ゆっくり童話 太陽と北風
by ”ゆ虐の友”従業員
<北風>
昔々あるところに、ゆっくりの大家族がいました。
ある日、ゆっくり達はお兄さんに素敵な防寒具をもらいます。
「ふーか、ふーか、しあわせー!」
「とってもあったかいにぇ!」
これで寒い冬も安心です。
ところがそれを見た北風と太陽が嫉妬。
「私はこんな役でしか出番がないというのにこいつらは……おお、ぱるすぃぱるすぃ」
北風はゆっくりの防寒具を脱がせようと、びゅうびゅうと吹き付けました。
「ゆゆ!かぜさんゆっくりしてね!」
「ふかふかきててもさみゅいよー!」
ゆっくり達は必死に体をちぢこめて、風から身を守ります。
しかしなんということでしょう。
「こんなにかぜがつよかったらふかふかとばされちゃうよ!」
そう言ったゆっくりれいむの体から、ふかふかの防寒具がすぽーん!と剥がれて飛んでいきました。
一説によれば、脆弱なゆっくりが厳しい自然の中で死なないのは思い込みの力で周囲の状況を絶えず変革しているからだそうです。
これもそうした”思い込み効果”の一種でしょう。
「ゆゆ!ふかふかさんとんでいかないでね!」
「まってね!れいむとゆっくりしてね!」
実際には北風は防寒具を引き剥がす力は無かったのですが、”かぜでふかふかがとばされる”と考えてしまったれいむのふかふかが吹き飛ばされると、
連鎖的にそれを目撃したゆっくり達からもふかふかが飛んでいきます。
スポーン!スポーン!スポーン!
ゆっくり達が楽天家で、自分に都合の悪いことをあまり考えないのには、こうした理由があるのかもしれませんね。
こうして北風は、見事ゆっくりの防寒具をすべて奪い取りました。
「ざむいよぉぉぉぉぉ!!!!」
「ゆえーん!ゆえーん!」
めでたしめでたし。
<太陽>
「また私がこの役かい!ぱるぱるぱる……」
太陽は防寒具を着込んだゆっくりを照らしました。
「ゆっくりぽかぽかだね!!」
「よるになったられみりゃきちゃうから、たいようさんずっとゆっくりしていってね!」
太陽はしだいに温度を上げていきますが、ゆっくり達は平気な顔。
”太陽はあたたかいもの”という先入観から、ゆっくりの周辺の温度はいつまでも平温です。
「ゆっゆっゆ!」
「ゆっくりー!」
そこへ、一人の人間が通りかかりました。ゆっくりたちは人間に挨拶します。
「「「ゆっくりしていってね!」」」
「おお、ゆっくりか。この暑いのに元気だね」
人間はどこかへ歩いていきました。
「ゆゆ?そういえばなんだかまぶしいよ?」
「たいようさんじーりじーりしないでね!ゆっくりぽかぽかしてね!」
ゆっくり達は天を仰いで口々に文句を言いはじめますが、太陽はしめたとばかりに温度を上げていきます。
「あついよ!」
「ゆっくりできないよ!」
「そうだ、ふかふかさんがじゃまだよ!ふかふかさんれいむからはなれてね!」
しかし、手足のないゆっくりは、自分で防寒具を脱ぐことはできません。
「あぢゅいよぉぉぉぉ!!!!!」
「ゆっぐりでぎないふかふかはじねぇぇぇぇぇ!!!!」
ゆっくりたちは飛び跳ねたりのた打ち回りますが、ボタンとバンドでとめられた防寒具はしっかりと固定されており、どうやっても取れません。
「でいぶのあんよが……あせでしめっちゃったよ……」
「うごけにゃいよぉぉぉぉぉ!!!!おかーしゃんだじゅげでぇぇぇぇぇぇ……!!」
こうしてゆっくり達は、全員溶けてしまいましたとさ。
めでたしめでたし。
END
最終更新:2009年02月22日 00:32