ゆっくりいじめ系2613 洞窟でゆっくりした結果がこれだよ!

「こんなとこじゃゆっくりできないよ!あたらしいゆっくりぷれいすをさがしにいくよ!みんなついてきてね!」

あるゆっくりの群から、三十匹ほどのゆっくりが離れていった。
理由はリーダーのまりさの言うとおり、「ゆっくりできない」からだ。
すっきりの制限や食事の制限も設けず、無計画に目先の幸せばかりを追い求め、自分たちの住む森を破壊していった結果だ。
草花はなくなり、地面は禿げ上がり。
虫は食糧がなくなったので数を減らし、それに伴い動物たちは移住した。
しかし、ゆっくりたちの餡子はそんなことに気付くこともなく、一冬を越え、群の3分の2が壊滅して初めて周辺の変化に気がついたのだった。

「それじゃあしゅっぱつするよ!」

『ゆー!』

温度と湿度も上がり、夏も近づいてきたある日、百匹ほどの群から三十匹は出発し、一路『南』を目指した。
なぜ『南』か。
それは、単に群のぱちゅりーが

「むきゅ!みなみのほうにいくとあったかくてゆっくりできるのよ!」

と言ったからだ。
まあ、南にいけば暖かいのは分かるが、ゆっくりにいける程度の南では、全く変わらない。
というか、このゆっくりたち、『南』を目指しているが、進んでいるのは東であった。
ゆっくりには「方角」など分かるはずはない。
最初は『南』を木の実と勘違いしていたくらいだ。

「ゆっ!みなみのほうをめざしてもっとゆっくりはやくすすむよ!」

『ゆー!』

リーダーのまりさは東を南と思い込み、付いてくるゆっくりたちを急かし、30分ほど歩き続けた。
ゆっくりにしては急いで歩いた距離、約500m。

「じゃあこのへんですこしゆっくりするよ!」

『ゆっくりするよ!』

群は足を止め、木陰に集まり、仮眠を取った。
約1時間。

「ゆっ!おきたよ!またゆっくりあるくよ!」

リーダーのまりさが目を醒ますと、今度は北を南だと思い込み、饅頭の行軍が始まった。
ゆっくりと、実にゆっくりと歩いたら、2時間ほどで群は不思議な洞窟を見つけた。
どこが不思議か、と言うと、まず薄暗いのに中の岩や壁がテカテカと輝いていた。
そして、地面や天井から何かが生えていたことだ。

「かわったどうくつさんだね!おもしろそうだからここでゆっくりするよ!」

『ゆっくりー!』

不思議な洞窟とあたりに草花が豊富なのを見て、群はここに住むことを決めた。
なお、これが群の破滅につながることは言うまでもない。






悲劇は、洞窟に住み着いて初日、夜に起こった。

「ゆんぎゃああああああ!!」

全てのゆっくりが寝息を立てる中、一匹のゆっくりの叫び声が洞窟中にこだました。

「どうしたの!?ゆっ!れいむ!」

リーダーまりさと数匹のゆっくりが洞窟の奥から出てきて、叫び声が上がった辺りを見てみると、そこには地面から生えた何かに串刺しにされ、中身と体液を垂れ流すれいむがいた。
しかし、まりさには状況が飲み込めなかった。
目の前の光景があまりにも脳餡子の理解の範疇を超えていたのだ。

「まりさ?どうした…ゆっげええええゃ!?」

まりさの背後で今度はぱちゅりーが叫び声をあげた。
まりさが振り返ると、そのぱちゅりーは口と脳天から生クリームを噴出している。
さらに小刻みに痙攣し、しばらくするとピクリとも動かなくなった。

「ばぢゅり゛ー!!」

まりさはいよいよをもって何がなんだかわからなくなってきた。

なんでれいむとぱちゅりーがこんなことになってるの?
れいむがささってるこれはなんなの?
なんでぱちゅりーはあたまにあながあいてるの?

