ゆっくりいじめ系2632 ゆっくり電柱

「ゆっ!ゆゆっ!?ゆっくりしていってね!」
「ゆっくりしていっ・・・なんじだとおもってるの!?ばかなの!?」
「ばかなんだぜぇぇぇ!」
「わかるよぉぉぉ!ばかなんだねぇぇぇぇ!」
「ばきゃなのぉぉぉ?」

早朝3時、俺の朝は早い。
ここは人間の里から少し山を登ったところにあるゆっくりの群れ、
寝ぼけたゆっくりが早漏なゆっくりを披露したそばから
罵声を浴びせられるという微笑ましい光景をよそに
人間はゆっくり達に気づかれないよう静かに歩みを進めていた。

先日下見に行って目印をつけておいた巣には
ゆっくりまりさと目的のゆっくりれいむがアホ面で「ゆぴぴ」と寝息を立てている。
人間はその頭から茎を生やした身重のれいむをそっと胸に抱く

「ゆぅゆぅ・・・おちびちゃん・・・それはうんうんだよ・・・ゆっくりできないよ・・・」

これから始まる新生活への期待と不安がれいむの寝言からも伺える。

「れいむはお母さんになるのだな」

人間はそう呟き、はにかむとれいむを起こさないよう注意深く巣を後にした。
一人残されたまりさ、仰向けで大口を開けて幸せそうな顔をしている。
暫くはもうそんな幸せな顔はできないだろう。今だけはゆっくりしていってね。


たどり着いた先は人間の里、ゴミ捨て場の横に聳え立つ電柱である。

時は一刻を争う。失敗は許されない。

人間はれいむを空中へ放り投げ、素早く壁を蹴り塀の上へ!そこから電柱へ飛び移り足場に足を絡める。
落ちてくるれいむをキャッチ!反動は膝のクッションで限りなく0へ!

起こしてしまえば全てか水泡に帰する。

人間はれいむを頭の上に乗せ、バランスを取りながら細心の注意を払い、電柱を昇って行く
揺れるれいむと頭から生えた茎、老朽化した電柱の足場はグラグラと揺れ、引っ張れば容易く抜けてしまいそうだ。
まだだ、落ちるのは事を成してから・・・!人間は一時間かけて電柱の頂上まで上り詰めた。

「・・・ゆっくりしていってね」

起こさないよう小さく呟くと電柱の頂上にそっとれいむを置いた。人間はそのまま足場から飛び
知らない人ん家の屋根に転がり落ち、瓦を撒き散らしながら下水に落ちてアバラが三本逝った。


「ゆっ!ゆゆ!ゆっくり起き・・・・どごな゛の゛ごご!!」

カラスの泣き声でゆっくりと目を覚ましたれいむは開口一番、誰もがこうなったら確実に言うだろう台詞を絶叫した。
どういうことなのか?自分は森の巣の中でゆっくりと眠りについた筈である。
確かにれいむは昔、親れいむに「おちびちゃんは寝相がわるいね!でもそんなところもゆっくりできるよ!」
等と言われた事がある。甘やかされて育てられた結果がこれだよ!寝相が悪いにも程があるでしょう?

「お゛っ!お゛がぁぁざぁぁん゛!」

思わず母の名を叫ぶれいむ、360度広がるパノラマワイドな光景に気が遠くなる。
まるで地面がれいむを呼んでいるかのように、体がゆらゆらと揺れる。吸い込まれる。

「じめんさん・・・!れいむをよばないでね!ゆっくりむこうへいってね!そしてみえないところでしんでね!」

誰も居ない地面に向かい呪いの言葉を吐くれいむ、カラスが「俺!?」みたいな顔をして鳴いたりしている。
そうだ、こんな時こそゆっくりだ!と「ゆっくり、ゆっくり」等と連呼して無理やり笑顔を作ってみるが
汗が滲み、涎は垂れ、目はキョロキョロと忙しなく動く、全然ゆっくりできない。できるわけがない。

