧きまして。本当なのですか?」
「あー・・・本当だよ。なんか知らんけど言葉が分かる」
「おお、すごいすごい」

またしても高速シェイクするきめぇ丸。
少々鬱陶しいが、何らかの悪意があって話しかけてきたわけでもなさそうなので我慢する。

「ところで・・・」
「んあ?」
「ヒントすら掴めていないと言いましたが多分それは間違いです」

そう言って彼女は自信満々に微笑んでみせる。
パッと見、先ほどと変わらぬニヒルスマイルだがその笑顔に宿る感情が微妙に違うのに気付いた。

「あなたがいくら特殊なゆっくりと話せたところで人間以外の何者でもありません」
「そりゃそうだ」
「だから私の目にも人間の目にもあなたがゆっくりとして映ることはないでしょう」
「当たり前・・・あれ?」

ここまで言われてようやく、私は彼女の言葉の意図を理解した。
みょんやめーりんと会話できたところで私は人間だから誰の目にも人間としてしか映らない。
どんなに知能が高くてもきめぇ丸はよほど寝ぼけていない限りは人間と見間違えることはない。
なら、ゆっくりと人間のハーフなるものが居たらそれはどのように映るのだろうか?

「ああ、そうか・・・」

相変わらずニヒルな下膨れ顔を左右に振るきめぇ丸から視線を外し、俯いて考える。
もし、ゆっくり人間が人間の目には人間として、ゆっくりの目にはゆっくりとして映るのであれば、私たちは既に大きなヒントを得ている。
勿論、どちらの目にも同じように映る可能性はあるが、そうなってしまうと肉眼に頼る手段では判別不可能だから私たちにはお手上げだ。

「ふらんを連れたゆっくり・・・か」

もし、ふらんを連れたゆっくりがれいむ、まりさ、ぱちゅりー、ありすなどのメジャーな種族であれば彼女達は必ず種族名も教えてくれるはず。
ましてや、ふらんを連れているのにゆっくりしているというのはどこかおかしいように思えた。
その上、ゆっくりふらん自体が既に貴重な種族で、めったにお目にかかれるようなゆっくりではないのだ。

「なのに、この公園にはふらんを伴う人(orゆっくり)が二人もいる・・・」

きめぇ丸のもったいぶった言葉に意味があるならば、この両者は同一人物なのではないだろうか?
からかわれている可能性もあるが、他に頼りに出来る情報がない以上、信じるしかあるまい。
なら、私たちがすべきことは一つ。

「ふらんと飼い主を、それも私の目には人間に見えて、すいか達の目にはゆっくりに見える人を探せばい・・・あれ?」

すべきことを理解した私が顔を上げた時、きめぇ丸もとい敬意を表してきめ子さんと呼ばせていただこう、の姿はなくなっていた。



それからはとんとん拍子で事態が進んでいった。
ふらんの飼い主が地元の中学生だか高校生だかの少年であることが判明し、すぐにその少年の学校も割り出すことが出来た。

「むにゃ・・・そんなわけで、れいむたちはぎわくのゆっくりゆっくりふらんがおさんぽしているのをみつけたよ!」
「ふにゃ・・・これでゆっくりにんげんさんにあえるかな?」
「ゆっくりにんげんさん・・・すいかといっしょにゆっくりしようね!」

と、れいむ達の説明の通り、現在私たちは通りで見かけたゆっくりふらんを尾行していた。
念のため買っておいたサングラスを装着し(もちろんれいむ達も)、電柱の影から彼女を見守る。

「・・・・・・あのー?」
「ゆゆっ!いまとりこみちゅうだよ!」
「ゆっくりあとにしてね!」

若い男の声を聞き流しつつ、私たちはふらん監視を続行する。

「・・・いや、取り込み中じゃないだろ」
「もう、おにーさん、れいむたちとりこみ・・・ゆゆっ!!?」
「どうしたのれい・・・ゆゆゆゆっ!!!」
「んあ?どうした?」

振り返ると、そこにいたのは地元の学生と思しき少年。
一見するとこれと言って変わったところはないのだが、彼の姿を見たれいむ達は目をハートマークにして見惚れている。
確かにパッと見はごく普通の少年なのだが、どこか違和感を覚える。そして・・・

「「すごくゆっくりしたおにーさんだよ!」」

れいむ達の発したその一言で、彼こそ探していたゆっくり人間であることを理解した。
同時に、彼の訝しげな視線を見て、自分がかなり不審であることを把握した。
もしかしたら「ゆっくりフェロモンで一儲けしようとした企業が、彼を拉致って精液を搾り取ろうと送り込んできた刺客」だなんて誤解をされているかも知れない。
何故か知らないがそんな懸念を抱いた私は彼の警戒心を解く為に、出来るだけにこやかな笑みを浮かべて挨拶をした。

「こ・・・こんばんは、ゆっくりしていってね」




‐‐‐あとがき‐‐‐

確かな文章力と優れた構成力に裏打ちされたレイパー氏の作品の中でもこの作品は特に魅力的だと思うんですよ
その理由を考えてみると、この世界の人たちって日常を何となく想像できてしまうくらい存在感があるからじゃないかと
猫被って?瀟洒に振舞っている委員長とか、HENTAI要素を隠しきれていないボブとか
もっとも、想像は出来たところで、真偽を知る術はレイパー氏に聞くしかないわけだし、あらゆる面で氏にかなわない以上、レイプになってしまうのは否めないわけですが
ほんと、レイパーさん、ごべんなさい

byゆっくりボールマン







【登場人物紹介】
ノリと勢いでゆっくりを10匹も飼う事になってしまった一人暮らしの女子大生
恐るべき酒豪で、お胸がドス級。ゆっくりに対してはかなりハイスペック
みょん語等を解し、天性の飼育上手で、好かれ易いが生物学的には平凡な人間
口も性格もあまり良くないし、わりと容赦しないタイプなのに何故か懐かれる

今作ではいらない子。若干頭が良い程度の平凡なゆっくりで六児の親
ただし、れいむはゆっくりながらもインターネッツを使いこなせたりする

角にお酒が詰まっている。空気を吸い込むと半端なく膨らむ(曰くみっしんぐぱわー)
かなりのテレビっ子で、ワイドショーやくだらない都市伝説が大好き

会社員。課長クラス。ゆめぇ丸を妊娠させた経験がある
ゆっくりレイプに関しては右に出るものがいないが、世間的には真人間で通っている

スラム育ちの巨漢の黒人男性。ゆっくりが大好物(二つの意味で)の変態
注:日本において単独でレイプを行うかどうかは微妙なところです

学校では成績はトップ、真面目で明るく、誰の相談にも乗る優しい素敵な委員長
しかし、優等生にも色々あるらしく、ゆっくりに八つ当たりすることがあるとかないとか
注:ぱちゅりぃに対する虐待?は『僕はこうして出会いました』の記述と矛盾します

胴体付きのゆっくりぱちゅりー。この種族の例に漏れずお馬鹿である
一時はみすたーゆんちぇいんの愛人だったこともあるが、現在は少女のペット

人間との間に子どもをもうけた前代未聞のゆっくり。彼女もまたド変態
注:考えてみりゃ彼女がお姉さんに助言する動機は微塵もありません

ゆっくり人間のペットと誤解されているが、実際にはゆっくり人間の恋ゆっくり
注:レイパー氏の作品世界においてゆっくりが単独で散歩するかどうかはわかりません

学生。思春期まっさかりの少年。実はゆっくりと人間のハーフだったりする
ゆっくりに対してはかなりハイスペックな性能を有する

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最終更新:2009年01月17日 18:28
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