そんなことを延々となけなしの脳餡子で考えていた。
が、結局結論は出なかった。
まりさは、死んだれいむの家族に「れいむがぴょんぴょんしてたらしんじゃった」と聞いたので

「へんないしさんがあってあぶないから、きょうからここでぴょんぴょんしたらだめだよ!」

と群に命令を出した。
群は了承したが、翌朝になると、二匹の赤ゆっくりが最初のれいむの二の舞になっていた。

「ぴょんぴょんしたらだめっていったでしょおおおお!!」

まりさは死んだ赤ゆっくりの姉妹を叱っていた。
赤ゆっくりたちは昨夜のことなぞ完全に忘れ、朝起きてすぐに飛び跳ねて遊んでいたのだった。
その結果が二匹の死である。

「こんなところじゃゆっくりできないよ!もうでていくよ!」

こんなことが続いたため、三匹のゆっくりがこの洞窟から出て行ってしまった。
まりさはそれを深く嘆いた。
ここから出て行けば、次にゆっくりできる場所なんてもう見つからないだろうに…
案の定、出て行ったゆっくりたちは翌日にれみりゃの餌になった。






「ゆっ!そうだよ!みんなのおうちをつくればいいんだよ!」

定住を決めて早々のさまざまな問題にどう対処するか、群の年長で話し合っていたとき、まりさはハッと閃いたのだった。
個別に家を持てば、ほかのゆっくりが見ていないところで飛び跳ね、死亡するのを避けられる。
ゆっくりにしてはよいアイディアである。
洞窟はかなりの広さがあったため、この案はすぐさまに実行に移された。
成体のゆっくりたちは洞窟の壁に自分と家族用の横穴、「おうち」を掘っていった。
それぞれの「おうち」には、まりさが前の群から持ってきたヒカリゴケが配られた。
約二日を費やして、全ての世帯分の「おうち」が完成した。
が、その間にも、四匹のゆっくりが飛び跳ねたために死亡していた。
群は二十一匹になっていた。

「ゆー…みんなのかずがへってきたよ…」

まりさはここに前の群より大きな群を作るつもりでいた。
しかし、現実はちがう。
すでに何匹ものゆっくりが死んでしまっている。

「じゃあみんなですっきりしてあかちゃんをうんだら?」

まりさの様子を見るに見かね、番であったありすが提案した。
まりさは悩んだ。
もし、ここで次の世代が生まれなければ、確実に群の規模は小さくなってゆく。
だが、増えすぎたりすれば餌がなくなってしまうし、教育も手間が掛かる。

「う~ん…しかたないよ!みんなであかちゃんをうむよ!」

まりさは決断した。
増えすぎたなら、何か理由をつけて殺せばいい。
そう考えていたのだ。

二週間後。
群には十八匹の子ゆっくりが生まれていた。
この二週間で死んだゆっくりが五匹、差し引き十三匹の増加だ。
八割が胎生にんっしんっであったため、まりさの懸念した大幅な増加は避けられた。

「これであんしんだよ!みんなでゆっくりしようね!」

「ゆゆぅ!おとーしゃんきゃっきょいい!」

「さすがわたしのだーりん、とかいはね!」

まりさとありすの間にも、子まりさが一匹生まれていた。
これでもうここは自分たちの楽園、危険や苦難なんて一つもない。
まりさの脳餡子は希望に満ち溢れていた。






梅雨時、ゆっくりを脅かすのは、虐待お兄さんや非生物だけではない。
それをこの群はその身をもって味わうこととなる。
その恐怖はまず、小さなゆっくりから順に始まった。

「ゆゆ?おねーちゃんにへんなのがついてるよ!」

「ゆっ!?どこどこ!?みえないよ!ゆっ!れいむにへんなのついてるよ!」

「ゆぁ!?どこなの!?おしえてね!」

最初に異変が訪れたのは洞窟の奥の方に住んでいた一家の、子れいむ二匹だった。
その二匹の体の底部、ゆっくりが言う「あんよ」にはなにか黒っぽいものがこびり付いていたのだ。

「ゆっ!おちびちゃん!どうしたの!?いまとってあげるからね!」

母れいむも子供の異変に気付き、焦ったように二匹のあんよを舐め始めた。
二匹についた黒っぽい何かは簡単にはがれ、ただの汚れだろうと言うことになった。
しかし、このとき、母れいむはこうするべきではなかった。
なぜなら、それが群の壊滅の始まりになるからである。