「ゅ・・・」

そんな時、声が聞こえる。声の主はれいむの頭の上から伸びた茎からである。

「おちびちゃん!おちびちゃんの声がゆっくりきこえるよ!はやくおかあさんとゆっくりし・・・・」

無理である。器用にグルグルとその場を周り足場を探すが5回程回ったところで
電柱の上はれいむ一匹で定員オーバーである事に気が付いた。
いや、待て待て、もう少し回れば足場さんがゆっくり足場を増やしてくれるかもしれない。
もう少し回っ・・・ゆっくり!ゆっくり!落ち着け平常心

「ゆげぇ!?おちびちゃん!うまれないでね!まだまだそこでゆっくりしていってねっ!」

汗を垂れ流しながら茎の赤ゆっくりに笑顔でゆっくりだよ!ゆっくりだよ!と語りかけるれいむ。
茎から垂れ下がって目を閉じ笑顔を浮かべている赤れいむ3匹と赤まりさ2匹が若干いぶかしげな表情になった。

既に赤ゆっくり達には自我が目覚めていた。

茎から伝わってくる親れいむの喜怒哀楽の感情を感じることもできたし
隣にいる姉妹と簡単な意思の疎通も可能であった。

(おかちいね)・・・(産まれてこないでっていってるよ)・・・(なにやらゆっくりちてないね)・・・(おなきゃすいた)
(ゆっくち待とうか?)・・・(れいみゅはとっとと産まれたいよ)・・・(おなきゃがすいたよ)
(まりさが産まれればおきゃあさんはおのずとゆっくりできるのじぇ)・・・
(言うとおりゆっくり待つべきだよ)・・・(そんなことよりおうどんたべたい)
(さっきからばきゃがひとりまじってるよ)・・・(ばきゃはだまっててね)・・・(ゆぎぃ!)
(けんかはやめちぇね、おねぇちゃんがゆっくち産まれてみてくるよ)・・・
(おねぇちゃん!)・・・(ゆっくりきをつけちぇね)・・・(おうどんたべたい)・・・(ばきゃはだまっててね)(ゆぎぃ!)

先端の赤れいむがムズムズと動きはじめる。もみあげをピコピコと動かして茎から落ちようとしている。
それを見て目が飛び出さんばかりに焦る親れいむ

「どぼじでう゛ま゛れ゛でぐる゛の゛ぉぉぉ!?ゆ゛っぐり゛!ゆ゛っぐり゛だよ゛ぉぉぉ!

無駄だと分かっていても右に左にグルグルとその場を回り赤ゆっくりの着地ポイントを探す親れいむ、
そうこうしている内に長女赤れいむと繋がっていた茎は切れ、落下した。
産まれた喜びとこれから始まるゆっくり新生活に期待を膨らませ、それを全身で表現

「ゆっく」

・・・・する間も無くどんどん親れいむと離れていく長女赤れいむ。地面さん遠すぎるでしょ?
一瞬見えた親れいむの顔はなにやらブサ・・・ゆっくりしていなかったような・・・?あれ・・・?にゃにこれ・・・?
眼下に広がる光景を見てゆっくりとした長女赤れいむの餡子脳にもようやく状況が飲み込めたらしく
ホロリと一筋の涙をこぼし、残されたわずかな時間だけでもゆっくりしようと笑顔を作る。

「ちうまれちゃかったよ」

パチンと乾いた音を響かせ、地面の染みになった。

いつまで経っても聞こえてこない長女赤れいむの産声に茎の赤ゆっくりたちは不安を募らせていた。

(おねえちゃんゆっくりしすぎだよ)・・・(はやく声をききゃせてね)・・・(おそすぎりゅよ)
(おそとはゆっくりできなかったんだよ)・・・(まりさはここでゆっくりちていくのじぇ)・・・(ゆっくりゆっくり)
(はやくだれきゃ様子をみにいってね)・・・(かってなこといわないでね)・・・(うんうんするよ!)・・・(産まれてからにしてね)

茎から伝わってくる親れいむの焦りの感情、産声を上げない長女赤れいむ・・・
その二つの情報から導き出される答えは明白であった。産まれたらゆっくりできない。
誰ひとり長女赤れいむの後を追うものは名乗りをあげなかった。しかしここにはずっと居られないのもまた明白である。
自分の意思で茎を切らずとも、時が来れば自然に茎は切れる。それは時間の問題であった。
そして長女赤れいむが居なくなった為に一番先端になった赤まりさの茎がムズムズと動きはじめる。

(ゆんやぁぁ!まりさがうばれるのじぇ!?)・・・(おねえちゃんゆっくりしようね)・・・(ゆっくりいかないでね)
(とっとといって様子をみてきちぇにぇ)・・・(しょんなこといわないでね)・・・(あすはわがみなんだじぇ)

次女赤まりさの茎が切れ、落下を始める。しかし親れいむは見ていた。
充血しきった目、瞬きもせずその時を待っていた。勝算はあった。舌を伸ばして絡め取る!

「ゆっくりうまれたかったのじぇ」

長女赤れいむと同じ台詞を呟き、奈落へ消えていく次女赤まりさ
その2秒後、次女赤まりさが通った軌道に舌がビローンと伸びる。

「ゆっぐり゛ま゛に゛あ゛ま゛ぜん゛でじだ!!」

あまりにもゆっくりしすぎた反射神経、希望が滑り落ちてゆく、
成すすべも無くブサイクな顔で地面を覗き込む親れいむ。

「ゆゆっ!?」

潰れた餡子の跡はひとつ、長女赤れいむの物しか無い。
おかしい、今落ちた次女赤まりさの残骸が見当たらないのだ。
奇跡的に何処かに引っかかったのかと思い、身を乗り出し電柱の周りを見渡す親れいむ。

「ゆゆゆゆゆゆっ!・・・まるでおそらを・・・どん゛でる゛!め゛っ゛ぢゃ゛!どん゛でる゛!」

何故か上空から聞こえる次女赤まりさの叫び声、そして声を辿ると、羽ばたくカラスのくちばしの先っぽ
そう、落ちる次女赤まりさをカラスが拾ったのである。

「ゆぅぅん!ありがちょぉぉ!まっくろふわふわさん!まりちゃをおきゃしゃんのところにおろすのじぇ!」
「カラスさん!おちびちゃんをゆっくりこっちに連れてきてね!」

そんなゆっくり達の呼びかけにカラスが答えるわけもなく地面に着地し、次女赤まりさを吐き捨てた。

「ゆべっ!ちがうのじぇ!おきゃーしゃんはあっちなのじぇぇぇぇ!ばきゃ!くろふわばきゃ!」

カラスに体当たりをする次女赤まりさ、カラスはそれを華麗にスルーし、
次女赤まりさの着地のタイミングにあわせてクチバシを振り下ろした。

「ちゃっちゃとまりさをちゅれてっ・・・・ぴゅぺ!?」

帽子を貫通し、脳天に大きな穴が開いた次女赤まりさ、まだ自分に何が起こったのかわからずキョトンとしている。
親れいむが電柱の上からボタボタと涙をこぼしている。

「ガラズざん゛!!やべでね!まりざはゆっぐりじだおぢびぢゃんだよ!!」
「なんきゃきゅうにきゃらだがおもくなっちゃのじぇ」

突然体がだるくなったのでお母さんの所へ行くのは少し休んでからにしようと思い
よろよろと電柱の根元へ移動しようとする次女赤まりさ、そこに再びクチバシが振り落とされる