翌朝、子れいむ二匹のあんよには、昨日の黒っぽいものがくっついていた。
しかも、昨日のものよりも若干面積が広い。

「ゆわぁ!またへんなのがついてるよおおおお!」

「ゆっくりできないよおおおおお!」

二匹はわんわんと喚いた。

「ゆぅぅぅうぅ…りーだーにそうだんしてくるよ!おちびちゃんはゆっくりまっててね!」

困り果てた母れいむは、リーダーまりさに相談しに行った。
まりさも、それが何なのかはさっぱり分からず、結局「子ゆっくりを家から出さない」と約束しただけに終わった。
ただ、家に閉じ込めている間にも、子れいむたちは徐々に黒い何かに浸食されていった。

まりさと相談してから2日後、目が覚めて母れいむが子れいむを見ると、二匹は完全に青黒いものに覆われていた。

「ゆ?おちびちゃんたち、あさだよ、おきてね!」

母れいむの呼びかけに子ゆっくりが応えることはない。

「ゆゆ~ん、おねぼうさんだね。ほら!おきてね!」

母れいむは舌で片方の子れいむを転がす。
ボロっと小さく音を立て、子れいむだったものは半分になった。

「ゆ…?なにこれ?おちびちゃんはどこ?」

母れいむには目の前にあるものが子供だとは理解できなかった。

「みゃ…みゃ…」

どこからか、子れいむの声がしたのを母れいむは聞き取った。

「ゆっ!おちびちゃん!どこなの!?へんじしてね!」

「みゃ…みゃ…」

どこかから自分を呼ぶ声がどこから来るのか。
母れいむはきょろきょろと辺りを見回した。

「ゆぅあ!どこなの!?かくれてないででてきてねえええ!」

とうとう母れいむはワケが分からなくなり、自分の周りのものを手当たり(舌当たり)しだいにひっくり返したり転がしたりしてみた。
目の前の黒い塊も。

「も…ちょ…ゆ…ぐ…」

母れいむには、割れていない方の青黒い塊を転がしたときそう聞こえた。
そのとき、母れいむの脳餡子に、ある一つの仮説が生まれた。
あわてて割れていなかった方の塊を見たが、もう遅い。
丸かった塊は二分割され、中に茶色いものが見えていた。
そして先ほどの仮説は、母れいむの中で真実に変わった。

『あの塊』が『自分の子供』だと。

「ゆわあああああああああああああああああ!!!!!!」

狭い横穴に、母れいむの断末魔のような絶叫がこだました。

「ゆんやあああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」

母れいむは認めたくなかった。
自分の子供の死を。
そして止めを刺したのが自分であるということを。

「ゆぎょああああああああああ…………?」

その叫びは、数秒間続いたが、突然として止まった。
いきなり脱線するが、カビというものは湿度の高い時季、空気が流れにくいところで、水や栄養を多く含むものに付きやすい。
風呂場の桶の裏だとか、畳だとか、木製のたんすだとか。
そして、ゆっくりの口の中だとか。

「…………!!!!」

母れいむは自分のみに何が起こったか、今度はそれをすぐさまに理解した。
まあ、目の前に根元が青黒くなった自分の舌があったのだ。
否が応でも理解できるだろう。

ゆっくり一家に付いていたのはアオカビ。
チーズとかパンなどの食品によく付くあれだ。
ゆっくりは動く饅頭。
例外ではない。
母れいむは、このことをリーダーまりさに伝えなければならないと思った。
しかし、自分が喋ることができないことに気付き、それを諦めざるを得なかった。
そこで、子供だった青黒い塊を持っていくことにした。

まりさは、れいむが持ってきたものと、喋ることのできないれいむに最初は驚いた。
しかし、番のありすが

「これはかびさんよ!とってもあぶなくてゆっくりできないいなかものよ!」

といったため、すぐさまに群の存続の危機を感じ取った。

「れいむ!どこでかびさんがついたかわかる?」

まりさの質問に、れいむは体を振って答えた。

「じゃあほかにかびさんがいるかみてない?」

またしてもれいむは全身を大きく振った。

「そっか…じゃあれいむはできるだけおうちからでないでね。ごはんはもってくよ」

まりさはうつむき加減にそう言った。
れいむは体を縦に振り、青黒い塊を銜えて出て行った。
まりさは、去り行くれいむの後頭部に黒いまだら模様を見た。

れいむがまりさの元に来てから、群にカビが蔓延するまで、そう時間は掛からなかった。
三日もすれば、群の全ての子ゆっくりにカビが付いている状況に至った。
これは、子ゆっくりの方が成体ゆっくりよりも水分を多く含んでいることによる。
群は『へんないしさん』に次ぐ壊滅の危機に陥った。