「ゆっくちやす・・・むべっ!・・・ばひゅ!・・・ゆっくっ!・・・にげっ!・・・わびゅ!」

数回クチバシに突き刺されグシャグシャになったところで
自分の始まったばかりの人生が早くも終わりを告げようとしている事に気がつく次女赤まりさ

「きゃわいい・・・まりちゃ・・・を・・・ゆっく・・・ち・・・ちゃ・・・ちぇ」

カラスは次女赤まりさをすくい上げるとゆっくりと租借した。
クチバシの隙間から時折見える次女赤まりさは徐々にミンチになっていった。

「ゆ゛っ・・・・ぐ・・・・ち」

帽子はもはや原型と留めず、髪は所々引きちぎれ、右目は大きく露出し、歯は殆どが欠けていた。
つい数秒前までの愛くるしい顔の面影はもはや無く、苦悶の形相を浮かべている。
カラスは租借をやめると上を向き、次女赤まりさを飲み込もうとクチバシと喉を小刻みに動かした。

「ゅ゛・・・ゅ゛・・・ゅ゛・・・」

ゆっくりとカラスの胃袋に収まる次女赤まりさ、カラスは次の獲物を求め飛び去っていった。

「どぼじでごん゛な゛ごどにぃぃ!」

涙を滲ませる親れいむ、しかしグッとそれを堪える。
ダメだ、泣いてる場合ではない、
死んでいったおちびちゃん達の為にも残りのおちびちゃん達を絶対に下に落としてはいけない。
どうすればいい?どうすれば・・・?ゆっくり、ゆっくり
焦れば焦るほど思考は空回りし、考えはまとまらない、万策尽きて天を仰ぐ親れいむ
そこにはそんなゆっくり達の心情とは裏腹にゆっくりしているお日様さん、
それに凍った笑顔でゆらゆらと揺れる赤ゆっくり達・・・

「お、おちびちゃん!」

今、気が付きました。

上を向く事により茎はしなり、赤ゆっくり達は親れいむの眼前に位置を変える。
こうすれば後は先程のように落ちて急に視界に入ってくる赤ゆっくりを
ゆっくりとした舌でキャッチ等という無謀な賭けには出なくて済む。
上を向いてアホ面で舌を出していれば勝手に赤ゆっくりは舌に着地するのだ。
しかしこの体勢、顔だけのゆっくりには相当キツい、
人間で言えば直立姿勢から首を動かさず、腰を逆に曲げて天井を見続けているようなものだ。

「ゆ゛っく゛り゛し゛な゛い゛でうばれ゛でね゛!」

長女赤れいむに続き、次女赤まりさの産声も聞こえない。
茎から伝わってくる親れいむの焦りの感情は先程から変わらない。
にもかかわらず、今度は早く産まれろと言っている。

(おかちいね)・・・(産まれてもだいじょうぶ?)・・・(だれかいってきてね)
(れいむはここでゆっくりするよ)・・・(ゆっくり産まれてもおきゃあしゃんはよろこぶよ)
(おかあさんのいうことはきこうね、れいむはうまれるよ)・・・(おぉ、早計早計)
(もうすこしだけゆっくりするよ)・・・(ゆっくりしようね)・・・(ゆっくりゆっくり)

疑心暗鬼に陥った赤ゆっくり達をなだめてすかして4時間半
実にゆっくりと粘った赤ゆっくりたち3匹は親れいむの舌の上に産まれ落ちた。
最後まで必死の形相で産まれまいと粘っていた末っ子赤まりさが、親れいむの舌の上にふにゅん!と降り立った。

「んんっ!・・・!ゆっくちうまれちゃよ!」

無事産まれた事を心から喜び、瞳をキラキラと輝かせ満面の笑みを浮かべる末っ子赤まりさ
フルフルと体を震わせてかわいさアピールタイムがはじまる。

「ころころするまりちゃをみちぇちぇね!おきゃーしゃん!ゆっくりころが・・・・ゆげぇ!たけぇ!ここめっちゃたけぇ!?」

天使のような笑顔で舌の上を転がりかわいさをアピールしようとしたが
半回転もしない内に自分が今居るところに気が付いてオッサンのような顔になる末っ子赤まりさ。
他の姉妹たちもありえないゆっくりプレイスの場所に怯え身を寄せ合ってプルプルと震えている。

「おきゃーしゃん、ここはゆっくちできないよ、じめんさんにいこうね!」
「れいむはもっちょ、ひくいところがいいよー」
「これなんてぷれいなの?たかすぎるでちょ」

みゅーみゅーとそれぞれに遠まわしにさっさと低いところに連れて行けよこのバカ、と主張する赤ゆっくり達
困った顔で舌を限界まで伸ばして小刻みに震えている親れいむ

「れいむにもわからないんだよ、それよりおちびちゃんたちは早くれいむの頭の上にゆっくり移動してね!」

いつまでも舌の上に乗っていると、親れいむの唾液によって赤ゆっくり達は溶けてしまうだろう。
何だか頼りない親れいむの言葉に不安を募らせながら次々に親れいむの頭の上に移動する姉妹
舌の上よりも若干高い上に360度に広がる絶景に赤ゆっくり達は思い思いの面白い顔になる。

「ぴっぴみゅぅ!ゆっくちできないよぅ!」
「れいみゅはもっちょ、ひくいところがいいのぉぉぉ!」
「まりさはおにゃかがちゅいたよ!ゆっくちしないでごひゃんにちてね!」

ゆっくりの中では身体能力の高いまりさ種だからだろうか?
末っ子の赤まりさだけが、早々に高所に適応し、ごはんを求めだした。
他の姉妹も恐怖が優先され忘れていたが、まりさの言葉で産まれてから何も食べていない事に気が付く。

「おきゃーしゃん!おにゃかちゅいたよぅ!」
「ゆぴゅぅ!ごひゃんたべたゃいの!」
「ゆっくちちにゃいでごはんをちょうらいね!」
「ご、ごはん・・・でもこんな所にごはんなんて・・・ゆゆっ!そうだよ!」

親れいむは群れのゆっくりが出産した後、残った茎を食べさせていたのを思い出した。

「これがおちびちゃん達の一番最初のごはんだよ!お姉ちゃんから茎の先っぽさんへ行ってゆっくり食べてね!」

この状況では自分で茎を折り、与えることはできない
かと言って根元から赤ゆっくり達が勝手に噛り付けば茎は食べる部分を大量に残したまま地面に落下してしまう。
それを防ぐ為に茎の先っぽから一人ずつ順番に食べる事を提案した。

「ゆっ!ゆぴぃ!茎さんの先へいくにょ!?・・・ゆゆゆ・・・!ゆっくちがんばるよ!」

三女赤れいむが動揺しながらも茎を渡っていく、
柳の木のような形状をした茎は普通の体勢では下り坂になり、赤ゆっくりが伝っていくにはとても危険である。
そこで親れいむは赤ゆっくり達を落とさないように注意しながらゆっくりと体勢を仰向けに変えた。
頭の上から移動し、横になった親れいむの顔面に乗る形になる赤ゆっくり達、
これで茎の先っぽは上の方へ向き、下りよりも若干安全であろう。

「ゆぅーせ!ゆぅーせ!ゆぅぅぅ!たきゃいよぅぅ!ゆっくちちたいよぅ!」
「ゆっ!ゆがっ!おちびちゃん!急いでゆっくり食べてね!」

背中に電柱が食い込み、地味に苦しむれいむ。
一方、必死に茎を伝う三女赤れいむ、細い茎の下には凄まじい光景が広がっている。
涙をポロポロとこぼし、落下の恐怖に怯えながらようやく先端にたどり着き、茎に噛り付く

「むーちゃ!むーちゃ!ゆぐっ!むちゃ!むちゃ!はふっ!はむっ!」

目をギュッと閉じ、ゆっくりにあるまじき早食いの後、
膨れたお腹を茎に押し付け嗚咽を漏らし、尻から親れいむの元に戻る三女赤れいむ。
よく租借しなかった為、ゆぷっ!ゆぷっ!と苦しそうにしている。

「・・・ゆっくちごちしょうしゃまでちた」

お通夜のような顔で親れいむに感謝の言葉を伝える三女赤れいむ、
そんな有様の三女赤れいむと茎を交互に見ながら四女赤れいむはひとり静かにしーしーを漏らした。

「がんばってね!おちびちゃん!食べないとゆっくりできなくなるよ!」
「はやくちてね!きゃわいいまりちゃはおにゃかぺこぺこだよ!」
「ゆべっ!おちびちゃん!そこで跳ねないでね!そこはお母さんの眼球だよ!」