「なんでこんなことに…わからないよー…」

年長者の会議でちぇんはそう呟いた。
そこにいる誰もが、同じ気持ちであった。

「こうなったらさいしゅうしゅだんしかないよ…」

ぱちゅりーが重苦しい口調で提案した。
『さいしゅうしゅだん』。
それは、カビのついた全てのゆっくりを専用の横穴に隔離、土で埋めて感染拡大を防ぐというものであった。
これは、年長のゆっくり七匹で二日間寝ないで考えた末の結論だ。
しかし、子ゆっくりは群の半分を占めている。
『さいしゅうしゅだん』をとれば、間違いなく群は壊滅するだろう。

「そうだよ!もうそれしかないよ!」

「りーだー!どうするのかきめてね!」

最後の決断は、リーダーまりさに委ねられた。

「……しかたないよ…さいしゅうしゅだんだよ…」

『さいしゅうしゅだん』が議決された。


「おちびちゃんたち!こっちにきてね!」

まりさは隔離用の横穴に子ゆっくりたちを先導していた。
わずかにカビが付いたものからほぼ全面をカビに覆われたものまで。
子ゆっくりは全てカビていた。

「にゃにしゅるんだりょうにぇ!」

「たにょしみだにぇ!」

子ゆっくりたちはこれから自分たちが殺されるとも知らず、楽しそうにはしゃいでいた。
全ての子ゆっくりが横穴に入ったのを確認すると、まりさは中に近くの森で採ってきた青く小さいリンゴを三つ投げ入れた。

「ゆゆっ!りんごさんだよ!」

「むーしゃむーしゃ、しあわせー!」

中からは子ゆっくりたちがリンゴをむさぼる声と音が聞こえてくる。

「……いまだよ!ふさいでね!」

『……ゆー!』

まりさは中から出てくるのがいないのを確認すると、その場にいた数匹のゆっくりに穴を塞ぐように命じた。
見る見るうちに土が盛られて行き、穴は元の壁に戻ってい行く。
子ゆっくりたちが気付く気配は全くない。
土を盛るゆっくり立ちは涙を流していた。
わが子をこの手で殺す。
ゆっくりにとっては最大の禁忌であり、それを犯せばもう二度と安らぎなどない。

「ごめんね…おちびちゃんたち…ごめんね…」

リーダーまりさは、一日中穴があったところに向かってそう語りかけていた。






一週間後。
カビの脅威は過ぎ去ったかに思えた。

「ただいま!ゆっくりかえったよ!」

リーダーまりさはその日、近くの森で木の実を拾ってきた。
採ってきたものは帽子の中に入れ、おうちに持って帰る。

「こんなにとれたよ!」

ありすを前にして、自慢げに帽子をとり、成果を見せるまりさ。
帽子の中身は小さなリンゴ、虫に食われたサクランボなど、人間からしたら粗悪なものであった。
しかし、ゆっくりにとってはご馳走である。
ありすは大いに喜んだ。

「さすがわたしのだーりんね!」

頬ずりをしようとまりさに近づいたとき、ありすはまりさの頭頂部にあるものを見つけた。

「あら?このくろいのなはに?」






カビの季節はまだ終わらない。






―――――――――――――――――――――

あとがき
何か思いついたから書いた。反省はしていない。後悔はしている。
山口の観光スポットを探していたら思いついてしまいました。
その場の勢いで書いたため、最後の方はほぼやっつけです。

※補足※
『へんないしさん』は鍾乳石と石筍です。
れいむとかは小さめの石筍に刺さって、ぱちゅりーは長い鍾乳石に刺さったんですね。

過去作品
  • 駆除屋
  • ゆっくりのじんぢゃ


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最終更新:2009年05月11日 18:43
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