親れいむのまぶたの上でぼいんぼいん!跳ねる末っ子赤まりさ、
そして顔面蒼白で満面の笑みを浮かべる親れいむ。めり込んだ電柱が薄っすらと顔に浮んでいる。
産まれてから何も食べていない赤ゆっくりはすぐに衰弱して茎に登る体力すら無くなってしまうだろう。
面白い姿勢を続けている親れいむの限界も近い。何気に一刻の猶予も無かった。
そして末っ子赤まりさは3匹のれいむ気持ちなどお構い無しにその場で飛び跳ね。四女赤れいむを急かす。

「ゆっ!ゆぐっ!ゆぐり!い゛できまちゅ!」

ヨロヨロと茎に乗り先っぽ目指して進む四女赤れいむ、三女が食べた分だけゴールは近いのだが
恐怖のあまりなめくじが這うよりそのスピードは遅く、目も虚ろで今にも落ちてしまいそうだった。

「ゆっ・・・ゆぅゆぅ・・・ゆぅー・・・せ・・・!ゆぅ・・・きょ・・・きょわいょぉぉぉ」
「ゆっ!おちびちゃん!無理しないでね!もうそこでいいからゆっくり食べて戻ってきてね!」

四女れいむの限界を察知した親れいむは茎の多少の損失は仕方なし、と食べるように促した。

「ごっ!ごべんなちゃい・・・!れいみゅはここでゆっくちたべるにぇ!」

もそもそと茎に噛り付く四女れいむ、初めて口にする食べ物の味、それが四女れいむの心を少しだけ落ち着かせた。
口の中に広がる甘さとほんの少しのすっぱさ、おいしい、しあわせ、ぽかぽかとした気分、そうか、これがゆっくりなのか

「むーちゃ・・・むーちゃ・・・しっ・・・しあわせー♪」

顔を綻ばせ産まれてはじめてのゆっくりに酔いしれる四女れいむ、
高くて辛くて苦しくて悲しかったけどこの気持ち・・・ゆっくりがあれば生きていける・・・!
きっとこうやって日々ゆっくりを感じてれいむは生きていくのだろう。そう思った。叫ぼう、もう一度叫ぼう。

「しあわせぇー!」
「ちやわちぇー!」

後ろから四女れいむに負けじと劣らない幸せそうな声が聞こえる。
末っ子赤まりさの声だ。れいむの幸せそうな声を聞いてつられて幸せになってしまったんだろう。
この子はどこか他人を思いやらないゆっくりできない子だと思っていたがどうやらそれは間違・・・

「ゆあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛な゛に゛じでる゛の゛お゛ぢびぢゃ゛ん゛!!」
「やめちぇね!ゆっくちたべるのをやめちぇねぇぇぇ!」

末っ子まりさは茎の根元に、はむっはふっはふっと噛り付いていた。
それを号泣しながら親れいむと三女れいむが見ている。

「ゆ・・・ゆゆ・・・ん?」

ふわっと体が軽くなる四女れいむ。足場が沈んでいく。
あぁ、まりさが食べたから茎さんが折れちゃったんだね・・・ゆっくちしないで理解したよ、
まりさはお腹が減ってたんだね。れいむがゆっくり待たせすぎたね。仕方ないよ。ゆんゆん。仕方ないよぅ。

「ぞん゛な゛わ゛げな゛い゛でち゛ょう゛!!」

クワッと形相を浮かべ叫ぶ四女れいむ、このばきゃは何故お母さんの言いつけを守らないでこんな事をするの?
馬鹿なの?死ぬの?ゆんゆん、このままだと死ぬのはれいむなんだね。絶対に許さないよ、このゲスまりさ
死ね!ゆっくり死ね!いや、このままだと死ぬのはれいむ、死にたくない、産まれてまだ何分?
もっとゆっくりしたい、もっと、もっとゆっ

「ゆっくりしていってね!!!」

咄嗟に絶叫する四女れいむ、死に直面し様々な思いが交錯し紆余曲折、色々巡って出た言葉がこれだった。

「「「ゆっくりしていってね!」」」

思わず返答する3匹、全員もれなく満面の笑顔だった。
折れた茎と共に奈落へ消える四女れいむ、その直後、パチン!という乾いた音が鳴り響いた。

「ゆあああああ!おちびちゃんが!おちびちゃんがぁぁぁ!」
「ばきゃぁぁ!まりさのばきゃあああ!」

親れいむはおでこ方向に涙を流しながら叫んだ。
長時間のうつ伏せで餡子が頭によってしまい酷くブッサイクだ。
三女れいむは、落下の危険も顧みずまりさに体当たりを仕掛けようとにじり寄る。
末っ子赤まりさはクッチャクッチャと茎を噛み締めて「ちやわちぇー」と目を輝かせている。

「まりさはずっとまっちぇたんだよ!ゆっくりあやまるのはそっちにょほうだよ!ぴゅんぴゅん!」

ぷくぅ!と膨れ上がる末っ子まりさ

「ゆぴぃ!」

一番弱いはずの末っ子まりさが突如バンプアップし屈強な姿になった事に驚き
ころんと尻餅をつく三女れいむ、ゆわわ、ゆわわと歯を鳴らし怯えている。

「やめてね!おちびちゃんを苛めないでね!おちびちゃん!」

頭の上で争う二匹をなだめる親れいむ。全ては自分の不注意のせいだ。
寝ている間にゆっくりこんな所に移動してしまい沢山の子供を失ってしまった。
こんな場所じゃなければゆっくりと教育できたのだ。末っ子赤まりさは悪い事をしたが
それが悪い事と知らなかったのだ。ゆっくりと許し、ゆっくりと教育をすればいいのである。
それが死んだ四女れいむへのたむけにもなるだろう。

「喧嘩はやめてね!仲良くしようね!これからゆっくりと二人を教育するからね!ゆっくりしようね!」

目に涙を一杯に貯め、叫ぶ親れいむ。
その姿は子供に言っているというよりも自分に言い聞かせているようだった。

「ゆ・・・ゆゆぅ・・・!」
「うるちゃいよ!はやきゅかわりをもっちぇきてにぇ!」

従順な三女れいむは末っ子まりさを睨み付けながらもそれに従った。
決してまりさを許したわけではないが、喧嘩をしかけるような事はもうしないであろう。
そんな思いもしらずに末っ子赤まりさは限界まで食べれなかった事が不満らしく
親れいむの顔面に体を何度も叩きつけている。

そこへさっきとは別のカラスが親れいむの顔面の上にとまった。狭い、狭すぎる
途端に「ゆげぇ!?」と死にそうな顔になる赤ゆっくり達、親れいむも突然の来訪者に顔を強張らせる。

「ゆ、ゆっくりしていってね!」
「カァー」
「ゆっくりできないなら出て行ってね!」
「カァー」
「ゆっくり死ね!」

双眼鏡を下ろした男は口に手を添え、叫んだ

「ゆっくりと生き延びてね!れいむ!」
「喋らないでくださいね。肋骨が肺に刺さってますから死にますよ。」
「い゛だいいぃぃ!ちぇんちぇえぇぇ!お゛に゛い゛ざん゛をだすげでねぇぇ!」

担架で運ばれていく男、ゆっくりを危険な場所へ放置しその生き様をウオッチングすることに
人生をかけている男、男にとって今回のような怪我は日常茶飯事であった。



おしまい

前回書いた「ゆっくり見せしめ」で、予期せぬ設定スルーと
物理的に不可能な動作と不自然なくらい価値の安い蜂蜜があったことを深くお詫び申し上げま・・・ゆ゛っ!?

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最終更新:2009年05月18日 13:53
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